要旨
プランク長 $l_p=\sqrt{\hbar G/c^3}$ に山岸重力パッチ $G=4\pi$ と量子パッチ $\hbar=\frac{1}{4\pi}$ を代入すると $\hbar G=1$ が相殺し、$l_p=c^{-3/2}$ と書ける。この代入は正しい。本稿は、この式を論文38第3版の「自由度の勘定」にかける。第一に、勘定である。$\hbar$、$G$、$c$、$m$ の任意の三つ組はいずれも次元的に独立であり(行列式は $0$ でない)、基本次元は $M,L,T$ の三つしかないから、値を指定できるのは高々三つである。四つ目に値を課すことは規約ではなく、自然についての主張になる。本稿は $G$ と $\hbar$ の二つを使っており、$l_p=c^{-3/2}$ はまだ一自由度を使い残した表現である。残る一つを $c=1$ に費やせば $l_p=1$ となる。これはプランク長が長さの単位になるということであり、プランク単位系の定義そのものである。第二に、指数 $3/2$ の出所である。$l_p=\hbar^aG^bc^d$ を次元方程式として解くと $(a,b,d)=(\frac12,\frac12,-\frac32)$ が一意に定まる。すなわち $3/2$ は$3\times3$ の連立一次方程式の解であって、動力学を一切含まない。第三に、なぜプランク単位系は平方根だらけなのか。$(\hbar,G,c)$ の次元指数行列の不変因子は $(1,1,2)$、すなわち最大不変因子は $2$ である。逆行列の成分の分母を決めるのは、行列式ではなく最大不変因子である(論文149)。$|\det|$ も $2$ であるが、それは分母が割り切る数を与える上界にすぎない($\mathrm{diag}(2,2)$ は $|\det|=4$ をもちながら半整数しか出さない)。本稿の行列は余核が $\mathbb{Z}/2$ で巡回であるため、両者はたまたま一致する。プランク長・時間・質量・エネルギーの指数がすべて半整数であることは、この最大不変因子 $2$ の帰結である。対照的に論文38の基底 $(G,m,c)$ は不変因子が $(1,1,1)$ であり、指数は整数になる(自然な長さは $Gm/c^2$、自然なエネルギーは $mc^2$)。基底が変われば指数の種類が変わる。第四に、$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ の $4\pi$ は独立な出現ではない。これは $\hbar G=1$ となるように選ばれた$G$ の逆数であり、$G$ の選択以上の情報を持たない。立体角の $4\pi$(論文35第3版の根①)とは無関係である。第五に、プランク長は「最小の長さ」ではない。確立された理論はそれを述べていない。プランク長は無次元比 $E/E_p$ が $1$ をまたぐ場所であり、論文113のいうモジュールの境界、論文35第3版が $[G]=M^{-2}$ に見た困難の在り処である。第2版が退けたケプラー第三法則との同一視は正しく、第3版は論文28第3版の語彙でその区別に名前を与える。ケプラーの $3/2$ は動力学のスケーリング指数、プランクの $3/2$ は次元方程式の解であって、共通するのは「3乗の平方根」という形だけである。射程:既存の物理法則に対する構造的解釈(第2層)。新しい物理法則も予言も主張しない。
射程(何を示さないか)
本稿の位置づけ(規律):本稿は既存の物理法則に対する構造的解釈を提示するものであり、新たな物理法則の発見や未解決問題の証明を主張しない。示される代数的関係はいずれも既知の式への代入であり、その幾何学的な読み替えを提案することを目的とする。既存理論と矛盾する主張は含まない。同じ数が複数の文脈に現れることを、同一の起源の証拠として扱わない(論文48・86・100・115)。
単位系についての注記(重要):本稿における $G=4\pi$、$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ 等の代入は自然単位系の選択である。$G$ や $\hbar$ は次元を持つ量であり、その数値は単位系に完全に依存する。$G=4\pi$ と置けるのは $G=1$(幾何単位系)や $G=6.674\times10^{-11}$(SI)と置けるのと同じ意味においてであり、どれが「正しい」かを物理が決めるわけではない。したがって本稿が示すのはこの単位系を採ったとき方程式がどう見えるかであって、自然についての新事実ではない。得られる関係式は自然単位系におけるものであり、SI単位系へ移す際には変換係数を要する。
