【F010】多時間軸をそろえても、そろえた分だけ件数が減る

要旨

本稿が問うのは、条件を足したときに増えるのは情報なのか、それとも減るのは件数だけなのか、である。答えは、減るのは件数だけである。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、五分足・十五分足・一時間足・四時間足の向きをそろえる本数 k を 1 から 4 へ動かすと、件数は 17,841 件から 6,798 件へ(USDJPY)、四銘柄の比の中央で 0.3683 倍に落ちる。同じとき、方向の情報の中央は +0.2548・+0.4347・+0.8606・−0.2449 pips と動き、単調ではない(第3節)。

第二に、三本の移動平均が順に並ぶ形(条件を 1・2・3 と掛ける)でも、件数は 0.3413 倍に落ちる。方向の情報の増分の中央は −1.3877 pips で、四銘柄すべてで負である(第4節)。

第三に、これが本稿の芯である。k = 4 では日次 t の絶対値の中央が 2.4643 になり、有意なセルが 4 のうち 4 になる。偶然なら およそ 0.2 なので、これは「そろえると効く」ように見える。だが 24 本先まで見ている以上、隣り合う観測は 23 本ぶん重なっている。 前の観測が終わるまで次を立てない形にすると、件数は 0.1012 倍になり、日次 t の中央は 0.5923 に、有意なセルは 4 のうち 0 になる(第5節)。

第四に、同じことがパーフェクトオーダーでも起きる。重複ありでは日次 t の中央が 5.2377 だが、重複を除くと 0.5286 になる。符号も 4 のうち 2 の銘柄で反転する(族A・第5節)。

第五に、選択期間で最良だった k が評価期間でも最良だったのは 4 のうち 1 である。偶然なら 1.0 なので、選択期間の順位は引き継がれない(第6節)。

第六に、足の中まで独立な正規増分で一本の道を作り、それを四つの足にまとめ直すと、k = 4 の件数比は 0.3895 から 0.3918 になる。実測の 0.3630 から 0.3810 より、むしろ高い。 そろうことは市場の性質ではなく、同じ価格列を四つの粗さで見ていることの帰結である(第7節)。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。移動平均、多時間軸の一致、ランダムウォーク、重複した観測が t を膨らませることはすべて既知である。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。扱うのは公知の作法そのものである。売買を論じない。本稿が測るのは件数と方向の情報であって、手数料・約定・資金管理を含む売買の成績ではない。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・六年・1 時間足を基準とした測定である。月次の時系列モメンタム(数十市場・保有1〜12ヶ月)は学術的に文書化されており、本稿はそれを否定しない。足の組み合わせを一つに固定する。五分・十五分・一時間・四時間の四つで、平均線は SMA(20) である。別の組み合わせでは数字が変わる(第9節)。「そろえる」を上下の一致と定義する。傾きの一致や並びの一致という別の定義は扱わない。予測を主張しない。既刊との関係:本系列は、率や t を報告するときに、それが偶然なら何になるかを必ず併記する。F004 は重複を除くと有意なセルが 10 のうち 10 から 2 に落ちることを示した。本稿は同じ手を、条件を足す作法に当てる。加えたのは、件数の落ち方を独立な場合と並べたこと、一本の道から四つの足を作る基準線を用意したこと、重複の前後で日次 t と符号がどう動くかを同じ表に並べたことである。

1. 記法と問い

上位の足と下位の足の向きをそろえてから入る、という作法がある。三本の移動平均が順に並ぶのを待つ、という作法もある。

作法 よくある形 言われること
多時間軸の一致 四時間足が上、一時間足も上、そこで十五分足の押し目を買う 上位足に逆らわない
並びの一致 短期・中期・長期の平均線が上から順に並ぶ 強いトレンドの証拠
条件の追加 上の二つを掛け合わせる 精度が上がる

観察 1.1:条件を足せば件数は必ず減る。 これは市場について何も言っていない。作法の是非とは無関係に、掛け算の性質である。

観察 1.2:そして件数が減ると、勝率は動きやすくなる。少ない標本では、良い数字も悪い数字も出やすい。「そろえたときの勝率は高い」という報告は、そろえなかったときの勝率と、件数と、偶然なら何になるかを併記しないかぎり読めない。

観察 1.3:決着させるには、三つ並べればよい。 一つは件数の落ち方、独立ならどれだけ落ちるか。二つは方向の情報、落ちた分だけ濃くなっているか。三つは重複、同じ出来事を何度も数えていないか。

問い:条件を足したとき、増えるのは情報なのか、減るのは件数だけなのか。

2. 測る量と設計を、先に書く

設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)

