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【M050】肥満者の割合は、男性では 6 つの年齢区分すべてで上がったのに、女性の年齢調整した割合は −0.09 ポイントと平ら

要旨

国民健康・栄養調査の肥満者(BMI 25 以上)の割合を、2004〜2017 年の年次推移の表と 2017〜2023 年の BMI の状況の表をつないで、20 歳以上の男女・6 つの年齢区分ごとに並べた(18 年)。総数の年次の形が男女で違うとき、それが年齢ごとにどう違うのかを確かめた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。2017 年の BMI の状況の表の割合は年次推移の表の 2017 年と一致し、年齢調整の重み(平成22年国勢調査の基準人口の 6 区分)を年次推移の表の 28 の年齢調整値から取り出すと、28 の値を最大 0.0406 の差で戻せる(第3節)。

第二に、男性は 6 つの年齢区分すべてで上がった。 前の 5 年(2004〜2008 年)より後の 5 回(2017・2018・2019・2022・2023 年)のほうが、どの区分も +1.76〜+4.32 ポイント高く、総数は +2.68、年齢調整は +2.82 ポイント(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。女性の年齢調整した割合は −0.09 ポイントと平らなのに、年齢ごとには平らではない。 20〜29 歳 +2.80、30〜39 歳 +2.46、40〜49 歳 +0.14 に対し、50〜59 歳 −2.00、60〜69 歳 −2.36、70 歳以上 −0.92 で、上がる年齢と下がる年齢が打ち消している(第4節)。

第四に、一つずつの年齢区分の差は、標準誤差の目安(5 回平均で 0.72〜1.78)の 1〜2 倍ほどしかない。 そこで 18 年すべての点に直線を当てると、傾きが標準誤差の 2 倍を超えるのは、男性の総数(+1.69 ポイント/10 年)・年齢調整(+1.80)と 50〜59・60〜69・70 歳以上、女性の 20〜29 歳(+2.37)と 60〜69 歳(−2.11)・70 歳以上(−1.28)。女性の総数と年齢調整の傾きは標準誤差より小さい(第5節)。

第五に、女性の総数(20 歳以上)は +0.68 ポイントと、年齢調整(−0.09)より上がって見える。 総数 − 年齢調整 の開きが 1.36 から 2.14 へ広がったぶんで、答えた人の年齢の並びが肥満の割合の高い年齢の側へ寄ったためである(M049)。厚生労働省の結果の概要も、女性では 10 年間に有意な増減はみられず、男性では 2013〜2019 年に有意に増加したとしている(第6節)。

第六に、分けるのはどの年齢も動かなかったか、上がる年齢と下がる年齢が打ち消したか。「平ら」という一つの答えの下に、年齢ごとに逆向きの動きが入っていることがある。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。割合と年齢調整値は公開の表にあり、本稿は二つの時期の平均と直線の傾きを比べ、年齢調整の重みを取り出しただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 体型の良し悪しを言わない。 年齢ごとの割合が動いた理由(食事・運動・生まれた年など)には立ち入らない。 年齢区分ごとの人数は 2023 年で男性 138〜618 人・女性 119〜717 人で、年ごとの割合は大きく揺れる(女性の 60〜69 歳は 2004 年 29.9 % から 2013 年 21.5 % まで下がり、2019 年には 28.1 % に戻っている)。標準誤差は単純な抽出を仮定した目安で、調査の設計の効きは入っていない。2012・2016 年は全国補正値の年で、2024 年は使わない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。 データについて:国民健康・栄養調査(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に、厚生労働省の結果の概要は公共データ利用規約(第1.0版)に従って使い、本稿の平均・差・傾き・重みはそれを加工して作成した。本稿が加えたこと:女性の肥満者の割合の年齢調整した値が平らなのは、若い年齢の上がりと 50 歳以上の下がりが打ち消した結果であることを、18 年の年齢別の表で示したこと。

1. 記号と問い

  • 肥満者の割合:BMI 25 以上の人の割合(妊婦除外)。
  • 前の 5 年:2004〜2008 年。後の 5 回:2017・2018・2019・2022・2023 年。それぞれの年の割合を単純に平均する。
  • 年齢調整:6 つの年齢区分の割合に、平成22年国勢調査の基準人口の重みを掛けて足した値。2017 年までは表の値、2018 年からは取り出した重みで計算した。
  • 傾き:18 年すべての点に直線を当てたときの、10 年あたりのポイント。

