【論文947】回る縄の形は懸垂線ではなく、浅ければ正弦の弧に、大きく開けば放物線に近い

要旨

縄跳びの縄のように、両端を回転の軸の上に持って速く回すと、縄は外へ膨らんだ弧になる。本稿は、重さを入れずに回る縄のつり合いの式を数値で解き、同じ長さの正弦の弧・放物線・懸垂線と形を比べ、必要な張りを求める。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、浅い極限では、縄の形は正弦の弧で、張りは決まった値に近づく。真ん中の高さを小さくすると、形の半分の幅は $1.570796326$ で $\pi/2=1.570796327$ に一致し、張りは $\mu\omega^2a^2$ の $0.405285$ 倍($4/\pi^2$)になった(第2節)。

第二に、浅く回すと、正弦の弧がいちばん近い。長さが端の間隔の $1.05$ 倍では、形のずれの最大は高さの $\mathbf{0.003160}$ 倍(正弦)・$0.036839$ 倍(放物線)・$0.040748$ 倍(懸垂線)だった(第3節)。

第三に、大きく開くと、放物線のほうが近くなる。長さが間隔の $2$ 倍では、ずれは正弦 $0.059168$ 倍・放物線 $\mathbf{0.014000}$ 倍・懸垂線 $0.069937$ 倍だった。調べた四つの長さのどれでも、懸垂線からのずれがいちばん大きかった(第3節)。

第四に、張りはたるむほど上がる。長さが間隔の $1.05$・$1.2$・$1.5$・$2$ 倍で、張りは $\mu\omega^2a^2$ の $0.415386$・$0.445331$・$0.503784$・$\mathbf{0.597705}$ 倍だった。角で積む方法と横の位置で積む方法の二通りで、形の幅と長さは $6$ 桁一致した(第3節)。

第五に、分離子は、縄を曲げる力が軸からの距離に比例するか、どこでも同じかである。回る縄では軸から離れた真ん中ほど強く外へ引かれ、懸垂線ではどこでも同じ重さで引かれる。力の配り方の違いが、同じ長さの縄を別の形にする(第4節)。

キーワード:回る縄、懸垂線、正弦の弧、遠心力、張り、トロポスキーン。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。回る縄のつり合いの式、浅い極限で形が正弦の弧になること、回る縄や垂直軸の風車の羽根の形(トロポスキーンと呼ばれる)、懸垂線と放物線の式は、いずれも既知である。重さを入れない。重さ、空気抵抗、縄の太さと曲げの硬さは入れない。速く回して遠心力が重さより十分大きい極限だけを見る。跳ぶ人を入れない。手の動き、縄が地面に当たること、回す速さの変化は扱わない。実在の縄を主張しない。長さと間隔の比は置いた値で、どの縄跳びの記録にも対応しない。既刊との関係:論文881 の射程注記は、足の着いている時間を入れず、着地してから跳び上がるまでの時間、縄のたるみ、空気抵抗は入れないと書いた。本稿はそのうち縄のたるみの席に座る(先客なし)。論文327 は、懸垂線と放物線が $0.083$ パーセントしか違わず、それでも別物であることを示した。ここでは回る縄を加え、同じ長さでは懸垂線がいつも最も遠く、浅いか深いかで正弦と放物線のどちらが近いかが入れ替わることを数える。加えたのは、つり合いの式を二通りに積んで形を出したこと、浅い極限の幅と張りを $\pi/2$ と $4/\pi^2$ に突き合わせたこと、四つの長さで三つの曲線とのずれを並べたこと、張りがたるむほど上がることを出したこと、分離子を「力が軸からの距離に比例するか、どこでも同じか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:両端を回転の軸の上、間隔 $2a$ に固定した長さ $L$ の縄を、角速度 $\omega$ で回す。線密度を $\mu$ とし、重さは入れない。回る枠の中では縄の各部が軸からの距離 $y$ に比例した力 $\mu\omega^2y$ で外へ引かれる。張りの軸方向の成分 $H$ は縄のどこでも同じで、形 $y(x)$ は次の式に従う。

