【F012】利確と損切りを四十九通りに置いても、期待値は動かない

要旨

本稿が問うのは、利確と損切りの置き方を変えたとき何が動いて何が動かないのか、である。答えは、動くのは勝率だけである。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、利確と損切りを 5・8・12・20・30・50・80 pips の七段ずつ、四十九通りに置いた。勝率は 196 マス全体で 93.6019 ポイント動く。 銘柄ごとの幅は 88.2539・92.6331・90.4581・87.9601 ポイントである(第3節)。

第二に、実測の勝率は、任意停止定理の予言(損切り幅からスプレッドを引いて、利確幅と損切り幅の和で割った値)と相関 +0.996371 で一致する。 実測から予言を引いた値の中央は −0.0760 ポイント、絶対値の中央は 0.9429 ポイントである(第4節)。

第三に、これが本稿の芯である。同じ四十九のマスで、買いと売りの損益の平均はスプレッドから離れない。 スプレッドを足した値の絶対値の中央は 0.1419 pips で、銘柄ごとの中央は −0.0227・−0.0193・−0.0358・−0.0649 pips である(第5節)。

第四に、勝率と、買いと売りの平均の相関は −0.068867 である。勝率が九十ポイント動いても、期待値は付いてこない(第5節)。

第五に、買いと売りの差(方向の情報)は、銘柄で様子が違う。中央は +0.6715・−0.0392・−0.0193・+0.3460 pips で、USDJPY だけがスプレッドを超えるマスを 49 のうち 27 持つ。これはこの期間にその銘柄が一方向へ動いたことの言い換えでありうる。本稿はそれを分離していない(第6節)。

第六に、足の中まで独立な正規増分で作った合成系列で同じ測定をすると、勝率の差の中央は +0.6392 ポイント、スプレッドを足した期待値の差の中央は −0.0907 pips である。合成乱数は定義から公正な賭けなので、予言が厳密に成り立つ側である(第7節)。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。任意停止定理は既知であり、本稿はそれを実測で確かめただけである。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。扱うのは公知の言い回しそのものである。売買を論じない。本稿が測るのはスプレッドを引いた損益であって、手数料・スリッページ・約定拒否・資金管理を含む売買の成績ではない。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・三年・五分足の測定で、保有は最大 24 時間である。月次の時系列モメンタム(数十市場・保有1〜12ヶ月)は学術的に文書化されており、本稿はそれを否定しない。足の高安で判定している。同じ足で上下どちらにも触れた場合は、不利な側が先として数える(保守的)。その割合を第6節で報告する。ドリフトを分離していない。買いと売りの差は、その期間に価格がどちらへ動いたかを含む(第6節・第8節)。予測を主張しない。既刊との関係:論文423 は、確率が正しくても掛け算だけが間違いうることを示した。F009 は片側1バリアと両側2バリアの差を測った。本稿はその両側の側を、四十九通りに動かす。加えたのは、予言を測る前に書いたこと、勝率と期待値を同じ表の上に並べたこと、公正な賭けである合成乱数を予言の側の対照に使ったことである。

1. 記法と問い。予言を先に書く

「損小利大にすれば勝てる」「勝率を上げるには利確を近くする」という言い方がある。どちらも、利確と損切りの置き方で成績が変わるという前提に立っている。

買いは ask で建てて bid で決済するので、損益はスプレッド s だけ負から始まる。そこから上へ TP、下へ SL のバリアを置く。価格が公正な賭け(次にどちらへ動くかについて今の情報が何も言わない過程)なら、任意停止定理から次が出る。

量 予言 含まれるもの
勝率 (SL − s) ÷ (TP + SL) TP・SL・s のすべて
期待値 勝率 × TP − (1 − 勝率) × SL = −s s だけ。TP も SL も消える

観察 1.1:勝率の式には TP も SL も入っているのに、期待値の式からは両方消える。 分母の TP + SL が、勝ったときの額 TP と掛かって畳まれるからである。

観察 1.2:したがって予言はこうなる。利確と損切りを動かすと、勝率は大きく動き、期待値はスプレッドのまま動かない。

観察 1.3:この予言は、測る前に書ける。 本稿はそれを書いてから測った。逆順にすると、どんな結果も「予言どおり」に読めてしまう。

問い:利確と損切りの置き方を変えたとき、何が動いて何が動かないのか。

2. 測る量と設計を、先に書く

設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)

