要旨
GI(グリセミック指数)は、食品ごとに決まった「血糖の上げやすさ」だ、と思いやすい。本稿は、吸収と消えていく二つの箱の模型で、GI が何を測っているかを、区切る時間を変えて数える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、2 時間で区切ると、吸収の遅い食品ほど GI が低い。吸収の速さが毎時 $6$・$3$・$1.5$・$0.75$・$0.4$ の食品の GI は、$100.000000$・$95.300562$・$82.804347$・$61.304428$・$\mathbf{40.752432}$ である(第2節)。
第二に、区切る時間を延ばすと、遅い食品の GI は上がっていく。吸収の速さ $0.4$ の食品は、4 時間で $69.090139$、8 時間で $\mathbf{93.266208}$ になる(第2節)。
第三に、これが本稿の芯である。区切らなければ、どの食品も GI は $100$ である。吸収の速さが $15$ 倍違っても、区切らない面積は炭水化物の量を血中から減る速さで割った値だけで決まり、五つともぶどう糖と同じになる(第3節)。
第四に、一食の量を掛けた GL は、一食の 2 時間の面積に比例する。五つの食品で、GL と一食の 2 時間の面積の比は差の割合 $10^{-9}$ 未満で同じだった(第3節)。
第五に、GI の順と GL の順は、ほとんど入れ替わる。一食の炭水化物を $10$ g から $100$ g まで変えた五つの食品では、$10$ 組中 $8$ 組で順が入れ替わる(第3節)。
第六に、分離子は、どれだけ速く吸収されるかを問うか、最後までにどれだけ吸収されるかを問うかである。GI は区切った時間で前者を映し、区切らない面積は後者だけを映す(第4節)。
キーワード:GI 値、GL、血糖、吸収の速さ、区切る時間。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。GI が 2 時間の血糖の上がりの面積をぶどう糖と比べた値であること、GL が GI に一食の炭水化物を掛けた値であること、二つの箱の一次の式は、いずれも既知である。実在の食品を主張しない。食品 A〜E の吸収の速さと一食の量は模型の値で、どの食品の GI にも対応しない。体の働きを入れない。インスリンの働き、吸収されない炭水化物、脂肪やタンパク質との組み合わせは入れない。炭水化物はすべて吸収されるとした。助言をしない。何を食べるべきかは述べない。既刊との関係:論文567 は、タンパク質だけが熱量計とラベルで三割違うことを示した。本稿はその隣に置く。あちらは食品の表示の数が測り方の約束で動くことを数えた。ここでは GI が、区切る時間という測り方の約束で動くことを数える。加えたのは、五つの食品で区切る時間を四通りに変えて GI を並べたこと、区切らなければすべて $100$ になると確かめたこと、GL が一食の 2 時間の面積に比例すると確かめたこと、分離子を「速さか、最後までの量か」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:炭水化物 $D$ g が胃腸に入り、毎時 $k_a$ の割合で血中へ移り、血中から毎時 $k_e=1.0$ の割合で消えるとする。血糖の上がりを $B(t)$ とし、$0$ から $T$ 時間までの面積を比べる。
$$\int_0^{T}B\,dt=\frac{D\,k_a}{k_a-k_e}\Bigl(\frac{1-e^{-k_eT}}{k_e}-\frac{1-e^{-k_aT}}{k_a}\Bigr),\qquad
\int_0^{\infty}B\,dt=\frac{D}{k_e}$$
GI は、炭水化物 $50$ g の食品の面積を、ぶどう糖($k_a=6$)$50$ g の面積で割って $100$ 倍した値、GL は GI $\times$ 一食の炭水化物 $\div 100$ とする。面積は式と、ルンゲ=クッタで刻んで追った値(差 $10^{-6}$ 未満)の二通りで出した。
問い:GI は、食品の何を測っているのか。
2. 区切る時間と GI
計算 2.1:五つの食品で、区切る時間を 2・4・8 時間と、区切らない場合に変えて GI を出した。
| 食品 | 吸収(/h) | GI(2 h) | GI(4 h) | GI(8 h) | 区切らない |
|---|---|---|---|---|---|
| A | $6$ | $100.000000$ | $100.000000$ | $100.000000$ | $100.000000$ |
| B | $3$ | $95.300562$ | $99.438497$ | $99.989932$ | $100.000000$ |
| C | $1.5$ | $82.804347$ | $97.135988$ | $99.940822$ | $100.000000$ |
| D | $0.75$ | $61.304428$ | $87.503074$ | $99.149051$ | $100.000000$ |
| E | $0.4$ | $40.752432$ | $69.090139$ | $93.266208$ | $100.000000$ |
観察 2.2 2 時間で区切ると、吸収の遅い食品ほど GI が低い。食品 E の GI は 2 時間で $40.752432$ だが、区切る時間を延ばすと $69.090139$、$93.266208$ と上がっていく。吸収の遅い食品は、2 時間の時点でまだ胃腸に炭水化物が残っていて、その分が面積に入らないからである。
3. 区切らない面積と GL
計算 3.1:一食の炭水化物を変えた五つの食品で、GL と一食の 2 時間の面積、山の高さを出した。
| 食品 | 一食(g) | GL | 一食の 2 時間の面積 | 山の高さ |
|---|---|---|---|---|
| A | $10$ | $10.000000$ | $8.375989$ | $6.988271$ |
| B | $25$ | $23.825141$ | $19.955911$ | $14.433757$ |
| C | $50$ | $41.402173$ | $34.678414$ | $22.222222$ |
| D | $80$ | $49.043543$ | $41.078817$ | $25.312500$ |
| E | $100$ | $40.752432$ | $34.134192$ | $21.715341$ |