$$H\,y”=-\mu\omega^2\,y\sqrt{1+y’^2}$$

比べる曲線は、どこでも同じ力(重さ)で垂れる懸垂線 $H y”=\mu g\sqrt{1+y’^2}$ と、横の長さあたり同じ力の放物線 $H y”=\text{一定}$ である。浅い極限では $y”\approx-(\mu\omega^2/H)y$ で、形は正弦の弧になる。

解き方:真ん中(高さ $h$・傾き $0$)から、①傾きの角を縄に沿って積む方法、②横の位置 $x$ で積む方法の二通りで、縄が軸に戻る点まで積む。長さと間隔の比が決めた値になる $h$ を二分法で探す。比べる三つの曲線は、同じ長さになるように高さを決め、$401$ 点で縄との高さの差の最大を出す。

問い:回る縄はどんな形になり、どれだけの張りが要るか。

2. 浅い極限

計算 2.1:真ん中の高さ $10^{-4}$($\mu\omega^2/H=1$ の単位)で積むと、形の半分の幅は $1.570796326$ で、$\pi/2=1.570796327$ と一致した。張りの係数 $H/(\mu\omega^2a^2)$ は $0.405285$ で、$4/\pi^2=0.405285$ と一致した。

観察 2.2 浅い極限では、形は正弦の弧で、張りは $4/\pi^2$ に決まる。外へ引く力が軸からの距離に比例するので、浅い縄の式は正弦の振動と同じ形になる。その弧が間隔 $2a$ にちょうど収まるには、張りが $\mu\omega^2a^2$ の $0.405285$ 倍でなければならない。

3. 四つの長さの形と張り

計算 3.1:間隔の半分 $a$ を $1$ とした高さ、張り、同じ長さの三つの曲線の高さ、形のずれの最大を縄の高さで割った値。

長さ÷間隔 縄の高さ 張り $H/(\mu\omega^2a^2)$ 正弦とのずれ 放物線とのずれ 懸垂線とのずれ
$1.05$ $0.289119$ $0.415386$ $\mathbf{0.003160}$ $0.036839$ $0.040748$
$1.2$ $0.603949$ $0.445331$ $0.012825$ $0.031547$ $0.047507$
$1.5$ $1.031409$ $0.503784$ $0.031618$ $0.019711$ $0.057982$
$2$ $1.622828$ $\mathbf{0.597705}$ $0.059168$ $\mathbf{0.014000}$ $0.069937$

同じ長さの曲線の高さは、正弦 $0.289953$・$0.609553$・$1.048082$・$1.655581$、放物線 $0.279861$・$0.592682$・$1.027675$・$1.634601$、懸垂線 $0.278608$・$0.584688$・$1.005267$・$1.592777$ だった。

計算 3.2:二つの積み方($\mu\omega^2/H=1$ の単位)の半分の幅と長さの半分。

長さ÷間隔 半分の幅(角で積む・横で積む) 長さの半分(角・横)
$1.05$ $1.551580$・$1.551580$ $1.629159$・$1.629159$
$1.2$ $1.498507$・$1.498507$ $1.798208$・$1.798208$
$1.5$ $1.408892$・$1.408892$ $2.113338$・$2.113338$
$2$ $1.293470$・$1.293470$ $2.586940$・$2.586940$

観察 3.3 浅ければ正弦の弧、大きく開けば放物線が近く、懸垂線はいつも最も遠い。長さが間隔の $1.05$ 倍と $1.2$ 倍では正弦がいちばん近く、$1.5$ 倍と $2$ 倍では放物線がいちばん近かった。四つの長さのどれでも懸垂線とのずれが最大で、$2$ 倍では高さの $0.069937$ 倍だった。一回目は「四つとも正弦がいちばん近い」と見立てて外れた。