項目 決めたこと
格子 五分足・中値・完成足のみ
建玉 12 本ごと(= 1 時間ごと)。買いと売りを別々に走らせる
バリア 利確・損切りとも 5・8・12・20・30・50・80 pips の七段 → 49 マス
会計 買いの損益 = 中値の変化 − s / 売りの損益 = −(中値の変化)− s。s は建てた足の実測スプレッド
打ち切り 288 本(= 24 時間)で決着しなければ、その時点の中値で手仕舞う
同足の両触れ 同じ足で上下どちらにも触れたら、不利な側(損切り)が先とする
M (買いの期待値 + 売りの期待値)÷ 2。方向の効果が打ち消し合う
D (買いの期待値 − 売りの期待値)÷ 2。方向の情報
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
期間 2019–2024。評価 2022–2024

観察 2.1:同じ足で両方に触れた場合の扱いが、結果を一方向に歪める。 不利な側が先だとすると、実測の勝率は予言より低く出る。第6節でその割合を報告する。

観察 2.2:M は方向の効果が打ち消し合うので、価格がどちらへ動いた期間でも −s になるはずである。 逆に D は、その期間に価格がどちらへ動いたかを拾う。期待値の予言を確かめるのに使えるのは M であって、買いだけの期待値ではない。

観察 2.3:打ち切りに掛かったものは、その時点の中値で手仕舞う。打ち切りが多いマスでは、勝率の定義が「決着した中での勝率」になるので、母集団が変わる。 第6節で打ち切り率を報告する。

建玉の数は USDJPY 17,834 件・EURUSD 17,860 件・GBPUSD 17,841 件・XAUUSD 17,460 件で、スプレッドの中央は 0.6000・0.3000・0.9000・3.5400 pips である。

3. 勝率は大きく動く

計算 3.1 決着した中での勝率(USDJPY・買い・評価期間・%)

利確\損切り 5 8 12 20 30 50 80
5 41.2751 54.5138 64.9378 76.4303 83.1265 89.5759 93.6108
8 32.7689 45.1385 55.8035 68.4701 76.5282 85.1372 90.8071
12 25.5916 36.6715 47.2063 60.6045 69.9401 80.2972 87.4470
20 17.9575 26.9738 36.0663 49.4233 59.5224 72.0691 81.6241
30 13.3322 20.6546 28.2603 40.4244 50.4904 63.7405 75.2383
50 8.7519 14.0142 19.5750 28.9864 37.9180 51.0343 64.2753
80 5.3569 8.6572 12.3791 18.7540 25.4326 36.3217 49.7702

計算 3.2 銘柄ごとの勝率の幅

銘柄 最小 最大 幅(ポイント)
USDJPY 5.3569% 93.6108% 88.2539
EURUSD 3.0768% 95.7099% 92.6331
GBPUSD 3.3961% 93.8542% 90.4581
XAUUSD 2.1080% 90.0682% 87.9601

観察 3.3:勝率は 196 マス全体で 93.6019 ポイント動く。 一番低いマス(利確 80・損切り 5)で 2.1080%、一番高いマス(利確 5・損切り 80)で 95.7099% である。

観察 3.4:表は左上から右下へなめらかに変わる。利確を近くし損切りを遠くすれば勝率は上がり、逆にすれば下がる。ここまでは通説どおりである。

観察 3.5:勝率 93.6108% という数字だけを見せられたら、良い手法に見える。 中身は「利確 5 pips・損切り 80 pips」で、十六回勝って一回負ければ元に戻る形である。

図1 勝率は 49 マスで大きく動く

図1:横が損切り、縦が利確(pips)。色が左上から右下へ連続的に変わる。

4. 実測の勝率は、予言と一致する

計算 4.1 対角線上のマス(評価期間・%)