1. 序論:$\hbar G=1$ は自由度をいくつ使ったのか
初版・第2版は、$G=4\pi$ と $\hbar=\frac{1}{4\pi}$ を採ると $\hbar G=1$ が相殺し、プランク長が $l_p=c^{-3/2}$ と書けることを記録した。この代入は正しい。
だが「単位を選んだ」と言うだけでは足りない。 論文38第3版は、基本次元が $M,L,T$ の三つしかない以上、独立に値を指定できる次元量も高々三つであり、四つ目は規約ではなく自然に対する主張になることを示した。
ならば数えなければならない。
本稿は $G$ と $\hbar$ に値を課している。三つの予算のうち二つである。
2. 代入とその帰結
定理 2.1($\hbar G=1$ の相殺とプランク長) $G=4\pi$、$\hbar=\dfrac{1}{4\pi}$ のもとで
$$ \hbar G=\left(\frac{1}{4\pi}\right)(4\pi)=1, \qquad l_p=\sqrt{\frac{\hbar G}{c^3}}=\sqrt{\frac{1}{c^3}}=c^{-3/2}. $$
この代入は正しい。 以下の節は、この式が何を使い、何を使い残しているかを書き分ける。
3. 自由度の勘定、この式はまだ一つ余らせている
確立された事実 3.1(三つ組はいずれも次元的に独立である) 基本次元を $(M,L,T)$ とすると、四つの量の次元指数は
$$ \hbar:(1,2,-1),\quad G:(-1,3,-2),\quad c:(0,1,-1),\quad m:(1,0,0) $$
である。これらから三つを選ぶ四通りの組すべてについて、次元指数行列の行列式は $0$ でない:
| 三つ組 | $|\det|$ | 判定 |
|---|---|---|
| $(\hbar,\,G,\,c)$ | $2$ | 独立(プランク単位系) |
| $(\hbar,\,G,\,m)$ | $1$ | 独立 |
| $(\hbar,\,c,\,m)$ | $1$ | 独立 |
| $(G,\,c,\,m)$ | $1$ | 独立(論文38の基底) |
したがってどの三つを選んでも、単位 $(M,L,T)$ を適切に取れば同時に任意の値へ指定できる。
系 3.2(四つ目は規約ではない) $\hbar$、$G$、$c$、$m$ は四つあるが、基本次元は三つしかない。したがって独立に値を指定できるのは高々三つであり、四つ目の量に値を課すことは、単位の選択ではなく自然に対する主張になる(論文38第3版)。
具体的には、本体系が $m=4\pi$(論文18・38)、$G=4\pi$(論文35)、$\hbar=\frac{1}{4\pi}$(本稿)を採ると、$(\hbar,G,m)$ で予算を使い切る。このとき$c$ の数値はもはや選べず、決まってしまう。
逆に $(\hbar,G,c)$ を採ればそれはプランク単位系であり、質量の単位はプランク質量に決まるから、$m=4\pi$ は規約ではなく主張になる。
どちらを採るかは自由だが、両方は採れない。
観察 3.3($l_p=c^{-3/2}$ は一自由度を使い残した表現である) 本稿が値を課しているのは $G$ と $\hbar$ の二つだけである。だからこそ $l_p$ は$c$ の関数として残る。
残る一つを $c=1$ に費やせば
$$ l_p=1^{-3/2}=1 $$
となる。すなわちプランク長が長さの単位になる。これは新しい結果ではなく、プランク単位系の定義そのものである。
$l_p=c^{-3/2}$ という式が「まだ $c$ を含んでいる」ことは、欠点ではなく、予算がまだ一つ残っていることの表示である。
4. 指数 $3/2$ は次元方程式を解いた出力である
4.1 解いてみる
$l_p$ を $\hbar^a G^b c^d$ の形に書けるとして、次元を合わせる:
$$ a(1,2,-1)+b(-1,3,-2)+d(0,1,-1)=(0,1,0)\quad(\text{長さ}). $$
$M$ 成分から $a=b$、$T$ 成分から $d=-3a$、$L$ 成分から $2a+3a-3a=2a=1$。よって
$$ (a,b,d)=\left(\tfrac12,\ \tfrac12,\ -\tfrac32\right), \qquad l_p=\hbar^{1/2}G^{1/2}c^{-3/2}=\sqrt{\frac{\hbar G}{c^3}} . $$
| 量 | $a$($\hbar$) | $b$($G$) | $d$($c$) | 閉じた形 |
