【F011】キリ番は、価格を引き寄せない

要旨

本稿が問うのは、キリのいい数字が価格を引き寄せるのか、である。答えは、引き寄せない。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、50 pips 刻みのキリ番に、その日のうちに触れた率の中央は 68.1877% である。一方、同じ 50 pips 刻みを 25 pips ずらしただけの、名前も意味も無い水準では 70.3728% である。差は −2.1851 ポイントで、偽の方が高い(第3節)。

第二に、これが本稿の芯である。八つのセル(四銘柄 × 上下)すべてで、偽の水準の方が触れた率が高かった。 しかも偽の水準の方が、始値からの距離の中央がわずかに遠い(0.2142 対 0.2085)にもかかわらずである(第3節)。

第三に、距離の五分位に切って同じ帯の中で比べると、キリ番の方が高かったのは 20 帯のうち 6 である。偶然なら 10.0 なので、偶然を下回っている。差の中央は −1.7972 ポイントである(第4節)。

第四に、触れたあとに反対へ真の値幅の半分だけ戻る率は、キリ番 34.1199%・偽 33.9213% で、差は +0.1986 ポイントである。「キリ番では跳ね返る」も成立しない(第3節)。

第五に、終値とキリ番の距離を測ると、平均は無作為な場合の 12.5 pips に対して +0.2186 pips 遠い。偽の水準との距離は逆に −0.2186 pips 近い。「大台で引ける」という形の引き寄せは、符号が逆向きに出ている(第5節)。

第六に、足の中まで独立な正規増分で作った合成系列で同じ測定をすると、触れた率の差の中央は −0.5291 ポイント、絶対値の中央は 0.9436 ポイントである。合成乱数にはキリ番も大台も無いのに、同じ率が出る(第7節)。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。価格の刻み、真の値幅、ランダムウォークはすべて既知である。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。扱うのは公知の言い回しそのものである。売買を論じない。本稿が測るのは触れた率・跳ね返り率・終値の距離・方向の情報であって、手数料・約定・資金管理を含む売買の成績ではない。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・六年・1 時間足の測定である。月次の時系列モメンタム(数十市場・保有1〜12ヶ月)は学術的に文書化されており、本稿はそれを否定しない。刻みを 50 pips と 100 pips に固定する。10 pips 刻みや、銘柄ごとに意識される特定の水準は扱わない(第9節)。注文板を見ていない。「大台に注文が溜まる」という主張のうち、板に実際に注文があるかどうかは、価格の足からは測れない。本稿が否定したのは価格の側に現れる引き寄せであって、板の中身ではない。予測を主張しない。既刊との関係:本系列は、率を報告するときに、それが偶然なら何%になるかを必ず併記する。F008 は偽の比率を同じ帯に置き、F009 は名前の無い水準を同じ日から作った。本稿は同じ手を、キリ番に当てる。加えたのは、間隔をそろえたまま半分ずらすという作り方、終値の距離を無作為な場合の値と並べたこと、偽の方が高かったセルの数を数えたことである。

1. 記法と問い

「キリのいい数字は意識される」「大台には注文が溜まる」という言い方がある。

呼ばれ方 引き方
大台 100 pips ごと
キリ番 50 pips ごと
本稿の偽の水準 キリ番を 25 pips ずらしたもの

観察 1.1:「キリ番に触れた」という観察だけでは何も言えない。 価格は動くので、近くにある水準には触れる。キリ番は 50 pips ごとに必ずあるので、必ずどれかが近くにある。

観察 1.2:決着させるには、同じ間隔で、意味の無い水準を置けばよい。 キリ番を 25 pips ずらすと、間隔は 50 pips のまま、キリのよさだけが消える。差が出なければ、キリ番に引き寄せは無い。

観察 1.3:ここで測れないものを先に言う。注文板の中身は価格の足からは見えない。 「大台に注文が溜まっている」という主張そのものは、本稿の射程の外である。本稿が測るのは、その溜まりが価格の動きに現れるかである。

問い:キリ番は、キリ番でない水準より、価格を引き寄せるのか。

2. 測る量と設計を、先に書く

設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)

