要旨
二重跳びができないのは、跳ぶ力が足りないからだ、と思いやすい。本稿は、何重跳びにどれだけの高さが要るかを、縄をまわす速さと並べて数える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、要る高さは、くぐる回数の二乗に比例する。毎秒 $3$ 回まわすとき、一重 $\mathbf{0.136250}$ m、二重 $\mathbf{0.545000}$ m、三重 $1.226250$ m で、四倍・九倍である(第2節)。
第二に、これが本稿の芯である。回す速さを二倍にすれば、二重跳びも一重跳びの高さで足りる。毎秒 $6$ 回にまわすと、二重跳びに要る高さは $0.136250$ m で、毎秒 $3$ 回の一重跳びと同じになる(第2節)。
第三に、足の離れている時間は式と合う。高さ $0.05$〜$0.40$ m の跳躍を細かく刻んで追った時間は、式 $2\sqrt{2h/g}$ と $2\times10^{-5}$ 秒以内で一致した(第3節)。
第四に、高さが決まると、一重跳びの回数に上限がある。高さ $10$ cm では足が $0.285569$ 秒離れ、一重跳びは毎分 $\mathbf{210.107116}$ 回まで(第3節)。
第五に、同じ高さで二重跳びをするには、腕を倍の速さでまわす。高さ $10$ cm のままなら、毎秒 $\mathbf{7.003571}$ 回まわす必要がある(第3節)。
第六に、分離子は、跳ぶ力を問うか、腕の速さを問うかである。要る高さは回数の二乗に比例し、まわす速さの二乗に反比例するので、腕の速さを二倍にするのは高さを四倍にするのと同じだけ効く(第4節)。
キーワード:縄跳び、二重跳び、滞空時間、跳ぶ高さ、回す速さ。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。真上に跳んだときの滞空時間と高さの関係 $h=gt^2/8$ は、力学の標準的な式である。実在の記録を主張しない。まわす速さと高さは模型の値で、どの選手の記録にも対応しない。足の着いている時間を入れない。着地してから跳び上がるまでの時間、縄のたるみ、空気抵抗は入れない。練習法を勧めない。どう練習すべきかは述べない。既刊との関係:論文380 は、走る速さの限界は脚を速く動かせないことではなく、地面を強く押せないことであると示した。本稿はその隣に置く。あちらは地面を押す強さが限界を決めた。ここでは跳ぶ高さと、縄をまわす腕の速さの二つが要る高さを分け合うことを数える。加えたのは、四つのまわす速さで一重・二重・三重に要る高さを並べたこと、刻んで追った滞空時間を式と突き合わせたこと、高さ $10$ cm で一重跳びの上限と二重跳びに要る速さを出したこと、分離子を「跳ぶ力か、腕の速さか」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:縄を毎秒 $\omega$ 回まわし、一回の跳躍のあいだに $k$ 回くぐる。足が地面から離れている時間を $t$、跳ぶ高さを $h$ とし、重力の加速度を $g=9.81$ m/s$^2$ とする。
$$t=\frac{k}{\omega},\qquad
h=\frac{g\,t^{2}}{8}=\frac{g}{8}\Bigl(\frac{k}{\omega}\Bigr)^{2}$$
足の着いている時間、縄のたるみ、空気抵抗は入れない。滞空時間は、式と、跳躍を $10^{-5}$ 秒刻みで追った値の二通りで出した。
問い:二重跳びには、どれだけ高く跳ぶ必要があるのか。
2. 何重跳びに要る高さ
計算 2.1:まわす速さ $\omega$ ごとに、一重・二重・三重に要る高さを出した。
| $\omega$(回/秒) | 一重(m) | 二重(m) | 三重(m) |
|---|---|---|---|
| $2$ | $0.306563$ | $1.226250$ | $2.759062$ |
| $3$ | $0.136250$ | $0.545000$ | $1.226250$ |
| $4$ | $0.076641$ | $0.306563$ | $0.689766$ |
| $6$ | $0.034062$ | $0.136250$ | $0.306563$ |
観察 2.2 要る高さは、くぐる回数の二乗に比例する。どのまわす速さでも、二重は一重の $4$ 倍、三重は $9$ 倍だった。足の離れている時間は回数に比例するが、その時間を得るのに要る高さは時間の二乗に比例するからである。
観察 2.3 これが本稿の芯である。回す速さを二倍にすれば、二重跳びも一重跳びの高さで足りる。毎秒 $6$ 回の二重跳びに要る $0.136250$ m は、毎秒 $3$ 回の一重跳びに要る高さと同じである。同じ $k$ で、まわす速さを $3$ から $6$ に二倍にすると、要る高さは $4$ 分の $1$ になった。
3. 高さ $10$ cm の跳躍
計算 3.1:高さごとに、刻んで追った滞空時間と式を比べた。
| 高さ(m) | 刻んで追った時間(s) | 式 $2\sqrt{2h/g}$(s) |
|---|---|---|
| $0.05$ | $0.201930$ | $0.201928$ |
| $0.10$ | $0.285570$ | $0.285569$ |
| $0.20$ | $0.403860$ | $0.403855$ |
| $0.40$ | $0.571140$ | $0.571137$ |
