密度が1/r²の球を半径1まで積むと、中の質量は4πになります。体積の増え方r²と密度の1/r²がちょうど打ち消し合い、残るのは球面の全部の角度、4πだけです(唯一性定理と、その相棒の4π質量相殺定理)。
この4πは、一つの点を球面で囲んだときの大きさです。論文258は、源が点でなくなると4πが消え、2πが出ることを並べました。このページでは、その先の二つを確かめます。質量を一列に並べたり一面に敷いたりしたとき、4πが2πに替わるのはどの距離か。そして、線の2πと面の2πは同じものか。三次元の空間はそのままにして、並べ方だけを変えます。
この文章の計算は、このページのために新しく行ったものと、査読を経ていない、著者自身による公開(プレプリント)の論文によります。
要点
- 場が広がれる向きの数は、点で3、一列(線)で2、一面(面)で1です。それぞれを囲む図形の大きさは、球面の4π、円の2π、両側の2になります。
- そのため遠くの場は、点ならm/r²、線なら2λ/s、面なら2πσになり、距離の効き方は2乗、1乗、0乗(一定)と一つずつ減ります。
- 入れ替わるのは、並びの間隔ほどの距離です。一列では間隔の半分、正方の格子では間隔の0.399倍で、近くの法則と遠くの法則が交わります。そこから離れると、差は遠くでは、間隔の0.159倍進むごとにおよそe分の1に縮みます。
- 線の2πは線を囲む円の円周、面の2πは4πを両側の2で割った数で、別ものです。電気のSIの単位では線に2πが残って面は2、ガウスの単位では面に2πが残って線は2になり、同じ単位で書いた場の式に、二つの2πが並ぶことはありません。
- 重力の測量で使う「ブーゲーの板」2πGρhは、面の2πです。十分薄い板の1m上で使うには、半径およそ100mの平らな広がりが要ります。
点・線・面を囲む図形
点から出る重力の場は、四方八方に広がれます。広がれる向きは三つです。質量を一列に並べると、場は線と直角の二つの向きにしか広がれません。一面に敷くと、面と直角の一つの向きだけです。

囲む図形の大きさは、点を囲む球面で4π、線を囲む円で2π、面では上と下の二つの向きで2です。4π質量相殺定理の積分も、同じ形で起きます。線なら密度1/sの円柱で、半径1までの重さが単位の長さあたり2πに、面なら厚さの向きに一様な密度で、厚さ2の重さが単位の面積あたり2になります。
重力をGで書くふつうの書き方では、質量から出る場の総量は、ガウスの法則で4π×質量です。それを囲む図形の大きさで割ると、遠くの場の係数が出ます。点は4π÷4π=1でm/r²、線は4π÷2π=2で2λ/s、面は4π÷2=2πで2πσです。唯一性定理の「指数2」も、線では1、面では0になります。どの並べ方でも、指数は場が広がれる向きの数より一つ小さい数です。
一列に並べると、遠くは2πの円になる
質量1を間隔1で一列に並べ、線からの距離を変えて場を測ります。近くでは一番近い質量しか見えないので、場は1/r²です。遠くでは並びが一本の線に見えて、場は2/sです。二つの法則は、間隔の半分の所で交わり、どちらも4になります。その所の本当の場は4.905で、どちらの法則の値の1.226倍です。
一列か一面か、質量の横(上)か間かを選び、つまみで距離を変えます。ボタンで、決まった距離へ跳べます。
- 本当の場(G=1、質量1)
- 近くの法則1/r²との比
- 遠くの法則との比
- 局所の冪
遠い側では、本当の場と2/sの差が、距離1で1.2435%、距離2で0.0032%と、急に小さくなります。遠くでは、差は間隔の0.159倍(1/(2π))進むごとに、およそe分の1になります。近い所では、それより少しゆっくり縮みます。並びの間隔の向こうでは、点の4πは見えなくなり、線を囲む円の2πだけが残ります。音でも同じことが起きます。論文456は、道路のごく近くでは一台ずつの車が点の音源に聞こえ、離れると道路が線の音源になると書いています(音は強さを足すので、移る距離は重力の場と同じではありません)。
二つの質量の間の真横では、近くの様子が違います。両隣の質量の引きは、ほぼ線に沿って上と下を向くので、打ち消し合います。線と直角の向きには少しだけ残り、その大きさは距離に比例します(距離のおよそ16.83倍、つまり14ζ(3)倍)。場は距離0.375で山の3.361になり、遠くでは質量の横と同じ2/sに収まります。遠くの場は、並びのどこに立ったかを忘れます。
一面に並べると、遠くは4πの半分の2πになる
実験1で「一面」を選ぶと、質量を間隔1の正方の格子に敷いた場合になります。近くの1/z²と遠くの2πは、間隔の0.399倍の高さで交わります。その所の本当の場は、2πの1.508倍です。格子を三角に替えると、交わる高さは間隔の0.371倍に下がります。
