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【M058】要介護(要支援)認定の割合は、65〜84 歳では 4.26〜4.97 年ごとに倍になり、同じ年齢の死亡率(5.87〜7.90 年)より速い

要旨

介護給付費等実態統計の要介護(要支援)認定者数(2025 年 7 月)を人口推計(2025 年 7 月 1 日・確定値)で割って年齢ごとの認定率を出し、5 歳ごとに何倍になるか、何年で倍になるかを、同じ年齢の死亡率(人口動態統計・2024 年)と並べた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。認定者数は区分の和・年齢の和・男女の和が総数に丸めの幅(0.2 千人)以内で一致し、人口は 5 歳階級の和と男女の和が総数に 1 千人以内で一致する(第3節)。

第二に、認定率は 65〜69 歳の 0.0290 から、90〜94 歳の 0.7160、95 歳以上の 0.880 まで、年齢とともに上がる。 65 歳以上では 0.2041。男女計・男・女のどれも、どの年齢でも一つ上の年齢のほうが高い(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。男女計の認定率は、65〜69 歳から 80〜84 歳までの三つの段で 4.97・4.90・4.26 年ごとに倍になり、同じ段の死亡率(6.56・7.90・5.87 年)より速い。80〜84 歳から先の二つの段(80〜84→85〜89 歳・85〜89→90〜94 歳)では、認定率は 5.70・9.12 年、死亡率は 5.45・5.88 年で、死亡率のほうが速くなる。 男・女でも同じ並びで、最後の段は男で 8.03 年対 6.30 年、女で 10.39 年対 5.00 年(第5節)。

第四に、遅くなったのは軽い区分である。 要支援(要支援1・2)の割合は、最後の段の倍率が男女計で 1.07(倍になる年数 51.17 年)とほぼ平らで、女性では 0.95 と下がる。要介護3〜5だけを数えると、男女計で 5.50・5.46・4.64・4.85・5.61 年ごとに倍になり、90〜94 歳まで倍になり続ける。 男女計・男・女のどの段でも 4.06〜6.53 年の幅に入る(第6節)。

第五に、90〜94 歳では要介護3〜5の割合(0.2807)が要支援(0.1604)を上回る。 認定率が 1 に近づく年齢で、全区分の倍になる年数が長くなり、その中身は軽い区分から重い区分への重みの移り変わりである(第6節)。

第六に、分けるのは軽い区分まで数えるか、重い区分だけを数えるか。「介護が必要になる割合も年齢とともに倍になる」は、どの区分を数えるかで、死亡率より速くも遅くも見える。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。認定者数と人口は公開の表にあり、年齢とともに倍になる速さを測る方法は古くからある。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 認定者数は、申請して要介護(要支援)と認定され、台帳に登録されている人の数で、介護が必要な人の数そのものではない。 申請しない人・認定の手続きや区分の決め方は、この表では分からない。介護保険の制度・自治体・事業者の良し悪しは言わない。人口は総人口(病院・施設にいる人を含む)で割った。一つの月(2025 年 7 月)の年齢の違いの比べで、同じ人が年をとってどう変わるかではない。介護する家族・介護を受ける本人が読むことを考え、一人の見通しとしては書かない。データについて:介護給付費等実態統計・人口推計・人口動態統計(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の率・倍率・年数は、これらを加工して作成した。本稿が加えたこと:要介護(要支援)認定の割合が年齢とともに倍になる年数を、同じ年齢の死亡率と段ごとに並べ、65〜84 歳では認定のほうが速く 85 歳から逆転すること、その逆転は要支援の頭打ちによるもので、要介護3〜5だけなら 90〜94 歳まで倍になり続けることを示したこと。

1. 記号と問い

  • 認定率:年齢階級ごとの要介護(要支援)認定者数 ÷ 同じ年齢階級の総人口。
  • 5 年ごとの倍率:隣り合う 5 歳階級の率の比。
  • 倍になる年数:5 × log 2 ÷ log(倍率)。65〜94 歳の 6 点に log(率)の直線を当てた傾きからも出す。
  • 区分:要支援(要支援1・2)、要介護3〜5。
  • 死亡率:2024 年の全死因の死亡率(人口 10 万対)。

