【論文950】最初の一手の安全が周りの 8 ますまで及べば真ん中が最も広く開き、押したますだけなら角が勝つ盤もある

要旨

マインスイーパでは、最初の一手で地雷を踏まないように、押したますを安全にする約束や、その周りまで安全にする約束がある。本稿は、初級・中級・上級の三つの盤で二つの約束を置き、角・辺の中・真ん中を押したときに 0 が出る確率を式と乱数で出し、最初に開くますの数を比べる。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、押したますだけ安全なら、0 が出やすいのは角で、真ん中は出にくい。0 が出る確率は初級で角 $0.666261$・辺の中 $0.503453$・真ん中 $0.325669$、上級で $0.498463$・$0.312508$・$\mathbf{0.154487}$ で、乱数 $3000$ 回の割合は式と標準誤差の $3$ 倍以内で合った(第2節)。

第二に、押したますだけ安全なら、角のほうが広く開く盤がある。最初に開くますの平均は、初級で角 $19.068$・真ん中 $16.398$(差は標準誤差の $4.93$ 倍)、上級で角 $8.161$・真ん中 $6.979$($3.01$ 倍)だった。中級は角 $16.339$・真ん中 $17.616$ で、差は標準誤差の $1.72$ 倍にとどまり、順は見分けられなかった(第3節)。

第三に、周りの 8 ますまで安全なら、真ん中が最も広く開く。押したますは必ず 0 になり、開くますの平均は初級で角 $27.788$・真ん中 $46.034$、中級で $26.690$・$63.884$、上級で $15.436$・$39.550$ で、真ん中は角の $1.656622$・$2.393526$・$\mathbf{2.562159}$ 倍だった(第3節)。

第四に、周りまで安全なら、真ん中を押せばたいてい大きく開く。$20$ ます以上開いた割合は、初級の真ん中で $\mathbf{0.968667}$(角 $0.584333$)、上級の真ん中で $0.777333$(角 $0.256000$)だった(第3節)。

第五に、分離子は、安全が保証される範囲が押したます一つか、周りを含む 9 ますかである。一つだけなら押したますの隣に地雷が入りうるので、隣の少ない角が 0 を出しやすい。9 ますなら 0 は保証され、隣の多い真ん中ほど開く口が多い(第4節)。

キーワード:マインスイーパ、最初の一手、地雷の密度、組合せの確率、乱数の試行、盤の角。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。マインスイーパの規則、最初の一手を安全にする約束が遊びの版によって違うこと、角が 0 を出しやすいという言い伝えは、いずれも知られている。0 が出る確率の式は数え上げの初歩である。置いた盤である。初級 $9\times9$・$10$ 個、中級 $16\times16$・$40$ 個、上級 $16\times30$・$99$ 個の三つだけで、地雷は約束が許すますにでたらめに置いた。勝つ確率を扱わない。二手目からの読み方、勝つまでの確率、時間は扱わない。数えるのは最初の一手で開く広さだけである。実在の版を主張しない。どのゲームがどちらの約束を使っているかは述べない。既刊との関係:論文924 の射程注記は、必勝法を論じず、どこを開けるべきか、最初の一手を安全にする規則、確率の表は扱わないと書いた。本稿はそのうち最初の一手を安全にする規則の席に座り、どこを開けるべきかには最初の一手に限って入る(先客なし)。論文924 は、五分五分が見えている数字だけでは決まらず、盤に残る地雷の密度で傾くことを示した。ここでは、最初の一手の約束がその密度の置き方を変え、開く広さを変えることを数える。加えたのは、二つの約束・三つの盤・三つの場所で 0 が出る確率を式と乱数で出したこと、開くますの平均を標準誤差つきで比べたこと、真ん中と角の比を出したこと、分離子を「安全が保証される範囲」に置いたことである。

1. 記法と問い

盤:初級 $9\times9$・地雷 $10$ 個、中級 $16\times16$・$40$ 個、上級 $16\times30$・$99$ 個。約束なしで最初に地雷を踏む確率は $0.123457$・$0.156250$・$0.206250$ である。

約束:①押したますだけ安全(地雷は残りのますにでたらめに置く)。②押したますと周りの 8 ますが安全(端では盤の中にあるぶんだけ)。

押す場所と開き方:角・辺の中(一行目の真ん中)・真ん中を押す。押したますの数字が $0$ なら、縦横斜めにつながる $0$ のますとその周りが一度に開く。$0$ でなければ一ますだけ開く。

式:約束①で、盤のます $N$、地雷 $M$、押したますの隣 $k$(角 $3$・辺 $5$・真ん中 $8$)のとき、$0$ が出る確率は次のとおりである。

$$P_0=\frac{\binom{N-1-k}{M}}{\binom{N-1}{M}}$$

約束②では $P_0=1$。約束と押す場所の組ごとに乱数で $3000$ 回盤を作って確かめた。

問い:最初の一手の約束によって、どこを押すと広く開くかは変わるか。

2. 0 が出る確率

計算 2.1:約束①で $0$ が出る確率(式・括弧は乱数の割合)。

盤 角 辺の中 真ん中
初級 $0.666261$($0.679000$) $0.503453$($0.502333$) $0.325669$($0.338667$)
中級 $0.598050$($0.592333$) $0.422943$($0.416000$) $0.250103$($0.260000$)
上級 $0.498463$($0.482333$) $0.312508$($0.307333$) $\mathbf{0.154487}$($0.145000$)