遠くの2πは、面の上と下の二つの向きに場が分かれる分、4πを2で割った数です。高さ1では、質量の真上で2πより0.80%強く、四つの間の上で0.69%弱く、高さとともに同じ速さで2πに近づきます。四つの間の真上では、場は山を作らず、下から2πに近づいていきます。
本当の並びには端があり、遠くでは点に戻る
本当の並びは無限に長くありません。論文258も、長さが有限なら端で4πの側へ戻ると書いています。ここでは、並びの真ん中から全体の大きさより遠くへ離れたときに点へ戻る所を、数で確かめます。101個の質量の列では、局所の冪が近くで2、途中で1の近く(いちばん下がって1.002)になり、遠くでまた2に戻ります。線の法則2/sと、全体を一点と見た法則101/s²が交わるのは、距離50.5です。101×101の板では、冪が2から0の近く(いちばん下がって0.031)まで下がり、高さ40.3のあたりから、また2に戻ります。同じ面積の円の半径57.0の、1/√2倍の高さです。

並びに長さが二つ(間隔と、並び全体の大きさ)あると、入れ替わりも二つ起きます。近くでは一つの点の4π、途中では並びを囲む円の2πか面の2、遠くでは並び全体が一つの点になって、また4πです。
線の2πと面の2πは、単位で入れ替わる
線の2πと面の2πは、同じ数に見えます。論文258も、二つをどちらも点の4πが半分になった数として並べました。けれども、出どころが違います。線の2πは、線を囲む円の円周そのもので、線のまわりを一周する角です。面の2πは、4πを面の両側の2で割った数で、広い面を片側から見たときの見かけの広がり(半球)です。
二つが同じ数になるのにも、わけがあります。球の面積4πは、赤道の円周2πと直径2を掛けた数です(4π=2×2π)。4π質量相殺定理の積分でも、4πは2と2πの積に分かれます。だから4πを2で割ると円周と同じ2πになり、4πを2πで割ると両側の数と同じ2になります。それでも二つを別ものと呼ぶのは、次に見るように、単位や並べ方を替えると、二つが別々に動くからです。
違いは、単位を替えると見えます。電気のSIの単位は、源の強さを、そこから出ていく流れの量で数える約束です。そのため点・線・面の場の分母に、囲む図形の大きさ4π・2π・2がそのまま残ります。もう一つのガウスの単位では、4πを囲む図形の大きさで割った1・2・2πが係数に残ります。重力をGで書くふつうの書き方も、ガウスの単位と同じ形です。
| 並べ方 | SIの単位 | ガウスの単位 |
|---|---|---|
| 点 | q/(4πε₀r²) | q/r² |
| 線 | λ/(2πε₀s) | 2λ/s |
| 面 | σ/(2ε₀) | 2πσ |
SIでは線の場の式に2πが残って面は2、ガウスの単位では面の場の式に2πが残って線は2です。単位を替えると、線と面の場の式のあいだで2πと2が入れ替わり、同じ単位で書いた場の式に、二つの2πが並ぶことはありません。二つが並んで見えるのは、線をSIで、面をガウスの単位で書いたときだけです。ここで「消える」とは、場の式の中で単位の側の4πと約分されて見えなくなることで、円周や半球そのものが無くなるわけではありません。場の式の外では、円周はどの単位でも残ります(論文1088には、ガウスの単位のまま、ベーテの式の輪の円周2πと、面の場2πσがどちらも出てきます)。点の4πの居場所が単位の約束で動き、消えたのではなく移ったことは、論文306が示しました。線と面でも、約束が動かすのは、場の式の中での2πの居場所です。
ほかの二つの2π
このページに出た2πは、少なくとも四つの出どころを持ちます。線の円周と面の係数のほかに、次の二つです。数が同じだけでは同じ根とは呼ばず、何を動かすと動くかで分けます(論文300の判定)。
- 周期の2π:遠くの法則へ近づく速さ(遠くで、間隔の0.159倍ごとにe分の1)に入る2πです。並びの一周期を、波の一周と数えた角です。単位を替えても、一列か面かを替えても動きません(線の円周の2πは、並べ方を替えると4πや2に動きます)。
- 4π質量相殺定理の2π:m(n)=4π/(3−n)で、n=1のときの値です。密度の指数nを動かすと、これだけが動きます。
間隔を動かすと、面の係数と周期の2πが分かれます。間隔を1と置くと、面の場2πσと近づく速さ2πは同じ数に見えます。間隔を2にすると、面の場は1.571、近づく速さは3.142に分かれます。格子の一つの区画に質量が一つずつ並ぶなら、どの形の格子でも、二つの比は「1÷一番近い二つの質量の距離」なので、その距離を1と置いたときだけ同じ数になります。区画に質量が二つある蜂の巣の形の格子では、比は1.155(2/√3)になり、この関係は崩れます。
一方、格子の形を替えても、この二つは分かれません。正方から三角に替えると、近づく速さは7.255(4π/√3)に動きますが、面の場も同じ7.255に動くからです。二つを分けるのは、単位の取り方と、量の種類(面の場は加速度、近づく速さは長さの逆数)です。
