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【M054】肝臓の死亡は死因の三つの章に分かれていて、「肝疾患」の章は 2024 年の 42,771 人の 0.441 にとどまる

要旨

人口動態統計(2024 年・確定数)の死因簡単分類で、肝臓に関わる死亡を、「肝疾患」(消化器系の疾患の章)・「ウイルス性肝炎」(感染症の章)・「肝及び肝内胆管の悪性新生物」(新生物の章・本稿では「肝がん」)の三つの章に分け、中身ごとに年齢の形と男女の比を並べた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。肝疾患 = 肝硬変(アルコール性を除く)+ その他の肝疾患、ウイルス性肝炎 = B型 + C型 + その他が、総数と年齢ごと・男女ごとに成り立ち、どの死因も 総数 = 男 + 女 である(第3節)。

第二に、「肝疾患」の章は、肝臓に関わる三つの章の和 42,771 人の 0.441 にとどまる。 肝がんは 22,465 人(0.525)、ウイルス性肝炎は 1,448 人(0.034)で、どれを「肝臓の病気の死亡」と呼ぶかで数が 2 倍以上変わる(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。中身によって、年齢の形がはっきり違う。 男性の 65 歳未満の割合は、その他の肝疾患 0.411、肝硬変(アルコール性を除く)0.286、ウイルス性肝炎 0.183、肝がん 0.098。死亡の真ん中の年齢区分は、その他の肝疾患 65〜69 歳、肝硬変 70〜74 歳、肝がん・ウイルス性肝炎 75〜79 歳。男性の 30〜64 歳では、四つの中で「その他の肝疾患」の死亡率がいちばん高い(第5節)。

第四に、男女の比も中身と年齢で違う。 死亡数の男 ÷ 女は、その他の肝疾患 2.84・肝がん 2.06・肝硬変(アルコール性を除く)1.20・ウイルス性肝炎 0.91(C 型は 0.78 で女性のほうが多い)。死亡率の男女の比は、肝疾患で 55〜59 歳の 4.19 がいちばん大きく、90〜94 歳では 1.48 まで近づく。その他の肝疾患では 65〜69 歳の 6.16 がいちばん大きい(第6節)。

第五に、同じ「肝疾患」の中でも、肝硬変(アルコール性を除く)は男女の比が 85〜89 歳で 1.20 と小さく、その他の肝疾患は 2.53 と大きい。 章の名前と中身の名前が、別々の形を一つにまとめている(第6節)。

第六に、分けるのはどの章の、どの中身を数えるか。「肝臓の病気で亡くなる人」は、数える箱によって数も、年齢の山も、男女の比も変わる。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。死亡数と死亡率は公開の表にあり、本稿は死因の分類ごとに並べて比べただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 飲酒や感染との関係には立ち入らない。 「その他の肝疾患」に何が入るかは表の名前のとおりに扱い、中身の内訳は確かめていない。死因は死亡診断書にもとづく原死因で、書いた人を責めるものではない。一つの年(2024 年)の年齢の違いの比べで、同じ人の変わり方ではない。死亡率の男女の比は、男女とも死亡数が 20 以上の年齢だけで見た。都道府県は比べない。一人の見通しではない。 データについて:人口動態統計(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の割合・比は、これを加工して作成した。本稿が加えたこと:肝臓に関わる死亡を三つの章と五つの中身に分けて並べ、「肝疾患」の章が半分に届かないこと、中身ごとに年齢の山と男女の比が違うことを、一つの年の表で示したこと。

1. 記号と問い

  • 三つの章:「肝疾患」(11300・消化器系の疾患の章)、「ウイルス性肝炎」(01400・感染症及び寄生虫症の章)、「肝及び肝内胆管の悪性新生物<腫瘍>」(02106・新生物の章)。本稿では最後を「肝がん」と書く。
  • 肝疾患の中身:11301 肝硬変(アルコール性を除く)と 11302 その他の肝疾患。
  • 65 歳未満の割合:死亡数のうち 0〜64 歳の割合(年齢不詳を除く)。
  • 死亡の真ん中の年齢区分:年齢の低いほうから死亡数を足して、半分を超える 5 歳階級。
  • 男女の死亡率の比:同じ 5 歳階級の、男性の死亡率 ÷ 女性の死亡率(男女とも死亡数が 20 以上の階級)。

