【論文848】体重を背丈の二乗で割る指数は、同じ体型でも背丈とともに動く

要旨

体重を背丈の二乗で割った数が、体格の目安として広く使われている。本稿は、その「二乗」が相似の理屈とどうずれるかを数える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、同じ体型なら質量は背丈の三乗で増える。長さが $k$ 倍になれば体積は $k^{3}$ 倍になるからである(第2節)。

第二に、これが本稿の芯である。二乗で割る指数は、同じ体型でも動く。背丈 $1.5$ m から $1.9$ m で $\mathbf{1.266667}$ 倍になる(第2節)。

第三に、割る冪を上げると動きは小さくなる。$2.5$ 乗なら $\mathbf{1.125463}$ 倍、三乗なら $1.000000$ 倍で動かない(第2節)。

第四に、同じ体型が区切りをまたぐ。$1.5$ m で $22.0$ の体型を $1.9$ m に伸ばすと $\mathbf{27.866667}$ になり、$25$ を超える(第3節)。

第五に、値を保つには体型を変えなければならない。$1.9$ m で $22.0$ に保つには、相似の質量の $\mathbf{0.789474}$ 倍、つまり背丈の比の逆数まで軽くする(第3節)。

第六に、分離子は、形を問うか、重さを問うかである。二乗の指数は形と大きさを一つの数に混ぜている(第4節)。

キーワード:BMI、体格指数、相似、冪、背丈、模型。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。体重を背丈の二乗で割る指数(ケトレー指数・BMI)が使われていること、相似なら質量が長さの三乗に比例すること、三乗で割る指数(ローレル指数・ポンデラル指数)も在ることは、いずれも既知である。医学の助言をしない。どの値が健康か、どの区切りを使うべきかは述べない。実在の人の分布を主張しない。人は相似に伸びるとは限らない。相似は比べるために置いた模型である。指数を選ばない。二乗と三乗のどちらを使うべきかは述べない。二乗が使われる理由(集団の当てはめ)には入らない。体の中身に入らない。体脂肪や筋肉の割合は扱わない。既刊との関係:論文256 は力学相似が厳密に成り立つ縮尺が $1$ だけであることを示した。本稿はその隣に置く。あちらは縮尺を変えると相似が崩れる。こちらは相似を保ったまま縮尺を変えると、二乗の指数のほうが動く。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。形と重さは、その基準で別根である。加えたのは、割る冪を $2$・$2.5$・$3$ と変えて同じ体型での動きを並べたこと、同じ体型が区切りをまたぐ例を数えたこと、値を保つのに要る質量の倍率が背丈の比の逆数だと確かめたこと、分離子を「形か、重さか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:質量を $M$、背丈を $h$ とし、質量を背丈の $q$ 乗で割った指数を考える。同じ体型のまま大きさだけを変えると、質量は背丈の $3$ 乗に比例する。

$$I_q=\frac{M}{h^{q}},\qquad M\propto h^{3}\ \Longrightarrow\ I_q\propto h^{\,3-q}$$

広く使われているのは $q=2$ である。

問い:同じ体型の人を背丈だけ変えて並べると、指数はどう動くか。

2. 同じ体型での動き

計算 2.1:背丈 $1.5$ m から $1.9$ m(比 $1.266667$)で、割る冪ごとに指数の倍率を出した。

割る冪 $q$ 同じ体型での指数の倍率
$2.0$ $1.266667$
$2.5$ $1.125463$
$3.0$ $1.000000$

観察 2.2 これが本稿の芯である。二乗で割ると、同じ体型でも動く。倍率 $1.266667$ は背丈の比そのものである。質量の三乗から二乗を引いた残りの一乗が、そのまま指数に残るからである。

観察 2.3 三乗で割ったときだけ動かない。$2.5$ 乗では $1.125463$ 倍とまだ動く。指数が体型だけを見るには、割る冪が質量の冪と揃っていなければならない。

3. 区切りをまたぐ

計算 3.1:背丈 $1.5$ m で二乗の指数が $22.0$ になる体型を、そのまま $1.9$ m に伸ばした。

量 値
$1.5$ m での二乗の指数 $22.0$
$1.9$ m での二乗の指数 $27.866667$
区切りの $25$ を超えるか 超える
三乗の指数の倍率 $1.000000$

