【M022】死因がはっきりしない死亡の割合は、自宅では病院の 8.19 倍で、年齢では 55〜59 歳が山である

要旨

本稿が問うのは、死因の統計の中で「死因がはっきりしない死亡」がどのくらいあり、死亡の場所と年齢でどう違うか、である。人口動態統計の 2024 年の表(死因簡単分類 × 死亡の場所、三桁基本分類 × 5 歳階級)から、死因簡単分類の「その他の症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの」(ICD-10 の R00〜R99 から老衰と乳幼児突然死症候群を除いたもの)を「死因がはっきりしない死亡」として数えた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、2024 年の死因がはっきりしない死亡は 40,293 人で、死亡全体の 0.0251 である(男性 0.0315・女性 0.0184)。そのうち 0.648 は R99「その他の診断名不明確及び原因不明の死亡」である。二つの表の数は互いに一致する(第3節)。

第二に、これが本稿の芯である。死因がはっきりしない死亡の割合は、自宅で亡くなった人では 0.0940、病院では 0.0115 で、自宅は病院の 8.19 倍である。死因がはっきりしない死亡の 0.613 は自宅で起きているが、自宅は死亡全体の 0.164 にすぎない。 男性の自宅では 0.1184 である(第4節)。

第三に、年齢では、15 歳以上で 55〜59 歳の 0.0633 がいちばん高く、それより上の年齢では下がり続けて、100 歳以上は 0.0065 である(第5節)。

第四に、高い年齢では、はっきりしない死亡の代わりに老衰の割合が上がる。 老衰の割合は 60〜64 歳の 0.0016 から 100 歳以上の 0.4779 まで年齢とともに上がり、80〜84 歳ではっきりしない死亡の割合(0.0232)を初めて上回る(0.0692)。場所では、老衰の割合は老人ホームで 0.4190 と最も高く、病院で 0.0618 と最も低い(第4・5節)。

第五に、死亡の場所の形は動いている。 自宅で亡くなる人の割合は 1990 年の 0.217 から 2005 年の 0.122 に下がり、2024 年は 0.164 である。老人ホームは 2005 年の 0.021 から 2024 年の 0.122 に増えた(第6節)。

第六に、分けているのは死亡の場所と年齢である。「死因の統計」は、どこで・何歳で亡くなったかによって、死因の書かれ方の形が違う。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。死因の分類と死亡の場所は公表の表にあるもので、本稿はそれを並べて、死因がはっきりしない死亡の割合がどこで高いかを測るだけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 一人の見通しではない。どの数も全国の集計の割合である。死亡の場所によって死因を確かめる手続きがどう違うかは調べていないので、割合の違いの理由には立ち入らない。個々の死亡の扱いの良し悪しや、どの場所・どの職種の仕事の良し悪しも言わない。 「死因がはっきりしない」は、死亡票の原死因が R00〜R99(老衰・乳幼児突然死症候群を除く)に分類されたことを指す。老衰は別に数える。死亡数が 10 未満の升目は本文に出さない(本稿が示す升目では 0 個)。データについて:e-Stat の人口動態統計は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の割合は加工して作成した。出典:厚生労働省「人口動態統計」。加えたのは、死因がはっきりしない死亡の割合を死亡の場所と 5 歳階級で並べ、自宅と病院の違いと中年の山を示したこと、高い年齢で老衰の割合がはっきりしない死亡の割合を上回る年齢を示したこと、二つの表の数を突き合わせて一致を確かめたことである。在庫の一覧で一本にしうるとされた「解剖される死亡の割合」は、表が見つからなかったので入れていない。

1. 記法と問い

  • 死因がはっきりしない死亡:死因簡単分類の「18300 その他の症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの」。ICD-10 の R00〜R99 から R54(老衰)と R95(乳幼児突然死症候群)を除いたものにあたる。
  • 老衰:死因簡単分類の「18100 老衰」(R54)。
  • 死亡の場所:死亡票の記載による(病院・診療所・介護医療院・介護老人保健施設・助産所・老人ホーム・自宅・その他)。
  • 割合:その場所(またはその年齢)の死亡のうち、死因がはっきりしない死亡(または老衰)の割合。

問い:死因がはっきりしない死亡はどのくらいあり、死亡の場所と年齢でどう違うか。

観察 1.1:死因の統計は、死亡票に書かれた原死因を分類して数える。原死因がはっきり書けない死亡は、どの死因にも入らず「症状・徴候」の章に入る。その割合がどこで高いかは、死因の統計のどこが見えにくいかを示す。

