Yamagishi Complexity Torus Lab山岸勇輝ラボ

【M051】20〜29 歳の女性のやせの割合は、2004〜2023 年の 18 年ではっきりした傾きがなく、年ごとの揺れも人数の少なさで説明がつく

要旨

国民健康・栄養調査のやせの者(BMI 18.5 未満)の割合を、2004〜2017 年の年次推移の表と 2017〜2023 年の BMI の状況の表をつないで、20 歳以上の男女・6 つの年齢区分ごとに並べた(18 年)。若い女性のやせは年でどれだけ動いたか、年ごとの揺れは人数の少なさで説明がつくか、どの年齢で変わったかを確かめた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。2017 年の二つの表は一致し、2023 年の表から、厚生労働省の結果の概要の「20~30 歳代女性のやせの者の割合 20.2%」(337 人中 68 人)と女性全体の 12.0 % をそのまま出せる(第3節)。

第二に、20〜29 歳の女性は、前の 5 年(2004〜2008 年)22.68 %、後の 5 回(2017〜2023 年)21.14 % で、18 年の傾きは −1.27 ポイント/10 年、標準誤差の 1.23 倍にとどまる。 30〜39 歳も +0.66 倍で、はっきりした傾きはない(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。20〜29 歳の年ごとの揺れは、人数の少なさで説明がつく。 2017〜2023 年の 5 回は 21.7・19.8・20.7・19.1・24.4 % と動いて見えるが、人数は 119〜177 人しかなく、人数から見込む標準誤差は 3.06〜3.73 ポイント。ずれの二乗和 ÷ 標準誤差の二乗 は 1.32(自由度 4)で、18 年の直線からの揺れ 2.44 もこの標準誤差より小さい(第5節)。

第四に、はっきり上がったのは 50〜69 歳である。 50〜59 歳は 5.44 % → 10.30 %(1.89 倍、傾きは標準誤差の 5.66 倍)、60〜69 歳は 6.20 % → 10.00 %(1.61 倍、5.75 倍)、40〜49 歳も 1.24 倍(2.74 倍)。女性の総数も +1.20 ポイント上がった(第4節)。

第五に、その上がりの 0.665〜0.687 は 2011〜2015 年までに起きていた。 結果の概要の 10 年(2013〜2023 年)に窓を絞ると、女性の総数・50〜59・60〜69 歳の傾きは標準誤差の 2 倍より小さく、「女性では有意な増減はみられない」という結果の概要と食い違わない(第6節)。

第六に、分けるのは割合が動いたのか、数えた人が少なくて揺れたのか。一つの年の「若い女性のやせが増えた・減った」は、百数十人の揺れの中に収まることがある。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。割合と人数は公開の表にあり、本稿は二つの時期の平均、直線の傾き、人数から見込む揺れを比べただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 体型の良し悪しを言わない。やせを良いとも悪いとも言わない。 割合が動いた理由(食事・仕事・生まれた年など)には立ち入らない。 標準誤差は単純な抽出を仮定した目安で、調査の設計の効きは入っていない。2004〜2016 年の人数は表に無いので、揺れの比べ方は 2017〜2023 年の人数で行った。2012・2016 年は全国補正値の年で、2024 年は使わない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。 データについて:国民健康・栄養調査(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に、厚生労働省の結果の概要は公共データ利用規約(第1.0版)に従って使い、本稿の平均・差・傾き・揺れの比べ方はそれを加工して作成した。本稿が加えたこと:20〜29 歳の女性のやせの割合の年ごとの揺れが人数から見込む揺れの中にあり、はっきり上がったのは 50〜69 歳であることを、18 年の年齢別の表で示したこと。

1. 記号と問い

  • やせの者の割合:BMI 18.5 未満の人の割合(妊婦除外)。
  • 前の 5 年:2004〜2008 年。後の 5 回:2017・2018・2019・2022・2023 年。
  • 傾き:18 年すべての点に直線を当てたときの、10 年あたりのポイント。「傾き ÷ 標準誤差」が 2 を超えるものを、はっきりした傾きとして書く。
  • 人数から見込む揺れ:人数で重みづけた平均の割合 p と各回の人数 n から √(p(1−p)/n) を標準誤差とし、各回のずれを標準誤差で割って二乗して足す(5 回なら自由度 4、95 % 点は 9.49)。

