要旨
本稿が問うのは、ストキャスティクスの %K が「レンジ内の位置」以上のものを持っているか、である。答えは、ほとんど持っていない。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。
第一に、%K と「(終値 − 直近の安値)÷(直近の高値 − 直近の安値)」の差は、四銘柄あわせて 144,463 回の比較で最大 0.00e+00 である。一件も違わない。名前が違うだけの同じ式である(第3節)。
第二に、これが本稿の芯である。%K が 80 以上の区分で、直近の高値に安値より先に触れた割合は 94.0897% である。だがその区分の位置の平均は 90.3830% である。到達率は位置の言い換えであって、94% という数字が驚くべきものではない(第4節)。
第三に、二十の区分すべてで、到達率と位置の差の中央は +1.0445 ポイント(最小 −4.0244・最大 +6.2701)である。位置そのものが 9.6382% から 90.3830% まで動くのと比べると、残りは一桁以上小さい(第4節)。
第四に、その小さな残りは、合成乱数では再現されない。乱数での差は 0.1001 から 0.1946 ポイントである。残りは実在する。ただし位置そのものより一桁以上小さい(第4節・第7節)。
第五に、方向の情報を測ると、日次 t の絶対値が 2 以上のセルは 4 のうち 2(偶然なら およそ 0.2)で、重複を除くと 4 のうち 0 になる(第5節・第7節)。
第六に、閾値を 70 から 90 へ、期間を 5 から 21 へ動かすと選ぶ割合は動くが、どちらも選ぶ側が決めている量である(第6節)。
本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。ストキャスティクスの定義、任意停止定理、ランダムウォークはすべて既知である。%K が位置の式であることも定義から出る。本稿が加えたのは、それを件数で確かめ、到達率を位置と並べ、乱数と比べたことである。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。扱うのは公知の指標そのものである。売買を論じない。本稿が測るのは方向の情報であって、手数料・約定・資金管理を含む売買の成績ではない。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・六年・1 時間足の測定である。月次の時系列モメンタムのようにより長い保有で文書化されている結果を、本稿は否定しない。%D と %K の交差を扱わない。二本の線の交差は位置の話ではないので、本稿の外にある。予測を主張しない。既刊との関係:論文423 は、到達確率の表が当たっていても売買が負けることを示し、到達率は必ず位置と対で読むべきことを示した。本稿はその読み方を、別の指標に当てる。論文264 は閾値が自分の格子に属することを示した。本系列の F005 は、MACD のゼロ交差が移動平均のクロスと同じ式であることを示した。本稿は同じ形を、%K という別の指標で測る。加えたのは、%K と位置の恒等性を件数で確かめたこと、到達率を位置と並べて、差を区分ごとに出したこと、同じ差を合成乱数でも測り、残りが実在することと、その大きさを分けたことである。
1. 記法と問い
ストキャスティクスは次のように作られる。
| 線 | 定義 |
|---|---|
| %K | 100 ×(終値 − 直近 n 本の安値)÷(直近 n 本の高値 − 直近 n 本の安値) |
| %D | %K の 3 本単純移動平均 |
期間 n は 14 が広く使われる。読み方は「80 以上で買われすぎ、20 以下で売られすぎ」である。
観察 1.1:%K の式は、直近の高安の幅の中で終値がどこにあるかをそのまま書いたものである。これは定義から出る。
観察 1.2:ここで気をつけるべきことがある。位置には、任意停止定理から来る意味がある。 ドリフトの無い過程では、上の端に近いほど、上の端に先に触れる確率が高い。 しかもその確率は、位置そのものに等しい。
観察 1.3:だから「%K が 90 のとき、上に先に触れる確率は 90%」は、驚くべきことではない。率を報告するときは、それが偶然なら何%になるかを必ず併記しなければならない。 ここでその「偶然なら」に当たるのが位置である。
問い:%K は、位置の言い換え以上のものを持っているのか。
2. 測る量と設計を、先に書く
測る量は三つである。
① 到達率、直近 n 本の高値に、安値より先に触れた割合。
② 位置、%K そのもの。①と比べる相手。
③ 方向の情報、
“`
D = 平均( 信号の符号 × これから h 本先までの値動き ) 単位 pips
“`
信号は %K が 80 以上なら −1(売り)、20 以下なら +1(買い)、間なら 0 とする。逆張りの読み方である。順張りは符号の反転なので測らない。
設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)
| 項目 | 決めたこと |
|---|---|
| 指標 | %K・期間 14 |
| 足 | 1 時間足・中値・完成足の終値のみ |
| 銘柄 | USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD |
| 期間 | 2019–2024。選択 2019–2021 / 評価 2022–2024 |
| 先までの長さ | h = 14(一期間ぶん) |
| 分離子 | 到達率を、位置と並べて読むかどうか |
