【論文845】同じ検査数字が、誤りの型によって成績を 0 から 1 まで変える

要旨

番号の末尾の一桁が「守ってくれる」と言われる。本稿は、何から守るのかによって成績が $0$ から $1$ まで変わることを数える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、一桁の違いはどの仕組みでも全部捕まる。三つの仕組みのどれでも割合 $1.000000$ である(第2節)。

第二に、これが本稿の芯である。並びの入れ替えでは成績が割れる。ただの和は $0.000000$、重みつき(法 $11$)は $1.000000$ で、同じ「一桁の検査数字」の両端である(第3節)。

第三に、ただの和が $0$ なのは偶然ではない。足す順番を使わないので、並べ替えても和が動かないからである(第3節)。

第四に、ルーンはその中間である。割合 $\mathbf{0.979503}$ で捕まえ、残りをすり抜けさせる(第3節)。

第五に、すり抜けるのは一種類だけである。取りこぼした $52$ 件はすべて $0$ と $9$ の入れ替えだった(第3節)。

第六に、分離子は、一桁の違いを問うか、並びの入れ替えを問うかである。「守れる」と言うときは、何から守るのかを付けなければ意味が決まらない(第4節)。

キーワード:検査数字、誤り検出、隣の入れ替え、重み、法、全数え上げ。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。検査数字が一桁の誤りをすべて検出すること、重みを桁ごとに変えないと並びの入れ替えを検出できないこと、ルーンの方式が $0$ と $9$ の入れ替えだけを見逃すこと、法 $11$ の重みつき方式が両方を検出することは、いずれも既知である。実在の番号体系の運用を論じない。どの規格を使うべきか、移行をどうするかは述べない。誤り訂正に入らない。どこが誤ったかを直す話は扱わない。検出だけを見る。打ち間違いの頻度を扱わない。人がどの型の誤りをどれだけ起こすかは入れていない。すべての型を等しく数える。同時の誤りを数えない。二桁以上が同時に違う場合は数えていない。既刊との関係:論文752 はハフマン符号が最適であることと、それが符号の長さが整数という縛りの中での最適であることを示した。本稿はその隣に置く。あちらは「最適」がどの縛りの中でかを言い、こちらは「守れる」がどの誤りに対してかを言う。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。一桁の違いと並びの入れ替えは、その基準で別根である。加えたのは、三つの仕組みを同じ標本で並べて二つの型の成績を測ったこと、成績が $0.000000$ から $1.000000$ まで割れることを数えたこと、ルーンの取りこぼしを $0$ と $9$ の一種類に特定したこと、分離子を「一桁の違いか、並びの入れ替えか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:$8$ 桁の数字の並びに対し、三つの仕組みで検査数字を作る。

$$\text{ただの和}=\sum_i d_i \bmod 10,\qquad
\text{重みつき}=\sum_i w_i d_i \bmod 11$$

ルーンの方式は、右から数えて二番目ごとに二倍し、二桁になったら桁を足してから和を取る。検査数字が変わればその間違いは捕まったとする。

問い:「守れる」とは、何から守れるのか。

2. 一桁の違いは、どれでも捕まる

計算 2.1:$8$ 桁の番号を $400$ 本作り、各桁を他の $9$ 通りに置き換えた間違いを全部試した($28800$ 通り)。

仕組み 捕まる割合
ただの和(法 $10$) $1.000000$
ルーン(法 $10$) $1.000000$
重みつき(法 $11$) $1.000000$

観察 2.2 三つとも全部捕まえた。一桁を変えると、その桁の寄与が必ず変わる。どの仕組みでも重みが $0$ でない以上、和は動く。

観察 2.3 だからここだけを見ると三つは同じに見える。「一桁の誤りを検出できる」という言い方では区別がつかない。仕組みの違いは、別の型の誤りで初めて出る。

3. 並びの入れ替えでは、割れる

計算 3.1:同じ $400$ 本で、隣どうしの桁を入れ替えた間違いを全部試した。

仕組み 捕まる割合
ただの和(法 $10$) $0.000000$
ルーン(法 $10$) $0.979503$
重みつき(法 $11$) $1.000000$

観察 3.2 これが本稿の芯である。同じ一桁の検査数字で、$0$ と $1$ の両端が出る。ただの和は一つも捕まえず、重みつきは一つも逃さない。ただの和は足す順番を使わないので、並べ替えても値が動かないからである。

観察 3.3 この $0.000000$ は空振りではない。同じ標本で一桁の違いは $1.000000$ 捕まっている。仕組みも標本も同じで、誤りの型だけを変えたら $1$ が $0$ になった。

