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【論文567】タンパク質だけが、熱量計とラベルで三割違う

要旨

食品のラベルにあるカロリーは、燃やして測った熱だと思われている。本稿が示すのは、それが「体が取り出せる分」を係数で見積もった値であり、燃やした熱との差がタンパク質だけに集まっていることである。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、差はタンパク質だけ桁違いに大きい。炭水化物 $\mathbf{2.4390}$・脂質 $\mathbf{4.7619}$・アルコール $\mathbf{1.4085}$ パーセントに対し、タンパク質は $\mathbf{29.2035}$ パーセントである(第2節)。

第二に、係数は燃焼熱と二つの補正から組み立て直せる。吸収率と尿の分を差し引くと $3.977$・$8.9775$・$4.048$・$7.1$ になり、四つとも $4$・$9$・$4$・$7$ に丸まる(第3節)。

第三に、これが本稿の芯である。タンパク質の差 $1.65$ kcal/g のうち $\mathbf{0.757576}$ は尿に出る分である。体は窒素を尿素の形で捨て、尿素にはまだ燃える部分が残っている。熱量計はそれも燃やす(第3節)。

第四に、補正の順序で $0.1$ 違うが、丸めが吸う。差はちょうど $1.25\times0.08$ で、どちらの順でも $4$ に戻る(第3節)。

第五に、食品の比はタンパク質の割合で決まる。熱量計の値 $\div$ ラベルの値は、炭水化物だけなら $\mathbf{1.025}$、タンパク質だけなら $\mathbf{1.4125}$、ふつうの組成で $\mathbf{1.114865}$ である(第4節)。

第六に、分離子は、元素が燃えきるか捨てられるかである。炭素と水素は二酸化炭素と水まで燃えきり、窒素は燃えかけのまま捨てられる(第5節)。

キーワード:アトウォーター係数、食品のエネルギー、タンパク質、燃焼熱、栄養表示。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。アトウォーターの係数も、その導き方も、百年以上前から知られている。栄養の助言をしない。何をどれだけ食べるべきかは述べない。ラベルの数が何を表しているかだけを見る。使った値は代表値である。燃焼熱($4.10$・$9.45$・$5.65$・$7.10$ kcal/g)と吸収率($0.97$・$0.95$・$0.92$)は古典的な混合食の値である。燃焼熱を別の代表値($4.15$・$9.40$)に替えても丸めた整数は変わらないことを確かめたが、小数第二位の数そのものは主張しない。尿に出る分はアトウォーターの測定値をそのまま使う。タンパク質 $1$ g あたり $1.25$ kcal という値の内訳には立ち入らない。食物繊維・糖アルコール・有機酸を扱わない。これらには別の係数が使われる。各国の食品成分表の算出法を扱わない。表によっては一般係数ではなく、食品ごとの係数やアミノ酸組成からの計算を使う。本稿は一般係数だけを見る。個人差を扱わない。腸内細菌や消化の個人差で吸収率は動く。既刊との関係:論文338 は約束であることと恣意的であることは別だと示した。$4$・$9$・$4$ はまさにその例である。整数に丸めた約束だが、燃焼熱と二つの補正から組み立て直せるので恣意的ではない。論文551 は指標が動かないまま不良率が $359$ 倍になると示し、名前の広い数が狭い中身しか持たない型を見せた。「カロリー」も同じ型で、熱の名で呼ばれながら、中身は体が取り出せる分だけである。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。「差がタンパク質に集まる」と「食品の比が組成で動く」は、窒素という一つの根から出る同根である。加えたのは、四つの係数を燃焼熱と二つの補正から組み立て直し、四つとも整数に丸まることを確かめたこと、補正の順序による $0.1$ の差を閉じた式 $1.25\times0.08$ と $12$ 桁で突き合わせたこと、タンパク質の差のうち尿の分を $\mathbf{0.757576}$ と測ったこと、食品の比を六つの組成で並べ、タンパク質の割合で単調に動くことを示したこと、分離子を「元素が燃えきるか捨てられるか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:食品のエネルギーは、炭水化物・脂質・タンパク質・アルコールの質量にそれぞれ $4$・$9$・$4$・$7$ kcal/g を掛けて足す。これがアトウォーターの一般係数である。一方、同じものを熱量計(ボンベ)で燃やすと、燃焼熱として $4.10$・$9.45$・$5.65$・$7.10$ kcal/g が出る。

