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【M059】介護が必要になった主な原因の 1 位は認知症(10 万対 16,743)だが、当てはまるものを全部選ぶと高齢による衰弱(26,100)

要旨

令和7年国民生活基礎調査(介護票)で、介護が必要になった原因を、主な原因(一つ)と原因(複数回答)の二つの表で、性と年齢ごとに並べた。数は「介護を要する者 10 万対」(介護を要する者の総数を 100,000 としたときの数)である。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。主な原因の和・男女の和・年齢の和は丸めの幅(最大 3)で総数に一致し、複数回答の和はどの升目でも総数以上、要介護度別の表の原因ごとの総数は主な原因の表と一致する(第3節)。

第二に、男女計の 1 位は、主な原因では認知症(16,743)、複数回答では高齢による衰弱(26,100)である。 男性は主な原因でも複数回答でも脳血管疾患が 1 位(6,737・8,997)。女性の主な原因は、高齢による衰弱 11,821・骨折・転倒 11,739・認知症 11,723 と、1 位と 3 位の差が 98(女性の計の 0.0015)しかない(第4節)。

第三に、ここが本稿の芯である。主な原因の 1 位は年齢で入れ替わる。 男女計では 65〜79 歳が脳血管疾患(75〜79 歳で 0.231)、80〜89 歳が認知症(85〜89 歳で 0.224)、90 歳以上が高齢による衰弱(0.298)。高齢による衰弱の割合は 65〜69 歳の 0.019 から 90 歳以上の 0.298 まで年齢とともに上がり、脳血管疾患は 75〜79 歳から下がる。複数回答でも、入れ替わりの順は同じである(第5節)。

第四に、複数回答 ÷ 主な原因は、原因によって 1.25 から 3.50 まで違う。 視覚・聴覚障害 3.50・糖尿病 3.12・呼吸器疾患 2.61・心疾患 2.53 の四つは、挙がることは多いが主な原因にはなりにくい。パーキンソン病 1.25・脳血管疾患 1.33・認知症 1.35 は、挙がればほぼ主な原因になる(第6節)。

第五に、主な原因によって要介護度の構成も違う。 主な原因が認知症の人は要支援の割合が 0.126 と小さく、関節疾患は 0.600、視覚・聴覚障害は 0.592 と大きい(第7節)。

第六に、分けるのは原因を一つだけ選ぶか、当てはまるものを全部選ぶか。「介護が必要になった原因の 1 位」は、選び方と年齢と性によって答えが替わる。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。原因の数は公開の表にあり、本稿はそれを並べて比べただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 原因を減らす方法・予防には立ち入らない。 国民生活基礎調査は抽出の調査で、数は推計である。本稿の数は「介護を要する者 10 万対」で人数ではなく、差の小さい順位(女性の 1〜3 位など)は、調査の揺れの中にあるかもしれない。原因は調査の答え(主な原因は一つ、複数回答は当てはまるものすべて)で、医学的な診断の記録ではない。介護する家族・介護を受ける本人が読むことを考え、一人の見通しとしては書かない。データについて:国民生活基礎調査(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の割合・比は、これを加工して作成した。本稿が加えたこと:介護が必要になった原因を、主な原因と複数回答の二つの表で並べ、1 位が選び方で認知症から高齢による衰弱に替わること、年齢で脳血管疾患・認知症・高齢による衰弱と入れ替わること、挙がっても主な原因になりにくい原因があることを示したこと。

1. 記号と問い

  • 主な原因:第23表。介護が必要になった主な原因を一つだけ答えたもの。
  • 複数回答:第25表。当てはまる原因をすべて答えたもの。
  • 10 万対:介護を要する者の総数を 100,000 としたときの数。
  • 割合:性・年齢の升目ごとに、原因の数 ÷ その升目の総数。
  • 順位:その他・わからない・不詳を除いた 12 の原因の中の順位。
  • 複数回答 ÷ 主な原因:同じ原因の、複数回答の数 ÷ 主な原因の数(男女計)。

問い:「介護が必要になった原因の 1 位」は、一つだけ選ぶか全部選ぶか、何歳か、男女どちらかで、どう替わるか。

観察 1.1:M045 は、「糖尿病の人」の数が何を数えるかで桁が変わることを示した。M058 は、要介護(要支援)認定の割合が、どの区分まで数えるかで年齢の傾きが変わることを示した。本稿は、介護の原因を数える二つの数え方を並べる。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
表 令和7年国民生活基礎調査(介護票)第23表(主な原因 × 通院の有無 × 性 × 年齢階級)、第25表(原因・複数回答 × 同じ区分)、第24表(要介護度 × 主な原因)
下見で気づいたこと 数は人数ではなく「介護を要する者 10 万対」だった。そのため升目の中の割合と、同じ原因の二つの表の比で比べる
通院の有無 総数の区分だけを使う
物差し 1 位の原因、年齢ごとの割合、複数回答 ÷ 主な原因、要介護度の構成

