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【論文603】561 は、互いに素などの底で試しても、フェルマーの判定を通る

要旨

$n$ が素数なら、$n$ と互いに素などの $a$ についても $a^{n-1}$ を $n$ で割った余りは $1$ になる(フェルマーの小定理)。そこで、余りが $1$ になるかを見て素数らしさを判定する方法がある(フェルマーの判定)。この判定がどの合成数に、どれだけ騙されるかを数える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、$561$ は互いに素な底すべてで判定を通る。$561=3\times11\times17$ と互いに素な底は $320$ 個で、その $320$ 個すべてで余りが $1$ になる。$1$ から $560$ の底のうち割合は $\mathbf{0.571429}$ で、見破れるのは $3$・$11$・$17$ のどれかを共有する $240$ 個($\mathbf{0.428571}$)だけである(第2節)。

第二に、こうした数は珍しいが、無くならない。互いに素な底すべてで判定を通る合成数(カーマイケル数)は、$10^3$ までに $1$ 個、$10^4$ までに $7$ 個、$10^5$ までに $16$ 個、$10^6$ までに $43$ 個ある。全部の底で確かめた数と、素因数だけで決める判定(コルセルトの判定)は、$10^5$ まで一つ残らず一致した(第2節)。

第三に、問いを足すと、騙す底が減る。$561$ で、$a^{280}$ がヤコビ記号に一致するかも問う(オイラーの判定)と騙す底は $80$ 個($\mathbf{0.142857}$)、$2$ 乗の列を全部問う(ミラー=ラビンの判定)と $10$ 個($\mathbf{0.017857}$)になる(第3節)。

第四に、これが本稿の芯である。最後の問いが見ているのは、$2$ 乗して $1$ になる数が $\pm1$ の二つしかないかどうかである。素数 $557$ を法とすると $2$ 乗して $1$ になる数は $1$ と $556$ の $2$ 個だが、$561$ を法とすると $8$ 個ある。底 $2$ で $2^{35},2^{70},2^{140},2^{280}$ を $561$ で割ると $263,166,67,1$ で、$1$ の直前の $67$ が $\pm1$ でない $1$ の平方根として $561$ を見破る(第3節)。

第五に、分離子は、何を問うかである。フェルマーは最後の一つ $a^{n-1}$ だけを問い、オイラーはその半分の冪とヤコビ記号を、ミラー=ラビンは $2$ 乗の列の途中を全部問う。騙す底は $320$、$80$、$10$ と減り、ミラー=ラビンでは $10^4$ までのどの奇数の合成数でも、騙す底の割合は上限の $1/4$ を超えなかった(ちょうど $1/4$ になるのは $9$)(第3節)。

キーワード:カーマイケル数、フェルマーの素数判定、ミラー=ラビン判定、擬素数、素数判定。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。カーマイケル数(カーマイケル、$1910$)、素因数による判定(コルセルト、$1899$)、オイラーの判定(ソロヴェイとシュトラッセン、$1977$)、ミラー=ラビンの判定とその上限 $1/4$(ミラー、$1976$/ラビン、$1980$)、カーマイケル数が無限にあること(アルフォード、グランヴィル、ポメランス、$1994$)は、いずれも既知である。定理を証明しない。$10^6$ までの数を数え、$10^5$ までは全部の底で確かめ、$561$ で底を全部数えるだけである。「どの底でも騙される」とは言わない。騙すのは互いに素な底だけで、素因数を共有する底は見破る。暗号での使い方や計算の速さは扱わない。既刊との関係:論文513 は、平方剰余の相互法則を格子点で数えて示し、余りを問うなら $a^{(p-1)/2}$ を $p$ で割った余りで答が出る(オイラーの規準)と書いた。本稿のオイラーの判定は、その規準を合成数に当てて、騙されるかを数えたものである。加えたのは、$561$ で三つの判定の騙す底を全部数えて並べたこと、全部の底で確かめる道筋と素因数で決める道筋を $10^5$ まで突き合わせたこと、分離子を「何を問うか」に置き、最後の問いが $1$ の平方根の個数を見ていることを数で示したことである。

1. 記法と問い

設定:奇数 $n$ と底 $a$($1\le a\le n-1$)について、次の三つを問う。

フェルマーの判定:$a^{n-1}$ を $n$ で割った余りが $1$ か。

オイラーの判定:$a$ が $n$ と互いに素で、$a^{(n-1)/2}$ を $n$ で割った余りがヤコビ記号 $(a/n)$ に等しいか。

ミラー=ラビンの判定:$n-1=2^s d$($d$ は奇数)と書き、$a^{d}$ が $1$ か、$a^{d},a^{2d},\dots,a^{2^{s-1}d}$ のどれかが $n-1$ に等しいか。