実在の面:ブーゲーの板
重力の測量では、厚さh、密度ρの広い板の上の重力を2πGρhとして補正します。これは「ブーゲーの補正」と呼ばれ、この2πは面の係数です。重力をGで書くと、ガウスの単位と同じ形になるので、面の2πが見えるのです。密度1g/cm³、厚さ1mで0.0419mGal、岩の平均によく使う2.67g/cm³なら0.1120mGalです(1mGalは10⁻⁵m/s²)。
円板の半径と、重力計の高さを変えます。板は密度2.67g/cm³で、高さに比べて十分薄いとします(重力は厚さ1mあたりで示します)。
- 広い板(2πGρh)との比
- 重力(厚さ1mあたり)
- 一点の法則との比
- 99%に入るのに要る半径
板が「広い」と言えるのは、高さが広がりよりずっと低いときだけです。十分薄い円板の軸の上で2πGρhの99%に入るには、半径が高さの99.995倍以上要ります。1m上なら半径およそ100m、10m上ならおよそ1000mの平らな広がりです。高さを上げると、場は一点の法則に移ります。二つの法則が交わるのは、高さが半径の0.707倍(1/√2)の所で、本当の場は広い板の0.423倍(1−1/√3)です。円板の場の式に出る2π(1−z/√(z²+a²))は、円板をその点から見たときの見かけの広がりで、論文258が面の源で2πに頭打ちになるとしたものです。
分離子:囲む図形の大きさそのものか、4πをそれで割った数か
何を動かすと別のものに替わるかを言うのが、分離子です。ここでの分離子は、その2πが並びを囲む図形の大きさそのものか、4πをその大きさで割った数か、です。線の2πは囲む円の大きさそのもので、SIの分母に残ります。面の2πは4πを両側の2で割った数で、ガウスの単位の係数に残ります。二つが同じ数なのは4π=2×2πだからで、単位を替えると、二つは入れ替わります。
点の4πが線や面の法則に替わるのは、距離が並びの間隔ほどになった所です。それより近ければ一つの点を囲む4πが見え、場は距離の2乗で弱まります。遠ければ並びを囲む図形が見え、場は2λ/sや2πσになります。並び全体の大きさという、もう一つの長さを越えると、また点の4πに戻ります。
よくある問い
線や面は、本当に無限に長いのですか?
いいえ。このページの「遠く」は、並びの間隔より遠く、並び全体の大きさより近い所のことです。101個の列や101×101の板でも、その間では線や面の法則がよく合い、さらに遠くでは一つの点に戻ります。
二つの2πが同じ数なのは、偶然ですか?
同じ数ですが、出どころが違います。線の2πは円周、面の2πは4πの半分で、SIでは線の場の式に、ガウスの単位では面の場の式に残ります。同じ数になるのは、球の面積4πが円周2πと直径2の積だからです。間隔を1と置いたときに面の場と近づく速さが同じ数になるのも、間隔を2にすれば分かれます。
電気でも同じですか?
はい。力が距離の2乗に反比例するなら、電気でも同じ形です。電気のSIの式の分母に4π・2π・2が並ぶのは、点・線・面を囲む図形の大きさがそのまま出ているからです。
論文と文献
論文はどれもCC BY 4.0で公開しています。
- 論文1112「点の4πは並びの間隔ほどの距離で線や面の法則に替わり、線の2πと面の2πは単位の流儀で入れ替わる」:このページの計算のもと。
- 論文258「4πが出るのは、源が点のときだけである」:源が点でなくなると4πが消えること。
- 論文456「うるささを半分にするのに、距離を倍にしても足りない」:道路の近くでは車が点の音源、離れると道路が線の音源になること。
- 論文01「球対称密度分布におけるn=2の唯一性定理」:殻の重さが半径によらない指数。
- 論文02「4π質量相殺定理」:半径1の中の質量が4πになること。
- 論文1088「同じ4π/mでも、プラズマ振動数の4πは立体角で、ベーテの式の4πは輪の2πの2倍である」:面の両側の場の差。
- 論文306「「基本」単位の個数は、約束である」:4πの居場所が単位の約束で動くこと。
- 論文1052「「一つ減る」は二つあり、片方は穴を数え、片方は次元を数える」:指数が一つ減ること。
- 論文300「三百本目の点呼 ── 同根か別根かは、判定できる」:同じ数を、何を動かすと動くかで分ける。
- National Institute of Standards and Technology (2024). CODATA Recommended Values of the Fundamental Physical Constants: 2022. NIST.
- Hinze, W. J., Aiken, C., Brozena, J., et al. (2005). New standards for reducing gravity data: The North American gravity database. Geophysics.