要旨
水道は、使う量が多いほど段の値段が上がるので、少なく使うほど一立方メートルあたりは安い、と思いやすい。本稿は、基本料金と段ごとに上がる値段でできた料金表の模型で、一立方メートルあたりの値段を使う量ごとに数え、いちばん安い量がどこに来るかを見る。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、少なく使うと、一立方メートルあたりはかえって高い。$5$ m³ では $\mathbf{300.000000}$ 円で、いちばん安い量の $\mathbf{1.714286}$ 倍である(第2節)。
第二に、多く使っても高くなる。$40$ m³ で $200.000000$ 円、$60$ m³ で $\mathbf{216.666667}$ 円で、いちばん安い量の $1.238095$ 倍である(第2節)。
第三に、これが本稿の芯である。いちばん安い量は段の境に来る。$0.01$ m³ 刻みで探すと、いちばん安いのは $20$ m³ の $\mathbf{175.000000}$ 円で、左の段の $150$ 円より高く、右の段の $200$ 円より低い(第2節)。
第四に、どの境かは基本料金が決める。基本料金 $400$ 円なら $10$ m³ の $140.000000$ 円、$2500$ 円なら $30$ m³ の $\mathbf{233.333333}$ 円がいちばん安く、$4000$ 円では $60$ m³ まで下がり続けて $266.666667$ 円である(第3節)。
第五に、U 字は、基本料金と上がる段の両方があるときだけ出る。基本料金を $0$ にすると一立方メートルあたりの値段は上がるだけ、段を一つ($150$ 円)にすると下がるだけだった(第3節)。
第六に、分離子は、料金の合計を問うか、一立方メートルあたりで割るかである。合計は使うほど増えるだけだが、割ると基本料金が薄まる向きと段が上がる向きがぶつかり、そのつり合う所が段の境に来る(第4節)。
キーワード:水道料金、基本料金、段の値段、一立方メートルあたりの値段、段の境。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。基本料金と使う量に応じた段の値段で水道の料金を決めること、使う量が増えると段の値段が上がる料金表があること、平均の値段は段の値段が平均より安いあいだ下がり高いと上がることは、いずれも料金と費用の計算で既知である。実在の料金表を主張しない。基本料金 $1000$ 円、$10$ m³ ごとの段の値段 $100$・$150$・$200$・$250$ 円は模型の値で、どの水道の料金表にも対応しない。料金のほかの部分を入れない。下水道の料金、管の太さごとの基本料金、税、検針の期間は入れない。料金表の良し悪しを論じない。どの料金表が公平か、節水にどう効くかは論じない。既刊との関係:論文486 は、三つの分野に出る「ちょうど半分」が物理ではなく二次関数の頂点であることを示した。本稿はその隣に置く。あちらは、いちばん良い値が滑らかな曲線の頂点に来た。ここでは、いちばん安い量は滑らかな頂点ではなく、段の値段が跳ぶ角に来る。加えたのは、八つの量で一立方メートルあたりの値段を並べたこと、いちばん安い量が段の境に来ることを $0.01$ m³ 刻みで測ったこと、基本料金を変えて境が移ることを測ったこと、分離子を「合計か、一立方メートルあたりか」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:一か月の料金 $C(u)$ は、基本料金 $B=1000$ 円と、使う量 $u$ m³ に段の値段を掛けた和とする。段の値段は $0$〜$10$ m³ が $100$ 円、$10$〜$20$ m³ が $150$ 円、$20$〜$30$ m³ が $200$ 円、$30$ m³ を超える分が $250$ 円である。一立方メートルあたりの値段は $C(u)/u$ とする。
$$p(u)=\frac{C(u)}{u},\qquad
\frac{dp}{du}=\frac{1}{u}\left(C'(u)-p(u)\right)$$
$C'(u)$ はその量での段の値段である。平均の値段 $p$ は、段の値段が $p$ より安いあいだ下がり、高いと上がる。使う量を $1$ m³ から $60$ m³ まで $0.01$ m³ 刻みで動かして、いちばん安い量を探した。
問い:少なく使うほど、一立方メートルあたりは安いのか。
2. 使う量と一立方メートルあたりの値段
計算 2.1:八つの量で、料金と一立方メートルあたりの値段を出した。
| 使う量(m³) | 料金(円) | 一立方メートルあたり(円) |
|---|---|---|
| $5$ | $1500$ | $300.000000$ |
| $10$ | $2000$ | $200.000000$ |
| $15$ | $2750$ | $183.333333$ |
| $20$ | $3500$ | $175.000000$ |
| $25$ | $4500$ | $180.000000$ |
| $30$ | $5500$ | $183.333333$ |
| $40$ | $8000$ | $200.000000$ |
| $60$ | $13000$ | $216.666667$ |
観察 2.2 これが本稿の芯である。一立方メートルあたりの値段は U 字に動き、いちばん安い量は段の境に来る。$0.01$ m³ 刻みで探したいちばん安い量は $20$ m³ で、$175.000000$ 円である。その値は左の段の値段 $150$ 円より高く、右の段の値段 $200$ 円より低い。境の手前では段の値段が平均より安いので平均は下がり、境を越えると段の値段が平均より高くなって上がる。$5$ m³ の値段はいちばん安い量の $1.714286$ 倍、$60$ m³ は $1.238095$ 倍である。
3. 基本料金と、いちばん安い量
計算 3.1:段の値段はそのままに、基本料金を変えていちばん安い量を探した。
| 基本料金(円) | いちばん安い量(m³) | 一立方メートルあたり(円) |
|---|---|---|
| $400$ | $10$ | $140.000000$ |
| $1000$ | $20$ | $175.000000$ |
| $2500$ | $30$ | $233.333333$ |