$n$ が素数なら、どの判定もすべての底で「素数らしい」と答える。合成数 $n$ で「素数らしい」と答えさせる底を、その判定を騙す底と呼ぶ。

問い:フェルマーの判定を、互いに素な底すべてで騙す合成数はあるか。問いを足すと、騙す底はどれだけ減るか。何が効いているか。

2. フェルマーの判定を通る合成数

計算 2.1:$10^6$ までの合成数を、素因数だけで決める判定(平方因子を持たず、どの素因数 $p$ についても $p-1$ が $n-1$ を割る)で調べた。

範囲 互いに素な底すべてで判定を通る合成数
$10^3$ まで $1$ 個
$10^4$ まで $7$ 個
$10^5$ まで $16$ 個
$10^6$ まで $43$ 個

最初の $16$ 個は $561,1105,1729,2465,2821,6601,8911,10585,15841,29341,41041,46657,52633,62745,63973,75361$ である。$561=3\times11\times17$、$1729=7\times13\times19$ で、どちらも異なる三つの素数の積である。

計算 2.2:素因数の判定とは独立に、$10^5$ までの合成数すべてで、互いに素な底をすべて試した。判定を通る合成数は $16$ 個で、素因数の判定の $16$ 個と一つ残らず一致した。比べると、底 $2$ だけを騙す奇数の合成数は $10^5$ までに $78$ 個あり、その中に $16$ 個とも入っている。

計算 2.3:$561$ で、底 $a=1,\dots,560$ をすべて数えた。$561$ と互いに素な底は $320$ 個($320$ は $2\times10\times16$)で、その $320$ 個すべてで $a^{560}$ の余りが $1$ だった。割合は $\mathbf{0.571429}$ である。余りが $1$ にならなかった $240$ 個($\mathbf{0.428571}$)は、$3$・$11$・$17$ のどれかを約数に持つ底とちょうど一致した。

観察 2.4 $561$ を見破れるのは、素因数を当てたときだけである。$560$ は $2$・$10$・$16$ のどれでも割り切れるので、互いに素な $a$ なら $a^{560}$ は $3$・$11$・$17$ のどれで割っても余り $1$ になり、したがって $561$ で割っても余り $1$ になる。フェルマーの判定でこの数を見破るには、素因数を持つ底を引き当てるしかない。それは素因数分解を当てることに近い。

3. 問いを足す

計算 3.1:$561$ で、三つの判定を騙す底を全部数えた($n-1=560=2^4\times35$)。

判定 騙す底 $560$ 個の底に対する割合
フェルマー $320$ $\mathbf{0.571429}$
オイラー $80$ $\mathbf{0.142857}$
ミラー=ラビン $10$ $\mathbf{0.017857}$

ミラー=ラビンを騙す $10$ 個は $1,50,101,103,256,305,458,460,511,560$ である。

計算 3.2:$2$ 乗して $1$ になる数を数えた。素数 $557$ を法とすると $1$ と $556$ の $2$ 個だけだった。$561$ を法とすると $1,67,188,254,307,373,494,560$ の $8$ 個だった。底 $2$ で $2^{35},2^{70},2^{140},2^{280},2^{560}$ を $561$ で割った余りは $263,166,67,1,1$ だった。

観察 3.3 これが本稿の芯である。最後の問いが見ているのは、$1$ の平方根が $\pm1$ の二つしかないかどうかである。素数を法とすれば、$x^2$ の余りが $1$ になる $x$ は $1$ と $n-1$ だけである。$2$ 乗の列が $1$ に着くなら、その直前は $1$ か $n-1$ でなければならない。$561$ では、底 $2$ の列が $67$ から $1$ に着いた。$67$ は $\pm1$ でない $1$ の平方根で、これが合成数の証拠になる。$561$ を法とする $1$ の平方根は、三つの素因数それぞれで $\pm1$ を選ぶ $2^3=8$ 通りある。

観察 3.4 分離子は、何を問うかである。フェルマーは列の最後 $a^{n-1}$ だけを問い、オイラーはその半分の冪 $a^{(n-1)/2}$ とヤコビ記号の一致を問い、ミラー=ラビンは列の途中を全部問う。騙す底は $320$、$80$、$10$ と減った。問いを足すたびに、合成数が隠しておける場所が減る。

計算 3.5:$10^4$ までの奇数の合成数すべてで、ミラー=ラビンを騙す底の割合を数えた。最大は $n=9$ の $0.250000$(底 $1$ と $8$ の $2$ 個)で、ラビンの上限 $1/4$ をどの数も超えなかった。$561$ の $\mathbf{0.017857}$ は、上限の $0.071429$ 倍である。