問い:介護が必要と認定される割合は、年齢とともに死亡率と同じ速さで倍になるか。速さが変わるなら、どの区分が変えているか。

観察 1.1:M002 は、大人の死亡率が年齢とともに倍になる速さがほとんど動かないことを示した。M019 は、その速さが死因ごとに違い、全体の速さはその混ぜ合わせであることを示した。本稿は、同じ物差しを要介護(要支援)認定の割合に当てる。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 介護給付費等実態統計 月報 2025 年 8 月審査分 第19表(認定者数 × 区分 × 性 × 年齢階級)、人口推計(2025 年 7 月 1 日・確定値)、人口動態統計 第5.15表(2024 年の死亡率)
月のそろえ方 認定者数は審査月の前月(サービス提供月=2025 年 7 月)に台帳に登録されている人なので、人口も 2025 年 7 月 1 日にそろえた。人口推計の概算値は万人単位で粗いので、千人単位の確定値を使った
年齢 40〜64 歳は認定の対象が限られるので比べない。95 歳以上は上限が開いているので、倍になる年数には入れない
物差し 認定率、5 年ごとの倍率、倍になる年数、区分ごとの同じ物差し

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 3 本のファイルを SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 認定者数の表は「令和7(2025)年8月審査分」「月報第19表 認定者数,要介護(要支援)状態区分・性・年齢階級別」で、表の注は「審査月の前月(サービス提供月)中に受給者台帳に登録されている者」。単位は千人、区分は 総数・要支援1・2・要介護1〜5。
  • 丸めの差は、区分の和と総数が最大 0.2、年齢の和と計が最大 0.2、男 + 女 と総数が最大 0.1(千人)。
  • 人口推計は「年齢 (5歳階級) 、男女別人口」の「2025年7月1日現在(確定値)」(千人)。21 の 5 歳階級の和と総数の差は最大 1、男 + 女 と男女計の差は最大 1(千人)。
  • 死亡率は第5.15表の 2024 年の「総数」シート。

4. 認定率

計算 4.1 年齢ごとの認定率(2025 年 7 月)

年齢 男女計 男 女
65〜69 歳 0.0290 0.0329 0.0253
70〜74 歳 0.0582 0.0615 0.0553
75〜79 歳 0.1180 0.1098 0.1248
80〜84 歳 0.2665 0.2177 0.3011
85〜89 歳 0.4897 0.3941 0.5452
90〜94 歳 0.7160 0.6068 0.7612
95 歳以上 0.880 0.770 0.909

観察 4.2:認定率は 65〜69 歳の 0.0290 から、80〜84 歳で 0.2665、90〜94 歳で 0.7160、95 歳以上で 0.880 になる。 65 歳以上では男女計 0.2041・男 0.1509・女 0.2448。男女計・男・女のどれも、どの年齢でも一つ上の年齢のほうが高い。

5. 芯、認定率と死亡率の倍になる速さ

計算 5.1 段ごとの倍になる年数(年)

段 認定率(男女計) 死亡率(男女計) 認定率(男) 死亡率(男) 認定率(女) 死亡率(女)
65〜69→70〜74 歳 4.97 6.56 5.54 6.39 4.44 6.44
70〜74→75〜79 歳 4.90 7.90 5.97 7.99 4.25 6.93
75〜79→80〜84 歳 4.26 5.87 5.07 6.08 3.93 4.98
80〜84→85〜89 歳 5.70 5.45 5.84 5.72 5.84 4.65
85〜89→90〜94 歳 9.12 5.88 8.03 6.30 10.39 5.00
直線(65〜94 歳) 5.22 6.22 5.82 6.42 4.90 5.42

観察 5.2:男女計では、65〜69 歳から 80〜84 歳までの三つの段で認定率のほうが速く倍になり(4.97・4.90・4.26 年対 6.56・7.90・5.87 年)、80〜84 歳から先の二つの段では死亡率のほうが速い(5.70・9.12 年対 5.45・5.88 年)。 男・女でも、認定率のほうが速い段が 3 つ、死亡率のほうが速い段が 2 つで、並びは同じ。65〜94 歳に直線を当てると、男女計で認定率 5.22 年・死亡率 6.22 年。一本の直線では、85 歳からの遅れが見えなくなる。

図1 要介護(要支援)認定の割合と死亡率

図1:年齢ごとの認定率(紺・全区分)、要支援1・2(緑)、要介護3〜5(紫)、死亡率(金の破線・人口 10 万対を 10 万で割った値)。男女計・縦は対数。

6. 区分で分ける。遅くなったのは要支援

計算 6.1 区分ごとの 5 年ごとの倍率と倍になる年数(男女計)

