Yamagishi Complexity Torus Lab山岸勇輝ラボ

【論文606】5×5 のライツアウトで消せる点灯の型は、四つに一つしかない

要旨

ライツアウトは、格子に並んだ明かりのどれかを押すと、その明かりと上下左右の明かりが点いたり消えたり反転する遊びである。与えられた点灯の型を、押して全部消せるかを数える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、$5\times5$ で消せる型は四つに一つである。二を法とする掃き出しで押し方の表の階数を求めると $23$ で、消せる型は $2^{23}=8388608$ 通り、全部の型 $2^{25}$ の $\mathbf{0.250000}$ である。押し方 $2^{25}$ 通りを全部試してできる型を数えても、同じ $8388608$ 通りだった(第2節・第3節)。

第二に、押しても何も変わらない押し方がある。$5\times5$ には、$16$ か所または $12$ か所を押して、盤が元のままに戻る押し方が $3$ 通りある。これがあるので、押し方 $2^{25}$ 通りは $4$ 通りずつ同じ型を作り、できる型は四分の一に減る(第4節)。

第三に、これが本稿の芯である。消せる型は、何も変えない押し方と偶数個ずつ重なる型にちょうど一致する。$2^{25}$ 通りの型すべてで、全部試して消せた型と、この条件を満たす型が一つ残らず一致した。左上の一つだけが点いた型は、何も変えない押し方の一つと $1$ 個だけ重なるので消せない。全部点いた型は消せ、押し方は $4$ 通りでどれも $15$ か所を押す(第4節)。

第四に、分離子は盤の大きさで、単調ではない。$1$ から $20$ の盤で、何も変えない押し方の次元は $4\times4$ で $4$、$5\times5$ で $2$、$9\times9$ で $8$、$11\times11$ で $6$、$14\times14$ で $4$、$16\times16$ で $8$、$17\times17$ で $2$、$19\times19$ で $16$ で、そのほかの $12$ の大きさでは $0$(どの型も消せる)だった(第5節)。

第五に、見張る量の数が、届かない割合を決める。15 パズルでは見張る量が一つで、届くのは半分だった。$5\times5$ のライツアウトでは見張る量が二つで、消せるのは四つに一つである(第5節)。

キーワード:ライツアウト、二を法とする線形代数、パズル、零空間、盤の大きさ。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。ライツアウトを二を法とする一次方程式として解くこと、$5\times5$ で消せる型が四つに一つであることは、いずれも既知である(アンダーソンとファイル、$1998$/サトナー、$1989$)。次元が盤の大きさでどう決まるかは扱わない。$1$ から $20$ の盤で掃き出して数えるだけで、その背後の多項式の理論には立ち入らない。最少の押し方の探し方は扱わない。全部点いた型の一例だけ、$4$ 通りの押し方を並べる。既刊との関係:論文601 は、15 パズルの局面の半分がどう動かしても届かないことを、見張る量一つで示した。本稿では見張る量が二つになり、消せる型が四つに一つになる。論文602 は、ニムの勝ち負けが繰り上がりのない足し算で決まることを示した。明かりを押す操作もその足し算で、同じ所を二度押せば消え、押す順番は効かない。加えたのは、$5\times5$ で掃き出しと $2^{25}$ 通りの総当たりを突き合わせたこと、消せる型の見分け方を $2^{25}$ 通り全部で確かめたこと、$1$ から $20$ の盤で何も変えない押し方の次元を並べ、分離子が盤の大きさで単調でないことを示したことである。

1. 記法と問い

設定:$n\times n$ の盤の各ますに明かりがある。ますを押すと、そのますと上下左右(盤の中にあるもの)の明かりが反転する。点灯の型を $0$ と $1$ の並びで表すと、押すことは、押したますが反転させる並びを繰り上がりなしに足すことである。

二つのこと:同じますを二度押すと元に戻り、押す順番は結果を変えない。だから押し方は「どのますを押すか」の集まりで決まり、$n^2$ か所それぞれを押すか押さないかの $2^{n^2}$ 通りある。