| 到達の判定 | その足の次から 14 本のうち、直近 14 本の高値に先に触れたか安値に先に触れたか。どちらにも触れなければ「決着せず」として外す |
| 閾値 | 30/70・20/80・10/90(標準は 20/80) |
| 期間 n | 5・14・21(標準は 14) |
観察 2.1:「決着せず」を外すことには偏りがありうる。近い方の端に先に触れやすいので、決着した中では近い側が過剰に出る。 この偏りは第7節の基準線で扱う。乱数にも同じ打ち切りをかけてある。
本数は USDJPY 36,534 本・EURUSD 36,554 本・GBPUSD 36,535 本・XAUUSD 34,892 本である。
3. %K は位置と同じ式か
計算 3.1 %K と位置の差
| 銘柄 | 比べた件数 | 差の最大 | 差が 1e-9 を超えた件数 |
|---|---|---|---|
| USDJPY | 36,521 | 0.00e+00 | 0 |
| EURUSD | 36,541 | 0.00e+00 | 0 |
| GBPUSD | 36,522 | 0.00e+00 | 0 |
| XAUUSD | 34,879 | 0.00e+00 | 0 |
観察 3.2:四銘柄あわせて 144,463 回の比較で、差の最大は 0.00e+00 である。一件も違わない。
観察 3.3:これは発見ではない。定義からの帰結である。 本稿が加えたのは、それを件数で確かめたことだけである。だが確かめておく意味はある。この先の節は、すべて「%K は位置である」という前提の上に立つからである。
4. 到達率を、位置と並べて読む、これが分離子である
計算 4.1 %K の五区分ごとの到達率と位置(評価期間)
| 銘柄 | %K の区分 | 件数 | 到達率 | 位置の平均 | 差(ポイント) |
|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 0–20 | 2,412 | 7.5456% | 10.4455% | −2.8999 |
| USDJPY | 20–40 | 2,511 | 25.7268% | 29.7512% | −4.0244 |
| USDJPY | 40–60 | 2,399 | 50.1042% | 50.1165% | −0.0123 |
| USDJPY | 60–80 | 3,060 | 76.8954% | 70.6253% | +6.2701 |
| USDJPY | 80–100 | 4,636 | 94.0897% | 90.3830% | +3.7068 |
| EURUSD | 0–20 | 3,527 | 7.1732% | 9.6480% | −2.4747 |
| EURUSD | 20–40 | 2,582 | 27.2270% | 29.5001% | −2.2732 |
| EURUSD | 40–60 | 2,516 | 50.5167% | 49.9601% | +0.5566 |
| EURUSD | 60–80 | 2,620 | 74.5420% | 70.4964% | +4.0456 |
| EURUSD | 80–100 | 3,470 | 92.8818% | 90.2339% | +2.6480 |
| GBPUSD | 0–20 | 3,414 | 6.9420% | 9.6382% | −2.6962 |
| GBPUSD | 20–40 | 2,650 | 26.6038% | 29.6512% | −3.0475 |
| GBPUSD | 40–60 | 2,447 | 51.6551% | 50.1226% | +1.5325 |
| GBPUSD | 60–80 | 2,774 | 73.2877% | 70.4117% | +2.8759 |
| GBPUSD | 80–100 | 3,568 | 92.9372% | 90.3706% | +2.5667 |
| XAUUSD | 0–20 | 2,879 | 6.4953% | 10.3655% | −3.8702 |
| XAUUSD | 20–40 | 2,585 | 27.1180% | 29.5490% | −2.4310 |
| XAUUSD | 40–60 | 2,352 | 52.3810% | 50.0242% | +2.3568 |
| XAUUSD | 60–80 | 2,818 | 73.7048% | 70.2498% | +3.4550 |
| XAUUSD | 80–100 | 3,623 | 93.4309% | 89.9499% | +3.4810 |
観察 4.2:%K が 80 以上の区分では、到達率が 94.0897% に達する。 ここで止めれば「ストキャスティクスは九割当たる」と読める。
観察 4.3:だがその区分の位置の平均は 90.3830% である。 到達率は位置の上に乗っているだけで、差は 3.7068 ポイントにすぎない。
観察 4.4:到達率 94.0897% を 50% と比べてはいけない。 比べる相手は位置の 90.3830% である。50% と比べると 44 ポイントの差に見え、位置と比べると 3.7068 ポイントになる。どちらを分母に置くかで、話が十倍以上変わる。
観察 4.5:二十の区分すべてで、差の中央は +1.0445 ポイント(最小 −4.0244・最大 +6.2701)である。位置そのものは 9.6382% から 90.3830% まで動くので、残りは一桁以上小さい。