問い:肥満者の割合の年次の形は、男女で同じか。総数が平らなのは、どの年齢も平らだからか。

観察 1.1:M049 は、20 歳以上の平均の動きのうち、答えた人の年齢構成の分が指標によって向きも大きさも違うことを示した。本稿は同じ調査の肥満者の割合で、年齢調整したあとにも残る、年齢ごとの逆向きの動きを見る。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 国民健康・栄養調査 平成29年 第94表の2(肥満者の割合の年次推移 2004〜2017 年)、平成29年 第18表の1・平成30年〜令和5年 第17表の1(BMI の状況)
年 2004〜2019・2022・2023 年の 18 年(2020・2021 年は調査中止)
物差し 前の 5 年と後の 5 回の平均の差、18 年の直線の傾き、年齢調整値
下見で気づいたこと 女性の総数はほぼ平らなのに、20〜29 歳と 60〜69 歳が逆向きに動いていた
見込みと実測 年齢区分ごとの差は、一つずつでは標準誤差の目安の 1〜2 倍ほどにとどまった。そこで 18 年の傾きも測り、2 倍を超えたものだけを強く書いた

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 7 本のファイル(表 6 本と令和5年の結果の概要)を SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 年次推移の表は第94表の2で、2004〜2017 年の 14 年に、男女それぞれの総数・年齢調整値・6 つの年齢区分がある。注に「平成24年、28年は抽出率等を考慮した全国補正値」と、年齢調整値は平成22年国勢調査の基準人口(6 区分)とある。
  • 2017〜2023 年の BMI の状況の表に、男女の 6 つの年齢区分と 20 歳以上の肥満の人数と割合があり、割合 = 人数 ÷ 総数。2017 年の割合は年次推移の表の 2017 年と 0.05 以内で一致する。
  • 令和5年の結果の概要に、肥満者の割合は「この10年間でみると、女性では有意な増減はみられないのに対し、男性では平成25年から令和元年の間に有意に増加し、その後有意な増減はみられない」とある。

計算 3.2 年齢調整の重み(年次推移の表の 28 の値から最小二乗で取り出した)

年齢 重み
20〜29 歳 0.1324
30〜39 歳 0.1722
40〜49 歳 0.1621
50〜59 歳 0.1570
60〜69 歳 0.1740
70 歳以上 0.2023

28 の年齢調整値は、この重みで最大 0.0406 の差で戻る。

4. 前の 5 年と後の 5 回

計算 4.1 肥満者の割合(%)の平均と差(ポイント)

年齢 男:前 男:後 男:差 女:前 女:後 女:差
20〜29 歳 19.04 22.00 +2.96 6.46 9.26 +2.80
30〜39 歳 29.54 31.30 +1.76 11.62 14.08 +2.46
40〜49 歳 33.88 35.88 +2.00 17.58 17.72 +0.14
50〜59 歳 32.28 36.60 +4.32 23.20 21.20 -2.00
60〜69 歳 31.10 34.58 +3.48 28.20 25.84 -2.36
70 歳以上 25.52 28.06 +2.54 26.40 25.48 -0.92
総数 29.14 31.82 +2.68 20.96 21.64 +0.68
年齢調整 28.74 31.56 +2.82 19.60 19.50 -0.09

観察 4.2:男性は 6 つの年齢区分すべてで後の 5 回のほうが高い(+1.76〜+4.32 ポイント)。女性は 20〜29 歳 +2.80・30〜39 歳 +2.46 と上がり、50〜59 歳 −2.00・60〜69 歳 −2.36・70 歳以上 −0.92 と下がり、年齢調整すると −0.09 ポイントで平らである。

図1 肥満者の割合:前の 5 年と後の 5 回

図1:年齢区分ごとの肥満者の割合。水色が 2004〜2008 年、紺が 2017〜2023 年の 5 回の平均。

5. 芯、一つずつでは弱く、並びで見ると逆向き

計算 5.1 18 年すべての点に当てた直線の傾き(10 年あたりのポイント)と、傾き ÷ 標準誤差

年齢 男:傾き 男:傾き ÷ 標準誤差 女:傾き 女:傾き ÷ 標準誤差
20〜29 歳 +2.31 +1.68 +2.37 +3.65
30〜39 歳 +0.58 +0.51 +1.43 +1.35
40〜49 歳 +0.95 +1.19 -0.02 -0.04
50〜59 歳 +3.08 +3.20 -1.02 -1.23
60〜69 歳 +2.37 +3.20 -2.11 -2.04
70 歳以上 +1.71 +2.68 -1.28 -2.28
総数 +1.69 +3.90 +0.23 +0.63
年齢調整 +1.80 +4.36 -0.23 -0.71

