【M043】学校で数える子どもの喘息は、1990 年から 2014〜2024 年に 2.35〜3.91 倍になり、同じあいだ 5〜19 歳の喘息の死亡率は 0.019 倍になった

要旨

学校保健統計調査で数える子どもの喘息(ぜん息の被患率)と、人口動態統計の子ども(5〜19 歳)の喘息の死亡率が、同じ形で動いたかを確かめた。学校の表は 1948〜2025 年度(ぜん息は 1967 年度から)、死亡は 1950〜2024 年。死亡数が一年で 10 未満になる年は、年を束ねて一年あたりの率にした。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、表はそろっている。学校の表は 12 シート(4 学校種 × 計・男・女)で、年の行は 1948〜2025 年度の 78 行、計はどの年度も男と女のあいだにある。人口から戻した子どもの喘息の率は表の率と一致する(第3節)。

第二に、学校で数える喘息は長く上がり続けた。 4 学校種とも被患率がいちばん高いのは 2010〜2013 年度で、1967 年度の 9.6 倍(幼稚園)から 69.3 倍(高等学校)である(第4節)。

第三に、その後、被患率は下がりはじめた。 2025 年度は 4 学校種ともいちばん高い年度より低く、その 0.466(幼稚園)〜0.742(小学校)である(第4節)。

第四に、子どもの喘息の死亡は、同じあいだに大きく減った。 5〜19 歳の喘息の死亡率(人口 10 万対)は 1990 年 0.540、1995 年 0.468、2000 年 0.175、2005・2010 年 0.042、2014〜2024 年 0.010 で、死亡数は 1995 年 105 人から、2014〜2024 年の 11 年で合わせて 18 人になった(第5節)。

第五に、ここが本稿の芯である。1990 年から 2014〜2024 年に、被患率は 2.35〜3.91 倍に上がり、死亡率は 0.019 倍に下がった。 1970→1990 年にも、被患率は 1.40〜9.60 倍に上がり、死亡率は 0.542 倍に下がっている。かかっている子の数と、亡くなる子の数は、向きの違う動きをした(第6節)。

第六に、分けるのはかかっている子の数か、亡くなる子の数か。「喘息の子は増えた」と「喘息で亡くなる子は減った」は、どちらも表のとおりで、互いを打ち消さない。

射程注記:本稿は新しい数学定理も新しい法則も主張しない。被患率と死亡数は公表の表にあり、本稿は並べて比べただけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 被患率が上がった理由も、死亡率が下がった理由も論じない。診断のされ方・数え方・治療・環境などには立ち入らない。学校の被患率と死亡の年齢の範囲は同じではない(学校は幼稚園から高等学校、死亡は 5〜19 歳)。一人の見通しではない。 子どもの死亡は小さな数なので、一年で 10 未満の年は束ねた。都道府県や地域・学校は比べない。データについて:学校保健統計調査・人口動態統計(e-Stat)は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の率・倍率はそれらを加工して作成した。本稿が加えたこと:学校で数える喘息と子どもの喘息の死亡を同じ年で並べ、向きの違う動きを倍率で示したこと。

1. 記号と問い

  • 被患率:学校保健統計調査の「ぜん息」(%・その学校種の子どもの中の割合)。
  • 子どもの喘息の死亡率:5〜19 歳の喘息の死亡数 ÷ 5〜19 歳の人口 × 100,000(人口は全死因の死亡数 ÷ 死亡率から戻す)。
  • 束ねた年:2005・2010 年(二つの年)と 2014〜2024 年(11 年)。束ねた年と並べる被患率は、同じ年度の平均。

問い:学校で数える子どもの喘息と、子どもの喘息の死亡は、同じ形で動いたか。

観察 1.1:M042 は、喘息の死亡率が 1995→2016 年にどの年齢でも下がったことを示した。本稿はそのうち子どもの年齢を、かかっている子の数(学校の被患率)と並べる。