| $4000$ | 探した $60$ まで下がり続ける | $266.666667$ |
観察 3.2 どの境かは基本料金が決める。基本料金 $400$・$1000$・$2500$ 円で、いちばん安い量は段の境 $10$・$20$・$30$ m³ に移り、その値段はいつも左の段の値段より高く右の段の値段より低かった。基本料金 $4000$ 円では、探した $60$ m³ でもまだ下がっており、そこで $266.666667$ 円と、いちばん上の段の値段 $250$ 円より高い。対照として、基本料金を $0$ にすると値段は上がるだけ、段を一つ($150$ 円)にすると下がるだけで、どちらも U 字にならなかった。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、料金の合計を問うか、一立方メートルあたりで割るかである。合計を問えば、料金は使うほど増えるだけである。一立方メートルあたりで割ると、基本料金が量で薄まる向きと、段の値段が上がる向きがぶつかる。そのつり合いは、段の値段が平均をまたいで跳ぶ段の境に来る。
観察 4.2 論文486 の隣に置く。486 は、三つの分野の「ちょうど半分」が二次関数の頂点であることを示した。そこではいちばん良い値が滑らかな曲線の頂点に来た。ここでは、値段の曲線に頂点は無く、いちばん安い量は段の値段が跳ぶ角に来る。
観察 4.3 言わないこと。実在の水道の料金表、下水道の料金、管の太さごとの基本料金、税、どの料金表が公平か、節水にどう効くかは扱わない。示したのは、この模型で、一立方メートルあたりの値段が U 字に動き、いちばん安い量が段の境に来て、どの境かを基本料金が決めることである。
5. 点呼と結び
- $p(u)=C(u)/u$(第1節):一立方メートルあたり。
- $5$ m³ で $\mathbf{300.000000}$ 円(計算 2.1):少なく使うと高い。
- $20$ m³ で $\mathbf{175.000000}$ 円(観察 2.2):本稿の芯・段の境。
- $150$ 円と $200$ 円のあいだ(観察 2.2):平均が段の値段をまたぐ。
- $60$ m³ で $\mathbf{216.666667}$ 円(計算 2.1):多く使っても高い。
- $1.714286$ 倍と $1.238095$ 倍(観察 2.2):U 字の両端。
- 基本料金 $400$ 円で $10$ m³(計算 3.1):$140.000000$ 円。
- 基本料金 $2500$ 円で $30$ m³(計算 3.1):$\mathbf{233.333333}$ 円。
- 基本料金 $0$ と段が一つ(観察 3.2):U 字にならない。
- 合計か、一立方メートルあたりか(観察 4.1):分離子・論文486。
結び:水道の一立方メートルあたりの値段は使う量で U 字に動き、いちばん安い量は段の境に来て、どの境かは基本料金が決める。基本料金 $1000$ 円と段ごとに上がる値段で、$5$ m³ では $300.000000$ 円、$60$ m³ では $216.666667$ 円、いちばん安いのは段の境の $20$ m³ で $175.000000$ 円だった。そこでは平均の値段が、左の段の $150$ 円と右の段の $200$ 円のあいだにある。基本料金を $400$ 円にすると $10$ m³、$2500$ 円にすると $30$ m³ に移り、基本料金を $0$ にしても段を一つにしても U 字は消えた。U 字は、基本料金が薄まる向きと段が上がる向きがぶつかって出る。既刊との位置:論文486 の「いちばん良い値は滑らかな頂点に来る」の隣に、いちばん安い量が段の角に来る料金表を置いた。正直に言えば、基本料金と段の値段は模型の値で、下水道の料金も税も入れていない。
参考文献
- 山岸勇輝 (2026). 『三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である』[論文486]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/486 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22759952
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「水道の一立方メートルあたりの値段は U 字に動き、最安の段の境は基本料金が決める」[論文897]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/897
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/897・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 水道の一立方メートルあたりの値段は U 字に動き、最安の段の境は基本料金が決める [論文897]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/897
Yamagishi, Y. (2026). Water’s Price per Cubic Metre Traces a U with Usage, Cheapest at a Block Boundary That the Basic Charge Chooses [Paper 897]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/897
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author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {Water's Price per Cubic Metre Traces a U with Usage, Cheapest at a Block Boundary That the Basic Charge Chooses},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/897},
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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