観察 1.1 二つは同じ単位で書かれている。どちらも kcal/g で、どちらも「カロリー」と呼ばれる。だが片方は熱量計の針、片方は体の出入りの勘定である。

問い:二つの差はどこから来て、どれだけ効くのか。

2. 差は、タンパク質だけ桁違いに大きい

計算 2.1:燃焼熱と係数の差を取った。

成分 燃焼熱(kcal/g) 係数 差の割合
炭水化物 $4.10$ $4$ $\mathbf{0.024390}$
脂質 $9.45$ $9$ $\mathbf{0.047619}$
タンパク質 $5.65$ $4$ $\mathbf{0.292035}$
アルコール $7.10$ $7$ $\mathbf{0.014085}$

観察 2.2 タンパク質だけが三割近い。$0.29$ より大きく $0.30$ より小さい(実測 $\mathbf{0.292035}$)、他の三つのどれと比べても $5$ 倍以上である。

観察 2.3 三つは数パーセントで揃っている。炭水化物・脂質・アルコールの差は、吸収しきれない分だけである。タンパク質にだけ、別の何かが加わっている。

3. 係数は、組み立て直せる

計算 3.1:燃焼熱に吸収率を掛け、タンパク質だけは尿に出る分 $1.25$ kcal/g を差し引いた。

成分 組み立て直した値 丸めると
炭水化物 $4.10\times0.97=\mathbf{3.977000}$ $4$
脂質 $9.45\times0.95=\mathbf{8.977500}$ $9$
アルコール $7.10\times1.00=\mathbf{7.100000}$ $7$
タンパク質(尿を先に引く) $(5.65-1.25)\times0.92=\mathbf{4.048000}$ $4$
タンパク質(吸収率を先に掛ける) $5.65\times0.92-1.25=\mathbf{3.948000}$ $4$

観察 3.2 四つとも係数の整数に戻る。係数は勝手に決めた数ではなく、測った燃焼熱から出てくる。丸めが入っているだけである。

観察 3.3 補正の順序で $0.1$ 違う。その差は閉じた式 $1.25\times(1-0.92)=0.1$ に $12$ 桁で一致する。別に組み立てた式との突合せである。どちらの順でも整数 $4$ との隔たりは $0.06$ 未満で、丸めが順序の違いを吸ってしまう。

観察 3.4 燃焼熱の代表値を替えても変わらない。炭水化物を $4.15$、脂質を $9.40$ にすると $4.025500$ と $8.930000$ で、やはり $4$ と $9$ に丸まる。結論は燃焼熱の小数第二位に依らない。

計算 3.5:タンパク質の差 $5.65-4=1.65$ kcal/g のうち、尿に出る分の割合を出した。$1.25/1.65=\mathbf{0.757576}$ である($0.75$ より大きく $0.76$ より小さい)。

観察 3.6 これが本稿の芯である。タンパク質の差の四分の三は、吸収できないからではなく、吸収したものを燃やしきらないから出ている。体は窒素を尿素の形で捨てる。尿素にはまだ燃える炭素と水素が残っていて、熱量計はそれも燃やす。ラベルは燃やさない。

4. 食品の比は、タンパク質の割合で決まる

計算 4.1:組成を振って、熱量計の値とラベルの値の比を出した。

組成(タンパク質・脂質・炭水化物 g) 熱量計 ラベル 比
$0$・$0$・$100$ $410.00$ $400.00$ $\mathbf{1.025000}$
$0$・$100$・$0$ $945.00$ $900.00$ $1.050000$
$10$・$5$・$75$ $411.25$ $385.00$ $1.068182$
$20$・$10$・$50$ $412.50$ $370.00$ $\mathbf{1.114865}$
$30$・$20$・$10$ $399.50$ $340.00$ $1.175000$
$100$・$0$・$0$ $565.00$ $400.00$ $\mathbf{1.412500}$