観察 4.6:差には形がある。下の二区分(0–20 と 20–40)は四銘柄すべて負、上の二区分(60–80 と 80–100)は四銘柄すべて正である。位置が高いほど、位置が言う以上に上へ行く。 これは順張りの向きである。

図1:左が到達率と位置(破線が「到達率 = 位置」の線)、右がその差。点は破線の上にほぼ乗り、差は −4 から +6 ポイントの帯に収まる。
5. 方向の情報
計算 5.1 逆張りの信号で測る(h = 14)
| 銘柄 | 期間 | 件数 | D(全体) | Dd(日次) | 日次 t | 件/日 | spr |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 選択 | 7,566 | −1.4198 | 1.3609 | 1.71 | 9.0 | 0.30 |
| USDJPY | 評価 | 7,857 | −4.3700 | −0.8046 | −0.46 | 9.0 | 0.60 |
| EURUSD | 選択 | 8,029 | 1.2200 | 2.8119 | 4.15 | 9.0 | 0.30 |
| EURUSD | 評価 | 7,874 | 1.3966 | 3.0813 | 3.65 | 9.0 | 0.30 |
| GBPUSD | 選択 | 8,247 | −0.4876 | 2.2540 | 2.06 | 10.0 | 0.90 |
| GBPUSD | 評価 | 7,864 | 1.2378 | 3.6650 | 3.26 | 9.0 | 0.90 |
| XAUUSD | 選択 | 6,882 | −6.4170 | 4.6595 | 1.59 | 8.0 | 3.37 |
| XAUUSD | 評価 | 7,384 | −5.5671 | 3.7955 | 1.23 | 9.0 | 3.57 |
観察 5.2:評価期間で日次 t の絶対値が 2 以上のセルは 4 のうち 2 である。偶然なら およそ 0.2 セルなので、ここで止めれば「効いている」と読める。
観察 5.3:全体の平均の絶対値は 4 銘柄すべてでスプレッドを上回る。
観察 5.4:だが全体の平均と日次平均で符号が食い違うセルがある。USDJPY の選択期間は全体で −1.4198、日次で 1.3609 である。XAUUSD は評価期間で全体 −5.5671、日次 3.7955 である。件数の多い日が全体の平均を作っている。
観察 5.5:そして一日あたり 8.0 から 10.0 件建てており、先までの長さは 14 本である。重なりを疑うべき形がそろっている(第7節)。
6. 閾値と期間を動かす
計算 6.1 閾値を動かす(評価期間・n = 14)
| 銘柄 | 30/70 割合 | 30/70 D | 20/80 割合 | 20/80 D | 10/90 割合 | 10/90 D |
|---|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 64.1646% | −3.7989 | 44.0302% | −4.3700 | 21.5281% | −5.8229 |
| EURUSD | 63.4118% | 1.1003 | 44.0668% | 1.3966 | 22.3464% | 2.2414 |
| GBPUSD | 63.4833% | 0.7755 | 44.0472% | 1.2378 | 22.3509% | 1.5719 |
| XAUUSD | 63.3095% | −3.3704 | 42.2578% | −5.5671 | 19.6456% | −5.8436 |
計算 6.2 期間を動かす(評価期間・閾値 20/80)
| 銘柄 | n=5 割合 | n=5 D | n=14 割合 | n=14 D | n=21 割合 | n=21 D |
|---|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 42.1383% | −0.9813 | 44.0302% | −4.3700 | 45.0434% | −6.6558 |
| EURUSD | 43.5079% | 0.2794 | 44.0668% | 1.3966 | 43.7874% | 0.0611 |
| GBPUSD | 43.5773% | 0.5485 | 44.0472% | 1.2378 | 43.4989% | 1.0924 |
| XAUUSD | 41.2918% | −0.9963 | 42.2578% | −5.5671 | 41.9548% | −3.9114 |
観察 6.3:閾値を 70 から 90 へ動かすと、選ぶ割合は 64.1646% から 21.5281% へ三分の一になる。閾値は、どれだけ端に寄った場面を拾うかを決めている。
観察 6.4:一方で期間を 5 から 21 へ動かしても、割合は 41.2918% から 45.0434% の範囲しか動かない。%K は位置なので、期間を変えても「端に寄っている時間の割合」はあまり変わらない。 動くのは閾値の方である。
観察 6.5:ただし方向の情報は期間で大きく動く(USDJPY は −0.9813 から −6.6558)。割合が動かないのに D が動くのは、拾う場面の中身が変わっているからである。
7. 重複を除く。そして基準線
計算 7.1 区間が重ならない形で測り直す(評価期間)
| 銘柄 | 重複あり件数 | D | 日次 t | 重複なし件数 | D | t |
|---|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 7,857 | −4.3700 | −0.46 | 544 | −4.4593 | −1.06 |