観察 3.2 これが本稿の芯である。区切らなければ、どの食品も GI は $100$ である。吸収の速さが $15$ 倍違う五つの食品が、区切らない面積ではすべてぶどう糖と同じになった。区切らない面積は $D/k_e$ で、吸収の速さ $k_a$ が式から消える。GI が食品の速さを表すのは、2 時間という区切りがあるからである。
観察 3.3 GL は一食の 2 時間の面積に比例し、GI の順と入れ替わる。五つの食品で、GL と一食の 2 時間の面積の比は差の割合 $10^{-9}$ 未満で同じだった。GI の順は A から E へ下がるが、GL は D がいちばん大きく、$10$ 組中 $8$ 組で順が入れ替わる。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、どれだけ速く吸収されるかを問うか、最後までにどれだけ吸収されるかを問うかである。2 時間で区切った GI は、前者を映す。区切らない面積は後者だけを映し、吸収されるものがすべて吸収されるなら、食品の違いは消える。GI の数は、食品の性質と、区切る時間という約束の組で決まる。
観察 4.2 論文567 の隣に置く。567 は、タンパク質だけが熱量計とラベルで三割違うことを示した。あちらは表示の熱量が、燃やすか体で使うかという測り方で動いた。ここでは GI が、区切る時間という測り方で動く。
観察 4.3 言わないこと。実在の食品の GI も、インスリンの働きも、吸収されない炭水化物も、何を食べるべきかも扱わない。示したのは、GI が速さを表すのは区切りがあるからだということである。
5. 点呼と結び
- GI は面積の比(第1節):ぶどう糖と比べる。
- 食品 E の 2 時間 GI $\mathbf{40.752432}$(計算 2.1):遅い食品。
- 4 時間で $69.090139$(計算 2.1):延ばすと上がる。
- 8 時間で $\mathbf{93.266208}$(計算 2.1):さらに上がる。
- 区切らなければすべて $100$(観察 3.2):本稿の芯。
- 区切らない面積は $D/k_e$(観察 3.2):吸収の速さが消える。
- GL は一食の 2 時間の面積に比例(観察 3.3):差の割合 $10^{-9}$ 未満。
- GI と GL の順が $8$ 組で入れ替わる(観察 3.3):$10$ 組中。
- 式と刻んだ面積が一致(第1節):$10^{-6}$ 未満。
- 速さか、最後までの量か(観察 4.1):分離子・論文567。
結び:GI が食品の速さを表すのは 2 時間で区切るからで、区切らなければ血糖の面積は炭水化物の量だけで決まる。吸収の速さが毎時 $0.4$ の食品は、2 時間で区切ると GI $40.752432$、8 時間で $93.266208$、区切らなければ $100.000000$ である。区切らない面積は炭水化物の量を血中から減る速さで割った値で、吸収の速さが式から消えるからである。一食の量を掛けた GL は一食の 2 時間の面積に比例し、GI の順とは $10$ 組中 $8$ 組で入れ替わる。GI の数は、食品の性質と区切る時間という約束の組で決まる。既刊との位置:論文567 の「表示の熱量が測り方で動く」の隣に、GI が区切る時間で動くことを置いた。正直に言えば、食品は模型で、インスリンの働きも吸収されない炭水化物も入れていない。
参考文献
- Jenkins, D. J. A., Wolever, T. M. S., Taylor, R. H., et al. (1981). Glycemic Index of Foods: A Physiological Basis for Carbohydrate Exchange. The American Journal of Clinical Nutrition.
- 山岸勇輝 (2026). 『タンパク質だけが、熱量計とラベルで三割違う』[論文567]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/567 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014274
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「GI が食品の速さを表すのは 2 時間で区切るからで、区切らなければ面積は炭水化物の量だけで決まる」[論文884]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/884
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/884・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). GI が食品の速さを表すのは 2 時間で区切るからで、区切らなければ面積は炭水化物の量だけで決まる [論文884]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/884
Yamagishi, Y. (2026). GI Reflects Absorption Speed Only Because It Is Cut at Two Hours; Uncut, the Area Depends Only on the Carbohydrate [Paper 884]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/884
@misc{yamagishi2026yoi884,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {GI Reflects Absorption Speed Only Because It Is Cut at Two Hours; Uncut, the Area Depends Only on the Carbohydrate},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/884},
note = {Preprint, edition 1}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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