観察 3.6 ミラー=ラビンには、全部の底で騙す合成数が無い。フェルマーの判定には $10^6$ までに $43$ 個あったが、ミラー=ラビンでは騙す底が多くとも四分の一である。だから底を変えて何度か試せば、見逃す確率を $1/4$ ずつ掛けて小さくできる。フェルマーの判定では、カーマイケル数に対して試す回数を増やしても、互いに素な底を引くかぎり見逃し続ける。

観察 3.7 論文513 と並べる。513 は、余りを問うなら $a^{(p-1)/2}$ を $p$ で割った余りで答が出る(オイラーの規準)と書いた。その規準は素数 $p$ についての事実であり、合成数に当てると $561$ では $80$ 個の底が規準どおりの答を返してしまう。規準が素数を特徴づけるのは、素数の側から見たときだけである。

観察 3.8 言わないこと。カーマイケル数が無限にあることも、ラビンの上限も証明しない。暗号での使い方や計算の速さは扱わない。示したのは、$10^6$ までの数え上げ、$10^5$ までの二つの道筋の一致、そして $561$ での三つの判定の比較である。

4. 点呼と結び

  1. $561$ と互いに素な底 $320$ 個すべてで判定を通る(計算 2.3):割合 $\mathbf{0.571429}$。
  2. 見破る底 $240$ 個は素因数を共有する底(計算 2.3):割合 $\mathbf{0.428571}$。
  3. カーマイケル数は $10^6$ までに $43$ 個(計算 2.1):珍しいが無くならない。
  4. 全部の底と素因数の判定が $10^5$ まで一致(計算 2.2):二つの道筋。
  5. 騙す底は $320$、$80$、$10$(計算 3.1):問いを足すと減る。
  6. $561$ を法とする $1$ の平方根は $8$ 個、$557$ では $2$ 個(計算 3.2):素因数の数だけ増える。
  7. 底 $2$ の列は $263,166,67,1$(計算 3.2):$67$ が見破る。
  8. 最後の問いは $1$ の平方根が $\pm1$ だけかを見る(観察 3.3):本稿の芯。
  9. 分離子は何を問うか(観察 3.4):列の最後か、途中も全部か。
  10. ミラー=ラビンを騙す割合は $1/4$ 以下、$9$ でちょうど $1/4$(計算 3.5):全部の底で騙す数は無い。

結び:$a^{n-1}$ を $n$ で割った余りが $1$ かを見る判定は、素数を必ず通すが、合成数も通してしまうことがある。$561=3\times11\times17$ は、互いに素な底 $320$ 個のすべてで判定を通る。見破れるのは素因数を共有する $240$ 個の底だけで、こうした数は $10^6$ までに $43$ 個ある。全部の底で確かめた数と素因数だけで決める判定は、$10^5$ まで一つ残らず一致した。問いを足すと、騙す底は $320$ 個から $80$ 個、$10$ 個へと減る。最後の問い(ミラー=ラビン)が見ているのは、$2$ 乗して $1$ になる数が $\pm1$ の二つしかないかどうかである。素数 $557$ ではその数は $2$ 個、$561$ では $8$ 個あり、底 $2$ の列 $263,166,67,1$ の $67$ が $561$ を見破る。分離子は、何を問うかである。列の最後だけを問う判定には全部の底で騙す合成数があり、途中を全部問う判定では、騙す底は $10^4$ までのどの数でも四分の一を超えなかった。既刊との位置、論文513 が素数の側から書いたオイラーの規準を、合成数の側から当てると、$561$ では $80$ 個の底が規準どおりに答える。正直に言えば、数えたのは $10^6$ までで、無限にあることも上限も証明していない。

参考文献

  1. Alford, W. R., Granville, A., & Pomerance, C. (1994). There are infinitely many Carmichael numbers. Annals of Mathematics.
  2. Carmichael, R. D. (1910). Note on a new number theory function. Bulletin of the American Mathematical Society.
  3. Korselt, A. (1899). Problème chinois. L’Intermédiaire des Mathématiciens.
  4. Miller, G. L. (1976). Riemann’s hypothesis and tests for primality. Journal of Computer and System Sciences.
  5. Rabin, M. O. (1980). Probabilistic algorithm for testing primality. Journal of Number Theory.
  6. Solovay, R., & Strassen, V. (1977). A fast Monte-Carlo test for primality. SIAM Journal on Computing.
  7. 山岸勇輝 (2026). 『数えるという操作が、代数の定理を証明してしまう』[論文513]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22862214

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「561 は、互いに素などの底で試しても、フェルマーの判定を通る」[論文603]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.23014433

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 561 は、互いに素などの底で試しても、フェルマーの判定を通る [論文603]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/603 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014433

Yamagishi, Y. (2026). 561 Passes Fermat's Test for Every Base Coprime to It [Paper 603]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/603; DOI: 10.5281/zenodo.23014433

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