観察 5.2:前の 5 年と後の 5 回の差は、年齢区分ごとの標準誤差の目安(5 回平均で男性 0.78〜1.65、女性 0.72〜1.78)の 1〜2 倍ほどで、一つずつでは強く言えない。18 年の傾きで見ると、傾きが標準誤差の 2 倍を超えるのは、男性の総数・年齢調整と 50〜59・60〜69・70 歳以上、女性の 20〜29 歳(+2.37 ポイント/10 年)と 60〜69 歳(−2.11)・70 歳以上(−1.28)。 女性の総数(+0.23)と年齢調整(−0.23)の傾きは標準誤差より小さい。女性で平らなのは全体だけで、若い年齢と年をとった年齢は、逆向きに動いている。

図2 女性:上がる年齢と下がる年齢

図2:女性の 20〜29 歳と 60〜69 歳の肥満者の割合と、総数・年齢調整。横軸は調査の年の下 2 桁。灰色は調査中止の 2020・2021 年。

6. 総数と年齢調整の違い

観察 6.1:女性の総数(20 歳以上)は前の 5 年より +0.68 ポイント高く、年齢調整した値(−0.09)より上がって見える。 総数 − 年齢調整 の開きは、前の 5 年 1.36 から後の 5 回 2.14 へ +0.77 広がった。総数は答えた人の年齢の並びで、年齢調整は基準人口の並びで重みづけるので、この開きの広がりは、答えた人の並びが肥満の割合の高い年齢の側へ寄ったぶんである(M049 と同じ形)。男性では開きが 0.40 から 0.26 へ −0.14 で、総数 +2.68・年齢調整 +2.82 とほぼ同じだった。厚生労働省の検定(年齢調整した値)も、女性では有意な増減なし、男性では 2013〜2019 年に有意に増加としており、本稿の傾きの向きと合う。

7. 限界

  1. 年齢区分ごとの人数は 2023 年で男性 138〜618 人・女性 119〜717 人で、年ごとの割合は大きく揺れる(女性の 60〜69 歳は 2013 年の 21.5 % がいちばん低い)。一つの区分の二つの時期の差は、標準誤差の目安の 1〜2 倍ほどにとどまる。
  2. 標準誤差は単純な抽出を仮定した目安で、調査の設計(地区を選んでその中の世帯を調べる)の効きは入っていない。
  3. 2018 年以降の年齢調整値は、取り出した重みで計算した(2017 年までの 28 の値は最大 0.0406 の差で戻る)。
  4. 2012・2016 年は全国補正値の年である(年次推移の表のまま使った)。
  5. 年齢ごとの割合が動いた理由、体型の良し悪しには立ち入らない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

国民健康・栄養調査の 18 年で、男性の肥満者の割合は 6 つの年齢区分すべてで上がった。女性は年齢調整すると −0.09 ポイントと平らだったが、20〜29 歳は +2.80 ポイント上がり、60〜69 歳は −2.36 ポイント下がっていた。

分けているものは一つ、どの年齢も動かなかったか、上がる年齢と下がる年齢が打ち消したか。

「割合は変わっていない」と聞いたら、年齢ごとにも変わっていないのか、逆向きの動きが打ち消し合っているのかを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 国民健康・栄養調査(厚生労働省・e-Stat)平成29年 第94表の2・第18表の1、平成30年・令和元年・令和4年・令和5年 第17表の1、令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)、厚生労働省のページは公共データ利用規約(第1.0版)に従う。本稿の平均・差・傾き・重みは、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・20 歳以上・2004〜2019・2022・2023 年
検算 検算/M050.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M050_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 7 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M050_zu1・図/M050_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 国民健康・栄養調査 平成29年 第94表の2・第18表の1、平成30年・令和元年・令和4年・令和5年 第17表の1. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 厚生労働省. 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026年9月26日に利用). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  • 山岸勇輝 (2026). 20 歳以上の平均の動きのうち、答えた人の年齢構成の分は、指標によって向きも大きさも違う。2013→2023 年、女性の BMI の上がり 0.103 のうち 0.077、歩数の下がりの 0.140〜0.151、男性の食塩ではほぼ 0 で、カリウムでは年齢ごとの下がりの 0.375〜0.682 を打ち消す [M049]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974769

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「肥満者の割合は、男性では 6 つの年齢区分すべてで上がったのに、女性の年齢調整した割合は −0.09 ポイントと平ら」[M050]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22974804

YOI M050医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M050・DOI 10.5281/zenodo.22974804・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 肥満者の割合は、男性では 6 つの年齢区分すべてで上がったのに、女性の年齢調整した割合は −0.09 ポイントと平ら [M050]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M050 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22974804

Yamagishi, Y. (2026). The Share with Obesity Rose in All 6 Age Groups for Men, While Women's Age-Adjusted Share Is Flat at −0.09 Points [M050]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M050; DOI: 10.5281/zenodo.22974804

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  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M050},
  doi = {10.5281/zenodo.22974804},
  note = {Preprint}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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