観察 4.2 タンパク質だけの食品で、比はちょうど $5.65/4$ になる。$12$ 桁で $\mathbf{1.412500}$、燃焼熱と係数の比そのものである。

観察 4.3 ふつうの組成で一割強の差がある。$20$・$10$・$50$ で $\mathbf{1.114865}$($1.11$ より大きく $1.12$ より小さい)。同じ食品を熱量計で測れば、ラベルより一割強多く出る。

観察 4.4 比はタンパク質の割合とともに増す。$10$・$20$・$30$ g と増やすと $1.068182$・$1.114865$・$1.175000$、そして混ぜた食品の比は、成分だけの比の最小($1.025$)と最大($1.4125$)のあいだに入る。

観察 4.5 高タンパクの食品ほど、熱量計とラベルが離れる。肉や豆のように組成が偏った食品では、ラベルの数が熱量計の数からいちばん遠くなる。どちらが正しいかではなく、測っているものが違う。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は、元素が燃えきるか捨てられるかである。炭素と水素は、体の中でも熱量計の中でも二酸化炭素と水まで燃えきる。窒素は、熱量計の中では燃えるが、体からは燃えかけの尿素として出ていく。炭水化物と脂質に窒素は無く、タンパク質にはある。差がタンパク質に集まるのはそのためである。

観察 5.2 アルコールが対照になる。窒素を持たず、ほぼ吸収されるので、差は $\mathbf{0.014085}$ にとどまる。同じ「体に入る」でも、窒素が無ければ熱量計とほとんど変わらない。

観察 5.3 論文338 のいう「約束だが恣意的ではない」の例である。$4$・$9$・$4$ は整数に丸めた約束である。だが燃焼熱と二つの補正から組み立て直せるので、恣意的ではない。約束の中に、測定が折りたたまれている。

観察 5.4 論文551 と同じ「名前が広い」型である。あちらは「工程能力」を名乗る指数が、ばらつきしか見ていなかった。こちらは熱の名で呼ばれる「カロリー」が、体が取り出せる分だけを数えている。

観察 5.5 論文300 の基準では同根である。「差がタンパク質に集まる」と「食品の比が組成で動く」は、どちらも窒素一つから出る。窒素を持たない食品だけなら、どちらも消える。

6. 点呼と結び

  1. タンパク質の差 $\mathbf{0.292035}$(計算 2.1):他の $5$ 倍以上。
  2. 炭水化物 $\mathbf{3.977000}$・脂質 $\mathbf{8.977500}$(計算 3.1):$4$ と $9$ に丸まる。
  3. タンパク質 $\mathbf{4.048000}$ と $\mathbf{3.948000}$(計算 3.1):どちらの順でも $4$。
  4. 順序の差 $0.1=1.25\times0.08$(観察 3.3):$12$ 桁の突合せ。
  5. 別の代表値でも $4$ と $9$(観察 3.4):小数第二位に依らない。
  6. 尿の分 $\mathbf{0.757576}$(計算 3.5):本稿の芯。
  7. タンパク質だけの食品で $\mathbf{1.412500}$(観察 4.2):$5.65/4$。
  8. ふつうの組成で $\mathbf{1.114865}$(観察 4.3):一割強。
  9. 分離子は燃えきるか捨てられるか(観察 5.1):窒素がそれを分ける。
  10. アルコールは $\mathbf{0.014085}$(観察 5.2):窒素の無い対照。