問い:$2^{n^2}$ 通りの点灯の型のうち、全部消せるのは何通りか。どの型が消せるかは、どう見分けられるか。

2. 掃き出しで数える

計算 2.1:ますを押したときに反転する並びを $n^2$ 本並べ、二を法として掃き出して階数 $r$ を求めた。消せる型はちょうど $2^{r}$ 通りで、押しても何も変わらない押し方の次元は $n^2-r$ である。

盤 押す場所 階数 何も変えない押し方の次元 消せる型の割合
$3\times3$ $9$ $9$ $0$ $1$
$4\times4$ $16$ $12$ $4$ $1/16$
$5\times5$ $25$ $23$ $2$ $1/4$
$9\times9$ $81$ $73$ $8$ $1/256$
$11\times11$ $121$ $115$ $6$ $1/64$
$14\times14$ $196$ $192$ $4$ $1/16$
$16\times16$ $256$ $248$ $8$ $1/256$
$17\times17$ $289$ $287$ $2$ $1/4$
$19\times19$ $361$ $345$ $16$ $1/65536$

表に無い $1$・$2$・$3$・$6$・$7$・$8$・$10$・$12$・$13$・$15$・$18$・$20$ の盤では、階数が押す場所の数に等しく、どの型も消せる。

3. 全部試して数える

計算 3.1:掃き出しとは独立に、押し方を全部試して、できる型を数えた。

盤 押し方 できる型 全部の型に対する割合
$2\times2$ $2^{4}$ $16$ $1.000000$
$3\times3$ $2^{9}$ $512$ $1.000000$
$4\times4$ $2^{16}$ $4096$ $\mathbf{0.062500}$
$5\times5$ $2^{25}$ $8388608$ $\mathbf{0.250000}$

観察 3.2 二つの道筋が合った。四つの盤すべてで、できる型の数は $2^{r}$ に一致した。$5\times5$ では押し方が $2^{25}$ 通りあるのに、できる型は $8388608$ 通りしかない。押し方が $4$ 通りずつ同じ型を作っている。

4. 何も変えない押し方

計算 4.1:$5\times5$ で、押しても盤が元のままに戻る押し方を掃き出しから取り出し、実際に押して何も変わらないことを確かめた。そうした押し方は $3$ 通りある(● が押すます、行を上から「/」で区切る)。

$16$ か所:・●●●・/●・●・●/●●・●●/●・●・●/・●●●・

$12$ か所:●・●・●/●・●・●/・・・・・/●・●・●/●・●・●

$12$ か所:●●・●●/・・・・・/●●・●●/・・・・・/●●・●●

計算 4.2:$2^{25}$ 通りの型すべてについて、「何も変えない押し方と重なる点灯が偶数個」かを数えると $8388608$ 通りで、全部試して消せた型の集合とちょうど一致した。全部点いた型は消せ、押し方は $4$ 通りでどれも $15$ か所を押す。左上の一つだけが点いた型は消せない。

観察 4.3 これが本稿の芯である。消せる型は、何も変えない押し方と偶数個ずつ重なる型である。ますを押す関係は対称である。$a$ を押すと $b$ が反転するなら、$b$ を押すと $a$ が反転する。そのため、何も変えない押し方と奇数個重なる型は、どう押しても作れない。左上の一つだけの型は、二つ目の $12$ か所の押し方と左上の一か所で重なり、重なりが $1$ 個なので消せない。

観察 4.4 全部点いた型は、四通りの押し方がどれも $15$ か所である。一つの押し方に、何も変えない押し方を足しても同じ型が消える。$4$ 通りはそうして互いに移り合う。$5\times5$ の $25$ か所のうち $15$ か所を押せば、全部点いた盤は全部消える。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は盤の大きさで、単調ではない。$3\times3$ はどの型も消せるが $4\times4$ は $16$ に一つ、$5\times5$ は四つに一つ、$6$ から $8$ は再びどの型も消せ、$9\times9$ は $256$ に一つである。大きい盤ほど消しにくいのではない。$20$ までで最も消しにくいのは $19\times19$ の $65536$ に一つで、$20\times20$ はどの型も消せる。

