Yamagishi Complexity Torus Lab山岸勇輝ラボ

【論文598】宝石が光を上へ返す角度の窓は、屈折率 2 で開き、2.3048 のあたりで最も広い

要旨

ダイヤモンドがよく光るのは、屈折率が高いからだ、と言われる。本稿が示すのは、真上から入った光を二度の全反射で上へ返せるパビリオンの角度には窓があり、その窓は屈折率 $\sqrt2$ で開き、$2.304765$ で最も広くなって、それより高いと狭まることである。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、窓を決める条件は五つある。右の面で全反射すること、左の面へ向かうこと、左の面で全反射すること、上の面から出ること、出る光が反対側に傾きすぎないことである(第2節)。

第二に、窓は屈折率 $\sqrt2$ で開く。臨界角が $45$ 度、屈折率 $\sqrt2=\mathbf{1.414214}$ より低いと窓は無い。水($1.333$)には窓が無く、ガラス($1.5$)で $\mathbf{4.2529}$ 度、石英($1.544$)で $6.1786$ 度である(第3節)。

第三に、これが本稿の芯である。窓は屈折率 $\mathbf{2.304765}$(臨界角 $180/7$ 度)で最も広い $\mathbf{12.857143}$ 度になり、それより高いと臨界角の半分に狭まる。ダイヤモンドの $\mathbf{12.2199}$ 度は、キュービックジルコニアの $\mathbf{12.6902}$ 度よりわずかに狭い(第3節)。

第四に、光線を一本ずつ追うと、窓の端は閉じた式と $0.0005$ 度以内で一致する。ただし最初に書いた閉じた式は五つ目の条件を落としていて、ダイヤモンドの上端が $0.7435$ 度食い違った。二つの道で確かめたから見つかった(第4節)。

第五に、トルコフスキーの $40.75$ 度は、ダイヤモンドの窓に入り、ガラスの窓には入らない。同じ角度が、屈折率によって光を返したり返さなかったりする(第4節)。

第六に、分離子は、どの条件が窓の端を決めているかである。屈折率が低いと全反射の条件が、高いと上へ出る条件が端を決め、その入れ替わるところで窓が最も広い(第5節)。

キーワード:宝石のカット、全反射、臨界角、屈折率、ダイヤモンド。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。全反射、臨界角、トルコフスキーが断面で光線をたどった考え方は、すべて標準的である。真上から入る光だけを見る。斜めに入る光、冠(クラウン)の面での屈折、色による屈折率の違い(ファイア)、吸収は扱わない。二次元の断面で、光線は向きだけで追う。どの面に当たるかは向きで決め、面の大きさや当たる場所は入れていない。屈折率は代表値である。宝石を評価しない。カットを勧めもしない。既刊との関係:論文474 は、遠くの音がよく聞こえる夜は上空が暖かく、音が上で曲がって戻ることを示した。空気の中の音が戻る全反射と、石の中の光が返る全反射は、同じ臨界角の式 $\sin\theta_c=1/n$ から出る。別々の場所で出会った二つの全反射として、論文300 の意味で同根である。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。本稿の窓の幅の三つの場合は一つの式の場合分けで、同根とは書かない。加えたのは、窓を五つの条件で書き、幅を屈折率の三つの範囲で閉じた式にしたこと、窓が開く屈折率 $\sqrt2$ と最も広くなる $2.304765$ を出したこと、光線追跡で閉じた式を確かめ、最初の式の抜けを見つけたこと、分離子を「どの条件が端を決めるか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:宝石の断面を、上が水平な面(テーブル)、下が角度 $\theta$ で傾いた二つの面(パビリオン)とする。真上から入った光は、右の面で反射し、左の面で反射して、上の面から出ていけば、見る人の目に返る。臨界角を $\theta_c$($\sin\theta_c=1/n$)とすると、そのための条件は

$$\theta>\theta_c,\qquad \theta>30^\circ,\qquad 180^\circ-3\theta>\theta_c,\qquad 180^\circ-4\theta<\theta_c,\qquad 4\theta-180^\circ<\theta_c$$

の五つである(右の面で全反射・左の面へ向かう・左の面で全反射・上から出る・反対側に傾きすぎない)。

観察 1.1 ダイヤモンドがよく光るのは、屈折率が高いからだ、と言われる。屈折率が高いほど臨界角が小さく、全反射しやすい。屈折率が高いほど光を返しやすいのかは、別の問いである。

問い:光を上へ返せるパビリオンの角度の窓は、屈折率とともにどう変わるのか。

2. 五つの条件

観察 2.1 窓は、五つの条件のうちの二つが端を決める。下の端は「右の面で全反射」と「上から出る」の遅いほう、上の端は「左の面で全反射」と「反対側に傾きすぎない」の早いほうである。$30$ 度の条件は、窓の中では効かない。

