【論文467】足せる量に直したとき、等間隔でなくなるものがある

要旨

単位を選び直せば計算が楽になる、と言われる。本稿が示すのは、足せる量に直すと、こんどは等間隔でなくなることである。度数の $1$ 段は、強い側では遠点を $4$ 分の $1$ しか動かさない。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、$0.50$ m と $0.25$ m を重ねた合成焦点距離は $\mathbf{0.166667}$ m である(第2節)。

第二に、これは和 $0.75$ でも平均 $0.375$ でもなく、短いほうより短い(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。屈折力なら $2.0000+4.0000=\mathbf{6.0000}$ D と足せる(第2節)。

第四に、ところが度数を $1$ 段変えたときの遠点の動きは、強い側で $\mathbf{4.000000000000}$ 分の $1$ になる(第3節)。

第五に、$-1$ から $-2$ D で $0.5$ m、$-4$ から $-8$ D で $0.125$ m である(第3節)。

第六に、分離子は「足せることと、等間隔であることが両立するか」である(第4節)。

キーワード:屈折力、ディオプター、近視、眼鏡レンズ、加法性。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。屈折力(ディオプター)の加法性、薄レンズの合成、近視の遠点はすべて既知である。処方をしない。視力の矯正、眼鏡の選び方、医学的な判断は主題ではない。専門の診断に従うこと。薄レンズ近似を用いる。レンズの厚みと間隔をゼロと置いた。実際には両方が合成に効く。乱視と収差を扱わない。円柱度数、色収差、球面収差は主題ではない。調節を扱わない。水晶体の調節力と近点は主題ではない。遠点だけを見る。既刊との関係:論文466 は全部を合わせられないことが証明された事実であることを示した。そこでも、対数に直すと足し算になった。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。「足せること」と「等間隔であること」は、その基準で別根である。論文459 は往復すれば損失が $1.9$ 倍になることを示した。そこでも、量の取り方が計算の形を変えた。加えたのは、合成焦点距離を $0.166667$ m と出して和とも平均とも違うことを示したこと、屈折力の加法性を逆算で確かめたこと、度数から遠点を四つ並べたこと、遠点の動きの比が厳密に $4$ になることを示したこと、分離子を「足せることと等間隔であることの両立」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:焦点距離 $f$ [m] のレンズの屈折力を

$$D=\frac{1}{f}\ \ [\mathrm{m}^{-1}=\mathrm{D}]$$

と定める。薄レンズを密着させて重ねたとき、合成の屈折力は単純な和になる。

$$D_{\mathrm{tot}}=D_{1}+D_{2}$$

近視の目は、遠点 $x$ より遠くを見られない。これを無限遠へ移すのに要る度数は $-1/x$ である。

観察 1.1 単位を選び直せば計算が楽になる、と言われる。逆数を取れば、掛け算が足し算になる。対数と同じ発想である。

観察 1.2 だが楽になった量が、等間隔とはかぎらない。足せることと、一段ずつが同じ意味を持つことは別である。そこを見る。

問い:何が得られ、何が失われるのか。

2. 焦点距離は足せず、屈折力は足せる

計算 2.1:$0.50$ m と $0.25$ m のレンズを重ねた合成焦点距離を出す。

$\mathbf{0.166667}$ m である。

観察 2.2 和 $0.75$ でも平均 $0.375$ でもない。どちらの素朴な組合せとも違う。焦点距離は、足しても平均しても意味を持たない。

観察 2.3 しかも短いほうの $0.25$ より短い。$0.166667<0.25$、二枚重ねると、どちらの一枚よりも強くなる。

計算 2.4:同じ組合せを、屈折力で書く。

レンズ 焦点距離 [m] 屈折力 [D]
第一 $0.50$ $2.0000$
第二 $0.25$ $4.0000$
合成 $\mathbf{0.166667}$ $\mathbf{6.0000}$

観察 2.5 $2.0000+4.0000=6.0000$ で、一行で済む。逆算しても $1/0.166667=6.000000000000$ と厳密に戻る。これが屈折力という単位を使う理由である。

