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【M062】100〜104 歳の人口は 2005→2020 年に 3.06 倍になったが、100〜104 年前の出生数の伸びは 1.246 倍

要旨

国勢調査(2005〜2020 年)の 100〜104 歳・95〜99 歳・90〜94 歳の人口を、その人たちが生まれた 5 年間の出生数(人口動態統計・1899 年〜)で割り、人口の伸びを「生まれた人の数」の伸びと「出生数あたりの人数」の伸びに分けた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。国勢調査の表は総数 = 男 + 女、65 歳以上の再掲 = 65〜69 歳 … 110 歳以上 の和が 2005〜2020 年で成り立ち、出生数は 1899〜1930 年で総数 = 男 + 女(表の注の男女不詳 1 を除く)が成り立つ(第3節)。

第二に、100〜104 歳の人口は 2005 年の 23,873 から 2020 年の 73,008 へ 3.06 倍になった。 同じあいだに、その人たちが生まれた年(1901〜1905 年 → 1916〜1920 年)の出生数は 7,395,383 から 9,213,476 へ 1.246 倍にしかなっていない(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。出生数あたりの 100〜104 歳の人数は 0.00323 から 0.00792 へ 2.45 倍になり、人口の伸びの log の 0.803 を占める。 生まれた人の数の伸びの分は 0.197。90〜94 歳(0.777)、95〜99 歳(0.738)でも、伸びの大半は出生数あたりの人数の側から来ている。出生数あたりの人数は、どの年齢でも 2005→2010→2015→2020 年と上がり続けた(第5節)。

第四に、100〜104 歳の出生数あたりの人数は、どの年も女性が男性の 5 倍を超える(2005 年 5.93 倍・2020 年 7.38 倍)。 2005→2020 年の伸びも女性 2.53 倍・男性 2.03 倍と、女性のほうが大きい(第6節)。

第五に、同じ 1916〜1920 年生まれを追うと、出生数あたりの人数は 2010 年の 90〜94 歳で 0.11089、2015 年の 95〜99 歳で 0.03900、2020 年の 100〜104 歳で 0.00792 になる(第5節)。

第六に、分けるのは生まれた人の数か、生き残る割合か。「百歳の人が増えた」は、100 年前の出生数の伸びより、ずっと大きな「生き残る側」の伸びを含んでいる。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。人口と出生数は公開の表にあり、比を掛け算に分けることは古くからある。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 「出生数あたりの人数」は 100 歳前後まで生き残った割合に近いが、確率そのものではない。国外への出入り、高い年齢の申告、国勢調査の 10 月 1 日と暦年のずれ、100 年前の出生の数え方を含む。長く生きた理由(医療・暮らし・食べ物など)には立ち入らない。一人の見通しではない。データについて:国勢調査・人口動態統計(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の比は、これらを加工して作成した。本稿が加えたこと:百歳の人の伸びを、100 年前の出生数の伸びと、出生数あたりの人数の伸びに分け、伸びの大半が後者から来ること、女性で大きいことを、二つの公開の表だけで示したこと。

1. 記号と問い

  • 100〜104 歳の人口:国勢調査(10 月 1 日)の 100〜104 歳の人口(原数値)。
  • 出生数:その人たちが生まれた 5 年間(国勢調査の年 t に対して t−104〜t−100 年)の出生数の和。
  • 出生数あたりの人数:100〜104 歳の人口 ÷ 出生数。95〜99 歳・90〜94 歳も同じ置き方。
  • 二つに分ける:log(人口の比)= log(出生数の比)+ log(出生数あたりの人数の比)。それぞれを log(人口の比)で割った割合を「生まれた数の割合」「生き残る割合の割合」と呼ぶ。