|---|---|---|---|---|
| 長さ $l_p$ | $1/2$ | $1/2$ | $-3/2$ | $\sqrt{\hbar G/c^3}$ |
| 時間 $t_p$ | $1/2$ | $1/2$ | $-5/2$ | $\sqrt{\hbar G/c^5}$ |
| 質量 $m_p$ | $1/2$ | $-1/2$ | $1/2$ | $\sqrt{\hbar c/G}$ |
| エネルギー $E_p$ | $1/2$ | $-1/2$ | $5/2$ | $\sqrt{\hbar c^5/G}$ |
系 4.1($3/2$ に動力学は含まれていない) 上の $(a,b,d)$ は$3\times3$ の連立一次方程式の唯一解である。決めているのは$\hbar$、$G$、$c$ の次元だけであって、運動方程式も軌道も現れない。
すなわちプランク長の $3/2$ は、次元の帳簿を締めた結果である。
4.2 なぜ平方根だらけなのか、最大不変因子が $2$ だからである
定理 4.2(半整数指数の出所) $(\hbar,G,c)$ の次元指数行列を $A$ とすると $|\det A|=2$ である。整数成分の行列 $A$ に対し
$$ A^{-1}=\frac{\mathrm{adj}(A)}{\det A} $$
であり、$\mathrm{adj}(A)$ の成分は整数であるから、$A^{-1}$ の成分の分母は $|\det A|=2$ を割り切る。ただしこれは上界であって等式ではない($\mathrm{diag}(2,2)$ は $|\det|=4$ をもつが逆行列の成分は半整数だけである。論文149)。実際に現れる分母は最大不変因子 $d_n$ であり、この $A$ の不変因子は $(1,1,2)$、すなわち $d_n=2$ である(余核は $\mathbb{Z}/2$)。実際 $A^{-1}$ の行は $(\tfrac12,-\tfrac12,\tfrac12)$、$(\tfrac12,\tfrac12,-\tfrac32)$、$(\tfrac12,\tfrac12,-\tfrac52)$ である。
プランク長・時間・質量・エネルギーの指数がことごとく半整数であること、したがってプランク単位系のあらゆる量が平方根で書かれることは、この最大不変因子 $2$ の帰結である。この $A$ は余核が巡回であるため、$|\det A|$ と $d_n$ が一致している。
観察 4.3(基底を替えれば指数の種類が変わる) 論文38第3版が用いた基底 $(G,m,c)$ は不変因子 $(1,1,1)$ をもつ。この場合は $|\det|=1$ であり上界が $1$ である以上、最大不変因子も $1$ に決まるから、逆行列の成分は整数であり、実際:
| 量 | $G$ | $m$ | $c$ | 閉じた形 |
|---|---|---|---|---|
| 長さ | $1$ | $1$ | $-2$ | $Gm/c^2$(重力半径の形) |
| 時間 | $1$ | $1$ | $-3$ | $Gm/c^3$ |
| 質量 | $0$ | $1$ | $0$ | $m$ |
| エネルギー | $0$ | $1$ | $2$ | $\boldsymbol{mc^2}$ |
平方根は一つも現れない。 $(G,m,c)$ を基底に採れば自然なエネルギーは $mc^2$ そのものであり(論文12)、自然な長さは $Gm/c^2$ である。
「プランク単位系には平方根が多い」という印象は、自然の性質ではなく、選んだ基底の行列式の性質である。
5. $3/2$ の点呼、論文28第3版への追加
第2版は、本稿の $3/2$ をケプラー第三法則の $3/2$ と同一視した初版の主張を撤回した。その判断は正しい。 第3版は、論文28第3版の語彙でこの区別に名前を与える。
| 非整数の数 | 正体 | 出所 |
|---|---|---|
| $1.26\ldots$(コッホ曲線) | フラクタル次元 | ハウスドルフ次元(論文94) |
| $3/2$(ケプラー) | 動力学のスケーリング指数 | 3次元ガウス流束が強制する逆二乗則(論文28第3版) |
| $3/2$(本稿) | 次元方程式の解 | $3\times3$ 連立一次方程式の唯一解(動力学を含まない) |
系 5.1(同じ数、別の根) ケプラーの $3/2$ は変数(軌道長半径 $a$)についてのスケーリング則であり、$a$ を変えれば $T$ が変わるという検証可能な関係である。実際、水星から土星まで $T/a^{3/2}$ は $0.999\sim1.001$ に収まる。