観察 3.2 同じ体型が、二乗の指数でだけ区切りをまたぐ。三乗の指数は同じ値のままである。区切りをまたいだのは体型ではなく、背丈である。

計算 3.3:逆に、$1.9$ m で二乗の指数を $22.0$ に保つための質量を出した。

量 値
相似の質量に対する倍率 $0.789474$
背丈の比の逆数 $0.789474$

観察 3.4 値を保つには、体型のほうを細くしなければならない。倍率は背丈の比の逆数とちょうど一致する。背の高い人が同じ値を持つとき、その人は背の低い人より細い体型をしている。

4. 分離子

観察 4.1 分離子は、形を問うか、重さを問うかである。三乗の指数は形だけを見て、二乗の指数は形と大きさを一つに混ぜる。どちらが正しいかではなく、何を見ている数かが違う。

観察 4.2 論文256 の隣に置く。256 は力学相似が厳密に成り立つ縮尺が $1$ だけであることを示した。あちらは縮尺を変えると相似が崩れる。こちらは相似を保ったまま縮尺を変えると、二乗の指数のほうが動く。崩れるのが物の側か、数の側かの違いである。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。形と重さは、その基準で別根である。

観察 4.3 言わないこと。どの値が健康かも、どの指数を使うべきかも、人が実際に相似に伸びるかも扱わない。示したのは、二乗の指数が同じ体型でも背丈の一乗で動くということである。

5. 点呼と結び

  1. 同じ体型なら質量は三乗(第1節):体積だから。
  2. 二乗で割ると $\mathbf{1.266667}$ 倍(計算 2.1):本稿の芯。
  3. それは背丈の比そのもの(観察 2.2):一乗が残る。
  4. $2.5$ 乗なら $\mathbf{1.125463}$ 倍(計算 2.1):まだ動く。
  5. 三乗なら $1.000000$ 倍(計算 2.1):動かない。
  6. $22.0$ が $\mathbf{27.866667}$ に(計算 3.1):同じ体型のまま。
  7. 区切りの $25$ をまたぐ(計算 3.1):またいだのは背丈。
  8. 保つには $\mathbf{0.789474}$ 倍(計算 3.3):背丈の比の逆数。
  9. 値が同じなら背の高い人は細い(観察 3.4):形が違う。
  10. 形か、重さか(観察 4.1):分離子・論文256・300。

結び:体重を背丈の二乗で割る指数は、同じ体型でも背丈とともに動く。同じ体型のまま背丈だけを $1.5$ m から $1.9$ m に変えると、二乗の指数は $1.266667$ 倍、$2.5$ 乗なら $1.125463$ 倍になり、三乗の指数だけが $1.000000$ 倍で動かない。質量が背丈の三乗で増えるので、二乗で割ると一乗が残るからである。そのため $1.5$ m で $22.0$ の体型は、そのまま $1.9$ m に伸ばすと $27.866667$ になって区切りの $25$ をまたぎ、$1.9$ m で $22.0$ に保つには相似の質量の $0.789474$ 倍まで細くしなければならない。区切りをまたいだのは体型ではなく背丈である。二乗の指数は形と大きさを一つの数に混ぜており、三乗の指数は形だけを見る。既刊との位置:論文256 の「相似が縮尺で崩れる」の隣に、相似を保つと数のほうが動く側として置き、論文300 の規律で形と重さを別根として扱った。正直に言えば、人が相似に伸びるとは限らず、ここでの相似は比べるために置いた模型である。

参考文献

  1. Schmidt-Nielsen, K. (1984). Scaling: Why Is Animal Size So Important? Cambridge University Press.
  2. 山岸勇輝 (2026). 『力学相似が厳密に成り立つ縮尺は、$1$ だけである』[論文256]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/256 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22168919
  3. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/300 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22171914

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「体重を背丈の二乗で割る指数は、同じ体型でも背丈とともに動く」[論文848]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/848

YOI 848第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/848・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 体重を背丈の二乗で割る指数は、同じ体型でも背丈とともに動く [論文848]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/848

Yamagishi, Y. (2026). An Index That Divides Weight by the Square of Height Moves With Height Even at the Same Build [Paper 848]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/848

@misc{yamagishi2026yoi848,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {An Index That Divides Weight by the Square of Height Moves With Height Even at the Same Build},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/848},
  note = {Preprint, edition 1}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
8965289b41dcfb53a29e47ef6a4027327a4339815473286bfca5819d361d7348 yamagishi_yoi848_v1_jp.pdf
f6499b09794484054e6b929c9f3db4042c5f99cfe1abe40275275562d77cfb4f yamagishi_yoi848_v1_en.pdf

PDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。