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【M053】2013 年から 2023 年に、20〜29 歳の男性で今吸う人は、同じ年齢で比べると 15.8 ポイント下がったが、同じ生まれ年を追うと 6.5 ポイント

要旨

国民健康・栄養調査の 2013 年と 2023 年の「喫煙の状況」(同じ 4 つの選択肢・10 歳ごとの年齢区分)で、今吸う人の割合の下がりを、「同じ年齢で比べる」(2013 年と 2023 年の同じ年齢区分)と「同じ生まれ年で追う」(2013 年の年齢区分と 2023 年の 10 歳上の区分)の二通りで並べた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。二つの年とも選択肢は同じ 4 つで、人数の総数は選択肢の和に一致し、2023 年の今吸う人の割合(男性 25.60 %・女性 6.95 %・総数 15.73 %)は、結果の概要の 25.6 %・6.9 %・15.7 % と一致する。結果の概要は「この 10 年間でみると、男女とも有意に減少している」としている(第3節)。

第二に、同じ年齢で比べると、若い年齢ほど大きく下がった。 男性の 20〜29 歳は 36.3 % → 20.6 %(−15.8 ポイント、標準誤差の 4.00 倍)、30〜39 歳は 44.0 % → 29.9 %(−14.2、3.94 倍)。女性の 20〜29 歳は 12.7 % → 5.2 %(−7.5)(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。同じ生まれ年で追うと、若い世代の下がりは小さい。 2013 年に 20〜29 歳だった男性は、2023 年(30〜39 歳)に 29.9 % で −6.5、30〜39 歳だった男性は −10.6。吸ったことがある人は、同じ年齢で比べると −17.5・−20.2 ポイントなのに、同じ生まれ年で追うと −4.4・−4.6 で、若い年齢の下がりの多くは、あとから生まれた人たちに吸ったことがある人そのものが少ないことから来ている(第5節)。

第四に、年をとった側では、同じ生まれ年で追った下がりのほうが大きい。 2013 年に 40〜49・50〜59 歳だった男性は、追うと −7.9・−13.0、同じ年齢で比べると −6.0・−10.0。女性の 50〜59 歳は追うと −4.7、同じ年齢では −0.1(第5節)。

第五に、二つの年だけでは、年齢・時代・生まれ年の効きを完全には分けられない。 同じ生まれ年の「吸ったことがある」は 10 年後に男性で 4.4〜11.2 ポイント減っており、一度吸った人が吸わなかったことにはならないので、答え方か答えた人の顔ぶれの違いが入っている(第6節)。

第六に、分けるのは同じ年齢で比べるか、同じ生まれ年で追うか。「喫煙率が下がった」の中には、新しく大人になった人たちが吸い始めていないことと、同じ人たちが年をとるにつれて吸わなくなることの、二つの形が混ざっている。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。人数と割合は公開の表にあり、本稿は二つの年の差を二通りに取って並べただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 喫煙が下がった理由(値上げ・規制・健康への意識など)には立ち入らない。 吸う人・吸わない人の良し悪しを言わない。 二つの年(2013 年・2023 年)だけの比べで、年齢・時代・生まれ年の効きを完全には分けられない。「同じ生まれ年」は 10 歳ごとの年齢区分を 10 年ずらした近似で、70 歳以上は幅が開いているので追っていない。標準誤差は単純な抽出を仮定した目安である。都道府県は比べない。一人の見通しではない。 データについて:国民健康・栄養調査(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に、厚生労働省の結果の概要は公共データ利用規約(第1.0版)に従って使い、本稿の割合・差・比はそれを加工して作成した。本稿が加えたこと:2013 年と 2023 年の同じ質問の表で、今吸う人の下がりを「同じ年齢」と「同じ生まれ年」の二通りに取り、若い世代では吸ったことがある人そのものが少ないこと、年をとった側では同じ人たちの下がりが大きいことを示したこと。

1. 記号と問い

  • 今吸う人:「毎日吸っている」+「時々吸う日がある」。結果の概要の「現在習慣的に喫煙している者」と同じ。
  • 吸ったことがある人:今吸う人 +「以前は吸っていたが、1か月以上吸っていない」。
  • 同じ年齢で比べる:2013 年のある年齢区分と、2023 年の同じ年齢区分の差。
  • 同じ生まれ年で追う:2013 年のある年齢区分と、2023 年の 10 歳上の年齢区分の差(ほぼ同じ年に生まれた人たち)。
  • 標準誤差の目安:√(p(1−p)/n) を二つの年で二乗して足した平方根。