2. 下見と設計

正直に書く:設計は表を見てから決めた。

内容
かかっている子 学校保健統計調査 年次統計 表15 学校種別 疾病・異常被患率等の推移(昭和23年度~令和7年度)の「ぜん息」
亡くなる子 人口動態統計 令和6年 上巻 第5.15表(シート「総数」「09喘息」の 5〜19 歳)
物差し 被患率の倍率、死亡率の倍率
束ね方 5〜19 歳の喘息の死亡は 2005 年から一年で 10 未満(9・6・3・3・2・1・1・1・3・1・2・1・0 人)→ 年を束ねた
出どころの記録の直し 最初、中学校と高等学校のぜん息は 1972 年度からと書いていたが、表を読むと 4 学校種とも 1967 年度からあった(直した)

3. データと確かめ

計算 3.1 取得した 2 本のファイルを SHA-256 で固定し、次を確かめた。

  • 学校の表:12 シートの見出しが 幼稚園・小学校・中学校・高等学校 × 計・男・女。どのシートも「ぜん息」の列が一つ。年の行は 1948〜2025 年度の 78 行(和暦の読み替えで抜けも重なりも無い)。計は男と女のあいだにある(全部の年度・4 学校種)。
  • 死亡の表:5〜19 歳の 3 階級で、人口(全死因の死亡数 ÷ 死亡率)から戻した喘息の率 = 表の率(丸めの幅の中)。
  • 率を出す束(一年ごと・束ねた年)は、どれも死亡数が 10 以上。

4. 学校で数える喘息

計算 4.1 ぜん息の被患率(%)

学校種 1970 年度 1990 年度 1995 年度 2014〜2024 年度の平均 いちばん高い年度 2025 年度
幼稚園 0.50 0.70 0.91 1.64 2.79(2011 年度) 1.30
小学校 0.40 1.05 1.38 3.40 4.34(2011 年度) 3.22
中学校 0.10 0.96 1.44 2.54 3.22(2013 年度) 2.14
高等学校 0.10 0.45 0.78 1.76 2.08(2010 年度) 1.53

観察 4.2:4 学校種とも、被患率がいちばん高いのは 2010〜2013 年度で、1967 年度の 9.6〜69.3 倍である。 2025 年度は、いちばん高い年度の 0.466(幼稚園)〜0.742(小学校)。

5. 子どもの喘息の死亡

計算 5.1 5〜19 歳の喘息の死亡数と、一年あたりの死亡率(人口 10 万対)

年 死亡数 年の数 一年あたりの死亡率
1970 248 1 0.996
1980 98 1 0.362
1990 140 1 0.540
1995 105 1 0.468
2000 35 1 0.175
2005・2010 15 2 0.042
2014〜2024 18 11 0.010

観察 5.2:5〜19 歳の喘息の死亡率は 1970 年の 0.996 から 2014〜2024 年の 0.010 へ下がった。 死亡数は 1995 年に 105 人、2000 年に 35 人で、2005 年からは一年で 10 人に届かない。

図1 学校で数える喘息と、子どもの喘息の死亡率

図1:上は学校で数える喘息の被患率(%)、下は 5〜19 歳の喘息の死亡率(人口 10 万対・縦は対数)。下の横棒は年を束ねた一年あたりの率(2005・2010 年は二つの年、2014〜2024 年は 11 年)。上が上がっていくあいだに、下は下がる。

6. 芯、同じあいだの、被患率と死亡率

計算 6.1 被患率と死亡率の倍率(被患率は死亡率と同じ年。束ねた年は同じ年度の平均)

期間 死亡率の倍率 幼稚園 小学校 中学校 高等学校
1970 → 1990 0.542 倍 1.40 倍 2.62 倍 9.60 倍 4.50 倍
1990 → 2014〜2024 0.019 倍 2.35 倍 3.24 倍 2.65 倍 3.91 倍
1995 → 2014〜2024 0.022 倍 1.80 倍 2.47 倍 1.77 倍 2.25 倍