問い:百歳の人が増えたのは、100 年前に生まれた人が多かったからか、生き残る割合が上がったからか。

観察 1.1:M003 は、平均余命が同じ年の率から作った期間の値で、同じ生まれの人を追う値とは違うことを示した。M013 は、平均寿命の延びが、いまは高い年齢の死亡が減ったことから来ていることを示した。本稿は、同じ生まれの人の数そのものを、100 年前の出生数と比べる。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 国勢調査 時系列データ 第2表(年齢 5 歳階級 × 男女・1920〜2020 年)、人口動態統計 上巻 第4.1表(年次別出生数・1899 年〜)
下見で気づいたこと 国勢調査の 100〜104 歳の行は 2005・2010・2015・2020 年だけにある。はじめは 100 歳を過ぎた死亡率を考えたが、100 歳以上の各歳の人口が手元の表に無かったので、この問いに替えた
年のそろえ方 2005 年の 100〜104 歳には 1901〜1905 年の出生数、2020 年には 1916〜1920 年の出生数を当てる
物差し 出生数あたりの人数、その 2005→2020 年の伸び、log の分け方、男女の比

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 2 本のファイルを SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 国勢調査の表題は「第2表 年齢(5歳階級),男女別人口及び人口性比 - 全国(大正9年~令和2年)」。年は 1920〜2020 年の 5 年おき 21 回で、100〜104 歳・105〜109 歳・110 歳以上の行は 2005〜2020 年の 4 回にある。
  • 人口は、どの行も総数 = 男 + 女。2005〜2020 年の(再掲)65 歳以上は、65〜69 歳 … 110 歳以上 の和に男女計・男・女とも一致する。
  • 出生数の表題は「上巻 出生  第4.1表 年次別にみた出生数…」。1899〜1930 年は毎年あり、総数 = 男 + 女(1926 年・1930 年は表の注のとおり男女不詳の 1 だけ違う)。
  • 2020 年の 100〜104 歳は、原数値 73,008・不詳補完(※)73,806 で、比は 1.0109。4 つの年をそろえるため原数値を使う。

4. 100〜104 歳の人口と、100 年前の出生数

計算 4.1 100〜104 歳の人口と、その人たちが生まれた 5 年間の出生数

年 100〜104 歳 男 女 生まれた年 出生数 出生数あたりの人数
2005 23,873 3,580 20,293 1901〜1905 年 7,395,383 0.00323
2010 41,318 5,598 35,720 1906〜1910 年 8,078,289 0.00511
2015 57,847 7,991 49,856 1911〜1915 年 8,850,646 0.00654
2020 73,008 9,051 63,957 1916〜1920 年 9,213,476 0.00792

観察 4.2:100〜104 歳の人口は 2005 年の 23,873 から 2020 年の 73,008 へ 3.06 倍になったが、生まれた年の出生数は 1.246 倍しか増えていない。 105〜109 歳は 1,458 から 6,374 へ、110 歳以上は 22 から 141 へ増えた(110 歳以上は 2015 年の 146 のほうが多い)。

図1 100〜104 歳の人口・出生数・出生数あたりの人数

図1:100〜104 歳の人口(紺)、その人たちが生まれた 5 年間の出生数(金)、出生数あたりの人数(橙の破線)を、2005 年を 1 とした倍率で並べた。

5. 芯、伸びの大半は、生き残る側から来ている

計算 5.1 2005→2020 年の人口の伸びを分ける

年齢・性 人口 出生数 出生数あたりの人数 生まれた数の割合 生き残る割合の割合
90〜94 歳・男女計 2.12 1.182 1.79 0.223 0.777
90〜94 歳・男 2.33 1.184 1.97 0.199 0.801
90〜94 歳・女 2.04 1.181 1.73 0.232 0.768
95〜99 歳・男女計 2.33 1.249 1.87 0.262 0.738
95〜99 歳・男 2.22 1.246 1.79 0.275 0.725
95〜99 歳・女 2.36 1.252 1.88 0.262 0.738
100〜104 歳・男女計 3.06 1.246 2.45 0.197 0.803
100〜104 歳・男 2.53 1.245 2.03 0.236 0.764
100〜104 歳・女 3.15 1.247 2.53 0.192 0.808

観察 5.2:100〜104 歳の男女計では、人口 3.06 倍 = 出生数 1.246 倍 × 出生数あたりの人数 2.45 倍で、伸びの log の 0.803 が出生数あたりの人数の側から来ている。 90〜94 歳(0.777)、95〜99 歳(0.738)でも同じで、どの年齢・性でも、出生数あたりの人数の伸びのほうが出生数の伸びより大きい。