銘柄 利確 損切り 実測 買い 実測 売り 予言 買い − 予言 売り − 予言
GBPUSD 5 80 93.8542% 94.5050% 92.7568% +1.0974 +1.7483
GBPUSD 8 50 84.0030% 84.6903% 84.2125% −0.2096 +0.4777
GBPUSD 12 30 68.8299% 67.7669% 68.6744% +0.1555 −0.9076
GBPUSD 20 20 47.6150% 46.2292% 47.1081% +0.5069 −0.8790
GBPUSD 30 12 26.0441% 25.7868% 25.8173% +0.2268 −0.0304
GBPUSD 50 8 11.3011% 12.0116% 11.7987% −0.4976 +0.2129
GBPUSD 80 5 3.3961% 3.7588% 4.5215% −1.1254 −0.7627
XAUUSD 5 80 90.0682% 89.0703% 89.7981% +0.2700 −0.7278
XAUUSD 8 50 80.5785% 78.9347% 79.8766% +0.7019 −0.9418
XAUUSD 12 30 63.6598% 61.1226% 62.6867% +0.9731 −1.5641
XAUUSD 20 20 41.9588% 39.1924% 40.8210% +1.1378 −1.6286
XAUUSD 30 12 20.8076% 19.4845% 19.8295% +0.9780 −0.3450
XAUUSD 50 8 8.1100% 7.3196% 7.4628% +0.6472 −0.1432
XAUUSD 80 5 2.1080% 1.8615% 1.5628% +0.5452 +0.2987

観察 4.2:実測の勝率と予言の相関は +0.996371 である(196 マス・買い)。

観察 4.3:実測から予言を引いた値の中央は −0.0760 ポイント、絶対値の中央は 0.9429 ポイントである。幅は −11.5331 から +11.1529 ポイントあり、これは小さくない。

観察 4.4:ずれが大きいのは、打ち切りや同足の両触れが多いマスである。 予言は「いつかどちらかに必ず着く」ことを前提にしているが、実測は 24 時間で打ち切る。前提が違う分だけずれる。 第6節で両方の割合を報告する。

観察 4.5:相関が 0.996 でも「一致した」と書くだけでは足りない。 予言は TP と SL の関数として単調に変わるので、単調な量どうしの相関は高く出やすい。 見るべきは相関ではなく、ずれの絶対値がスプレッドと比べてどうかである。

5. 期待値は動かない。これが分離子である

計算 5.1 買いと売りの平均 M(USDJPY・評価期間・pips)

利確\損切り 5 8 12 20 30 50 80
5 −0.8997 −0.9671 −1.0368 −1.1012 −1.2276 −1.4012 −1.7035
8 −0.8097 −0.8770 −0.9699 −1.0721 −1.3245 −1.5910 −2.0236
12 −0.7371 −0.8199 −0.8955 −0.9973 −1.2732 −1.6022 −2.2454
20 −0.6824 −0.7245 −0.7877 −0.8748 −1.2568 −1.5655 −2.3460
30 −0.5946 −0.5553 −0.6196 −0.6241 −1.0388 −1.5052 −2.3596
50 −0.4447 −0.2577 −0.2403 −0.2173 −0.5043 −0.9495 −1.7479
80 −0.1596 0.1903 0.4158 0.6354 0.4772 −0.0429 −0.8819

計算 5.2 銘柄ごとの M と、スプレッドを足した値

銘柄 スプレッドの中央 M の幅 M + s の中央 M + s の幅
USDJPY 0.6000 −2.3596 〜 0.6354 −0.0227 −1.4869 〜 +1.5081
EURUSD 0.3000 −0.9693 〜 0.0329 −0.0193 −0.5069 〜 +0.4953
GBPUSD 0.9000 −1.4411 〜 −0.9228 −0.0358 −0.2844 〜 +0.2339
XAUUSD 3.5400 −4.3558 〜 −3.3098 −0.0649 −0.6842 〜 +0.3618

観察 5.3:スプレッドを足した値の絶対値の中央は、196 マス全体で 0.1419 pips である。 銘柄ごとの中央は −0.0227・−0.0193・−0.0358・−0.0649 pips で、四銘柄ともゼロの近くにある。

観察 5.4:勝率と M の相関は −0.068867 である。 勝率が 93.6019 ポイント動いても、期待値はそれに付いてこない。

観察 5.5:GBPUSD の M は −1.4411 から −0.9228 pips の帯から出ない。スプレッドは 0.9000 pips である。49 通りの置き方で、この帯の外へ出るマスが一つも無い。