項目 決めたこと
日の区切り 協定世界時の 0 時。足が 12 本に満たない日は使わない
キリ番 50 pips 刻み。大台は 100 pips 刻み
偽の水準 同じ 50 pips 刻みを 25 pips ずらしたもの
取り方 その日の始値から、上と下それぞれに最も近い一本
距離 絶対値(水準 − その日の始値)÷ ATR(前日までの 14 日の真の値幅の平均)
触れた率 その日のうちに、どれかの足の高安がその水準を挟んだ割合
跳ね返り率 触れたあと、反対へ真の値幅の 0.5 倍戻った割合
終値の距離 その日の終値と、最も近い水準との距離(pips)
方向の情報 水準に触れた足から 24 本先までの、跳ね返りの向きへの値動き(pips)
足 1 時間足・中値・完成足のみ
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
期間 2019–2024。評価 2022–2024

観察 2.1:キリ番と偽の水準は、間隔も向きの取り方も完全に同じである。 違うのは位置が 25 pips ずれていることだけで、その結果としてキリがよくなくなる。

観察 2.2:ATR はその日の値を使わない。 前日までの 14 日から作る。

観察 2.3:方向の信号は、水準に触れた足に置く。 触れる前の足に置くと、「水準へ向かって動いた」ことが条件に入り、その逆に賭ければ必ず負ける。

1 pip は USDJPY が 0.01、EURUSD と GBPUSD が 0.0001、XAUUSD が 0.1 である。日数は USDJPY・EURUSD・GBPUSD が 1,555 日(評価 778 日)、XAUUSD が 1,524 日(評価 764 日)である。

3. キリ番と、ずらしただけの水準を並べる。これが分離子である

計算 3.1 触れた率と跳ね返り率(評価期間)

銘柄 種類 向き 日数 距離 ÷ ATR 触れた率 跳ね返り率
USDJPY キリ番 上 778 0.1785 71.0797% 30.3797%
USDJPY キリ番 下 778 0.1866 69.7943% 34.0700%
USDJPY 偽 上 778 0.1982 73.3933% 32.2242%
USDJPY 偽 下 778 0.1846 71.3368% 35.1351%
USDJPY 大台 上 778 0.3861 48.9717% 26.7717%
USDJPY 大台 下 778 0.3727 50.7712% 32.1519%
EURUSD キリ番 上 778 0.3118 56.2982% 34.9315%
EURUSD キリ番 下 778 0.3107 58.6118% 29.3860%
EURUSD 偽 上 778 0.3053 59.7686% 33.1183%
EURUSD 偽 下 778 0.3229 61.5681% 32.9854%
EURUSD 大台 上 778 0.6498 33.1620% 32.5581%
EURUSD 大台 下 778 0.6208 37.5321% 25.3425%
GBPUSD キリ番 上 778 0.2304 66.5810% 34.1699%
GBPUSD キリ番 下 778 0.2580 65.2956% 33.8583%
GBPUSD 偽 上 778 0.2578 66.7095% 36.8015%
GBPUSD 偽 下 778 0.2302 69.4087% 32.9630%
GBPUSD 大台 上 778 0.4690 44.8586% 37.8223%
GBPUSD 大台 下 778 0.4823 44.3445% 31.0145%
XAUUSD キリ番 上 764 0.0965 86.2565% 36.1153%
XAUUSD キリ番 下 764 0.0924 85.2094% 37.3272%
XAUUSD 偽 上 764 0.0884 87.8272% 34.7243%
XAUUSD 偽 下 764 0.0948 85.8639% 39.1768%
XAUUSD 大台 上 764 0.1845 73.8220% 31.9149%
XAUUSD 大台 下 764 0.1848 71.0733% 33.5175%

計算 3.2 種類ごとの中央

種類 触れた率の中央 跳ね返り率の中央 距離の中央
キリ番 68.1877% 34.1199% 0.2085
偽 70.3728% 33.9213% 0.2142
大台 46.9152% 32.0334% 0.4275

観察 3.3:触れた率の差は −2.1851 ポイントで、偽の方が高い。 そして八つのセルすべてで偽の方が高かった。

観察 3.4:偽の水準の方が、始値から遠い(距離の中央 0.2142 対 0.2085)。遠いのに触れた率が高い。引き寄せがあるなら向きが逆である。

観察 3.5:跳ね返り率の差は +0.1986 ポイントで、ほぼ同じである(34.1199% 対 33.9213%)。「キリ番では跳ね返る」も成立しない。

観察 3.6:大台(100 pips 刻み)の触れた率は 46.9152% で、キリ番より低い。これは大台が特別だからではなく、距離の中央が 0.4275 と二倍遠いからである。