九つとも乱数の割合は式と標準誤差の $3$ 倍以内で合った。約束②では九つとも割合は $1.000000$ だった。

観察 2.2 押したますだけ安全なら、隣の少ない場所ほど 0 が出やすい。三つの盤とも、$0$ が出る確率は角・辺の中・真ん中の順に下がった。真ん中は $8$ つの隣すべてに地雷が無いことが要り、上級では $0.154487$ だった。

3. 最初に開く広さ

計算 3.1:最初に開くますの平均(括弧は標準誤差)と、$20$ ます以上開いた割合。

盤・約束 角 辺の中 真ん中 $20$ ます以上(角・真ん中)
初級・① $19.068$($0.351$) $18.524$($0.378$) $16.398$($0.412$) $0.400000$・$0.328000$
初級・② $27.788$($0.328$) $35.460$($0.294$) $46.034$($0.209$) $0.584333$・$\mathbf{0.968667}$
中級・① $16.339$($0.439$) $17.580$($0.499$) $17.616$($0.597$) $0.259667$・$0.235000$
中級・② $26.690$($0.476$) $40.815$($0.532$) $63.884$($0.585$) $0.451000$・$0.914000$
上級・① $8.161$($0.224$) $8.623$($0.287$) $6.979$($0.322$) $0.128000$・$0.114000$
上級・② $15.436$($0.246$) $25.852$($0.361$) $39.550$($0.447$) $0.256000$・$0.777333$

計算 3.2:角と真ん中の差。

盤 約束①の(角 − 真ん中)(標準誤差の何倍か) 約束②の真ん中÷角
初級 $2.670$($4.93$) $1.656622$
中級 $-1.276$($-1.72$) $2.393526$
上級 $1.182$($3.01$) $\mathbf{2.562159}$

約束②では三つの盤とも、真ん中と角の差は標準誤差の $5$ 倍を超えた(初級 $46.94$ 倍・中級 $49.32$ 倍・上級 $47.25$ 倍)。

観察 3.3 約束で、広く開く場所が入れ替わる。約束①では、$0$ の出やすい角が初級と上級で真ん中より広く開いた。中級は差が標準誤差の $1.72$ 倍で、順は見分けられなかった。約束②では三つの盤とも真ん中が最も広く、角の $1.656622$ から $2.562159$ 倍開いた。初級で真ん中を押すと $0.968667$ の割合で $20$ ます以上開いた。

4. 分離子

観察 4.1 分離子は、安全が保証される範囲が押したます一つか、周りを含む 9 ますかである。範囲が一つなら、押したますの隣に地雷が入りうるので、$0$ が出るかどうかが先に効き、隣の少ない角が得をしやすい。範囲が $9$ ますなら $0$ は保証され、どれだけ広がるかだけが残り、隣の多い真ん中ほど開いた。同じ盤でも、約束が変わると押すべき場所の答が変わる。

観察 4.2 言わないこと。二手目からの読み方、勝つ確率、実在の版の約束、中級で約束①のときの角と真ん中の順は扱わない。示したのは、三つの盤で、最初の一手の約束が $0$ の出やすさと開く広さを変え、広く開く場所を入れ替えることである。

5. 点呼と結び

  1. 二つの約束と $0$ が出る確率の式(第1節):隣の数 $3$・$5$・$8$。
  2. 約束①で角が $0$ を出しやすい(計算 2.1):上級の真ん中は $\mathbf{0.154487}$。
  3. 約束①で角が広い盤がある(計算 3.2):初級・上級、中級は見分けられない。
  4. 約束②で真ん中が角の $\mathbf{2.562159}$ 倍まで(計算 3.2):三つの盤とも真ん中。
  5. 初級の真ん中で $20$ ます以上 $\mathbf{0.968667}$(計算 3.1):たいてい大きく開く。
  6. 安全の範囲が一つか 9 つか(観察 4.1):分離子・論文924 の射程注記。

結び:最初の一手の安全が周りの 8 ますまで及べば真ん中が最も広く開き、押したますだけなら角が勝つ盤もある。押したますだけ安全なら、$0$ が出る確率は三つの盤とも角・辺の中・真ん中の順に下がり、初級と上級では角のほうが広く開いた。周りの 8 ますまで安全なら、押したますは必ず $0$ になり、真ん中は角の $1.656622$ から $2.562159$ 倍開いた。分離子は、安全が保証される範囲が押したます一つか、周りを含む 9 ますかである。既刊との位置:論文924 が脇に置いた最初の一手の約束を数え、盤に残る地雷の置き方が約束で変わり、開く広さの順まで変わることを示した。正直に言えば、勝ち方は言わない。最初の一手で、約束がどこを押すと広く開くかをどう変えるか、そこまでである。

参考文献

  1. Kaye, R. (2000). Minesweeper is NP-complete. The Mathematical Intelligencer.
  2. 山岸勇輝 (2026). 『マインスイーパの五分五分は見えている数字だけでは決まらず、盤に残る地雷の密度で傾く』[論文924]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/924

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「最初の一手の安全が周りの 8 ますまで及べば真ん中が最も広く開き、押したますだけなら角が勝つ盤もある」[論文950]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/950

YOI 950第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/950・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 最初の一手の安全が周りの 8 ますまで及べば真ん中が最も広く開き、押したますだけなら角が勝つ盤もある [論文950]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/950

Yamagishi, Y. (2026). When the First Click Protects Its Neighbours the Centre Opens Widest; When It Protects Only Itself a Corner Can Do Better [Paper 950]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/950

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
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  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/950},
  note = {Preprint, edition 1}
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