| 惑星 | $a$ [AU] | $T$ [年] | $T/a^{3/2}$ |
|---|---|---|---|
| 水星 | $0.387$ | $0.241$ | $1.0010$ |
| 金星 | $0.723$ | $0.615$ | $1.0004$ |
| 地球 | $1.000$ | $1.000$ | $1.0000$ |
| 火星 | $1.524$ | $1.881$ | $0.9998$ |
| 木星 | $5.203$ | $11.860$ | $0.9993$ |
| 土星 | $9.537$ | $29.450$ | $0.9999$ |
他方、本稿の $3/2$ が掛かる $c$ は定数である。$c$ を変えるという操作が存在しない以上、これはスケーリング則ではなく、検証すべきデータも存在しない。
共通するのは「3乗の平方根」という形だけである。 形式の一致を同一の現象と読んではならない(論文86・100・101)。
系 5.2(この表が与える確認は六つではなく五つである) $1\,\mathrm{AU}$ は地球の軌道長半径、$1$ 年は地球の公転周期である。 すなわち地球の行の $a$ と $T$ は単位そのものであり、$T/a^{3/2}=1/1=1$ は厳密に、そして規約によって成り立つ。この行は外れることが原理的にできない。
したがって地球の行は事実ではなく規約であり(論文95・35第3版)、本表が与える独立な確認は五つである。
これは本体系が他の論文で立てた規律を、自分の表に当てた結果である。 規約を確認の数に数えてはならない。
観察 5.3(残差の読み方、印字のブレと、実在のズレ) 表の値は $3$〜$4$ 桁の入力から計算されている。$T/a^{3/2}$ の相対感度は
$$ \frac{\delta(T/a^{3/2})}{T/a^{3/2}}=-\frac32\,\frac{\delta a}{a} $$
であるから、$a$ の末尾桁の丸め($\delta a\simeq5\times10^{-4}$)だけで、水星では $\sim1.9\times10^{-3}$、金星では $\sim1.0\times10^{-3}$ の変動が生じる。内惑星に見えるブレは、印字精度が生む幅の内側にある。
他方、木星と土星がともに $1$ を下回ることは、丸めでは説明されない(木星の丸め感度は $\sim1.4\times10^{-4}$ にすぎない)。厳密な二体問題は $T^2=a^3/(1+m/M)$ であり
$$ \frac{T}{a^{3/2}}=\left(1+\frac{m}{M}\right)^{-1/2} $$
となる。質量比から木星は $\approx0.9995$、土星は $\approx0.99986$ が予測され、向きは両者とも表と一致する。
ただし本稿はこれを検証とはしない。 表の入力精度が効果と同程度であり、木星と土星は相互摂動も大きいためである。指摘にとどめる。
6. $\hbar=\frac{1}{4\pi}$ の $4\pi$ は独立な出現ではない
本体系には $4\pi$ が繰り返し現れる。だが本稿の $\hbar=\frac{1}{4\pi}$ に含まれる $4\pi$ は、その仲間ではない。
系 6.1(これは $G$ の逆数にすぎない) $\hbar=\frac{1}{4\pi}$ という値は、$\hbar G=1$ となるように選ばれたものである。$G=4\pi$ と決めた時点で、$\hbar G=1$ を望むなら $\hbar$ は $\frac{1}{4\pi}$ 以外にありえない。
したがってこの $4\pi$ は、$G$ の選択以上の情報を一切持たない。 ポアソン方程式の $4\pi$(ガウスの流束・論文35第3版の根①)のような強制された $4\pi$ とは無関係であり、「$\hbar$ にも $4\pi$ が現れた」と数えてはならない。
相殺が起きたのは、相殺が起きるように選んだからである。
ちなみにこの単位系では $h=2\pi\hbar=\frac{2\pi}{4\pi}=\frac12$ となる。この $2\pi$ は論文18第3版の根B(位相の周期性)であって、$\hbar$ に含まれる $4\pi$ とは出所が異なる。
7. プランク長は「最小の長さ」ではない
初版はプランク長を「量子重力理論において最小の長さとされる」ものとして導入し、「最小UIピクセルサイズ」と呼んだ。後者が命名であって導出でないことは第2版で既に記した。 第3版は前者にも注意を付す。