図1 キリ番と、ずらしただけの水準が同じ高さに並ぶ

図1:銘柄ごとの触れた率(上下の平均)。濃い棒(キリ番)が薄い棒(偽)より低い。

4. 距離をそろえて比べる

計算 4.1 距離の五分位の中で比べる(評価期間)

銘柄 帯 距離 ÷ ATR キリ番 件数 キリ番 偽 件数 偽 差(ポイント)
USDJPY 1 0.0404 311 93.8907% 312 95.5128% −1.6221
USDJPY 2 0.1120 314 82.8025% 308 82.1429% +0.6597
USDJPY 3 0.1869 319 71.4734% 303 70.9571% +0.5163
USDJPY 4 0.2650 300 62.0000% 322 65.2174% −3.2174
USDJPY 5 0.4074 312 41.6667% 311 48.2315% −6.5648
EURUSD 1 0.0625 291 90.0344% 332 93.3735% −3.3391
EURUSD 2 0.1883 331 71.9033% 291 76.2887% −4.3853
EURUSD 3 0.3140 330 54.8485% 292 59.9315% −5.0830
EURUSD 4 0.4436 302 42.7152% 320 44.6875% −1.9723
EURUSD 5 0.6445 302 27.8146% 321 29.2835% −1.4689
GBPUSD 1 0.0515 307 91.8567% 316 96.2025% −4.3459
GBPUSD 2 0.1460 313 82.4281% 309 81.5534% +0.8747
GBPUSD 3 0.2431 317 69.4006% 305 68.5246% +0.8760
GBPUSD 4 0.3601 311 51.4469% 311 51.7685% −0.3215
GBPUSD 5 0.5101 308 34.4156% 315 42.2222% −7.8066
XAUUSD 1 0.0196 306 97.0588% 305 95.7377% +1.3211
XAUUSD 2 0.0552 303 90.0990% 308 91.5584% −1.4594
XAUUSD 3 0.0925 307 84.6906% 305 89.8361% −5.1455
XAUUSD 4 0.1305 309 77.6699% 301 83.0565% −5.3866
XAUUSD 5 0.1894 303 79.2079% 309 74.1100% +5.0979

観察 4.2:差の中央は −1.7972 ポイント、絶対値の中央は 2.5948 ポイント、幅は −7.8066 から +5.0979 である。

観察 4.3:キリ番の方が高かったのは 20 帯のうち 6 である。偶然なら 10.0 なので、偶然を下回っている。 引き寄せがあるなら 10 より多くなるはずである。

観察 4.4:差の幅は 13 ポイント近くあり、符号も帯ごとに入れ替わる。 これは効果ではなく、一帯あたり 300 件前後という件数の揺らぎである。揺らぎが効果より大きいときは、どの一帯を取り出しても意味が無い。

図2 距離をそろえても差は出ない

図2:銘柄ごとに、距離の帯(近い → 遠い)に対する触れた率。キリ番(濃い実線)と偽(薄い破線)が重なる。

5. 終値はキリ番の近くで終わるか

計算 5.1 終値と最も近い水準の距離(評価期間・pips)

銘柄 キリ番 中央 偽 中央 キリ番 平均 偽 平均 無作為なら
USDJPY 13.2000 11.8000 13.0005 11.9995 12.5000
EURUSD 12.8250 12.1750 12.7450 12.2550 12.5000
GBPUSD 12.5000 12.5000 12.6923 12.3077 12.5000
XAUUSD 12.8675 12.1325 12.6304 12.3696 12.5000

観察 5.2:刻みが 50 pips なので、終値が一様に散らばるなら、最も近い水準との距離の平均は 12.5 pips になる。 これが基準線である。

観察 5.3:キリ番との距離の平均は、無作為な場合より 0.2186 pips 遠い。 偽の水準との距離は逆に 0.2186 pips 近い。引き寄せがあるなら、キリ番との距離だけが 12.5 より小さくなるはずである。符号が逆に出ている。

観察 5.4:ただし 0.2186 pips という差は、スプレッド(0.30 から 3.67 pips)より小さい。 ★ 本稿はこれを「キリ番が価格を遠ざける」とは読まない。 読むべきは「引き寄せが見つからなかった」であって、「反発が見つかった」ではない。