2. 下見と設計

正直に書く:本稿の設計は、表を見たあとに決めた。

中身
場所 下巻 第5表:死因簡単分類 × 性 × 死亡の場所(2024 年)
年齢 下巻 第1-1表:三桁基本分類 × 性 × 5 歳階級(2024 年)。R00〜R99 の三桁の分類から R54・R95 を除いて足す
推移 上巻 第5.5表:死亡の場所別の年次別死亡数
入れなかったもの 解剖・手術の有無別の表(保管統計表):本稿が使う e-Stat の確定数の表の一覧に見つからなかった

3. データと、その確かめ

計算 3.1 取得したファイルを SHA-256 で固定し、次のことを確かめた。

確かめたこと 結果
下巻第5表 場所の和 = 総数、男 + 女 = 総数(死亡総数・老衰・はっきりしない死亡)
二つの表の突き合わせ 第1-1表の R00〜R99(R54・R95 を除く 88 の分類)の和 = 第5表の 18300(総数 40293・男 25838・女 14455)
老衰 第1-1表の R54 = 第5表の 18100
推移の表 第5.5表の 2024 年の死亡総数・病院・自宅 = 第5表の死亡総数の行

計算 3.2 2024 年の数

人数
死亡総数 1,605,378
「症状・徴候…」の章 247,238
うち 老衰 206,887
うち 乳幼児突然死症候群 58
うち 死因がはっきりしない死亡 40,293(死亡の 0.0251)
はっきりしない死亡の中で多い三桁の分類 R99 26,116(0.648)・R98 4,995・R68 2,529

4. 芯、死亡の場所

計算 4.1 死亡の場所ごとの死亡数と割合(2024 年)

場所 死亡数 はっきりしない死亡 その割合 老衰 その割合
病院 1,033,675 11,859 0.0115 63,851 0.0618
診療所 19,148 166 0.0087 2,915 0.1522
介護医療院・介護老人保健施設 66,131 415 0.0063 22,143 0.3348
老人ホーム 196,003 1,240 0.0063 82,122 0.4190
自宅 262,883 24,709 0.0940 32,046 0.1219
その他 27,538 1,904 0.0691 3,810 0.1384

観察 4.2:死因がはっきりしない死亡の割合は、自宅で 0.0940、病院で 0.0115 で、自宅は病院の 8.19 倍である。 「その他」の場所でも 0.0691 と高い。施設(介護医療院等・老人ホーム)では 0.0063 と低い。

観察 4.3:死因がはっきりしない死亡の 0.613 は自宅で起きているが、自宅は死亡全体の 0.164 である。 男性では自宅の割合が 0.1184、女性では 0.0631 で、病院では男女とも 0.0114・0.0116 とほぼ同じである。

観察 4.4:老衰の割合は老人ホームで 0.4190、介護医療院等で 0.3348 と高く、病院で 0.0618 と最も低い。死因の書かれ方の形は、亡くなった場所によって違う。

図1 死亡の場所ごとの、死因がはっきりしない死亡と老衰の割合

図1:2024 年の死亡の場所ごとの割合。赤が死因がはっきりしない死亡、青が老衰。赤は自宅と「その他」で高く、青は老人ホームと介護医療院等で高い。

5. 年齢

計算 5.1 年齢ごとの割合(2024 年・5 歳階級)

年齢 はっきりしない死亡の割合 老衰の割合
40〜44 歳 0.0576 、
55〜59 歳 0.0633 、
60〜64 歳 0.0577 0.0016
70〜74 歳 0.0423 0.0146
75〜79 歳 0.0327 0.0292
80〜84 歳 0.0232 0.0692
85〜89 歳 0.0179 0.1279
90〜94 歳 0.0126 0.2175
95〜99 歳 0.0095 0.3244
100 歳以上 0.0065 0.4779

(「、」は老衰の死亡数が 10 未満の階級で、出さない。)

観察 5.2:死因がはっきりしない死亡の割合は、15 歳以上で 55〜59 歳の 0.0633(1,899 ÷ 29,979)がいちばん高く、それより上の年齢では下がり続け、100 歳以上は 0.0065 である。 0〜4 歳は 0.0908 と高い(162 ÷ 1,785)。