問い:喫煙の割合の下がりは、生まれ年(世代)の入れ替わりか、同じ人たちが年をとるにつれての変化か。

観察 1.1:M044 は、COPD の死亡率が男性では生まれ年にそろい、女性ではそろいにくいことを示した。本稿は、その原因とも関わる喫煙そのものの割合を、同じ年齢と同じ生まれ年の二通りで比べる。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 国民健康・栄養調査 平成25年 第75表・令和5年 第73表(喫煙の状況・性・年齢階級別の人数と割合)
年 2013 年と 2023 年(ちょうど 10 年差で、10 歳ごとの年齢区分をそのまま 1 つずらせる)
下見で気づいたこと 結果の概要の注にあるとおり、「現在習慣的に喫煙している者」の定義は平成23・24 年だけ違う。2013 年と 2023 年は選択肢が同じ 4 つなので、この二つの年だけを使った
物差し 今吸う人と吸ったことがある人の割合の、同じ年齢での差と同じ生まれ年での差

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 3 本のファイル(表 2 本と令和5年の結果の概要)を SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 2013 年の表は「平成25年国民健康・栄養調査 第75表 喫煙の状況」、2023 年の表は「令和5年国民健康・栄養調査 第73表 喫煙の状況」。どちらも男女と総数それぞれに 4 つの選択肢と 6 つの年齢区分があり、人数の総数 = 4 つの選択肢の和。
  • 令和5年の結果の概要の注に、平成23、24 年は「これまでたばこを習慣的に吸っていたことがある者のうち」の別の定義とある(2013 年からは定義が同じ)。
  • 令和5年の結果の概要に「現在習慣的に喫煙している者の割合は15.7%であり、男性25.6%、女性6.9%である。この10年間でみると、男女とも有意に減少している」とあり、定義は「毎日吸っている」又は「時々吸う日がある」。2023 年の表から出した男性 25.60 %・女性 6.95 %・総数 15.73 % は、丸めると一致する。

4. 年齢ごとの割合

計算 4.1 今吸う人と吸ったことがある人の割合(%)

年齢 男:2013 今吸う 男:2023 今吸う 女:2013 今吸う 女:2023 今吸う 男:2013 吸ったことがある 男:2023 吸ったことがある
20〜29 歳 36.3 20.6 12.7 5.2 39.0 21.5
30〜39 歳 44.0 29.9 12.0 8.7 54.8 34.6
40〜49 歳 39.5 33.4 12.4 10.1 53.2 50.1
50〜59 歳 41.5 31.5 11.8 11.7 53.9 42.0
60〜69 歳 33.2 28.5 6.4 7.1 47.2 48.0
70 歳以上 14.5 16.2 2.3 2.3 27.8 31.2

観察 4.2:同じ年齢で比べると、若い年齢ほど大きく下がった。 男性の 20〜29 歳は 36.3 % → 20.6 %、30〜39 歳は 44.0 % → 29.9 %。70 歳以上は男性 14.5 % → 16.2 %、女性は 2.3 % のまま。人数は 2013 年で 1 区分 300〜1,058 人、2023 年で 193〜909 人。

図1 今吸う人の割合:2013 年・2023 年と、10 年前の同じ生まれ年

図1:今吸う人の割合。水色が 2013 年、紺が 2023 年、橙の点線は 2013 年の値を 10 歳右にずらしたもの(2023 年のその年齢の人たちが、10 年前にどれだけ吸っていたか)。紺と水色の差が「同じ年齢」、紺と橙の差が「同じ生まれ年」。

5. 芯、同じ年齢で比べるか、同じ生まれ年で追うか

計算 5.1 2013 → 2023 年の今吸う人の差(ポイント・括弧は標準誤差の目安)

2013 年の年齢 男:同じ年齢 男:同じ生まれ年 女:同じ年齢 女:同じ生まれ年
20〜29 歳 -15.8(3.9) -6.5(3.8) -7.5(2.5) -3.9(2.5)
30〜39 歳 -14.2(3.6) -10.6(3.5) -3.2(2.2) -1.9(2.1)
40〜49 歳 -6.0(3.3) -7.9(3.0) -2.3(2.0) -0.6(1.9)
50〜59 歳 -10.0(3.1) -13.0(3.0) -0.1(1.9) -4.7(1.8)

計算 5.2 2013 → 2023 年の吸ったことがある人の差(ポイント)

2013 年の年齢 男:同じ年齢 男:同じ生まれ年 女:同じ年齢 女:同じ生まれ年
20〜29 歳 -17.5 -4.4 -9.9 -2.2
30〜39 歳 -20.2 -4.6 -5.3 -4.1
40〜49 歳 -3.0 -11.2 -1.7 -0.1
50〜59 歳 -11.9 -5.9 +0.9 -5.4