3. 窓の開き方

計算 3.1:六つの材質で、閉じた式と光線追跡($0.0005$ 度刻み)の窓を出した。

材質 屈折率 臨界角 窓 幅
ダイヤモンド $2.417$ $24.4397$ 度 $38.8901$〜$51.1099$ 度 $\mathbf{12.2199}$ 度
キュービックジルコニア $2.15$ $27.7177$ 度 $38.0706$〜$50.7608$ 度 $\mathbf{12.6902}$ 度
サファイア $1.77$ $34.4003$ 度 $36.3999$〜$48.5332$ 度 $12.1333$ 度
石英 $1.544$ $40.3660$ 度 $40.3660$〜$46.5447$ 度 $6.1786$ 度
ガラス $1.5$ $41.8103$ 度 $41.8103$〜$46.0632$ 度 $\mathbf{4.2529}$ 度
水 $1.333$ $48.6066$ 度 なし $0$

窓の幅は、屈折率の三つの範囲で閉じた式になる:$\sqrt2<n<1.701302$(臨界角 $36$〜$45$ 度)で $(180-4\theta_c)/3$、$1.701302<n<2.304765$(臨界角 $180/7$〜$36$ 度)で $(180-\theta_c)/12$、$n>2.304765$ で $\theta_c/2$。屈折率 $1.40$ と $1.41$ では幅 $0$、$1.42$ で $0.3107$ 度、$1.45$ で $1.8629$ 度である。

観察 3.2 窓は屈折率 $\sqrt2=\mathbf{1.414214}$ で開く。臨界角が $45$ 度より大きいと、右の面で全反射する角度では、左の面で全反射できない。水の中では、光を二度はね返して上へ返すことはできない。

観察 3.3 これが本稿の芯である。窓は屈折率 $\mathbf{2.304765}$(臨界角 $180/7=25.714286$ 度)で最も広い $\mathbf{12.857143}$ 度になり、それより高いと臨界角の半分に狭まる。屈折率が高すぎると、二度反射した光が上へ戻るとき、テーブルの面で反対側に傾きすぎて全反射してしまう。ダイヤモンドの $12.2199$ 度は、キュービックジルコニアの $12.6902$ 度よりわずかに狭い。

4. 光線を追う

計算 4.1:閉じた式とは別の道として、光の向きを面ごとに反射させて追い、窓の端を $0.0005$ 度刻みで読んだ。六つの材質のすべてで、追跡の端は閉じた式と $0.0005$ 度以内で一致した。

観察 4.2 最初に書いた閉じた式は、五つ目の条件を落としていた。上の端を「左の面で全反射」の $(180-\theta_c)/3=51.8534$ 度だけで決めたところ、ダイヤモンドでは追跡の上端 $51.1099$ 度と $0.7435$ 度食い違った。二度反射した光が反対側に傾きすぎて上から出られない、という条件 $4\theta-180<\theta_c$ が抜けていた。二つの道で確かめなければ、ダイヤモンドの窓を $0.7435$ 度広く書くところだった。

観察 4.3 トルコフスキーの $40.75$ 度は、ダイヤモンドの窓に入り、ガラスの窓には入らない。ガラスの窓は $41.8103$ 度から始まるので、$40.75$ 度では右の面で全反射しない。同じ角度でも、屈折率が違えば光を返さない。$45$ 度なら、返る光は真上に出る(傾き $0$ 度)。

観察 4.4 屈折率が高いと、入ってくる光が真上の近くに集まる。空気から入った光は、中では真上から臨界角より傾けない。ダイヤモンドでは $24.4397$ 度以内、ガラスでは $41.8103$ 度以内である。本稿は真上から入る光だけを見たが、ダイヤモンドでは斜めの光も真上に近い向きに曲げられる。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は、どの条件が窓の端を決めているかである。屈折率が低いと、窓の下の端は右の面での全反射が、上の端は左の面での全反射が決める。屈折率が高いと、両方の端を上から出る条件が決める。入れ替わるところ(屈折率 $2.304765$)で窓が最も広い。「屈折率が高いほど光を返しやすい」は、その手前までの話である。

観察 5.2 論文474 と、論文300 の意味で同根である。あちらは、遠くの音がよく聞こえる夜は上空が暖かく、音が上で曲がって戻ることを示した。空気の中の音が戻る全反射と、石の中の光が返る全反射は、別々の場所で出会った二つだが、同じ臨界角の式 $\sin\theta_c=1/n$ から出る。

観察 5.3 言わないこと。宝石を評価せず、カットも勧めない。斜めの光、冠の面での屈折、色による屈折率の違い、吸収は入れていない。示したのは、真上からの光を返す角度の窓が、屈折率に対して単調に広がるのではなく、ある屈折率で最も広くなるという形である。