| EURUSD | 7,874 | 1.3966 | 3.65 | 545 | −0.4854 | −0.32 |
| GBPUSD | 7,864 | 1.2378 | 3.26 | 565 | 2.9485 | 1.07 |
| XAUUSD | 7,384 | −5.5671 | 1.23 | 506 | −9.2515 | −0.70 |
観察 7.2:日次 t の絶対値が 2 以上のセルは 4 のうち 2 から 4 のうち 0 になる。EURUSD は 3.65 から −0.32 へ落ち、符号も変わる。
観察 7.3:件数は 7,857 から 544 へ減る。検出力は大きく下がる。「0 に落ちた」は「無い」ではなく、この件数では見えないである。
計算 7.4 基準線、足の中まで合成乱数で作った系列(20 系列・評価期間)
| 銘柄 | 実測 D | 乱数 D の中央 | 乱数の最小 | 乱数の最大 | 幅の中か | 乱数の到達率−位置 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | −4.3700 | −0.0935 | −1.7048 | 4.3591 | いいえ | 0.1594 |
| EURUSD | 1.3966 | −0.0437 | −1.1456 | 2.9371 | はい | 0.1946 |
| GBPUSD | 1.2378 | −0.0983 | −1.6868 | 4.3034 | はい | 0.1612 |
| XAUUSD | −5.5671 | −0.7680 | −4.3560 | 10.2720 | いいえ | 0.1001 |
観察 7.5:乱数での「到達率 − 位置」は 0.1001 から 0.1946 ポイントである。 実測の中央は +1.0445 だった。乱数にも同じ打ち切り(決着しなければ外す)をかけてあるので、この差は打ち切りの偏りでは説明できない。 第4節の残りは実在する。
観察 7.6:ただし大きさを見ること。 位置そのものは 9.6382% から 90.3830% まで動く。その上に乗っている残りは中央 +1.0445 ポイントである。説明されるもののほぼ全部が位置であり、残りはその外側の小さな分である。
観察 7.7:方向の情報の側では、4 銘柄のうち 2 銘柄で実測が乱数の幅の外に出る。ただし外に出た二つ(USDJPY −4.3700・XAUUSD −5.5671)はどちらも負である。逆張りの信号で負ということは、順張りの側の話になる。第4節で見た「位置が高いほど位置が言う以上に上へ行く」と向きが合う。
8. 時間帯で分ける
設計:協定世界時で重ならない五区分に分ける。
計算 8.1 五区分それぞれの方向の情報(評価期間)
| 銘柄 | 東京 0–7 | ロンドン 7–12 | 重複 12–16 | NY後半 16–21 | 夜間 21–24 |
|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | −4.49(t 0.43) | −4.57(t 0.40) | −2.05(t 1.36) | −3.70(t −0.11) | −8.73(t −1.31) |
| EURUSD | 1.39(t 1.18) | 1.59(t 1.60) | 2.53(t 4.44) | 0.97(t 2.71) | 0.23(t 0.59) |
| GBPUSD | 0.46(t 0.86) | 0.77(t 2.23) | 2.79(t 3.57) | 2.17(t 3.13) | 0.22(t 0.09) |
| XAUUSD | −5.83(t 0.95) | −8.82(t −0.07) | −7.58(t 0.81) | −1.97(t 2.01) | −1.68(t −0.03) |
観察 8.2:日次 t の絶対値が 2 以上になったセルは 20 のうち 6 である。偶然なら およそ 0.9 セルなので、実測は大きく上回る。
観察 8.3:だがこの表は重複を除いていない。 第7節で、重複を除くと同じ種類の t が 2 から 0 へ落ちた。六つという数は、そのまま読めない。
観察 8.4:六つのうち五つは EURUSD と GBPUSD で、重複時間帯(12–16 時)に集まっている。ただし方向の情報そのものは 2.53 と 2.79 pips で、スプレッド(0.30 と 0.90)は上回るが、重複の補正を入れていない。ここから先は、重複を除いた上で測り直す必要がある。本稿はそこまでやっていない。

図2:棒が選択期間と評価期間の方向の情報、破線がスプレッドである。符号が銘柄でそろわない。
9. 限界
- 「決着せず」を外している。 14 本のうちにどちらの端にも触れなかった場面は測定から外れる。偏りは基準線で扱ったが、外した件数そのものは報告していない。
- 重複を除くと件数が 506 から 565 まで減る。 この件数では、スプレッドの数倍の効果でも見えない。
- 時間帯の表は重複の補正を入れていない(観察 8.3)。六つという数はそのまま読めない。
- %D と %K の交差を扱っていない。 二本の線の交差は位置の話ではないので、本稿の外にある。
- 格子を一つしか使っていない。 1 時間足に固定してある。
- 合成乱数は独立な正規増分である。 ボラティリティの群れは入っていない。第4節の残りの一部がそこから来ている可能性があるが、測っていない。