結び:食品のラベルにあるカロリーは、燃やして測った熱だと思われている。ところが燃焼熱と係数の差は、タンパク質だけに集まっている。炭水化物 $\mathbf{2.4390}$・脂質 $\mathbf{4.7619}$・アルコール $\mathbf{1.4085}$ パーセントに対し、タンパク質は $\mathbf{29.2035}$ パーセントで、他の三つのどれの $5$ 倍をも超える。係数は勝手な数ではなく、燃焼熱に吸収率を掛け、タンパク質だけ尿に出る分を差し引けば組み立て直せる。$3.977$・$8.9775$・$7.1$・$4.048$ が、四つとも $4$・$9$・$7$・$4$ に丸まる。補正の順序で $0.1$ 違うが、それは閉じた式 $1.25\times0.08$ に $12$ 桁で一致し、どちらの順でも整数に戻る。燃焼熱を別の代表値に替えても、丸めた整数は変わらない。タンパク質の差 $1.65$ kcal/g のうち、$\mathbf{0.757576}$ は尿に出る分である。差の四分の三は、吸収できないからではなく、吸収したものを燃やしきらないから出ている。体は窒素を尿素の形で捨て、尿素にはまだ燃える炭素と水素が残る。熱量計はそれも燃やし、ラベルは燃やさない。だから食品の比は、タンパク質の割合で決まる。熱量計の値 $\div$ ラベルの値は、炭水化物だけなら $\mathbf{1.025}$、タンパク質だけならちょうど $5.65/4=\mathbf{1.4125}$、ふつうの組成で $\mathbf{1.114865}$ で、タンパク質を増やすほど単調に増す。高タンパクの食品ほど、二つの数は離れる。どちらが正しいかではなく、測っているものが違う。分離子は、元素が燃えきるか捨てられるかである。炭素と水素は体の中でも熱量計の中でも燃えきり、窒素は熱量計の中では燃えるが、体からは燃えかけのまま出ていく。窒素を持たないアルコールでは差が $\mathbf{0.014085}$ にとどまる。論文300 の基準では、「差がタンパク質に集まる」と「食品の比が組成で動く」はどちらも窒素一つから出る同根である。既刊との位置、論文338 のいう「約束だが恣意的ではない」の例である。$4$・$9$・$4$ は整数に丸めた約束だが、測定が折りたたまれている。論文551 と同じ「名前が広い」型でもあり、熱の名で呼ばれる「カロリー」が、体が取り出せる分だけを数えている。正直に言えば、栄養の助言はしていない。燃焼熱と吸収率は古典的な混合食の代表値で、小数第二位の数そのものは主張しない。尿に出る $1.25$ kcal/g はアトウォーターの測定値として使い、内訳には立ち入っていない。食物繊維・糖アルコール・有機酸にかかる別の係数も、各国の食品成分表の算出法も、吸収率の個人差も扱っていない。

参考文献

  1. Atwater, W. O., & Bryant, A. P. (1900). The Availability and Fuel Value of Food Materials. Storrs Agricultural Experiment Station, Annual Report.
  2. FAO (2003). Food Energy、Methods of Analysis and Conversion Factors. FAO Food and Nutrition Paper 77. Food and Agriculture Organization of the United Nations.
  3. Merrill, A. L., & Watt, B. K. (1973). Energy Value of Foods: Basis and Derivation. Agriculture Handbook No. 74. United States Department of Agriculture.
  4. Southgate, D. A. T., & Durnin, J. V. G. A. (1970). Calorie Conversion Factors. British Journal of Nutrition.
  5. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  6. 山岸勇輝 (2026). 『約束であることと、恣意的であることは別である』[論文338]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22681999
  7. 山岸勇輝 (2026). 『指標が動かないまま、不良率が $359$ 倍になる』[論文551]. Zenodo. 10.5281/zenodo.23014191

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「タンパク質だけが、熱量計とラベルで三割違う」[論文567]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.23014274

YOI 567第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). タンパク質だけが、熱量計とラベルで三割違う [論文567]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/567 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014274

Yamagishi, Y. (2026). Only Protein Differs by Nearly a Third Between the Calorimeter and the Label [Paper 567]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/567; DOI: 10.5281/zenodo.23014274

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