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【論文583】包帯は細い所ほど締め、伸びる筒は太い所ほど締める

要旨

脚に巻く包帯や着圧の靴下は、ラプラスの式 $P=T/r$ で説明される。細い所ほど半径が小さいので、同じ張力なら強く締まる、と。本稿が示すのは、それは張力が巻き方で一定に決まる包帯には成り立つが、張力が伸びで決まる筒には成り立たず、まっすぐ編んだ筒はかえって太い所ほど強く締めることである。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、脚に巻いた布が押す圧力は $P=2\pi T/C$ である。$T$ は幅あたりの張力、$C$ は周長である(第1節)。

第二に、張力が一定なら、細い所ほど締まる。幅あたり $100$ N/m で巻いた包帯は足首で $\mathbf{21.4218}$ mmHg、ふくらはぎで $\mathbf{13.0911}$ mmHg、比は周長の逆比 $\mathbf{1.636364}$ である(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。張力が伸びで決まる筒では、向きが逆になる。周長 $20$ cm にまっすぐ編んだ筒は、足首で伸び $0.1$・$\mathbf{6.4265}$ mmHg、ふくらはぎで伸び $0.8$・$\mathbf{31.4186}$ mmHg で、ふくらはぎのほうが $\mathbf{4.888889}$ 倍締まる(第3節)。

第四に、伸びる筒の圧力は、周長について必ず増える。$P=2\pi K(1/C_0-1/C)$ で、$dP/dC=2\pi K/C^2>0$ である(第3節)。

第五に、足首を締める筒にするには、場所ごとに編み目の周長を変える。足首を $18$ cm に編んで $\mathbf{14.2812}$ mmHg なら、ふくらはぎを 7 割にするには $\mathbf{28.6957}$ cm に編む。筒の周長の比は $\mathbf{1.594203}$ で、脚の比 $\mathbf{1.636364}$ より少し小さい(第4節)。

第六に、分離子は、張力が巻き方で決まるか、伸びで決まるか、である。同じ式が、張力の出どころで逆の勾配を作る(第5節)。

キーワード:弾性包帯、圧迫、ラプラスの式、張力、弾性ストッキング。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。膜のラプラスの式も、線形の伸びと張力の関係も標準的である。脚を円柱とした。実際の脚は円くなく、骨の出た所では曲率が大きく、圧力も場所で変わる。生地は線形に伸びるとした。実際の編み地は伸びと張力の関係が曲がっていて、履くときと脱ぐときで違う。数は代表値である。足首の周長 $22$ cm、ふくらはぎ $36$ cm、包帯の張力 幅あたり $100$ N/m、筒の硬さ 伸び $1$ あたり $300$ N/m と置いた。滑りと摩擦を入れていない。医療の助言をしない。製品を勧めない。どの圧力がよいか、誰が何を履くべきかは述べない。既刊との関係:論文309 は、重力と表面張力を分ける長さを示し、そこでラプラス圧を使った。表面張力は伸ばしても変わらない張力で、本稿の包帯と同じ型である。伸びる筒は、張力そのものが伸びで変わる別の型である。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。包帯と筒は同じ $P=T/r$ から出るが、張力の出どころが違うので勾配の向きが逆になる。加えたのは、張力一定の包帯と、張力が伸びで決まる筒を同じ脚で比べ、勾配の向きが逆になることを閉じた式と突き合わせたこと、伸びる筒の圧力が周長について単調に増えることを示したこと、足首を締める筒に要る編み目の周長を出し、その比 $\mathbf{1.594203}$ が脚の比より小さいことを示したこと、分離子を張力の出どころに置いたことである。

1. 記法と問い

設定:周長 $C$(半径 $r=C/2\pi$)の脚に、幅あたりの張力 $T$ で布が巻かれているとき、脚を押す圧力はラプラスの式

$$P=\frac{T}{r}=\frac{2\pi T}{C}$$

で出る。張力が伸びで決まる筒では、ほどいたときの周長を $C_0$、伸び $1$ あたりの硬さを $K$ として $T=K(C-C_0)/C_0$ で、

$$P=2\pi K\left(\frac{1}{C_0}-\frac{1}{C}\right)$$

になる。

観察 1.1 着圧は、ラプラスの式で説明される。細い所ほど半径が小さいので、同じ張力なら強く締まる。だから一様な生地を筒にするだけで、足首が強くふくらはぎが弱い「段階着圧」になる、と、この説明は、張力が場所に依らず一定であることを黙って置いている。