観察 5.6:USDJPY と EURUSD では、利確を遠くしたマス(表の下の行)で M が浅くなり、USDJPY の利確 80・損切り 20 では +0.6354 pips と正になる。だがこれは M + s の幅が ±1.5 pips あることの内側である(計算 5.2)。一つのマスを取り出して「このマスは勝てる」と読んではいけない。

観察 5.7:★ したがって、利確と損切りの置き方は勝率と損益比を交換する操作である。交換されるものの積(期待値)は、交換の対象になっていない。

図2 同じ 49 マスで、期待値はスプレッドのまま動かない

図2:横が損切り、縦が利確(pips)。中身は M にスプレッドを足した値。色が全面でゼロ(白)の近くにとどまる。

6. 方向 D と、打ち切りの割合

計算 6.1 方向の情報と、判定の前提が崩れる割合(評価期間)

銘柄 D の中央 D の幅 絶対値がスプレッドを超えるマス 打ち切り率の幅 同足で両触れ
USDJPY 0.6715 +0.0272 〜 +4.7083 27 / 49 0.00% 〜 42.65% 0.04% 〜 3.08%
EURUSD −0.0392 −1.0773 〜 +0.0874 13 / 49 0.00% 〜 74.34% 0.00% 〜 0.77%
GBPUSD −0.0193 −1.4390 〜 +0.3124 4 / 49 0.00% 〜 59.17% 0.00% 〜 1.47%
XAUUSD 0.3460 +0.0017 〜 +3.3007 0 / 49 0.00% 〜 4.08% 0.06% 〜 17.33%

観察 6.2:D の中央は 196 マス全体で +0.0884 pips、絶対値の中央は 0.2271 pips である。

観察 6.3:USDJPY だけが違う。 D の中央が +0.6715 pips で、49 のうち 27 のマスでスプレッドを超える。これを「USDJPY には買いのエッジがある」と読んではいけない。 D はこの期間に価格がどちらへ動いたかを拾う量で、三年という一回の窓での実現値である。本稿はドリフトを分離していない。

観察 6.4:対して M は、買いと売りで打ち消し合うのでドリフトを含まない。期待値の予言を確かめるのに使えるのは M であるという設計上の理由が、ここで数字として現れている。

観察 6.5:打ち切り率は 0.00% から 74.34% まで動く。利確も損切りも遠いマスでは、24 時間で決着しない建玉が四件に三件になる。そのマスの「勝率」は、決着した四分の一についての数字である。

観察 6.6:同じ足で上下どちらにも触れた割合は、為替で 1.47% 以下だが、XAUUSD では 17.33% に達する。金は五分足の中でよく動くので、足の高安による判定の粗さが効く。 第8節の限界である。

7. 基準線、合成乱数は、予言が厳密に成り立つ側である

計算 7.1 足の中まで独立な正規増分で作った系列(5 系列・評価期間)

銘柄 利確 損切り 実測 勝率 合成乱数 勝率 予言 実測 M+s 合成乱数 M+s
USDJPY 5 80 93.6108% 92.7428% 93.0909% −0.8308 −0.4381
USDJPY 20 20 49.4233% 47.8087% 47.8182% −0.0021 0.0442
USDJPY 80 5 5.3569% 5.1801% 4.8556% 0.7132 0.5498
EURUSD 5 80 95.7099% 95.0605% 93.5737% −0.1181 −0.3394
EURUSD 20 20 48.4763% 48.5545% 48.8440% −0.0863 0.0118
EURUSD 80 5 3.0768% 4.0477% 5.3384% 0.1265 0.3963
GBPUSD 5 80 93.8542% 92.3565% 92.7568% −0.1517 −0.4722
GBPUSD 20 20 47.6150% 46.9301% 47.1081% −0.0694 0.0140
GBPUSD 80 5 3.3961% 4.8475% 4.5215% 0.1701 0.5732
XAUUSD 5 80 90.0682% 88.6140% 89.7981% −0.1974 −0.9647
XAUUSD 20 20 41.9588% 41.3299% 40.8210% −0.0982 0.2221
XAUUSD 80 5 2.1080% 3.2875% 1.5628% 0.3618 1.4188