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 3 本のファイルを SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 第23表の題名は「第023表 介護を要する者数,介護が必要となった主な原因・通院の有無・性・年齢階級別」、第25表は「第025表 … 介護が必要となった原因(複数回答)…」、第24表は「第024表 介護を要する者数,現在の要介護度の状況・介護が必要となった主な原因別」。三つとも「介護を要する者数10万対」。
  • 原因の見出しは総数と 15 区分で、第23表と第25表で同じ。総数の行は 100,000。
  • 丸めの差は、主な原因の和と総数が最大 3、男 + 女 と総数が最大 1、年齢の和と計が最大 2。複数回答の原因の和は、どの升目でも総数以上。
  • 第24表の原因ごとの総数は、第23表の総数の行と 15 区分すべてで一致する。

4. 全体と男女の 1 位

計算 4.1 上位 5 つの原因(10 万対)

主な原因(一つ) 複数回答
男女計 認知症 16,743・高齢による衰弱 15,586・骨折・転倒 14,638・脳血管疾患 12,496・関節疾患 9,134 高齢による衰弱 26,100・認知症 22,539・骨折・転倒 22,517・脳血管疾患 16,653・関節疾患 16,350
男 脳血管疾患 6,737・認知症 5,021・高齢による衰弱 3,766・骨折・転倒 2,899・心疾患 1,963 脳血管疾患 8,997・認知症 6,896・高齢による衰弱 6,790・心疾患 5,020・骨折・転倒 4,857
女 高齢による衰弱 11,821・骨折・転倒 11,739・認知症 11,723・関節疾患 7,453・脳血管疾患 5,758 高齢による衰弱 19,310・骨折・転倒 17,660・認知症 15,643・関節疾患 12,901・脳血管疾患 7,656

観察 4.2:男女計の 1 位は、主な原因では認知症(16,743)、複数回答では高齢による衰弱(26,100)で、選び方で 1 位が替わる。 男性は、どちらでも脳血管疾患が 1 位。女性の主な原因は、高齢による衰弱 11,821・骨折・転倒 11,739・認知症 11,723 で、1 位と 3 位の差は 98(女性の計 65,762 の 0.0015)。この三つの順位は、抽出の調査の揺れの中にあるかもしれない。

5. 芯、1 位は年齢で入れ替わる

計算 5.1 年齢ごとの主な原因の割合(男女計)

年齢 脳血管疾患 認知症 高齢による衰弱 骨折・転倒 関節疾患 1 位
65〜69 歳 0.192 0.078 0.019 0.055 0.049 脳血管疾患
70〜74 歳 0.216 0.073 0.036 0.113 0.059 脳血管疾患
75〜79 歳 0.231 0.138 0.041 0.094 0.091 脳血管疾患
80〜84 歳 0.129 0.178 0.098 0.145 0.138 認知症
85〜89 歳 0.070 0.224 0.169 0.167 0.083 認知症
90 歳以上 0.058 0.158 0.298 0.185 0.079 高齢による衰弱

観察 5.2:男女計の主な原因の 1 位は、65〜79 歳が脳血管疾患、80〜89 歳が認知症、90 歳以上が高齢による衰弱である。 高齢による衰弱の割合は 65〜69 歳の 0.019 から 90 歳以上の 0.298 まで年齢とともに上がり、脳血管疾患は 75〜79 歳の 0.231 から 90 歳以上の 0.058 まで下がる。男性は 80〜84 歳まで脳血管疾患が 1 位で、認知症が 1 位になるのは 85〜89 歳。複数回答でも、男女計の入れ替わりの順(脳血管疾患 → 認知症 → 高齢による衰弱)は同じで、90 歳以上では高齢による衰弱が 0.485 挙がる。

図1 年齢ごとの主な原因の割合

図1:年齢ごとの主な原因の割合(男女計)。紫が脳血管疾患、紺が認知症、金が高齢による衰弱、橙が骨折・転倒、緑が関節疾患。

6. 挙がるが、主な原因にはなりにくい

計算 6.1 複数回答 ÷ 主な原因(男女計・10 万対)

原因 主な原因 複数回答 複数回答 ÷ 主な原因
視覚・聴覚障害 1,901 6,655 3.50
糖尿病 2,861 8,924 3.12
呼吸器疾患 1,885 4,923 2.61
心疾患 4,818 12,192 2.53
関節疾患 9,134 16,350 1.79
悪性新生物 2,992 5,190 1.73
高齢による衰弱 15,586 26,100 1.67
骨折・転倒 14,638 22,517 1.54
脊髄損傷 1,744 2,399 1.38
認知症 16,743 22,539 1.35
脳血管疾患 12,496 16,653 1.33
パーキンソン病 2,968 3,699 1.25

観察 6.2:視覚・聴覚障害(3.50)・糖尿病(3.12)・呼吸器疾患(2.61)・心疾患(2.53)の四つは、複数回答で主な原因の 2.5 倍を超えて挙がる。 挙がることは多いが、それを主な原因とする人は少ない。反対に、パーキンソン病(1.25)・脳血管疾患(1.33)・認知症(1.35)は、挙がればほぼ主な原因になる。どの原因も、複数回答は主な原因以上である。