観察 2.6 つまり単位の選択が、計算の形を変えている。同じ物理に、二つの書き方がある。一方は足し算、一方は調和の関係である。

3. ところが度数は等間隔ではない

計算 3.1:四つの度数について、遠点を出す。

度数 [D] 遠点 [m]
$-1.0$ $1.0000$
$-2.0$ $0.5000$
$-4.0$ $0.2500$
$-8.0$ $\mathbf{0.1250}$

観察 3.2 $-1$ から $-2$ D で遠点は $0.5$ m 動く。$1.0000$ から $0.5000$ へ、大きな変化である。

観察 3.3 $-4$ から $-8$ D では $0.125$ m しか動かない。同じ「$2$ 倍」なのに、比はちょうど $\mathbf{4.000000000000}$ 分の $1$ である。

観察 3.4 つまり度数の目盛りは、見え方の目盛りではない。等間隔に刻まれているのは屈折力のほうで、遠点ではない。足せるようにした代償である。

観察 3.5 どちらか一方しか等間隔にできない。$D=1/x$ という逆数の関係だから、$D$ を等間隔にすれば $x$ が詰まり、$x$ を等間隔にすれば $D$ が詰まる。

観察 3.6 そして度数から遠点は厳密に復元できる。$-1/(-4.0000)=0.250000000000$、情報は失われていない。失われたのは等間隔性だけである。

4. 分離子

分離子:足せることと、等間隔であることが両立するか。

観察 4.1 両立するなら、単位の選択は損をしない。足し算にでき、しかも一段が同じ意味を持つ、そういう量もある。

観察 4.2 両立しないなら、どちらかを選ぶことになる。屈折力は足せるが等間隔でない。焦点距離は等間隔にできるが足せない。

観察 4.3 これは論文300 の基準で別根である。どちらも「レンズの強さ」と呼ばれる。一方は加法的な量、一方は幾何的な距離である。

観察 4.4 論文466 と同じ場所にいる。そこでは周波数比を対数に直して足し算にし、セントという等間隔の目盛りを作った。ここでは逆数に直して足し算にしたが、等間隔は失われた。同じ操作が、二つの結果を生んでいる。

観察 4.5 違いは、変換が対数か逆数かである。対数は掛け算を足し算にし、比を等間隔にする。逆数は調和の関係を足し算にするが、元の量の間隔を保たない。

観察 4.6 論文459 とも重なる。そこでは効率の積が冪になり、量の取り方が計算の形を変えた。ここでは屈折力を取ることで和になる。どちらも、書き方が構造を露わにしている。

観察 4.7 正直に言えば、薄レンズ近似を用いた。厚みと間隔をゼロと置いたが、実際には両方が合成に効く。$6.0000$ D という値は近似のもとでの値だが、足せることと等間隔性が両立しないという結論は、近似に依らない。

5. 点呼と結び

  1. 合成焦点距離は $0.166667$ m(計算 2.1):和でも平均でもない。
  2. 短いほうより短い(観察 2.3):$0.166667<0.25$。
  3. 屈折力なら $6.0000$ D(計算 2.4):本稿の芯。
  4. 逆算で厳密に戻る(観察 2.5):$6.000000000000$。
  5. $-1\to-2$ D で $0.5$ m(計算 3.1):大きく動く。
  6. $-4\to-8$ D で $0.125$ m(計算 3.1):同じ $2$ 倍なのに。
  7. 比は $4.000000000000$(観察 3.3):等間隔ではない。
  8. 情報は失われていない(観察 3.6):等間隔性だけが失われた。
  9. 分離子は両立するか(観察 4.3):論文300 の基準で別根。
  10. 対数と逆数の違い(観察 4.5):一方は間隔を保つ。