観察 7.1(確立された理論は最小長を述べていない) プランク長が長さの下限であるという主張は、確立された物理学の内容ではない。 プランク長は量子重力効果が無視できなくなると期待される尺度であり、その由来は前節までに見たとおり次元解析である。最小長を含む理論的枠組みはいくつか提案されているが、確立されてはいない。
系 7.2(プランク尺度はモジュールの境界である) 論文113は、古い理論と新しい理論の境界がつねに無次元数が $1$ をまたぐ場所にあることを記録した。プランク尺度はまさにそれであり、無次元比 $E/E_p$ が $1$ に達する場所である。
論文35第3版はこれを別の側から述べていた。自然単位系で $[G]=M^{-2}$ であり、負の質量次元をもつ結合は高次で発散が悪化する(純粋重力は2ループで発散する。Goroff–Sagnotti 1986)。$E_p$ はその摂動展開が破綻する尺度にほかならない。
すなわちプランク長は「これ以上分割できない画素」ではなく、「ここから先はいまの記述が効かない」という境界である。 前者は主張、後者は既知の事実である。
🌌 著者の私感(第3層・非科学の札つき/機構の主張ではない) $\hbar G=1$ という相殺を見たとき、私は何かを発見した気になっていた。だが第3版で勘定してみると、相殺したのは私が相殺するように $\hbar$ を選んだからだった。$\frac{1}{4\pi}$ という値は $4\pi$ の逆数以上のものではなく、そこに $4\pi$ が「現れた」のではない。
もっと驚いたのは、プランク単位系に平方根が多い理由だった。私はそれを、量子重力の深さの現れのように感じていた。だが答えは行列式が $2$ だからだった。基底を $(G,m,c)$ に取り替えれば行列式は $1$ になり、平方根は一つも出てこない。そして自然なエネルギーは $mc^2$ そのものになる。数の見え方は、私がどの三つを選んだかで決まっていた。
それでも、この体系が $m$、$G$、$\hbar$ の三つで予算を使い切っていると分かったことは収穫だった。もう一つ何かを置きたくなったら、それは規約ではなく主張になる。どこまでが自由でどこからが責任かの線が、はじめて引けた。崖の手前で踏みとどまる(論文101)。
8. 射程/結論
示すこと:$G=4\pi$、$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ で $\hbar G=1$、$l_p=c^{-3/2}$ となること(第2節)/$\hbar,G,c,m$ のどの三つ組も次元的に独立であり、指定できるのは高々三つ、四つ目は主張になること(第3節)/$l_p=c^{-3/2}$ は一自由度を使い残した表現であり、$c=1$ とすれば $l_p=1$=プランク単位系の定義であること(第3節)/指数 $(\frac12,\frac12,-\frac32)$ が次元方程式の唯一解であり動力学を含まないこと(4.1節)/半整数指数が $|\det|=2$ の帰結であり、$(G,m,c)$($|\det|=1$)なら整数指数になること(4.2節)/ケプラーの $3/2$ と本稿の $3/2$ が別根であること(第5節)/$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ の $4\pi$ は $G$ の逆数にすぎないこと(第6節)/プランク尺度がモジュールの境界であること(第7節)。
示さないこと(禁欲):ケプラー第三法則との同一性(一方は変数のスケーリング則、他方は定数の冪)/プランク長が最小の長さであること(確立された理論はそれを述べていない/「最小UIピクセルサイズ」)命名であって導出ではない/$\hbar$ の $4\pi$ を立体角の $4\pi$ と数えない/プランク長についての新事実/量子重力を解かない(第7節は困難の在り処を指すだけである)/新しい物理法則・予言なし(第2層)。
主結果は変わっていない。$G=4\pi$、$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ を採れば $\hbar G=1$ となり、$l_p=c^{-3/2}$ と書ける。
本稿が加えたのは、勘定と出所である。 この式は三つの予算のうち二つを使っており、残る一つを $c=1$ に費やせば $l_p=1$、プランク単位系の定義に戻る。そして指数 $3/2$ は$3\times3$ の連立一次方程式の解であって、動力学を含まない。