問い:「肝臓の病気で亡くなる人」は、どの箱で数えるかで、数・年齢の山・男女の比がどう変わるか。

観察 1.1:M038 は、「心疾患」の中身ごとに年齢構成の効きが違うことを示した。M045 は、「糖尿病の人」の数が何を数えるかで桁が変わることを示した。本稿は、肝臓に関わる死亡が死因の分類のどの箱に入るかで、形が変わることを見る。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 人口動態統計 令和6年(確定数)下巻 第2表(死亡数・死因簡単分類・性・年齢 5 歳階級)、上巻 第5.16表(死亡率)
下見で気づいたこと 肝臓に関わる死亡は、「肝疾患」だけでなく、感染症の章のウイルス性肝炎と、新生物の章の肝がんに分かれていた
物差し 死亡数と男女の比、65 歳未満の割合、死亡の真ん中の年齢区分、年齢ごとの男女の死亡率の比
見込みと実測 男女とも「その他の肝疾患」の 65 歳未満の割合は肝硬変(アルコール性を除く)の 2 倍より大きいと見込んでいたが、男性は 1.44 倍だった(女性は 2.70 倍)

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 2 本のファイルを SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 死亡数の表は「下巻 死亡 第2表 死亡数,死因(死因簡単分類)・性・年齢(5歳階級)別」、死亡率の表は「上巻 死亡 第5.16表 … 死亡率(人口10万対)」。どちらにも 0〜4 歳 … 100 歳以上の 21 の 5 歳階級がある。
  • 章の行は「01000 感染症及び寄生虫症」「02000 新生物<腫瘍>」「11000 消化器系の疾患」。8 つの死因の行が、男女と総数そろって二つの表にある。
  • 肝疾患 = 肝硬変(アルコール性を除く)+ その他の肝疾患、ウイルス性肝炎 = B型 + C型 + その他が、総数と年齢ごと・男女ごとに成り立つ。どの死因も 総数 = 男 + 女、5 歳階級の和 + 不詳 = 総数。

4. 三つの章の死亡数

計算 4.1 肝臓に関わる死亡数(2024 年)

死因 死亡数 男 女 男 ÷ 女
肝疾患 18,858 12,285 6,573 1.87
うち 肝硬変(アルコール性を除く) 8,515 4,636 3,879 1.20
うち その他の肝疾患 10,343 7,649 2,694 2.84
ウイルス性肝炎 1,448 688 760 0.91
うち B型 317 172 145 1.19
うち C型 948 414 534 0.78
肝がん(肝及び肝内胆管の悪性新生物) 22,465 15,133 7,332 2.06

観察 4.2:三つの章の和は 42,771 人で、そのうち「肝疾患」の章は 0.441、肝がんは 0.525、ウイルス性肝炎は 0.034。 「肝疾患で亡くなった人」と言うと、肝臓に関わる死亡の半分にも届かない。ウイルス性肝炎は男 ÷ 女 0.91 で、C 型は 0.78 と女性のほうが多い。

5. 芯、中身によって、年齢の山が違う

計算 5.1 65 歳未満の割合と、死亡の真ん中の年齢区分

死因 男:65 歳未満 男:真ん中 女:65 歳未満 女:真ん中
肝硬変(アルコール性を除く) 0.286 70〜74 歳 0.113 80〜84 歳
その他の肝疾患 0.411 65〜69 歳 0.305 75〜79 歳
ウイルス性肝炎 0.183 75〜79 歳 0.038 85〜89 歳
肝がん 0.098 75〜79 歳 0.049 80〜84 歳
肝疾患(合計) 0.364 70〜74 歳 0.192 80〜84 歳

観察 5.2:男性の 65 歳未満の割合は、その他の肝疾患 0.411 が四つの中でいちばん大きく、肝硬変(アルコール性を除く)0.286、ウイルス性肝炎 0.183、肝がん 0.098 と続く。 女性でも、その他の肝疾患 0.305 に対し、肝硬変(アルコール性を除く)0.113、肝がん 0.049、ウイルス性肝炎 0.038。男性の 30〜34 歳から 60〜64 歳までは、四つのうち「その他の肝疾患」の死亡率がいちばん高く、65〜69 歳で肝がんがこれを上回る。

図1 肝臓の死亡の中身ごとの年齢別死亡率

図1:2024 年の中身ごとの年齢別死亡率(人口 10 万対・縦は対数)。紫が肝硬変(アルコール性を除く)、橙がその他の肝疾患、緑がウイルス性肝炎、紺が肝がん。

6. 男女の比は、中身と年齢で違う

計算 6.1 男女の死亡率の比(男性 ÷ 女性・男女とも死亡数 20 以上の年齢)