観察 3.4 張りはたるむほど上がる。浅い極限の $0.405285$ から、長さが間隔の $2$ 倍では $0.597705$ になった。一回目は「たるむほど張りは下がる」と見立てて外れた。

4. 分離子

観察 4.1 分離子は、縄を曲げる力が軸からの距離に比例するか、どこでも同じかである。懸垂線は長さあたり同じ重さで引かれ、放物線は横の長さあたり同じ力で引かれる。回る縄は軸から離れた所ほど強く引かれ、端の近くはほとんど引かれない。浅い縄ではその配り方が正弦の弧を作る(浅い極限の式)。大きく開いたときに放物線へ近づく理由は、ここでは確かめていない。

観察 4.2 言わないこと。重さ、空気抵抗、縄の曲げの硬さ、跳ぶ人の手の動き、実在の縄跳びの速さは扱わない。示したのは、重さを入れずに回る縄の形が三つの曲線のどれとどれだけずれるか、そして張りがたるむほど上がることである。

5. 点呼と結び

  1. 回る縄のつり合いの式(第1節):力は軸からの距離に比例。
  2. 浅い極限の幅 $\pi/2$ と張り $4/\pi^2$(計算 2.1):正弦の弧。
  3. $1.05$ 倍で正弦とのずれ $\mathbf{0.003160}$(計算 3.1):浅ければ正弦。
  4. $2$ 倍で放物線とのずれ $\mathbf{0.014000}$(計算 3.1):開けば放物線、懸垂線はいつも最も遠い。
  5. 張り $0.405285$ から $\mathbf{0.597705}$(計算 3.1):たるむほど上がる。
  6. 距離に比例か、どこでも同じか(観察 4.1):分離子・論文881 の射程注記・論文327。

結び:回る縄の形は懸垂線ではなく、浅ければ正弦の弧に、大きく開けば放物線に近い。重さを入れずに回る縄の式を二通りに積むと、浅い極限の幅は $\pi/2$、張りは $\mu\omega^2a^2$ の $0.405285$ 倍になった。長さが端の間隔の $1.05$ 倍では正弦とのずれが高さの $0.003160$ 倍、$2$ 倍では放物線とのずれが $0.014000$ 倍で、四つの長さのどれでも懸垂線からのずれが最大だった。張りは $2$ 倍で $0.597705$ 倍に上がった。分離子は、縄を曲げる力が軸からの距離に比例するか、どこでも同じかである。既刊との位置:論文881 が入れなかった縄のたるみを回る縄の形として数え、論文327 の懸垂線と放物線の間に回る縄を置いた。正直に言えば、本物の縄跳びの縄は重さでも垂れる。重さを入れない極限で、力の配り方が形と張りをどう変えるか、そこまでである。

参考文献

  1. Blackwell, B. F., & Reis, G. E. (1974). Blade Shape for a Troposkien Type of Vertical-Axis Wind Turbine. Sandia Laboratories.
  2. Irvine, H. M. (1981). Cable Structures. MIT Press.
  3. 山岸勇輝 (2026). 『二つの曲線は $\mathbf{0.083}$ パーセントしか違わず、それでも別物である』[論文327]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/327 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22210286
  4. 山岸勇輝 (2026). 『二重跳びに要る高さは一重跳びの四倍で、回す速さを二倍にすれば一重と同じ高さで跳べる』[論文881]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/881

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「回る縄の形は懸垂線ではなく、浅ければ正弦の弧に、大きく開けば放物線に近い」[論文947]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/947

YOI 947第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 回る縄の形は懸垂線ではなく、浅ければ正弦の弧に、大きく開けば放物線に近い [論文947]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/947

Yamagishi, Y. (2026). A Spinning Rope Is Not a Catenary: Shallow It Is Close to a Sine Arch, Wide Open Close to a Parabola [Paper 947]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/947

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