結び:単位を選び直せば計算が楽になる、と言われる。逆数を取れば掛け算が足し算になる、という対数と同じ発想である。だが楽になった量が等間隔とはかぎらない。足せることと、一段ずつが同じ意味を持つことは別である。焦点距離は足せない。$0.50$ m と $0.25$ m のレンズを重ねた合成焦点距離は $\mathbf{0.166667}$ m で、和 $0.75$ でも平均 $0.375$ でもない。焦点距離は足しても平均しても意味を持たない。しかも短いほうの $0.25$ より短く、二枚重ねるとどちらの一枚よりも強くなる。ところが屈折力で書けば $2.0000+4.0000=\mathbf{6.0000}$ D と一行で済み、逆算しても $1/0.166667=6.000000000000$ と厳密に戻る。これが屈折力という単位を使う理由である。つまり単位の選択が計算の形を変えており、同じ物理に足し算と調和の関係という二つの書き方がある。その代償が、等間隔性である。度数 $-1.0$・$-2.0$・$-4.0$・$-8.0$ D に対して遠点は $1.0000$・$0.5000$・$0.2500$・$\mathbf{0.1250}$ m と並ぶ。$-1$ から $-2$ D で遠点は $0.5$ m 動くが、$-4$ から $-8$ D では $0.125$ m しか動かない。同じ「$2$ 倍」なのに、比はちょうど $\mathbf{4.000000000000}$ 分の $1$ である。つまり度数の目盛りは見え方の目盛りではない。等間隔に刻まれているのは屈折力のほうで、遠点ではない。足せるようにした代償である。そしてどちらか一方しか等間隔にできない。$D=1/x$ という逆数の関係だから、$D$ を等間隔にすれば $x$ が詰まり、$x$ を等間隔にすれば $D$ が詰まる。ただし度数から遠点は $-1/(-4.0000)=0.250000000000$ と厳密に復元でき、情報は失われていない。失われたのは等間隔性だけである。分けているものは一つ、足せることと、等間隔であることが両立するか。両立するなら単位の選択は損をせず、足し算にでき、しかも一段が同じ意味を持つ。両立しないならどちらかを選ぶことになる。屈折力は足せるが等間隔でなく、焦点距離は等間隔にできるが足せない。論文300 の基準で別根であり、一方は加法的な量、一方は幾何的な距離である。論文466 と同じ場所にいて、そこでは周波数比を対数に直して足し算にし、セントという等間隔の目盛りを作った。ここでは逆数に直して足し算にしたが、等間隔は失われた。同じ操作が、二つの結果を生んでいる。違いは変換が対数か逆数かである。対数は掛け算を足し算にして比を等間隔にし、逆数は調和の関係を足し算にするが元の量の間隔を保たない。論文459 とも重なり、そこでは効率の積が冪になって量の取り方が計算の形を変えた。どちらも、書き方が構造を露わにしている。正直に言えば、薄レンズ近似を用い、厚みと間隔をゼロと置いた。実際には両方が合成に効くので、$6.0000$ D という値は近似のもとでの値である。だが足せることと等間隔性が両立しないという結論は、近似に依らない。

参考文献

  1. Gullstrand, A. (1908). Die optische Abbildung in heterogenen Medien. Kungliga Svenska Vetenskapsakademiens Handlingar.
  2. Monoyer, F. (1872). Sur l’Introduction du Système Métrique dans le Numérotage des Verres de Lunettes. Annales d’Oculistique.
  3. Hecht, E. (2016). Optics (5th ed.). Pearson.
  4. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  5. 山岸勇輝 (2026). 『九割の効率が二度あれば、残るのは八割一分である』[論文459]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733103
  6. 山岸勇輝 (2026). 『全部を合わせられないことは、証明された事実である』[論文466]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733284

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「足せる量に直したとき、等間隔でなくなるものがある」[論文467]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22733318

YOI 467第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 足せる量に直したとき、等間隔でなくなるものがある [論文467]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/467 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22733318

Yamagishi, Y. (2026). Making a Quantity Additive Can Cost It Its Even Spacing [Paper 467]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/467; DOI: 10.5281/zenodo.22733318

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