問い:若い女性のやせの割合は、年でどれだけ動いたか。年ごとの揺れは人数の少なさで説明がつくか。どの年齢で変わったか。

観察 1.1:M050 は、同じ表の肥満者の割合で、女性の「平ら」が年齢ごとの逆向きの動きの打ち消しであることを示した。本稿は、やせの割合で、一つずつの年の揺れと、何年かにわたる動きを分ける。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 国民健康・栄養調査 平成29年 第94表の3(やせの者の割合の年次推移 2004〜2017 年)、平成29年 第18表の1・平成30年〜令和5年 第17表の1(BMI の状況)
年 2004〜2019・2022・2023 年の 18 年(2020・2021 年は調査中止)
物差し 前の 5 年と後の 5 回の平均、18 年の傾き、人数から見込む揺れ、2013〜2023 年に窓を絞った傾き
下見で気づいたこと 20〜29 歳の女性は年ごとに大きく揺れるが、何年かの平均では動いておらず、50〜59 歳と 60〜69 歳が倍近くに上がっていた
見込みと実測 20〜29 歳の女性の 18 年の傾きは標準誤差より小さいと見込んでいたが、実測は 1.23 倍だった(2 倍より小さいので、はっきりした傾きとは書かない)

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 7 本のファイル(表 6 本と令和5年の結果の概要)を SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 年次推移の表は第94表の3で、2004〜2017 年の 14 年に、男女それぞれの総数・年齢調整値・6 つの年齢区分がある。
  • 2017〜2023 年の BMI の状況の表に、男女の 6 つの年齢区分と 20 歳以上のやせの人数と割合があり、割合 = 人数 ÷ 総数。2017 年の割合は年次推移の表の 2017 年と 0.05 以内で一致する。
  • 令和5年の結果の概要に、やせの者の割合は女性 12.0 % で「この10年間でみると、女性では有意な増減はみられない」、「20~30歳代女性のやせの者の割合は20.2%」とある。2023 年の表の女性 20 歳以上は 12 %、20〜39 歳は 20.2 %(337 人中 68 人)で一致する。

4. 前の 5 年と後の 5 回、18 年の傾き

計算 4.1 女性のやせの者の割合(%)

年齢 前の 5 年 後の 5 回 倍 傾き(ポイント/10 年) 傾き ÷ 標準誤差
20〜29 歳 22.68 21.14 0.93 -1.27 -1.23
30〜39 歳 15.94 16.36 1.03 +0.57 +0.66
40〜49 歳 8.90 11.08 1.24 +1.61 +2.74
50〜59 歳 5.44 10.30 1.89 +3.27 +5.66
60〜69 歳 6.20 10.00 1.61 +2.90 +5.75
70 歳以上 9.58 9.32 0.97 -0.06 -0.13
総数 10.06 11.26 1.12 +0.92 +3.47

計算 4.2 男性のやせの者の割合(%)

年齢 前の 5 年 後の 5 回 倍 傾き(ポイント/10 年) 傾き ÷ 標準誤差
20〜29 歳 9.06 10.24 1.13 +0.79 +0.87
30〜39 歳 3.38 4.10 1.21 +0.52 +1.22
40〜49 歳 2.40 2.20 0.92 +0.03 +0.11
50〜59 歳 3.56 2.98 0.84 -0.19 -0.49
60〜69 歳 3.16 3.04 0.96 -0.15 -0.50
70 歳以上 6.68 4.70 0.70 -1.45 -2.88
総数 4.44 4.06 0.91 -0.22 -1.68

観察 4.3:20〜29 歳の女性は 22.68 % → 21.14 % で、傾きは標準誤差の 1.23 倍(下向き)にとどまる。 30〜39 歳も 0.66 倍。はっきり上がったのは 50〜59 歳(1.89 倍・傾き ÷ 標準誤差 5.66)と 60〜69 歳(1.61 倍・5.75)で、40〜49 歳(1.24 倍・2.74)が続く。男性では、傾き ÷ 標準誤差の大きさが 2 を超えるのは 70 歳以上(0.70 倍・−2.88)だけだった。

図1 やせの者の割合:前の 5 年と後の 5 回

図1:年齢区分ごとのやせの者の割合。水色が 2004〜2008 年、紺が 2017〜2023 年の 5 回の平均。

5. 芯、若い女性の揺れは、人数の少なさの中

計算 5.1 2017〜2023 年の 5 回の揺れと、人数から見込む揺れ(女性)

年齢 5 回の割合(%) 人数 人数から見込む標準誤差 ずれの二乗和 ÷ 標準誤差の二乗
20〜29 歳 21.7・19.8・20.7・19.1・24.4 119〜177 3.06〜3.73 1.32
30〜39 歳 13.4・19.3・16.4・14.8・17.9 196〜295 2.16〜2.65 4.23
40〜49 歳 10.6・10.5・12.9・9.7・11.7 274〜436 1.50〜1.89 2.13
50〜59 歳 10.1・10.4・10.6・9.5・10.9 347〜452 1.43〜1.63 0.45

観察 5.2:20〜29 歳の女性の 5 回は 21.7・19.8・20.7・19.1・24.4 % と動いて見えるが、人数は 119〜177 人で、人数から見込む標準誤差は 3.06〜3.73 ポイントある。 ずれの二乗和 ÷ 標準誤差の二乗 は 1.32 で、自由度 4 の 95 % 点 9.49 よりずっと小さい。18 年の直線からの揺れ(標準偏差)2.44 も、この標準誤差より小さい。一つの年の上がり下がりは、数えた人の少なさの中に収まる。