観察 5.3:老衰の割合は 60〜64 歳の 0.0016 から 100 歳以上の 0.4779 まで年齢とともに上がり、80〜84 歳ではっきりしない死亡の割合を初めて上回る(0.0692 と 0.0232)。 はっきりしない死亡と老衰を合わせた割合は、40〜44 歳 0.0576、55〜59 歳 0.0633、70〜74 歳 0.0569、85〜89 歳 0.1458、100 歳以上 0.4844 である。高い年齢では、原死因が「症状・徴候」の章の中でも老衰として書かれることが多くなる。

図2 年齢ごとの、死因がはっきりしない死亡と老衰の割合

図2:2024 年の 5 歳階級ごとの割合(縦軸は対数)。赤が死因がはっきりしない死亡、青が老衰(死亡数 10 以上の階級だけ)。赤は中年で高く高い年齢で下がり、青は 60 歳から上がり続けて 80 歳ごろに赤を越える。

6. 死亡の場所の推移

計算 6.1 死亡の場所の割合(第5.5表)

年 死亡総数 病院 老人ホーム 自宅 その他
1990 820,305 0.716 0.000 0.217 0.033
2005 1,083,796 0.798 0.021 0.122 0.025
2024 1,605,378 0.644 0.122 0.164 0.017

観察 6.2:自宅で亡くなる人の割合は 1990 年の 0.217 から 2005 年の 0.122 に下がり、2024 年は 0.164 である。老人ホームは 2005 年の 0.021 から 2024 年の 0.122 に増えた(表の注のとおり、1994 年までの老人ホームでの死亡は自宅またはその他に含まれる)。死因の書かれ方の形が場所で違うので、死亡の場所の形が動けば、死因の統計の中の「はっきりしない死亡」や「老衰」の大きさも動きうる。 本稿は 2024 年の一年だけを見ており、年をまたいだ比べはしていない。

7. 限界

  1. 2024 年の一年だけを見た。 はっきりしない死亡の割合の推移は調べていない。
  2. 死亡の場所によって死因を確かめる手続きがどう違うかは調べていない。 割合の違いの理由には立ち入らない。
  3. 「死因がはっきりしない」は分類上の定義である。 老衰を別に数えたが、老衰も原死因としては症状・徴候の章に入る。
  4. 解剖の有無は入れていない(表が見つからなかった)。
  5. 個々の死亡や、場所・職種の良し悪しは言わない。
  6. 一人の見通しではない。

結び

2024 年に死因がはっきりしない死亡は 40,293 人で、死亡の 0.0251 だった。その割合は自宅では 0.0940 と病院の 8.19 倍で、はっきりしない死亡の 0.613 が、死亡全体の 0.164 にすぎない自宅で起きていた。年齢では 55〜59 歳の 0.0633 が山で、それより上では下がり、80〜84 歳からは老衰の割合がはっきりしない死亡の割合を上回った。

分けるものは二つ、死亡の場所と年齢、である。

死因の統計を読むときは、その死亡がどこで、何歳で起きたかによって、死因の書かれ方の形が違うことを、一緒に思い出す。

データと再現

データ 厚生労働省『人口動態統計』令和6年(確定数)下巻 第5表・第1-1表、上巻 第5.5表(e-Stat・2026 年 9 月 26 日に利用)
利用条件 e-Stat のコンテンツは政府標準利用規約(第2.0版)に準拠。本稿の割合は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・2024 年(死亡の場所の推移は 1990・2005・2024 年)
検算 検算/M022.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/M022_output.txt から取っている
生データ data/ に取得したファイル 3 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・言葉と計算の置き方)
図 図/M022_zu1・図/M022_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)下巻 第5表・第1-1表、上巻 第5.5表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「死因がはっきりしない死亡の割合は、自宅では病院の 8.19 倍で、年齢では 55〜59 歳が山である」[M022]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22968281

YOI M022医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M022・DOI 10.5281/zenodo.22968281・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 死因がはっきりしない死亡の割合は、自宅では病院の 8.19 倍で、年齢では 55〜59 歳が山である [M022]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M022 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22968281

Yamagishi, Y. (2026). The Share of Deaths with an Ill-Defined Cause Is 8.19 Times Higher at Home Than in Hospital, and Peaks at Ages 55–59 [M022]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M022; DOI: 10.5281/zenodo.22968281

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
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