観察 5.2 論文601 と並べる。601 は、15 パズルの局面の半分がどう動かしても届かないことを、見張る量一つ(駒の並びの偶奇と空所の距離の偶奇の和)で示した。ライツアウトでは、何も変えない押し方の一つ一つが見張る量になる。$5\times5$ では独立な見張る量が二つで、届くのは $1/2^2$、$19\times19$ では十六で $1/2^{16}$ である。

観察 5.3 論文602 と並べる。602 は、ニムの勝ち負けが繰り上がりのない足し算で決まることを示した。明かりを押す操作も同じ足し算である。同じますを二度押すと消え、押す順番が効かないのは、繰り上がりが無いからである。

観察 5.4 言わないこと。次元が盤の大きさでどう決まるかの理論には立ち入らない。最少の押し方の探し方は、全部点いた型の一例しか示さない。示したのは、$5\times5$ で二つの道筋が型ごとに一致すること、消せる型の見分け方、そして $20$ までの盤で次元が単調でないことである。

6. 点呼と結び

  1. $5\times5$ の階数は $23$(計算 2.1):消せる型は $2^{23}$ 通り。
  2. 消せる割合は $\mathbf{0.250000}$(計算 3.1):四つに一つ。
  3. $2^{25}$ 通りを全部試しても $8388608$ 通り(計算 3.1):二つの道筋。
  4. 何も変えない押し方が $3$ 通り(計算 4.1):$16$ か所・$12$ か所・$12$ か所。
  5. 消せる型は、それと偶数個ずつ重なる型(観察 4.3):本稿の芯。
  6. 左上の一つだけは消せない(観察 4.3):重なりが $1$ 個。
  7. 全部点いた型は $15$ か所で消える(観察 4.4):押し方は $4$ 通り。
  8. $4\times4$ は $16$ に一つ、$19\times19$ は $65536$ に一つ(計算 2.1):単調ではない。
  9. $20$ までで $12$ の大きさはどの型も消せる(計算 2.1):次元 $0$。
  10. 見張る量の数が届かない割合を決める(観察 5.2):601 は一つ、ここは二つ。

結び:ライツアウトでは、押すと自分と上下左右の明かりが反転する。$5\times5$ の盤で全部消せる点灯の型は、四つに一つしかない。二を法とする掃き出しで階数は $23$、消せる型は $2^{23}=8388608$ 通りで、押し方 $2^{25}$ 通りを全部試して数えた型と一致した。消せる型は、押しても何も変わらない押し方と偶数個ずつ重なる型である。そうした押し方は $3$ 通りあり、$2^{25}$ 通りの型すべてでこの見分け方が全部試した結果と一致した。左上の一つだけが点いた型は消せず、全部点いた型は $15$ か所を押せば消える。分離子は盤の大きさで、単調ではない。$3\times3$ はどの型も消せ、$4\times4$ は $16$ に一つ、$19\times19$ は $65536$ に一つ、$20\times20$ はどの型も消せる。既刊との位置、論文601 の 15 パズルは見張る量一つで半分、ここは二つで四つに一つである。押す操作は論文602 の繰り上がりのない足し算である。正直に言えば、次元が盤の大きさでどう決まるかの理論には入らず、$20$ までを数えただけである。

参考文献

  1. Anderson, M., & Feil, T. (1998). Turning lights out with linear algebra. Mathematics Magazine.
  2. Sutner, K. (1989). Linear cellular automata and the Garden-of-Eden. The Mathematical Intelligencer.
  3. 山岸勇輝 (2026). 『15 パズルの局面の半分は、どう動かしても届かない』[論文601]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22805752
  4. 山岸勇輝 (2026). 『ニムの勝ち負けは、繰り上がりのない足し算で決まる』[論文602]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22805951

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「5×5 のライツアウトで消せる点灯の型は、四つに一つしかない」[論文606]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.23014452

YOI 606第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/606・DOI 10.5281/zenodo.23014452・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 5×5 のライツアウトで消せる点灯の型は、四つに一つしかない [論文606]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/606 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014452

Yamagishi, Y. (2026). Only One Light Pattern in Four Can Be Switched Off on a 5×5 Lights Out Board [Paper 606]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/606; DOI: 10.5281/zenodo.23014452

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Only One Light Pattern in Four Can Be Switched Off on a 5×5 Lights Out Board},
  year = {2026},
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