図2 女性:20〜29 歳と 50〜69 歳

図2:女性の 20〜29 歳・50〜59 歳・60〜69 歳のやせの者の割合と、20〜29 歳に当てた直線(点線)。横軸は調査の年の下 2 桁。灰色は調査中止の 2020・2021 年。

6. 結果の概要の 10 年と、上がった時期

計算 6.1 窓を 2013〜2023 年(9 回)に絞った傾き(女性)

年齢 傾き(ポイント/10 年) 傾き ÷ 標準誤差
総数 +0.35 +0.49
20〜29 歳 +1.72 +0.82
40〜49 歳 +0.35 +0.34
50〜59 歳 +1.58 +1.30
60〜69 歳 +3.02 +1.84

観察 6.2:2013〜2023 年に絞ると、女性の総数・50〜59・60〜69 歳の傾きは標準誤差の 2 倍より小さい。 50〜59 歳は 2004〜2008 年 5.44 %・2011〜2015 年 8.78 %・後の 5 回 10.30 %、60〜69 歳は 6.20・8.73・10.00 % で、上がりの 0.687・0.665 は 2011〜2015 年までに起きていた。 結果の概要の「女性では有意な増減はみられない」は、この窓の話であり、18 年で見た上がりと食い違わない。

7. 限界

  1. 標準誤差は単純な抽出を仮定した目安で、調査の設計の効きは入っていない。実際の揺れはこれより大きくなりうるので、「人数で説明がつく」は控えめな言い方である。
  2. 2004〜2016 年の人数は表に無いので、年ごとの揺れの比べ方は 2017〜2023 年の人数で行った。
  3. 直線の傾きは 18 年の平均の向きで、途中の形(上がってから平らになる、など)は表さない。
  4. 2012・2016 年は全国補正値の年である(年次推移の表のまま使った)。
  5. 割合が動いた理由、体型の良し悪しには立ち入らない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

国民健康・栄養調査の 18 年で、20〜29 歳の女性のやせの割合は 22.68 % から 21.14 % と、はっきりした傾きがなかった。年ごとの揺れは、百数十人という人数から見込む揺れの中に収まっていた。はっきり上がったのは 50〜59 歳(1.89 倍)と 60〜69 歳(1.61 倍)で、その多くは 2015 年ごろまでに起きていた。

分けているものは一つ、割合が動いたのか、数えた人が少なくて揺れたのか。

「若い女性のやせが増えた(減った)」と聞いたら、その年に何人を数えたか、何年かの平均でも動いているかを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 国民健康・栄養調査(厚生労働省・e-Stat)平成29年 第94表の3・第18表の1、平成30年・令和元年・令和4年・令和5年 第17表の1、令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)、厚生労働省のページは公共データ利用規約(第1.0版)に従う。本稿の平均・差・傾き・揺れの比べ方は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・20 歳以上・2004〜2019・2022・2023 年
検算 検算/M051.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M051_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 7 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M051_zu1・図/M051_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 国民健康・栄養調査 平成29年 第94表の3・第18表の1、平成30年・令和元年・令和4年・令和5年 第17表の1. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 厚生労働省. 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026年9月26日に利用). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  • 山岸勇輝 (2026). 肥満者の割合は、男性では 6 つの年齢区分すべてで上がったのに、女性の年齢調整した割合は −0.09 ポイントと平ら、女性は 20〜29 歳で +2.80、60〜69 歳で −2.36 と、上がる年齢と下がる年齢が打ち消していた [M050]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974804

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「20〜29 歳の女性のやせの割合は、2004〜2023 年の 18 年ではっきりした傾きがなく、年ごとの揺れも人数の少なさで説明がつく」[M051]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22974868

YOI M051医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M051・DOI 10.5281/zenodo.22974868・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 20〜29 歳の女性のやせの割合は、2004〜2023 年の 18 年ではっきりした傾きがなく、年ごとの揺れも人数の少なさで説明がつく [M051]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M051 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22974868

Yamagishi, Y. (2026). The Share Underweight Among Women Aged 20–29 Shows No Clear Trend over 18 Years (2004–2023), and Its Year-to-Year Swings Are Explained by Small Numbers [M051]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M051; DOI: 10.5281/zenodo.22974868

@misc{yamagishi2026yoiM051,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {The Share Underweight Among Women Aged 20–29 Shows No Clear Trend over 18 Years (2004–2023), and Its Year-to-Year Swings Are Explained by Small Numbers},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M051},
  doi = {10.5281/zenodo.22974868},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
91771b4f2177b7933d89161a13f346593109b2717d2c8d481d1dd5eeb16c766c yamagishi_M051_share_underweight_among_women_aged_20_29_20260926_jp.pdf
3b4939abb83c97f918facfc8b74330c49f704a0bcf2f3740b3622bb9ecccf981 yamagishi_M051_share_underweight_among_women_aged_20_29_20260926_en.pdf

PDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。