問い:張力が一定でないとき、同じ式は何を言うか。

2. 張力が一定なら

計算 2.1:幅あたり $100$ N/m の一定の張力で包帯を巻いた。

場所 周長 圧力
足首 $22$ cm $\mathbf{21.4218}$ mmHg
ふくらはぎ $36$ cm $\mathbf{13.0911}$ mmHg
比 $\mathbf{1.636364}$

観察 2.2 張力が一定なら、細い所ほど締まる。比は周長の逆比 $36/22$ と $10^{-12}$ で一致する。巻く人が同じ力で引いている限り、足首のほうが強く押される。これが「段階着圧」の説明の正しい範囲である。

3. 張力が伸びで決まるなら

計算 3.1:周長 $20$ cm にまっすぐ編んだ筒(硬さ 伸び $1$ あたり $300$ N/m)を同じ脚に履かせた。

場所 周長 伸び 圧力
足首 $22$ cm $\mathbf{0.1000}$ $\mathbf{6.4265}$ mmHg
ふくらはぎ $36$ cm $\mathbf{0.8000}$ $\mathbf{31.4186}$ mmHg
ふくらはぎ/足首 $\mathbf{4.888889}$

観察 3.2 これが本稿の芯である。まっすぐ編んだ伸びる筒は、太いふくらはぎのほうを $4.888889$ 倍強く締める。比は閉じた式 $(1/20-1/36)/(1/20-1/22)$ と $10^{-12}$ で一致した。太い所ほど筒が大きく伸び、張力が増える。その増え方が、半径が大きくなって圧力が下がる分を上回る。

観察 3.3 伸びる筒の圧力は、周長について必ず増える。$dP/dC=2\pi K/C^2$ は正である。硬さや元の周長をどう選んでも、一様な筒は太い所ほど締める。「一様な生地を筒にするだけで段階着圧になる」は、伸びる筒には成り立たない。

4. 足首を締める筒

計算 4.1:足首では周長 $18$ cm に編み、ふくらはぎの圧力が足首の 7 割になるように、ふくらはぎの編み目の周長を解いた。

量 値
足首の圧力(周長 $18$ cm に編む) $\mathbf{14.2812}$ mmHg
ふくらはぎに要る編み目の周長 $\mathbf{28.6957}$ cm
筒の周長の比 $\mathbf{1.594203}$
脚の周長の比 $\mathbf{1.636364}$

観察 4.2 その周長で、ふくらはぎはちょうど 7 割に戻る($10^{-12}$)。足首を締める筒にするには、場所ごとに編み目の周長を変えるしかない。しかも筒の周長の比 $1.594203$ は、脚の比 $1.636364$ より少し小さい。脚の形をそのままなぞるのではなく、ふくらはぎ側をわずかにきつく編む必要がある。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は、張力が巻き方で決まるか、伸びで決まるか、である。巻き方で決まる包帯なら、張力は場所に依らず、細い所ほど締まる。伸びで決まる筒なら、張力は太い所ほど増え、太い所ほど締まる。同じ $P=T/r$ が、張力の出どころで逆の勾配を作る。

観察 5.2 論文309 の表面張力は、包帯の型である。あちらは、重力と表面張力を分ける長さを示し、そこでラプラス圧を使った。表面張力は膜をどれだけ広げても変わらない張力で、細い所ほど圧が高くなる。伸びる筒は、張力そのものが伸びで変わる別の型である。

観察 5.3 論文300 の基準では、同じ式の別の使い方である。包帯と筒は同じ $P=T/r$ から出る。違うのは $T$ がどこから来るかで、そこで勾配の向きが分かれる。式が同じでも、置く量が違えば結論は逆になる。