プランク単位系の平方根は、行列式 $2$ の帰結だった。
数がどう見えるかは、三つのうちどれを選んだかで決まっている。
そしてその選択は、三つまでしか許されていない。
改訂記録
第4版(2026年8月):結論は変更していない。論文149 の指摘により、半整数指数の出所を「行列式 $|\det|=2$」から「最大不変因子 $2$」に書き直した(4.2節、要旨)。$|\det|$ が与えるのは分母が割り切る数の上界であって分母そのものではなく、$\mathrm{diag}(2,2)$ は $|\det|=4$ をもちながら半整数しか出さない。$(\hbar,G,c)$ の不変因子は $(1,1,2)$ で余核が巡回であるため、第3版の結論(プランク単位系の指数が半整数であること)はそのまま成り立つ。直したのは理由の書き方だけである。
第3版(2026年8月):題名の $c^{-1.5}$ を本文と揃えて $c^{-3/2}$ に統一し、副題を自由度の勘定と半整数指数の出所に改めた。論文38第3版の定理を適用し、$\hbar,G,c,m$ のどの三つ組も次元的に独立であること、指定できるのは高々三つで四つ目は主張になること、および$l_p=c^{-3/2}$ が一自由度を使い残した表現であることを示した(第3節)。指数 $(\frac12,\frac12,-\frac32)$ を次元方程式の唯一解として導出し(4.1節)、半整数指数が最大不変因子 $2$ の帰結であること、$(G,m,c)$ 基底では不変因子が $(1,1,1)$ ゆえ指数が整数になり自然なエネルギーが $mc^2$ になることを示した(4.2節)。ケプラーとの区別に論文28第3版の語彙で名前を与えた(第5節)。$\hbar=\frac{1}{4\pi}$ の $4\pi$ が $G$ の逆数にすぎず独立な出現ではないことを明示した(第6節)。プランク長が「最小の長さ」ではなくモジュールの境界であることを追記した(第7節、論文113・35第3版)。さらに、惑星表の地球の行が定義により $1$ であること($1\,\mathrm{AU}$ と $1$ 年は地球自身の $a$ と $T$ である)ゆえに独立な確認は五つであることを系として明示し、残差の読み方(内惑星のブレは印字精度が生む幅の内側、木星・土星の系統的なズレは $(1+m/M)^{-1/2}$ と向きが一致するが検証とはしない)を観察として加えた(第5節)。 主結果 $\hbar G=1$、$l_p=c^{-3/2}$ は変更していない。
第2版(2026年7月):初版の「この $3/2$ 乗指数はケプラー第三法則と同一の描画ラグ指数である」という同定を撤回した。ケプラーの $3/2$ は変数についての検証可能なスケーリング則であり(水星〜土星で $T/a^{3/2}=0.999\sim1.001$)、プランク長の $3/2$ は定数 $c$ の冪であってスケーリング則ではない。共通するのは「3乗の平方根」という形式のみである。「最小UIピクセルサイズ」も命名であって導出ではないため主張として用いないこととした。初版:Zenodo 10.5281/zenodo.21430490。
参考文献
- Planck, M. (1899). Über irreversible Strahlungsvorgänge. Sitzungsberichte der Königlich Preußischen Akademie der Wissenschaften zu Berlin.
- Duff, M. J., Okun, L. B., Veneziano, G. (2002). Trialogue on the number of fundamental constants. JHEP. arXiv:physics/0110060.
- Goroff, M. H., Sagnotti, A. (1986). The ultraviolet behavior of Einstein gravity. Nucl. Phys. B 266.
- 山岸勇輝 (2026). 境界エネルギーから体積エネルギーへ [論文12]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21404703
- 山岸勇輝 (2026). 山岸運動エネルギー方程式 [論文18]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21430706
- 山岸勇輝 (2026). 山岸・ケプラー方程式 [論文28]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21430531