段 要支援の倍率 要支援の年数 要介護3〜5の倍率 要介護3〜5の年数
65〜69→70〜74 歳 2.15 4.53 1.88 5.50
70〜74→75〜79 歳 2.14 4.56 1.89 5.46
75〜79→80〜84 歳 2.31 4.14 2.11 4.64
80〜84→85〜89 歳 1.61 7.31 2.04 4.85
85〜89→90〜94 歳 1.07 51.17 1.86 5.61

観察 6.2:要支援の割合は、80〜84 歳まで 4.14〜4.56 年ごとに倍になるが、そこから倍率が 1.61・1.07 と下がり、最後の段はほぼ平ら(51.17 年)になる。女性では最後の段の倍率が 0.95 と 1 を割る。 要介護3〜5は 5.50・5.46・4.64・4.85・5.61 年と、90〜94 歳まで同じくらいの速さで倍になり続け、男女計・男・女のどの段でも 4.06〜6.53 年に入る。90〜94 歳では要介護3〜5の割合(0.2807)が要支援(0.1604)を上回る。全区分の倍になる年数が 85 歳から長くなる形は、軽い区分が頭打ちになり、重い区分の割合が増える形と重なっている。

図2 5 年ごとの倍率

図2:段ごとの 5 年ごとの倍率(男女計)。紺が認定率(全区分)、緑が要支援1・2、紫が要介護3〜5、金の破線が死亡率。点線の 2 より上なら 5 年未満で倍になる。

7. 限界

  1. 認定者数は、申請して認定され台帳に登録されている人の数で、介護が必要な人の数そのものではない。申請のしかた・認定の区分の決め方は、この表では分からない。
  2. 一つの月の年齢の違いの比べで、同じ人が年をとってどう変わるかではない。区分が重くなる動きそのものは、この表では見えない。
  3. 人口は総人口で割った。死亡率は 2024 年、認定は 2025 年 7 月で、年がずれている。
  4. 40〜64 歳と、倍になる年数の 95 歳以上は比べていない。都道府県・自治体は比べない。一人の見通しではない。

結び

要介護(要支援)認定の割合は、65〜84 歳では 4.26〜4.97 年ごとに倍になり、同じ年齢の死亡率(5.87〜7.90 年)より速かった。85 歳からは遅くなり、85〜89 歳→90〜94 歳の段では 9.12 年と死亡率(5.88 年)より遅い。その遅れは要支援の頭打ち(51.17 年)で、要介護3〜5だけを数えると 90〜94 歳まで 4.64〜5.61 年ごとに倍になり続けた。

分けているものは一つ、軽い区分まで数えるか、重い区分だけを数えるか。

「介護が必要になる割合が年齢とともにどう増えるか」と聞いたら、どの区分まで数えた割合か、どの年齢の段の話かを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 介護給付費等実態統計 月報 2025 年 8 月審査分 第19表(厚生労働省)、人口推計 2025 年 7 月 1 日(確定値)(総務省統計局)、人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.15表(厚生労働省)(いずれも e-Stat・2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)に従う。本稿の率・倍率・年数は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・2025 年 7 月(死亡率は 2024 年)
検算 検算/M058.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M058_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 3 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M058_zu1・図/M058_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 介護給付費等実態統計 月報 令和7(2025)年8月審査分 第19表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.15表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 総務省統計局. 人口推計 各月1日現在人口 第1表 年齢(5歳階級)、男女別人口(2025年7月確定値、2025年12月概算値). e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 大人の死亡率が年齢とともに倍になる速さはほとんど動かず、下がったのは高さである [M002]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22963210
  • 山岸勇輝 (2026). 男性の死亡率が年齢とともに倍になる 6.99 年は、4.80 年の肺炎から 14.52 年の肝疾患までの混ぜ合わせである [M019]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22967853

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「要介護(要支援)認定の割合は、65〜84 歳では 4.26〜4.97 年ごとに倍になり、同じ年齢の死亡率(5.87〜7.90 年)より速い」[M058]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22975817

YOI M058医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M058・DOI 10.5281/zenodo.22975817・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 要介護(要支援)認定の割合は、65〜84 歳では 4.26〜4.97 年ごとに倍になり、同じ年齢の死亡率(5.87〜7.90 年)より速い [M058]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M058 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22975817

Yamagishi, Y. (2026). The Share Certified as Needing Care Doubles Every 4.26–4.97 Years at Ages 65–84, Faster Than the Death Rate at the Same Ages (5.87–7.90 Years) [M058]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M058; DOI: 10.5281/zenodo.22975817

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指紋(SHA-256)と確かめ方
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