【I001】整備工場1軒あたりの車は、何台か

要旨

自動車の保有台数(令和8年6月末)と、自動車整備業の事業所数(令和3年 経済センサス)を都道府県ごとに突き合わせ、整備工場1軒あたりの保有台数を出した。

46都道府県の合計で 1,728.2台。いちばん多いのは滋賀県の 3,144.2台、いちばん少ないのは青森県の 1,085.7台で、2.9倍の開きがある。

人口あたりの車が多い県ほど、1軒あたりの台数はむしろ少ない(r = −0.290)。車の多い地域では、台数が多いこと以上に整備工場の数が多い。

北海道は 1,614.8台で46都道府県中27位、ほぼ中位である。

沖縄県は、この保有台数の統計に含まれない。

1. はじめに

先行する報告(R001・R002)は、市区町村にある産業の種類を人口で説明した。
だが、商売の需要は人口そのものではなく、その商売が相手にする対象の量で決まる。自動車整備業なら、車の台数である。

整備工場1軒あたり、車は何台あるか。

これは、人口では見えない。

2. データ

保有台数 自動車検査登録情報協会「都道府県別・車種別自動車保有台数」令和8年6月末現在。乗用車・貨物車・乗合車・特種(殊)車・二輪車の合計
事業所 総務省・経済産業省「令和3年 経済センサス-活動調査」産業小分類 891 自動車整備業(全国48,349事業所)
人口 総務省「住民基本台帳に基づく人口」2026年1月1日

沖縄県は欠ける。 保有台数の統計が国土交通省の運輸局の管轄で作られており、沖縄県は内閣府沖縄総合事務局の所管のため、この表に含まれない。残る 46都道府県を対象とした。

北海道は、表のうえで7つの運輸支局(札幌・函館・旭川・室蘭・釧路・帯広・北見)に分かれている。本稿では合計を用いた。

3. 結果

3-1 1軒あたり1,728台。上と下で2.9倍

多いほう 保有台数 事業所 1軒あたり
滋賀県 1,078,467 343 3,144.2
山口県 1,065,045 405 2,629.7
島根県 553,433 230 2,406.2
広島県 1,928,837 836 2,307.2
静岡県 2,925,226 1,339 2,184.6
少ないほう 保有台数 事業所 1軒あたり
和歌山県 758,571 609 1,245.6
高知県 558,957 465 1,202.1
山梨県 780,760 688 1,134.8
青森県 996,710 918 1,085.7

46都道府県の合計は 1,728.2台/事業所。上位と下位で 2.9倍の差がある。

横棒の図。46都道府県の「整備工場1事業所あたりの保有台数」を多い順に並べ、北海道を色を変えて示し、全国の値を縦の点線で示している。

図1 自動車整備業1事業所あたりの保有台数(46都道府県)。
橙は北海道、青の点線は46都道府県の合計(1,728台)。

3-2 車が多い県ほど、1軒あたりは少ない

人口1万人あたりの保有台数(その県の「車の多さ」)と、1軒あたりの台数の相関は r = −0.290。向きが逆である。

人口1万人あたりの台数は、山梨県9,825台・茨城県9,432台・宮崎県9,242台が多く、東京都は3,174台と際立って少ない。
だが1軒あたりの台数は、山梨県1,134.8台・茨城県1,369.9台・宮崎県1,266.4台と少ないほうに並び、東京都は2,086.8台で多いほうにある。

車が多い地域では、台数が増える以上に整備工場が増えている。

なお人口の規模との相関は r = +0.215 で、こちらも弱い。

3-3 北海道

北海道は1軒あたり 1,614.8台、46都道府県中 27位。人口1万人あたりは7,659台で、車は多いほうだが、1軒あたりは中位である。

参考として、北海道内の運輸支局別の保有台数は、札幌1,784,953/旭川495,951/室蘭383,269/帯広328,368/函館311,141/釧路269,658/北見253,717 である。

支局ごとの1軒あたりの台数は出していない。 運輸支局の管轄市町村を確認できなかったためである。釧路運輸支局の管轄は釧路総合振興局管内の8市町村にとどまらないとみられ、管内の事業所数(160)と支局の台数を割り算すると誤った値になる。