観察 6.2:1990 年から 2014〜2024 年に、死亡率は 0.019 倍に下がり、被患率は 4 学校種とも 2.35〜3.91 倍に上がった。 1970→1990 年にも、死亡率は 0.542 倍、被患率は 1.40〜9.60 倍で、向きの違う動きは同じである。1995 年からで比べても、死亡率 0.022 倍・被患率 1.77〜2.47 倍である。

7. 限界

  1. 学校の被患率と死亡の年齢の範囲は同じではない(学校は幼稚園から高等学校、死亡は 5〜19 歳)。
  2. 学校は年度、死亡は暦年で、同じ数字の年どうしを並べた。
  3. 子どもの喘息の死亡は小さな数で、2005 年からは年を束ねた。束ねた率は、その年々の揺れをならした値である。
  4. 被患率が上がった理由・死亡率が下がった理由は論じない。 数え方や診断のされ方が変わった可能性も分けていない。
  5. 一人の見通しではない。

結び

学校で数える子どもの喘息は、1967 年度から 2010〜2013 年度まで上がり続け、1990 年から 2014〜2024 年に 2.35〜3.91 倍になった。同じあいだに 5〜19 歳の喘息の死亡率は 0.019 倍になり、死亡数は 1995 年の 105 人から、2014〜2024 年の 11 年で合わせて 18 人になった。

分けているものは一つ、かかっている子の数か、亡くなる子の数か。

「その病気は増えている」「その病気は減っている」と聞いたら、かかっている人の数の話か、亡くなる人の数の話かを、一緒に確かめる。

データと再現

データ 学校保健統計調査 年次統計 表15 学校種別 疾病・異常被患率等の推移(昭和23年度~令和7年度)、人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.15表(e-Stat・2026 年 9 月 26 日に取得)
利用条件 e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)に従う。本稿の率・倍率は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校)と 5〜19 歳・1950〜2025 年
検算 検算/M043.py(--zu で図も書く)。本文の数字はすべて 検算/M043_output.txt から取った
生データ data/ に取得した 2 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・定義と計算の置き方)
図 図/M043_zu1(png・svg・英語版)

参考文献

  • 文部科学省. 学校保健統計調査 年次統計 表15 学校種別 疾病・異常被患率等の推移(昭和23年度~令和7年度). e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.15表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 喘息の死亡率は 1995→2016 年に、どの年齢でも 0.066〜0.162 倍に下がった。亡くなる人の 80 歳以上の割合が 0.436 から 0.687 に上がった分の 0.708 は、人口の高齢化による [M042]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22974412

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「学校で数える子どもの喘息は、1990 年から 2014〜2024 年に 2.35〜3.91 倍になり、同じあいだ 5〜19 歳の喘息の死亡率は 0.019 倍になった」[M043]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22974442

YOI M043医療統計ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M043・DOI 10.5281/zenodo.22974442・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 学校で数える子どもの喘息は、1990 年から 2014〜2024 年に 2.35〜3.91 倍になり、同じあいだ 5〜19 歳の喘息の死亡率は 0.019 倍になった [M043]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M043 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22974442

Yamagishi, Y. (2026). Asthma Counted at School Rose 2.35–3.91-Fold from 1990 to 2014–2024, While the Asthma Death Rate at Ages 5–19 Fell to 0.019 Times over the Same Span [M043]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M043; DOI: 10.5281/zenodo.22974442

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Asthma Counted at School Rose 2.35–3.91-Fold from 1990 to 2014–2024, While the Asthma Death Rate at Ages 5–19 Fell to 0.019 Times over the Same Span},
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  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M043},
  doi = {10.5281/zenodo.22974442},
  note = {Preprint}
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a268bd06a61ddea20c7a8ad56e125b85ea119e052f40931944a62ba69ff88be2 yamagishi_M043_asthma_counted_school_rose_2_35_3_91_20260926_en.pdf

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