要旨
抵抗は試料の性質で決まると思われている。本稿が示すのは、量子化された抵抗の式に試料の量が一つも入っていないことである。入っているのは $h$ と $e$ と整数だけである。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、$h/e^{2}=\mathbf{25812.807459}$ オームで、既知の値と合う(第2節)。
第二に、逆数が $e^{2}/h=\mathbf{3.874045865\times10^{-5}}$ S に戻る(第2節)。
第三に、古典のホール抵抗はキャリア密度で $\mathbf{6.24\times10^{11}}$ から $\mathbf{3.12\times10^{11}}$ オームへ変わり、磁場でも変わる(第3節)。
第四に、これが本稿の芯である。量子化された側の式には、キャリア密度も磁場も厚みも入っていない(第3節)。
第五に、$\nu$ を $1.0001$ にずらすと $\mathbf{2.581023}$ オームずれる。整数であることが効いている(第4節)。
第六に、分離子は「材料が決めるか、整数が決めるか」である(第4節)。
キーワード:量子ホール効果、フォン・クリッツィング定数、抵抗標準、プランク定数、電気素量。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。量子ホール効果も、その抵抗が $h/(\nu e^{2})$ であることも標準的である。物理の機構を導かない。なぜ量子化するのか、端状態や局在がどう効くかは主題ではない。値の形だけを見る。分数量子ホールを扱わない。$\nu$ は整数だけを取る。分数の場合には入らない。測定を論じない。実際の測定精度、温度、試料の質は主題ではない。式に何が入っているかだけを問う。指数定理を導かない。整数が位相不変量であることは論文70 が扱う領域であり、本稿は借りるにとどめる。既刊との関係:論文70 は $4\pi$ と $32\pi^{2}$ が指数定理の規格化だと示した。本稿の整数は、その族に測定値が付いた場合である。論文483 は二つの力が同じ指数を持つから半径が消えると示した。どちらも、測れる量から系の性質が消える場合である。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。古典の抵抗と量子化された抵抗は別根である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、$h/e^{2}$ を $25812.807459$ オームと出したこと、逆数が戻ることを確かめたこと、古典側が試料で変わることを数で示したこと、量子化された側に試料の量が入らないことを式で示したこと、$\nu$ をずらすと $2.581023$ オームずれることを出したことである。
1. 記法と問い
設定:薄い試料に垂直な磁場をかけ、電流と垂直な向きの電圧から抵抗を測る。古典の予想は
$$R_{\text{古典}}=\frac{B}{n\,q\,d}$$
で、磁場 $B$、キャリア密度 $n$、電荷 $q$、厚み $d$ を含む。強い磁場と低温では、抵抗が
$$R_{\text{量子}}=\frac{h}{\nu e^{2}}$$
という値に留まる。$\nu$ は整数である。以下、二つの式に何が入っているかを見る。
観察 1.1 抵抗は試料の性質で決まると思われている。材料、形、不純物、作り方で値が変わる、という像である。
観察 1.2 だが右の式には試料の量が一つも無い。$h$ と $e$ と $\nu$ だけ、どこで測っても同じ値になるはずである。
問い:本当に、何も入っていないのか。
2. 定数だけで書ける
計算 2.1:$h$ と $e$ から抵抗の単位を作る。
| 量 | 値 |
|---|---|
| $h/e^{2}$ | $\mathbf{25812.807459}$ オーム |
| $e^{2}/h$ | $\mathbf{3.874045865\times10^{-5}}$ S |
観察 2.2 既知の値と合う。$25812.807459$、よく引かれる $25812.807$ オームと一致する。
観察 2.3 逆数が戻る。$25812.807459$ 対 $25812.807459$、独立な確認である。
観察 2.4 有効数字が落ちない。相対差 $0.000\times10^{0}$、$2019$ 年以降、$h$ も $e$ も定義値なので、この比は厳密である。
計算 2.5:整数で割った値を並べる。
| $\nu$ | 抵抗 |
|---|---|
| $1$ | $25812.807459$ オーム |
| $2$ | $\mathbf{12906.403730}$ オーム |
| $3$ | $8604.269153$ オーム |
| $4$ | $6453.201865$ オーム |