観察 5.4 言わないこと。医療の助言をしない。製品を勧めない。示したのは、「細い所ほど締まる」がどの張り方で成り立ち、どの張り方で逆になるかだけである。

6. 点呼と結び

  1. 圧力は $P=2\pi T/C$(記法):ラプラスの式。
  2. 包帯で足首 $\mathbf{21.4218}$・ふくらはぎ $\mathbf{13.0911}$ mmHg(計算 2.1):比 $\mathbf{1.636364}$。
  3. 比は周長の逆比に一致(観察 2.2):張力一定の正しい範囲。
  4. 筒で足首 $\mathbf{6.4265}$・ふくらはぎ $\mathbf{31.4186}$ mmHg(計算 3.1):向きが逆。
  5. ふくらはぎが $\mathbf{4.888889}$ 倍(観察 3.2):本稿の芯。
  6. $dP/dC>0$(観察 3.3):一様な筒は太い所ほど締める。
  7. 足首 $18$ cm で $\mathbf{14.2812}$ mmHg(計算 4.1):編み分けの出発点。
  8. ふくらはぎは $\mathbf{28.6957}$ cm に編む(計算 4.1):7 割にする周長。
  9. 筒の比 $\mathbf{1.594203}$ < 脚の比 $\mathbf{1.636364}$(観察 4.2):形をなぞるだけでは足りない。
  10. 分離子は張力の出どころ(観察 5.1):巻き方か、伸びか。

結び:脚に巻く包帯や着圧の靴下は、ラプラスの式 $P=T/r$ で、細い所ほど強く締まると説明される。それは張力が巻き方で一定に決まる包帯には成り立つ、幅あたり $100$ N/m で巻けば、周長 $22$ cm の足首で $\mathbf{21.4218}$ mmHg、$36$ cm のふくらはぎで $\mathbf{13.0911}$ mmHg、比は周長の逆比 $\mathbf{1.636364}$ である。ところが張力が伸びで決まる筒では、向きが逆になる。周長 $20$ cm にまっすぐ編んだ筒は、足首で $\mathbf{6.4265}$ mmHg、ふくらはぎで $\mathbf{31.4186}$ mmHg と、太いふくらはぎを $\mathbf{4.888889}$ 倍強く締める。圧力は $P=2\pi K(1/C_0-1/C)$ で周長について必ず増えるので、一様な筒は、硬さや元の周長をどう選んでも太い所ほど締める。足首を締める筒にするには場所ごとに編み目の周長を変えるしかなく、足首を $18$ cm に編んで $\mathbf{14.2812}$ mmHg なら、ふくらはぎを 7 割にするには $\mathbf{28.6957}$ cm に編む。筒の比 $\mathbf{1.594203}$ は脚の比 $\mathbf{1.636364}$ より小さく、脚の形をなぞるだけでは足りない。分離子は、張力が巻き方で決まるか、伸びで決まるか、である。同じ $P=T/r$ が、張力の出どころで逆の勾配を作る。論文300 の基準で、包帯と筒は同じ式の別の使い方である。既刊との位置、論文309 の表面張力は膜を広げても変わらない張力で、包帯と同じ型である。伸びる筒は、張力そのものが伸びで変わる別の型である。正直に言えば、脚を円柱とし、生地は線形に伸びるとし、滑りも摩擦も入れていない。数は代表値である。医療の助言も、製品の推奨もしない。示したのは、「細い所ほど締まる」がどの張り方で成り立ち、どの張り方で逆になるかである。

参考文献

  1. Thomas, S. (2003). The Use of the Laplace Equation in the Calculation of Sub-Bandage Pressure. EWMA Journal.
  2. Timoshenko, S. P., & Woinowsky-Krieger, S. (1959). Theory of Plates and Shells (2nd ed.). McGraw-Hill.
  3. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  4. 山岸勇輝 (2026). 『重力と表面張力を分ける長さは、材料の寸法ではない』[論文309]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22172337

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「包帯は細い所ほど締め、伸びる筒は太い所ほど締める」[論文583]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.23014355

YOI 583第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 包帯は細い所ほど締め、伸びる筒は太い所ほど締める [論文583]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/583 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014355

Yamagishi, Y. (2026). A Bandage Squeezes Hardest Where the Leg Is Thinnest, a Stretch Tube Where It Is Thickest [Paper 583]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/583; DOI: 10.5281/zenodo.23014355

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