観察 3.2 高さが決まると、回数と、要るまわす速さが決まる。高さ $10$ cm では足が $0.285569$ 秒離れるので、一重跳びは毎秒 $3.501785$ 回、毎分 $210.107116$ 回まで:同じ高さで二重跳びをするには毎秒 $7.003571$ 回まわす必要がある。刻んで追った時間は、四つの高さで式と $2\times10^{-5}$ 秒以内で合った。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、跳ぶ力を問うか、腕の速さを問うかである。要る高さは $(k/\omega)^2$ に比例する。回数 $k$ を二倍にしても、まわす速さ $\omega$ を二倍にすれば比は変わらない。二重跳びに足りないのが跳ぶ力なのか、腕の速さなのかは、この比のどちら側を動かすかで分かれる。
観察 4.2 論文380 の隣に置く。380 は、走る速さの限界が脚を速く動かせないことではなく、地面を強く押せないことだと示した。そこでは地面を押す強さだけが限界を決めた。ここでは跳ぶ高さと腕の速さの二つが要る高さを分け合い、どちらを伸ばしても同じだけ効く。
観察 4.3 言わないこと。実在の選手の記録も、足の着いている時間や縄のたるみも、練習法も扱わない。示したのは、二重跳びに要る高さが一重跳びの四倍で、まわす速さの二乗で減るということである。
5. 点呼と結び
- $h=g(k/\omega)^2/8$(第1節):時間の二乗。
- 毎秒 $3$ 回の一重 $\mathbf{0.136250}$ m(計算 2.1):基準。
- 二重 $\mathbf{0.545000}$ m(計算 2.1):四倍。
- 三重 $1.226250$ m(計算 2.1):九倍。
- 毎秒 $6$ 回の二重 $0.136250$ m(観察 2.3):本稿の芯。
- 刻んだ時間と式が一致(観察 3.2):$2\times10^{-5}$ 秒以内。
- 高さ $10$ cm で $0.285569$ 秒(計算 3.1):足の離れる時間。
- 一重は毎分 $\mathbf{210.107116}$ 回まで(観察 3.2):高さが決める上限。
- 二重には毎秒 $\mathbf{7.003571}$ 回(観察 3.2):同じ高さで。
- 跳ぶ力か、腕の速さか(観察 4.1):分離子・論文380。
結び:二重跳びに要る高さは一重跳びの四倍で、回す速さを二倍にすれば一重と同じ高さで跳べる。毎秒 $3$ 回まわすとき、一重に $0.136250$ m、二重に $0.545000$ m が要り、毎秒 $6$ 回にまわせば二重も $0.136250$ m で足りる。要る高さは、くぐる回数の二乗に比例し、まわす速さの二乗に反比例するからである。高さ $10$ cm の跳躍では足が $0.285569$ 秒離れ、一重跳びは毎分 $210.107116$ 回まで、同じ高さの二重跳びには毎秒 $7.003571$ 回まわす必要がある。腕の速さを二倍にするのは、跳ぶ高さを四倍にするのと同じだけ効く。既刊との位置:論文380 の「地面を強く押せないことが限界」の隣に、跳ぶ高さと腕の速さが要る高さを分け合うことを置いた。正直に言えば、足の着いている時間、縄のたるみ、空気抵抗は入れていない。
参考文献
- Halliday, D., Resnick, R., & Walker, J. (2014). Fundamentals of Physics (10th ed.). Wiley.
- 山岸勇輝 (2026). 『走る速さの限界は、脚を速く動かせないことではなく、地面を強く押せないことである』[論文380]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/380 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22698815
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「二重跳びに要る高さは一重跳びの四倍で、回す速さを二倍にすれば一重と同じ高さで跳べる」[論文881]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/881
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引用するとき
山岸勇輝 (2026). 二重跳びに要る高さは一重跳びの四倍で、回す速さを二倍にすれば一重と同じ高さで跳べる [論文881]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/881
Yamagishi, Y. (2026). A Double Under Needs Four Times the Height of a Single, and Turning the Rope Twice as Fast Brings It Back to the Same Height [Paper 881]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/881
@misc{yamagishi2026yoi881,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {A Double Under Needs Four Times the Height of a Single, and Turning the Rope Twice as Fast Brings It Back to the Same Height},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/881},
note = {Preprint, edition 1}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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