計算 3.4:ルーンが取りこぼした入れ替えを、桁の組ごとに数えた。

取りこぼした桁の組 件数
$0$ と $9$ $52$
それ以外 $0$

観察 3.5 すり抜けるのは一種類だけである。$0$ と $9$ を入れ替えたときだけ、二倍して桁を足す操作の前後で和が変わらない。$0.979503$ という半端な数は、この一種類が全体に占める割合である。

観察 3.6 穴の在りかが名指せるのは、成績が測れるからである。割合だけを見ると「ほぼ捕まる」で終わるが、取りこぼしを分けると一種類に絞れる。どこが弱いかは、どれだけ弱いかとは別の情報である。

4. 分離子

観察 4.1 分離子は、一桁の違いを問うか、並びの入れ替えを問うかである。前者では三つの仕組みが並び、後者では $0$ から $1$ まで割れる。「守れる」は、何から守るのかを付けなければ意味が決まらない。

観察 4.2 論文752 の隣に置く。752 はハフマン符号が最適であること、ただしそれは符号の長さが整数という縛りの中での最適であることを示した。あちらは「最適」にどの縛りが付くかを言い、こちらは「守れる」にどの誤りが付くかを言う。どちらも形容詞の後ろに隠れた条件を出す。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。一桁の違いと並びの入れ替えは、その基準で別根である。

観察 4.3 言わないこと。実在の規格の選び方も、誤り訂正も、打ち間違いの頻度も扱わない。示したのは、同じ一桁が誤りの型で $0$ にも $1$ にもなるということである。

5. 点呼と結び

  1. 一桁の違いは三つとも $1.000000$(計算 2.1):区別がつかない。
  2. $28800$ 通りを全部試した(計算 2.1):標本ではない。
  3. ただの和は入れ替えで $0.000000$(計算 3.1):本稿の芯。
  4. 重みつきは $1.000000$(計算 3.1):もう一方の端。
  5. ルーンは $\mathbf{0.979503}$(計算 3.1):その中間。
  6. 同じ標本で $1$ が $0$ になった(観察 3.3):空振りではない。
  7. 取りこぼしは $52$ 件(計算 3.4):$0$ と $9$ だけ。
  8. それ以外は $0$ 件(計算 3.4):穴が名指せる。
  9. どこが弱いかと、どれだけ弱いか(観察 3.6):別の情報。
  10. 一桁の違いか、並びの入れ替えか(観察 4.1):分離子・論文752・300。

結び:同じ検査数字が、誤りの型によって成績を $0$ から $1$ まで変える。$8$ 桁の番号 $400$ 本で一桁だけ違う間違いを $28800$ 通り試すと、三つの仕組みはどれも割合 $1.000000$ で捕まえ、区別がつかない。どの仕組みでも重みが $0$ でないので、一桁を変えれば和が必ず動くからである。ところが隣どうしを入れ替えた間違いでは、ただの和が $0.000000$、ルーンが $0.979503$、重みつきが $1.000000$ と割れる。ただの和は足す順番を使わないので、並べ替えても値が動かないからである。ルーンが取りこぼした $52$ 件はすべて $0$ と $9$ の入れ替えで、穴は一種類に絞れる。既刊との位置:論文752 の「最適はどの縛りの中でか」の隣に、「守れるはどの誤りに対してか」として置き、論文300 の規律で二つの誤りの型を別根として扱った。正直に言えば、すべての型を等しく数えており、人が実際にどの間違いをどれだけ起こすかは入れていない。

参考文献

  1. Kirtland, J. (2001). Identification Numbers and Check Digit Schemes. Mathematical Association of America.
  2. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/300 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22171914
  3. 山岸勇輝 (2026). 『ハフマン符号は最適だが、それは符号の長さが整数という縛りの中での最適である』[論文752]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/752 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23015146

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「同じ検査数字が、誤りの型によって成績を 0 から 1 まで変える」[論文845]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/845

YOI 845第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/845・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 同じ検査数字が、誤りの型によって成績を 0 から 1 まで変える [論文845]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/845

Yamagishi, Y. (2026). One and the Same Check Digit Scores Anywhere From 0 to 1 Depending on the Kind of Error [Paper 845]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/845

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {One and the Same Check Digit Scores Anywhere From 0 to 1 Depending on the Kind of Error},
  year = {2026},
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da77f6f0ac84e84a48e6c7c60d26673ee4e82d770866e96511968350221c1b1f yamagishi_yoi845_v1_en.pdf

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