6. 点呼と結び

  1. 窓は五つの条件で決まる(記法):二つが端を決める。
  2. 窓は屈折率 $\sqrt2=\mathbf{1.414214}$ で開く(観察 3.2):水には窓が無い。
  3. ガラスで $\mathbf{4.2529}$ 度(計算 3.1):石英で $6.1786$ 度。
  4. 最も広いのは屈折率 $\mathbf{2.304765}$ で $\mathbf{12.857143}$ 度(観察 3.3):本稿の芯。
  5. ダイヤモンド $\mathbf{12.2199}$ 度・キュービックジルコニア $\mathbf{12.6902}$ 度(計算 3.1):ダイヤモンドのほうが狭い。
  6. 幅は三つの範囲で閉じた式(計算 3.1):$(180-4\theta_c)/3$・$(180-\theta_c)/12$・$\theta_c/2$。
  7. 追跡と閉じた式の差は $0.0005$ 度以内(計算 4.1):二つの道。
  8. 最初の式は五つ目の条件を落とし、$0.7435$ 度食い違った(観察 4.2):追跡で見つかった。
  9. トルコフスキーの $40.75$ 度はダイヤモンドの窓に入る(観察 4.3):ガラスには入らない。
  10. 分離子はどの条件が端を決めるか(観察 5.1):論文474 の音の全反射と同根。

結び:ダイヤモンドがよく光るのは、屈折率が高いからだ、と言われる。真上からの光を二度の全反射で上へ返せるパビリオンの角度には、窓がある。窓は右の面で全反射する、左の面へ向かう、左の面で全反射する、上から出る、反対側に傾きすぎない、の五つの条件で決まる。屈折率 $\sqrt2=\mathbf{1.414214}$ より低いと窓は無く、水では光を二度はね返して返せない。ガラスの窓は $\mathbf{4.2529}$ 度である。窓は屈折率 $\mathbf{2.304765}$ で最も広い $\mathbf{12.857143}$ 度になり、それより高いと狭まる。ダイヤモンドの $\mathbf{12.2199}$ 度は、キュービックジルコニアの $\mathbf{12.6902}$ 度よりわずかに狭い。屈折率が高すぎると、二度反射した光がテーブルの面で反対側に傾きすぎて出られなくなるからである。光線を一本ずつ追うと窓の端は閉じた式と $0.0005$ 度以内で一致したが、最初に書いた式はこの五つ目の条件を落としていて、ダイヤモンドの上端が $0.7435$ 度食い違った。分離子は、どの条件が窓の端を決めているかである。端を決める条件が入れ替わるところで窓が最も広く、「屈折率が高いほど光を返しやすい」はその手前までの話である。既刊との位置、論文474 の空気の中で音が戻る全反射と、石の中で光が返る全反射は、同じ臨界角の式から出る。別々の場所で出会った二つとして、論文300 の意味で同根である。正直に言えば、真上から入る光だけを二次元の断面で向きだけ追い、斜めの光、冠の面での屈折、色による屈折率の違い、吸収は入れていない。屈折率は代表値で、宝石を評価せず、カットも勧めない。

参考文献

  1. Born, M., & Wolf, E. (1999). Principles of Optics (7th ed.). Cambridge University Press.
  2. Hecht, E. (2017). Optics (5th ed.). Pearson.
  3. Tolkowsky, M. (1919). Diamond Design: A Study of the Reflection and Refraction of Light in a Diamond. E. & F. N. Spon.
  4. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  5. 山岸勇輝 (2026). 『遠くの音がよく聞こえる夜は、空が暖かい』[論文474]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733583

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「宝石が光を上へ返す角度の窓は、屈折率 2 で開き、2.3048 のあたりで最も広い」[論文598]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.23014418

YOI 598第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/598・DOI 10.5281/zenodo.23014418・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 宝石が光を上へ返す角度の窓は、屈折率 √2 で開き、2.3048 のあたりで最も広い [論文598]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/598 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014418

Yamagishi, Y. (2026). The Window of Angles at Which a Gem Returns Light Upward Opens at Refractive Index √2 and Is Widest Near 2.3048 [Paper 598]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/598; DOI: 10.5281/zenodo.23014418

@misc{yamagishi2026yoi598,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {The Window of Angles at Which a Gem Returns Light Upward Opens at Refractive Index √2 and Is Widest Near 2.3048},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/598},
  doi = {10.5281/zenodo.23014418},
  note = {Preprint, edition 1}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
21bf30e3da6be3fda896c8bf65376754d8113e83f626c13df95984b3ae1a17af yamagishi_yoi598_v1_jp.pdf
98815852ed73e18c407614b1a9c917dccd71da5519bf09ec73d3dbdd53019884 yamagishi_yoi598_v1_en.pdf

PDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。