観察 2.6 $\nu$ を $1$ 増やすと $12906.404$ オーム跳ぶ。連続ではない。その間の値を取らない。
3. 古典側は試料に依る
計算 3.1:古典の式で、キャリア密度を動かす。
| キャリア密度 | 古典のホール抵抗 |
|---|---|
| $1\times10^{15}$ | $\mathbf{6.24\times10^{11}}$ オーム |
| $2\times10^{15}$ | $\mathbf{3.12\times10^{11}}$ オーム |
| $5\times10^{15}$ | $1.25\times10^{11}$ オーム |
観察 3.2 キャリア密度で変わる。$2$ 倍にすると半分、試料の作り方が値を決めている。
観察 3.3 磁場でも変わる。$2$ 倍にすると $2$ 倍、外から与える量も値に入る。
観察 3.4 厚みでも変わる。式の分母にある。形が値を決めている。
観察 3.5 量子化された側には、そのどれも入っていない。$h/(\nu e^{2})$、$B$ も $n$ も $d$ も現れない。
観察 3.6 だから同じ試料の同じ測定で、二つの式が両立しない。片方は試料で動き、片方は動かない。どちらが当たるかは、磁場と温度が決めている。
4. 分離子
分離子:値を決めているのが材料か、整数か。
観察 4.1 材料が決めるなら、試料ごとに違う。$6.24\times10^{11}$ と $3.12\times10^{11}$、比べるには、同じ試料を持ってくるしかない。
観察 4.2 整数が決めるなら、どの試料でも同じである。$25812.807459$、別の研究室の別の材料でも、同じ値になる。
観察 4.3 $\nu$ をずらすと値が動く。$1.0001$ にすると $2.581023$ オーム、測れる大きさであり、整数であることが実際に効いている。
観察 4.4 二つは論文300 の基準で別根である。どちらも「ホール抵抗」、一方は試料の量から組み立てた値、一方は定数と整数から出る値で、入力が違う。
観察 4.5 論文70 の族に、測定値が付いた場合である。$4\pi$ と $32\pi^{2}$ は指数定理の規格化、そこでは定数が規格化として現れた。こちらでは、整数が抵抗として測れる。
観察 4.6 論文483 とも同じ形である。二つの力が同じ指数を持つから半径が消えた。あちらは約分で消え、こちらはそもそも入っていない。消え方が違う。
観察 4.7 正直に言えば、なぜ量子化するのかは書いていない。端状態も局在も扱っていない。示したのは、量子化された式に試料の量が入らないという形だけである。整数が位相不変量であることは論文70 の側の話で、本稿はそこを借りている。
5. 点呼と結び
- $h/e^{2}=25812.807459$ オーム(計算 2.1):既知と一致。
- 逆数が戻る(観察 2.3):独立な確認。
- 有効数字が落ちない(観察 2.4):定義値だから厳密。
- $\nu=2$ で $12906.403730$(計算 2.5):ちょうど半分。
- $12906.404$ オーム跳ぶ(観察 2.6):連続ではない。
- 古典側はキャリア密度で半分(計算 3.1):試料が決める。
- 量子側には試料の量が無い(観察 3.5):本稿の芯。
- $\nu=1.0001$ で $2.581023$ オーム(観察 4.3):整数性が効く。
- 分離子は材料か整数か(観察 4.4):論文300 の基準で別根。
- 機構は書いていない(観察 4.7):形だけを示した。
結び:抵抗は試料の性質で決まると思われている。材料、形、不純物で値が変わるという像である。だが $R=h/(\nu e^{2})$ には試料の量が一つも無く、$h$ と $e$ と $\nu$ だけで、どこで測っても同じ値になるはずである。定数だけで書ける。$h/e^{2}=\mathbf{25812.807459}$ オーム、$e^{2}/h=\mathbf{3.874045865\times10^{-5}}$ S で、よく引かれる $25812.807$ オームと一致する。逆数が戻り、独立な確認になる。相対差は $0.000\times10^{0}$ で、$2019$ 年以降 $h$ も $e$ も定義値なので、この比は厳密である。整数で割ると $\nu=1$ で $25812.807459$、$\nu=2$ で $\mathbf{12906.403730}$、$\nu=3$ で $8604.269153$、$\nu=4$ で $6453.201865$ オームになる。$\nu$ を $1$ 増やすと $12906.404$ オーム跳び、その間の値を取らない。古典側は試料に依る。