計算 5.3 出生数あたりの人数の年と年齢

年 90〜94 歳 95〜99 歳 100〜104 歳
2005 0.09501 0.02615 0.00323
2010 0.11089 0.03353 0.00511
2015 0.13373 0.03900 0.00654
2020 0.17003 0.04884 0.00792

観察 5.4:出生数あたりの人数は、どの年齢でも 2005→2010→2015→2020 年と上がり続けた。 同じ 1916〜1920 年生まれを追うと、2010 年の 90〜94 歳で 0.11089、2015 年の 95〜99 歳で 0.03900、2020 年の 100〜104 歳で 0.00792 になる(三つとも同じ出生数を分母にしている)。

6. 男女

計算 6.1 100〜104 歳の女性 ÷ 男性

年 人口 出生数 出生数あたりの人数
2005 5.67 0.956 5.93
2010 6.38 0.955 6.68
2015 6.24 0.958 6.51
2020 7.07 0.958 7.38

観察 6.2:100〜104 歳の出生数あたりの人数は、どの年も女性が男性の 5 倍を超え、2005 年の 5.93 倍から 2020 年の 7.38 倍になった。 生まれた数は女性がやや少ない(0.955〜0.958)ので、人口の女性 ÷ 男性(5.67〜7.07)は、ほとんど出生数あたりの人数の違いから来ている。2005→2020 年の出生数あたりの人数の伸びも、女性 2.53 倍・男性 2.03 倍と女性のほうが大きい。

図2 出生数あたりの人数(男女別)

図2:出生数あたりの人数(縦は対数)。左が男性、右が女性。緑が 90〜94 歳、紫が 95〜99 歳、紺が 100〜104 歳。

7. 限界

  1. 出生数あたりの人数は確率そのものではない。 国外への出入り(100 年前に生まれて国外に出た人・国外で生まれて入ってきた人)、高い年齢の申告、国勢調査の 10 月 1 日と暦年のずれ、100 年前の出生の数え方を含む。
  2. 国勢調査の 100〜104 歳の行は 2005〜2020 年の 4 回だけで、それより前の年は比べられない。
  3. 長く生きた理由(医療・暮らし・食べ物など)には立ち入らない。
  4. 都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

100〜104 歳の人口は 2005→2020 年に 3.06 倍になったが、その人たちが生まれた年の出生数は 1.246 倍にしかなっていない。出生数あたりの人数が 0.00323 から 0.00792 へ 2.45 倍になったことが、伸びの log の 0.803 を占めた。女性は男性の 5 倍を超え、伸びも大きかった。

分けているものは一つ、生まれた人の数か、生き残る割合か。

「百歳の人が増えた」と聞いたら、100 年前に生まれた人が多かったのか、生き残る割合が上がったのかを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 国勢調査 時系列データ 第2表(総務省統計局)、人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第4.1表(厚生労働省)(いずれも e-Stat・2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)に従う。本稿の比は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・2005〜2020 年(出生数は 1899〜1930 年)
検算 検算/M062.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M062_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 2 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M062_zu1・図/M062_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第4.1表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 総務省統計局. 国勢調査 時系列データ 第2表 年齢(5歳階級),男女別人口及び人口性比 - 全国(大正9年~令和2年). e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 平均余命は、誰かが実際に生きる年数ではない [M003]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22963485
  • 山岸勇輝 (2026). 平均寿命の延びは、はじめは若い年齢の、いまは高い年齢の死亡が減ったことから来ている [M013]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22966888

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「100〜104 歳の人口は 2005→2020 年に 3.06 倍になったが、100〜104 年前の出生数の伸びは 1.246 倍」[M062]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22976523

YOI M062医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M062・DOI 10.5281/zenodo.22976523・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 100〜104 歳の人口は 2005→2020 年に 3.06 倍になったが、100〜104 年前の出生数の伸びは 1.246 倍 [M062]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M062 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22976523

Yamagishi, Y. (2026). The Population Aged 100–104 Grew 3.06-Fold from 2005 to 2020, but Births 100–104 Years Earlier Grew Only 1.246-Fold [M062]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M062; DOI: 10.5281/zenodo.22976523

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