年齢 肝疾患 肝硬変(アルコール性を除く) その他の肝疾患 肝がん
30〜34 歳 2.00 、 、 、
35〜39 歳 2.19 、 2.36 、
40〜44 歳 2.50 2.43 2.41 、
45〜49 歳 2.86 2.46 3.03 2.29
50〜54 歳 3.47 3.67 3.40 4.00
55〜59 歳 4.19 2.83 5.26 4.04
60〜64 歳 4.02 3.24 4.57 5.33
65〜69 歳 3.84 2.22 6.16 3.99
70〜74 歳 2.70 1.64 4.58 3.76
75〜79 歳 2.22 1.31 4.22 3.38
80〜84 歳 1.76 1.19 3.15 2.87
85〜89 歳 1.62 1.20 2.53 2.65
90〜94 歳 1.48 1.21 1.87 2.62
95〜99 歳 1.48 1.43 1.51 2.14

観察 6.2:肝疾患の男女の死亡率の比は、30〜34 歳の 2.00 から上がって 55〜59 歳の 4.19 がいちばん大きく、90〜94 歳では 1.48 まで近づく。 中身で分けると、その他の肝疾患は 65〜69 歳の 6.16 がいちばん大きく 85〜89 歳でも 2.53 あるのに、肝硬変(アルコール性を除く)は 85〜89 歳で 1.20 と小さい。肝がんは 60〜64 歳の 5.33 がいちばん大きい。「肝疾患」一つの男女の比は、形の違う二つの中身をまとめた値である。

図2 男女の死亡率の比

図2:年齢ごとの男女の死亡率の比(男女とも死亡数 20 以上の年齢)。灰色の実線が肝疾患(合計)、破線が中身と肝がん(色は図1と同じ)。1 の横線は男女が同じところ。

7. 限界

  1. 一つの年(2024 年)の年齢の違いの比べで、同じ人の変わり方ではない。年次の動きは見ていない。
  2. 「その他の肝疾患」に何が入るかは、表の名前のとおりに扱った(中身の内訳は確かめていない)。
  3. 死因は死亡診断書にもとづく原死因で、どの章に入るかは分類の決まりによる。書いた人を責めるものではない。
  4. 死亡率の男女の比は、男女とも死亡数が 20 以上の年齢だけで見た。
  5. 飲酒や感染との関係には立ち入らない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

2024 年の人口動態統計で、肝臓に関わる死亡は三つの章に分かれ、「肝疾患」の章は 42,771 人の 0.441 にとどまった。中身ごとに、男性の 65 歳未満の割合は 0.098 から 0.411 まで違い、男女の死亡率の比は肝疾患で 55〜59 歳の 4.19 から 90〜94 歳の 1.48 まで動いた。C 型ウイルス性肝炎は女性のほうが多かった。

分けているものは一つ、どの章の、どの中身を数えるか。

「肝臓の病気で亡くなる人」と聞いたら、どの章のどの中身を数えた数か、年齢と男女で形が同じかを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 人口動態統計 令和6年(確定数)(厚生労働省・e-Stat)下巻 第2表・上巻 第5.16表(2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)に従う。本稿の割合・比は、これを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・2024 年
検算 検算/M054.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M054_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 2 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M054_zu1・図/M054_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)下巻 第2表・上巻 第5.16表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 心不全の死亡が増えたのは年齢構成のためで、心疾患に占める割合が上がったのは急性心筋梗塞が速く減ったため、1995→2020 年の男性で心不全は粗死亡率 2.070 倍・年齢調整死亡率 0.844 倍、急性心筋梗塞の年齢調整死亡率は 0.279 倍 [M038]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974029
  • 山岸勇輝 (2026). 「糖尿病の人」の数は、何を数えるかで桁が変わる。70 歳以上の 10 万人あたり、検査で強く疑われる 19,500・通院している 12,130・その日に受療した 449〜1,948・一年に亡くなる 44.8、40〜49 歳からの上がり方も 3.1 倍から 29.4 倍まで違う [M045]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974556

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「肝臓の死亡は死因の三つの章に分かれていて、「肝疾患」の章は 2024 年の 42,771 人の 0.441 にとどまる」[M054]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22975206

YOI M054医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 肝臓の死亡は死因の三つの章に分かれていて、「肝疾患」の章は 2024 年の 42,771 人の 0.441 にとどまる [M054]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M054 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22975206

Yamagishi, Y. (2026). Liver Deaths Fall into Three Chapters of the Cause-of-Death List, and the "Liver Disease" Chapter Holds Only 0.441 of the 42,771 in 2024 [M054]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M054; DOI: 10.5281/zenodo.22975206

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