観察 5.3:2013 年に 20〜29・30〜39 歳だった人たちは、男女とも、同じ年齢で比べた下がりのほうが、同じ生まれ年で追った下がりより大きい(男性 −15.8 対 −6.5、−14.2 対 −10.6)。吸ったことがある人で見ると差ははっきりしていて、男性は同じ年齢で −17.5・−20.2、同じ生まれ年で −4.4・−4.6。若い年齢の下がりの多くは、あとから生まれた人たちに、吸ったことがある人そのものが少ないことから来ている。 一方、2013 年に 40〜49・50〜59 歳だった男性は、同じ生まれ年で追った下がり(−7.9・−13.0)のほうが大きく、女性の 50〜59 歳も追った下がり −4.7 が同じ年齢の −0.1 より大きい。こちらは、同じ人たちが年をとるにつれて吸わなくなった形である。

図2 2013 → 2023 年の差:同じ年齢で比べる/同じ生まれ年で追う

図2:2013 年の年齢ごとの、同じ年齢で比べた差(紺)と同じ生まれ年で追った差(橙)。縦の線は標準誤差の目安の幅。

6. 二つの年だけで分けられないもの

観察 6.1:同じ生まれ年で追った差には、年をとったこと(年齢)と 10 年たったこと(時代)の両方が入り、同じ年齢で比べた差には、生まれ年の入れ替わり(世代)と時代の両方が入る。二つの年だけでは、この三つを完全には分けられない。また、同じ生まれ年の「吸ったことがある」が 10 年後に男性で 4.4〜11.2 ポイント減っている(2013 年に 40〜49 歳だった男性は −11.2)。一度吸った人が吸わなかったことにはならないので、以前吸っていた人が「吸わない」と答えるなどの答え方の違いか、10 年で答えた人の顔ぶれが変わったことが入っている。標準誤差の目安は 1.8〜3.9 ポイントで、一つずつの差はこの幅を考えて読む。

7. 限界

  1. 二つの年(2013 年・2023 年)だけの比べで、年齢・時代・生まれ年を完全には分けられない。
  2. 「同じ生まれ年」は 10 歳ごとの区分を 10 年ずらした近似で、70 歳以上は幅が開いているので追っていない。
  3. 同じ生まれ年の「吸ったことがある」が減っている(男性 4.4〜11.2 ポイント)ので、答え方か答えた人の顔ぶれの違いが入っている。
  4. 標準誤差は単純な抽出を仮定した目安で、調査の設計の効きは入っていない。
  5. 喫煙が下がった理由には立ち入らない。吸う人・吸わない人の良し悪しを言わない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

2013 年から 2023 年に、20〜29 歳の男性で今吸う人は同じ年齢で比べると 15.8 ポイント下がったが、同じ生まれ年を追うと 6.5 ポイントだった。若い年齢の下がりの多くは、あとから生まれた人たちに吸ったことがある人そのものが少ないことから来ており、40〜59 歳の男性では、同じ人たちを追った下がりのほうが大きかった。

分けているものは一つ、同じ年齢で比べるか、同じ生まれ年で追うか。

「喫煙率が下がった」と聞いたら、同じ年齢の人どうしで比べたのか、同じ人たちを追ったのかを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 国民健康・栄養調査(厚生労働省・e-Stat)平成25年 第75表・令和5年 第73表、令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)、厚生労働省のページは公共データ利用規約(第1.0版)に従う。本稿の割合・差・比は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・20 歳以上・2013 年と 2023 年
検算 検算/M053.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M053_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 3 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M053_zu1・図/M053_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 国民健康・栄養調査 平成25年 第75表、令和5年 第73表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 厚生労働省. 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(2026年9月26日に利用). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  • 山岸勇輝 (2026). COPD の死亡率は、男性では生まれ年にそろい、女性ではそろいにくい。1995〜2015 年の年齢 × 年で、生まれ年でそろえると残りは男性で 3.24 分の 1、女性で 1.25 分の 1 になり、年齢調整死亡率の男女の比は 4.33 から 7.44 に開いた [M044]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974498

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「2013 年から 2023 年に、20〜29 歳の男性で今吸う人は、同じ年齢で比べると 15.8 ポイント下がったが、同じ生まれ年を追うと 6.5 ポイント」[M053]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22975134

YOI M053医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M053・DOI 10.5281/zenodo.22975134・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 2013 年から 2023 年に、20〜29 歳の男性で今吸う人は、同じ年齢で比べると 15.8 ポイント下がったが、同じ生まれ年を追うと 6.5 ポイント [M053]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M053 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22975134

Yamagishi, Y. (2026). From 2013 to 2023 the Share of Men Aged 20–29 Who Smoke Now Fell 15.8 Points at the Same Age but 6.5 Points Following the Same Birth Years [M053]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M053; DOI: 10.5281/zenodo.22975134

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指紋(SHA-256)と確かめ方
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