4. 考察

4-1 需要で見ると、人口とは別の順番が出る

R001・R002 は人口で地域を並べた。本稿は台数で並べた。順番は一致しない。
東京都は人口あたりの車がもっとも少ないのに、1軒あたりの台数は上から6番目である。

商売ごとに「相手にする対象」は違う。その対象の量で割ると、人口では見えない差が出る。

4-2 なぜ逆向きになるのか(仮説)

車が多い地域ほど1軒あたりが少ないという結果には、いくつかの説明がありうる。

  • 車が生活に不可欠な地域では、整備を頼む頻度が高く、工場の数もそれに応じて多い
  • 都市部では、系列ディーラーなど1事業所あたりの規模が大きい
  • 人口密度が低い地域では、通える距離の制約から工場が分散する

いずれも本稿では確かめていない。 事業所の規模(従業者数)を入れれば区別できる可能性がある。

4-3 何が言えて、何が言えないか

1軒あたりの台数は、需要の目安であって、仕事の量でも収益でもない。
車齢・車検の周期・整備の内容・ディーラーと町工場の別を、本稿は見ていない。

5. 限界

  • 保有台数は令和8年6月末、事業所は令和3年6月1日、人口は2026年1月1日。時点が違う
  • 沖縄県は、この統計に含まれない
  • 保有台数には二輪車・特種(殊)車を含む
  • 891 自動車整備業は、指定工場と認証工場、規模の別を区別しない
  • 都道府県は単位として大きい。市区町村ごとの保有台数が得られれば、より細かく見られる
  • 相関は関係の強さの目安で、原因と結果の向きは示さない

6. 再現の手順

  1. 自動車検査登録情報協会のサイトから「都道府県別・車種別自動車保有台数」を取得する
  2. e-Stat から、令和3年 経済センサスの産業小分類別 事業所数(市区町村別)を取得し、891 を都道府県ごとに合計する
  3. 住民基本台帳の人口を都道府県ごとに合計する
  4. 保有台数 ÷ 事業所数、保有台数 ÷ 人口 × 10,000 を出す

本稿の数値は、すべて1本のスクリプト(kensan_188)の出力である。中間の数値を手で書き写していない。

参考文献・データの出典

  1. 自動車検査登録情報協会「都道府県別・車種別自動車保有台数」令和8年6月末現在
  2. 総務省統計局・経済産業省「令和3年 経済センサス-活動調査」産業小分類別 事業所数(市区町村別)
  3. 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」2026年1月1日現在
  4. 山岸勇輝「市区町村の人口と、そこにある産業小分類の数」(R001)。Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22872218
  5. 山岸勇輝「その商売は、人口何人の町から現れるか、産業小分類433の「50%到達人口」」(R002)。Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22872356

版の記録

版 日付 内容
第1版 2026-09-21 初出

引用のしかた

山岸勇輝(2026)「整備工場1軒あたりの車は、何台か、車が多い県ほど、1軒あたりは少ない [I001]」Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22875470

(この DOI は concept DOI。常に最新の版を指す。引用にはこれを使う)

© 2026 山岸 勇輝(Yuuki YAMAGISHI)

本稿は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0) の下で公開する。
出典を示せば、複製・改変・再配布・商用利用ができる。
creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

図表を含め、本稿の数値はすべて公的統計から計算したものである。元データそのものの権利は、各統計の公表元に従う。

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「整備工場1軒あたりの車は、何台か」[I001]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22875470

YOI I001業種のデータビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/I001・DOI 10.5281/zenodo.22875470・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 整備工場1軒あたりの車は、何台か [I001]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/I001 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22875470

Yamagishi, Y. (2026). How Many Vehicles per Repair Shop? Where There Are More Cars, There Are Fewer per Shop [I001]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/I001; DOI: 10.5281/zenodo.22875470

@misc{yamagishi2026yoiI001,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {How Many Vehicles per Repair Shop? Where There Are More Cars, There Are Fewer per Shop},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/I001},
  doi = {10.5281/zenodo.22875470},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
36c182537442cff7799b125c21a8091b1ae97ff73dc86cecf7220af5e9dd56c4 yamagishi_I001_vehicles_per_repair_shop_20260921_jp.pdf
be6f00257c6ce9525ab9172d99476cc905b8b279bf3f8a1ec5991563ca0ede36 yamagishi_I001_vehicles_per_repair_shop_20260921_en.pdf

PDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。