観察 5.5:四銘柄すべてで同じ向き(キリ番の方が遠い)である。符号がそろうことと、雑音と区別できることは別である。

6. 触れた足から先の方向の情報

計算 6.1 水準に触れた足に信号を置く(評価期間)

銘柄 種類 件数 D(pips) Dd(日次平均) 日次 t スプレッド 買/売
USDJPY キリ番 1,066 −2.9051 −14.0399 −5.32 0.70 514/552
USDJPY 偽 1,105 −0.4553 −12.5107 −4.76 0.70 535/570
EURUSD キリ番 891 3.2300 −2.6786 −1.56 0.30 453/438
EURUSD 偽 941 1.9870 −4.1043 −2.57 0.30 476/465
GBPUSD キリ番 1,022 −0.5125 −9.3316 −4.24 0.90 505/517
GBPUSD 偽 1,057 3.1725 −5.3558 −2.55 0.90 538/519
XAUUSD キリ番 1,269 −0.8251 −19.6345 −4.11 3.67 611/658
XAUUSD 偽 1,288 −1.8262 −21.2039 −4.77 3.67 618/670

観察 6.2:方向の情報の中央は、キリ番 −0.6688 pips・偽 +0.7658 pips である。偽の方が良い。

観察 6.3:日次 t の絶対値が 2 以上のセルは、キリ番 4 のうち 3・偽 4 のうち 4 である。偽の水準の方が「有意」になっている。

観察 6.4:これは偽の水準に情報があるという意味ではない。 両方とも Dd が大きく負で、どちらも「水準に触れたあと跳ね返りに賭けると負ける」という同じ形を出している。キリ番と偽の区別ではなく、跳ね返りに賭けること自体の性質である。

観察 6.5:この測定は h = 24 本先を見ており、隣り合う観測が重なりうる。ただし件/日が 1.0 から 2.0 なので、日をまたぐ重なりは限られる。それでも Dd と D の符号が食い違っているセルがあるので、どちらか一方だけを書いてはいけない。

7. 基準線、合成乱数にはキリ番も大台も無い

計算 7.1 足の中まで独立な正規増分で作った系列(10 系列・評価期間)

銘柄 種類 実測 触れた率 合成乱数 差(ポイント)
USDJPY キリ番 70.4370% 70.9062% −0.4692
USDJPY 偽 72.3650% 71.0668% +1.2982
EURUSD キリ番 57.4550% 60.7069% −3.2519
EURUSD 偽 60.6684% 60.7712% −0.1028
GBPUSD キリ番 65.9383% 70.4820% −4.5437
GBPUSD 偽 68.0591% 70.7005% −2.6414
XAUUSD キリ番 85.7330% 86.3220% −0.5890
XAUUSD 偽 86.8455% 86.3743% +0.4712

観察 7.2:実測と乱数の差の中央は −0.5291 ポイント、絶対値の中央は 0.9436 ポイントである。

観察 7.3:合成乱数には注文も心理もキリ番も無い。それでも同じ率が出る。 したがって触れた率は、相場について何も言っていない。

観察 7.4:合成乱数でもキリ番と偽の差が −0.4692 から +1.2982 と散らばる。この散らばりが、実測の差 −2.1851 と同じ桁である。 ★ 実測の差を効果として読む前に、乱数でも同じ幅が出ることを見る。

8. 時間帯で分ける

設計:協定世界時で重ならない五区分に分ける。信号は第6節のキリ番である。

計算 8.1 五区分それぞれの方向の情報(評価期間)

銘柄 東京 0–7 ロンドン 7–12 重複 12–16 NY後半 16–21 夜間 21–24
USDJPY −0.78(t −1.49) 2.88(t 0.32) −7.67(t −0.77) −42.79(t −2.46) 件数不足
EURUSD 1.30(t 0.38) 0.92(t 0.16) 7.89(t 1.82) 12.39(t 1.79) 件数不足
GBPUSD −2.08(t −0.89) 1.36(t 0.06) 3.85(t 0.72) −13.09(t −0.94) 件数不足
XAUUSD 0.05(t −1.28) −13.38(t −0.86) 9.51(t 0.58) 件数不足 件数不足