古典の式ではキャリア密度 $1\times10^{15}$ で $\mathbf{6.24\times10^{11}}$ オーム、$2\times10^{15}$ で $\mathbf{3.12\times10^{11}}$ オーム、$5\times10^{15}$ で $1.25\times10^{11}$ オームと、$2$ 倍にすると半分になる。磁場を $2$ 倍にすると $2$ 倍になり、外から与える量も値に入る。厚みも式の分母にあり、形が値を決めている。量子化された側には、そのどれも入っていない。$h/(\nu e^{2})$ に $B$ も $n$ も $d$ も現れない。だから同じ試料の同じ測定で二つの式が両立せず、どちらが当たるかは磁場と温度が決めている。分けているものは一つ、値を決めているのが材料か、整数か。材料が決めるなら試料ごとに違い、比べるには同じ試料を持ってくるしかない。整数が決めるならどの試料でも同じで、別の研究室の別の材料でも $25812.807459$ オームになる。$\nu$ を $1.0001$ にずらすと $\mathbf{2.581023}$ オームずれる。測れる大きさであり、整数であることが実際に効いている。二つは論文300 の基準で別根であり、どちらも「ホール抵抗」だが、一方は試料の量から組み立てた値、一方は定数と整数から出る値で、入力が違う。論文70 の族に測定値が付いた場合でもある。あちらでは $4\pi$ と $32\pi^{2}$ が指数定理の規格化として現れ、こちらでは整数が抵抗として測れる。論文483 とも同じ形だが、あちらは約分で半径が消え、こちらはそもそも入っていない。消え方が違う。正直に言えば、なぜ量子化するのかは書いていない。端状態も局在も扱っておらず、示したのは量子化された式に試料の量が入らないという形だけである。整数が位相不変量であることは論文70 の側の話で、本稿はそこを借りている。
参考文献
- Thouless, D. J., Kohmoto, M., Nightingale, M. P., & den Nijs, M. (1982). Quantized Hall Conductance in a Two-Dimensional Periodic Potential. Physical Review Letters.
- Tiesinga, E., Mohr, P. J., Newell, D. B., & Taylor, B. N. (2021). CODATA Recommended Values of the Fundamental Physical Constants: 2018. Reviews of Modern Physics, 025010.
- von Klitzing, K., Dorda, G., & Pepper, M. (1980). New Method for High-Accuracy Determination of the Fine-Structure Constant. Physical Review Letters.
- 山岸勇輝 (2026). 『定数の実家』[論文70]. Zenodo. 10.5281/zenodo.21650347
- 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
- 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927
- 山岸勇輝 (2026). 『限界に半径が無いのは、二つの力が同じ指数を持つからである』[論文483]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22759875
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「試料の性質が一つも入っていない抵抗が、実際に測れる」[論文514]. Zenodo.
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引用するとき
山岸勇輝 (2026). 試料の性質が一つも入っていない抵抗が、実際に測れる [論文514]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/514 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22862259
Yamagishi, Y. (2026). A Resistance Containing No Property of the Sample Is Actually Measurable [Paper 514]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/514; DOI: 10.5281/zenodo.22862259
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