- 四銘柄・六年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。
結び
%K が 80 を超えたとき、上の端に先に触れる割合は 94.0897% である。九割を超える。だがその場面の位置の平均は 90.3830% で、差は 3.7068 ポイントにすぎない。
%K と位置は、144,463 回の比較で一件も違わなかった。 名前が違うだけの同じ式である。だから到達率が位置に乗るのは、当たり前である。
そのうえで、位置が言う以上に上へ行く分は実在した。二十区分の差の中央は +1.0445 ポイントで、合成乱数の 0.1001 から 0.1946 とは分かれる。だが位置そのものが 9.6382% から 90.3830% まで動くのと比べると、残りは一桁以上小さい。
分けるものは一つ、率を報告するとき、比べる相手を 50% に置くか、位置に置くか、である。 50% に置けば 44 ポイントの差に見え、位置に置けば 3.7068 ポイントになる。
そして本稿が測れたのは、%K を閾値で切る読み方だけである。%D との交差については、ここでは何も答えていない。
データと再現
| データ | 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy |
| 期間 | 2019–2024(六年)。選択 2019–2021 / 評価 2022–2024 |
| 銘柄 | USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD |
| 足 | 1 時間足・中値・完成足の終値のみ。ティックの無い足は作らない |
| 検算 | 検算/F006.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F006_output.txt から取っている |
| 図 | 図/F006_zu1・図/F006_zu2(png・svg・英語版) |
| 乱数の種 | 0〜19 に固定。再実行しても同じ値が出る |
| 土台の検査 | _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt |
参考文献
- 山岸勇輝 (2026). 閾値は格子に属する [論文264]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22169720
- 山岸勇輝 (2026). 表は当たっているのに、売買は負ける [論文423]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22700114
- 山岸勇輝 (2026). MACD のゼロ交差は、移動平均のクロスと同じものである [F005]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22881227
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「ストキャスティクスの %K は、レンジ内の位置そのものである」[F006]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22881505
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F006・DOI 10.5281/zenodo.22881505・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). ストキャスティクスの %K は、レンジ内の位置そのものである [F006]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F006 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22881505
Yamagishi, Y. (2026). The %K of Stochastics Is the Position in the Range Itself [F006]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F006; DOI: 10.5281/zenodo.22881505
@misc{yamagishi2026yoiF006,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {The %K of Stochastics Is the Position in the Range Itself},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F006},
doi = {10.5281/zenodo.22881505},
note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
58d090462c5b7d6a731e769ec9e5094f629cf6394c2900cd8c042d9c238aa0da yamagishi_F006_k_20260922_jp.pdfa5967656fc66b201c43f0dd6674c885043cad20de1c559c54eb08c28eed343ef yamagishi_F006_k_20260922_en.pdfPDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。