観察 8.2:日次 t の絶対値が 2 以上になったセルは 15 のうち 1 である。偶然なら およそ 0.7 セルなので、偶然と同じ程度である。

観察 8.3:有意に見えたのは USDJPY の NY後半(−42.79・t −2.46)である。本稿はこれを主張しない。 四銘柄 × 五区分を試している以上、どれか一つがこう見えるのは当たり前である。

観察 8.4:夜間帯は四銘柄とも、NY後半は XAUUSD が、件数不足で測れなかった。水準に触れるのは市場が動いている時間に偏るためである。

9. 限界

  1. ★ 刻みを 50 pips と 100 pips に固定している。 10 pips 刻みや、銘柄ごとに「意識される」とされる特定の水準(例えば歴史的な高値安値と一致するキリ番)は扱っていない。本稿が否定したのは、刻みとして機械的に引いたキリ番である。
  2. ★ 注文板を見ていない。 「大台に注文が溜まる」という主張のうち、板に注文があるかどうかは価格の足からは測れない。否定したのは、その溜まりが価格の動きに現れるかである。
  3. 偽の水準の置き方は一通りである。 25 pips ずらした。別のずらし方では数字が変わる。ただし第4節は距離をそろえて比べているので、ずらし方には依らない。
  4. 跳ね返りの判定を真の値幅の 0.5 倍に固定している。 別の幅では跳ね返り率が変わる。キリ番と偽で同じ幅を使っているので、比較は成り立つ。
  5. 第6節は h = 24 本先を見ており、観測が重なりうる。 件/日は 1.0 から 2.0 なので日をまたぐ重なりは限られるが、D と Dd の符号が食い違うセルがある。
  6. 合成乱数は独立な正規増分である。 ボラティリティの群れは入っていない。
  7. 四銘柄・六年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。

結び

キリ番には、その日のうちに 68.1877% の割合で触れる。触れたあと 34.1199% の割合で反対へ戻る。「意識されている」と読める数字である。

だが同じ 50 pips 刻みを 25 pips ずらしただけの、名前も意味も無い水準では、触れた率が 70.3728%、跳ね返り率が 33.9213% だった。八つのセルすべてで、偽の方が触れた率が高い。 しかも偽の方が始値から遠い。

距離をそろえて比べても、キリ番の方が高かったのは 20 帯のうち 6(偶然なら 10.0)である。終値との距離は、無作為な場合の 12.5 pips に対して 0.2186 pips 遠い。合成乱数でも同じ率が出る。

キリのよさは、価格の側に現れない。 引き寄せられているのは価格ではなく、その数字が目に入りやすい私たちの側である。

そして本稿が測れたのは、価格の足に現れる分だけである。板に何が置かれているかについては、ここでは何も答えていない。

データと再現

データ 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy
期間 2019–2024(六年)。評価 2022–2024
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
足 1 時間足・中値・完成足の終値のみ。ティックの無い足は作らない
日の区切り 協定世界時の 0 時。足が 12 本に満たない日は使わない
検算 検算/F011.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F011_output.txt から取っている
図 図/F011_zu1・図/F011_zu2(png・svg・英語版)
乱数の種 0〜9 に固定。再実行しても同じ値が出る
土台の検査 _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt

参考文献

  • 山岸勇輝 (2026). フィボナッチの比率に特権はない [F008]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22881668
  • 山岸勇輝 (2026). ピボットの水準に触る確率は、その水準までの距離の言い換えである [F009]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22881708

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「キリ番は、価格を引き寄せない」[F011]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22891487

YOI F011FX と金融ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F011・DOI 10.5281/zenodo.22891487・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). キリ番は、価格を引き寄せない [F011]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F011 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22891487

Yamagishi, Y. (2026). Round Numbers Do Not Attract Price [F011]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F011; DOI: 10.5281/zenodo.22891487

@misc{yamagishi2026yoiF011,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Round Numbers Do Not Attract Price},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F011},
  doi = {10.5281/zenodo.22891487},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
e3baa1b5c89f9b5f9912362938dd6278bcbbb9ecfb04b07cbf9bfad70118a3a6 yamagishi_F011__20260922_jp.pdf
db2db1683bd4eabf112c72177d8f1fc4cbcc0183b6df96a654a110153228a579 yamagishi_F011__20260922_en.pdf

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