図2 主な原因と複数回答

図2:原因ごとの、主な原因(紺・一つ)と原因(金・複数回答)の数(男女計・介護を要する者 10 万対)。

7. 主な原因ごとの要介護度

計算 7.1 主な原因ごとの要支援・要介護3〜5の割合(第24表)

主な原因 要支援の割合 要介護3〜5の割合
脳血管疾患 0.278 0.353
心疾患 0.422 0.228
悪性新生物 0.349 0.216
呼吸器疾患 0.424 0.195
関節疾患 0.600 0.127
認知症 0.126 0.308
パーキンソン病 0.265 0.372
糖尿病 0.407 0.215
視覚・聴覚障害 0.592 0.065
骨折・転倒 0.372 0.216
脊髄損傷 0.485 0.183
高齢による衰弱 0.422 0.125

観察 7.2:主な原因が認知症の人は、要支援の割合が 0.126 と、12 の原因でいちばん小さい。 関節疾患(0.600)と視覚・聴覚障害(0.592)は、要支援の割合がいちばん大きい。要介護3〜5の割合は、パーキンソン病(0.372)と脳血管疾患(0.353)が大きい。要介護3〜5だけを数えると、主な原因の順は認知症・脳血管疾患・骨折・転倒・高齢による衰弱となり、高齢による衰弱は全区分の 2 位から 4 位になる。どの区分まで数えるかで順が変わる形は、M058 が認定の割合で見たものと同じである。

8. 限界

  1. 国民生活基礎調査は抽出の調査で、数は推計。本稿の数は 10 万対で、人数ではない。差の小さい順位は、揺れの中にあるかもしれない。
  2. 原因は調査の答えで、医学的な診断の記録ではない。「高齢による衰弱」「わからない」などの答えの中身は、この表では分からない。
  3. 一つの年(2025 年)の年齢の違いの比べで、同じ人の変わり方ではない。
  4. 原因を減らす方法・予防には立ち入らない。都道府県は比べない。一人の見通しではない。

結び

介護が必要になった原因の 1 位は、主な原因(一つ)では認知症、複数回答では高齢による衰弱だった。年齢では、65〜79 歳の脳血管疾患、80〜89 歳の認知症、90 歳以上の高齢による衰弱と入れ替わり、女性は 1〜3 位が 98 の差に並んでいた。視覚・聴覚障害・糖尿病・呼吸器疾患・心疾患は、挙がることは多いが主な原因にはなりにくかった。

分けているものは一つ、原因を一つだけ選ぶか、当てはまるものを全部選ぶか。

「介護が必要になった原因の 1 位」と聞いたら、主な原因の数か複数回答の数か、何歳の、男女どちらの数かを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 令和7年国民生活基礎調査(介護票)第23表・第25表・第24表(厚生労働省・e-Stat)(2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)に従う。本稿の割合・比は、これを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・2025 年
検算 検算/M059.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M059_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 3 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M059_zu1・図/M059_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 令和7年国民生活基礎調査 介護 第23表・第25表・第24表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 「糖尿病の人」の数は、何を数えるかで桁が変わる。70 歳以上の 10 万人あたり、検査で強く疑われる 19,500・通院している 12,130・その日に受療した 449〜1,948・一年に亡くなる 44.8、40〜49 歳からの上がり方も 3.1 倍から 29.4 倍まで違う [M045]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974556
  • 山岸勇輝 (2026). 要介護(要支援)認定の割合は、65〜84 歳では 4.26〜4.97 年ごとに倍になり、同じ年齢の死亡率(5.87〜7.90 年)より速い。85 歳から遅くなるのは要支援で、要介護3〜5だけを数えると 90〜94 歳まで 4.64〜5.61 年ごとに倍になり続ける [M058]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22975817

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「介護が必要になった主な原因の 1 位は認知症(10 万対 16,743)だが、当てはまるものを全部選ぶと高齢による衰弱(26,100)」[M059]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22975921

YOI M059医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M059・DOI 10.5281/zenodo.22975921・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 介護が必要になった主な原因の 1 位は認知症(10 万対 16,743)だが、当てはまるものを全部選ぶと高齢による衰弱(26,100) [M059]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M059 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22975921

Yamagishi, Y. (2026). The Leading Main Cause for Needing Care Is Dementia (16,743 per 100,000), but Choosing All That Apply It Is Frailty Due to Old Age (26,100) [M059]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M059; DOI: 10.5281/zenodo.22975921

@misc{yamagishi2026yoiM059,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {The Leading Main Cause for Needing Care Is Dementia (16,743 per 100,000), but Choosing All That Apply It Is Frailty Due to Old Age (26,100)},
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  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M059},
  doi = {10.5281/zenodo.22975921},
  note = {Preprint}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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2cab1dda1fc908613af38c6994bf3bed2bc03928e8b8d9eee5edf3623c484b85 yamagishi_M059_leading_main_cause_needing_care_dementia_20260926_en.pdf

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