観察 7.2:勝率の差(実測 − 合成乱数)の中央は +0.6392 ポイントである。合成乱数は定義から公正な賭けなので、予言が厳密に成り立つ側である。

観察 7.3:スプレッドを足した期待値の差の中央は −0.0907 pips である。合成乱数でも実測でも、同じようにゼロの近くにいる。

観察 7.4:合成乱数の M + s も −0.9647 から +1.4188 pips と散らばる。公正な賭けであることが分かっている系列でも、この幅は出る。 ★ 実測でこの幅の中にある値を、効果として読んではいけない。

8. 限界

  1. ★ 足の高安で判定している。 同じ足で上下どちらにも触れた場合は不利な側が先として数えた。割合は為替で 1.47% 以下だが、XAUUSD では 17.33% に達する。 ティック単位で判定すればこの曖昧さは消えるが、本稿はそこまでしていない。
  2. 打ち切りを 24 時間に固定している。 打ち切り率が 74.34% に達するマスがあり、そこでの「勝率」は決着したものだけの数字である。打ち切りを長くすれば予言との一致は良くなるはずだが、測っていない。
  3. ★ ドリフトを分離していない。 買いと売りの差 D は、その期間に価格がどちらへ動いたかを含む。USDJPY で D が大きいことを、本稿はエッジとして主張しない。
  4. 建玉を 1 時間ごとに固定している。 最大 24 時間保有なので、観測は重なっている。 本稿の主題(M が −s から離れないこと)は平均の話なので重複に影響されないが、もし有意性を論じるなら重複を除く必要がある。本稿は t 値を報告していない。
  5. 手数料・スリッページ・約定拒否を入れていない。 実測のスプレッドだけを引いている。どれも期待値を下へずらす方向に働く。
  6. 合成乱数は独立な正規増分である。 ボラティリティの群れは入っていない。
  7. 四銘柄・三年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。

結び

利確と損切りを四十九通りに置くと、勝率は 2.1080% から 95.7099% まで、93.6019 ポイント動く。表は左上から右下へなめらかに変わり、「損小利大」も「高勝率」も、置き方ひとつで作れる。

そして実測の勝率は、任意停止定理の予言と相関 +0.996371 で一致した。予言は測る前に書いてある。

だが同じ四十九のマスで、買いと売りの損益の平均はスプレッドから離れなかった。スプレッドを足した値の絶対値の中央は 0.1419 pips、勝率との相関は −0.068867 である。

利確と損切りの置き方は、勝率と損益比を交換する操作である。 交換されるものの積は、交換の対象になっていない。

そして本稿が測れたのは、スプレッドを引いた損益までである。手数料もスリッページも入れていないので、実際の売買はこれより下から始まる。

データと再現

データ 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy
期間 2019–2024(六年)。評価 2022–2024
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
足 五分足・中値・完成足のみ。ティックの無い足は作らない
建玉 12 本ごと(1 時間ごと)。買いと売りを別々に走らせる
打ち切り 288 本(24 時間)
検算 検算/F012.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F012_output.txt から取っている
図 図/F012_zu1・図/F012_zu2(png・svg・英語版)
乱数の種 0〜4 に固定。再実行しても同じ値が出る
土台の検査 _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt

参考文献

  • 山岸勇輝 (2026). 表は当たっているのに、売買は負ける [論文423]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22700114
  • 山岸勇輝 (2026). ピボットの水準に触る確率は、その水準までの距離の言い換えである [F009]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22881708

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「利確と損切りを四十九通りに置いても、期待値は動かない」[F012]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22891608

YOI F012FX と金融ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F012・DOI 10.5281/zenodo.22891608・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 利確と損切りを四十九通りに置いても、期待値は動かない [F012]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F012 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22891608

Yamagishi, Y. (2026). Placing the Take Profit and Stop Loss Forty-Nine Ways Does Not Move the Expectation [F012]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F012; DOI: 10.5281/zenodo.22891608

@misc{yamagishi2026yoiF012,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Placing the Take Profit and Stop Loss Forty-Nine Ways Does Not Move the Expectation},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F012},
  doi = {10.5281/zenodo.22891608},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
a1ff3187e2400e29f6cf74e5b23c4eb95093b82228cdce40ec849913614c9189 yamagishi_F012__20260922_jp.pdf
9ddb9ad6b62691415701f28c4338656edbbe02090efeb0b64b7756f689847685 yamagishi_F012__20260922_en.pdf

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