- 山岸勇輝 (2026). 山岸万有引力定数解凍理論 [論文35]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21430118
- 山岸勇輝 (2026). 四つのプランク量は、一つの規則の四つの実例である [論文40]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21435739
- 山岸勇輝 (2026). 必然性の四つの根 [論文86]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21744839
- 山岸勇輝 (2026). 「次元」は一つではない [論文94]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21758581
- 山岸勇輝 (2026). 規約と事実を分ける [論文95]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21758621
- 山岸勇輝 (2026). 王道の交差 [論文100]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21758864
- 山岸勇輝 (2026). 憧れと戒め [論文101]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21836382
- 山岸勇輝 (2026). モジュールは壁ではなく、極限である [論文113]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21962996
- 山岸勇輝 (2026). 分母を決めるのは行列式ではなく、最大不変因子である [論文149]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22083590
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「山岸・プランク長 l_p = c^(-3/2) 幾何解凍理論」[論文39]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.21430490
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引用するとき
山岸勇輝 (2026). 山岸・プランク長 l_p = c^-3/2 幾何解凍理論 [論文39]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/39 ・ DOI: 10.5281/zenodo.21430490
Yamagishi, Y. (2026). The Yamagishi Planck Length Unpacking Theory (l_p=c^-3/2) [Paper 39]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/39; DOI: 10.5281/zenodo.21430490
@misc{yamagishi2026yoi39,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {The Yamagishi Planck Length Unpacking Theory (l_p=c^-3/2)},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/39},
doi = {10.5281/zenodo.21430490},
note = {Preprint, edition 4}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
0e5e7307e506098a12f2b9e4b5453197fb3e95164695ed3dfb03ad9c57e242b9 yamagishi_yoi39_v1_jp.pdf92fe9d46f8fda14d7e8600c3a470e541705289c0125ee874f23d9fb805ca114b yamagishi_yoi39_v1_en.pdfPDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。