項目 決めたこと
族A 五分足・十五分足・一時間足・四時間足の、SMA(20) に対する終値の上下
族A の k そろった本数。先頭から k 本すべてが同じ向きのとき、その向きに建てる
族B 一時間足の SMA(5)・SMA(20)・SMA(80)。条件1 は 5 が 20 の上、条件2 はさらに 20 が 80 の上、条件3 はさらに終値が 5 の上
基準の足 1 時間足・中値・完成足のみ
先の長さ h = 24(二十四時間)
方向の情報 信号の符号と 24 本先までの値動きの積の平均(pips)
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
期間 2019–2024。選択 2019–2021 / 評価 2022–2024

観察 2.1:上位足は「完成した足」しか使わない。 一時間足の時刻 t で四時間足を参照するとき、その t を含む進行中の四時間足を使うと、最大で四時間ぶん先の終値を見てしまう。そこで「その足の終わりが t 以下」のものだけを使った。

観察 2.2:h = 24 本先を見ている以上、隣り合う観測は 23 本ぶん重なっている。 日次クラスタは同じ日の中の重なりしか畳まない。日をまたぐ重なりは残る。第5節でそこを潰す。

観察 2.3:「そろえる」を上下の一致と定義した。 傾きの一致や並びの一致という別の定義もある。族B がその一つである。

本数は USDJPY が五分足 438,283 本・十五分足 146,125 本・一時間足 36,534 本・四時間足 9,640 本、EURUSD が 438,505・146,202・36,554・9,648、GBPUSD が 438,199・146,127・36,535・9,644、XAUUSD が 418,478・139,501・34,892・9,442 である。

3. 族A、そろえる本数を 1 から 4 まで動かす

計算 3.1 k ごとの件数と方向の情報(評価期間)

銘柄 k 件数 D(pips) Dd(日次平均) 日次 t 日数 件/日 スプレッド
USDJPY 1 17,841 1.4086 1.8664 2.05 935 24.0 0.60
USDJPY 2 13,626 2.7307 3.0784 2.33 928 17.0 0.60
USDJPY 3 9,952 3.0821 2.0426 1.07 906 12.0 0.60
USDJPY 4 6,798 2.4546 −5.4733 −2.15 873 8.0 0.60
EURUSD 1 17,867 −0.6399 −0.2000 −0.38 936 24.0 0.30
EURUSD 2 13,658 −1.0408 −0.1921 −0.27 926 17.0 0.30
EURUSD 3 9,756 −0.4116 0.0633 0.06 898 12.0 0.30
EURUSD 4 6,485 −0.8412 −3.4725 −2.56 860 8.0 0.30
GBPUSD 1 17,850 0.1094 0.5404 0.76 935 24.0 0.90
GBPUSD 2 13,728 −0.1583 0.8609 0.90 923 17.0 0.90
GBPUSD 3 9,863 −0.0066 −0.0130 −0.01 885 12.0 0.90
GBPUSD 4 6,584 0.3513 −4.4598 −2.37 862 8.0 0.90
XAUUSD 1 17,471 0.4002 0.4684 0.19 918 23.0 3.57
XAUUSD 2 13,432 1.0277 0.3503 0.12 896 17.0 3.57
XAUUSD 3 9,704 1.7277 −1.8574 −0.46 863 12.0 3.56
XAUUSD 4 6,424 −1.5865 −18.4721 −3.57 832 8.0 3.58

計算 3.2 件数の落ち方

銘柄 k=1 k=2 k=3 k=4 k=4 ÷ k=1 独立なら
USDJPY 17,841 13,626 9,952 6,798 0.3810 0.1250
EURUSD 17,867 13,658 9,756 6,485 0.3630 0.1250
GBPUSD 17,850 13,728 9,863 6,584 0.3689 0.1250
XAUUSD 17,471 13,432 9,704 6,424 0.3677 0.1250

計算 3.3 k ごとの中央

k D の中央(pips) 日次 t の絶対値の中央 絶対値 2 以上のセル
1 +0.2548 0.5670 1 / 4
2 +0.4347 0.5865 1 / 4
3 +0.8606 0.2610 0 / 4
4 −0.2449 2.4643 4 / 4

観察 3.4:件数の比の中央は 0.3683 である。四つが独立なら 0.1250 になるはずなので、実測はその約三倍残っている。 四つの足は独立ではなく、同じ価格列を四つの粗さで見ている。

観察 3.5:方向の情報の中央は +0.2548・+0.4347・+0.8606・−0.2449 pips と動く。k = 3 まで増えて、k = 4 で符号が変わる。単調ではない。

観察 3.6:k = 4 で日次 t の絶対値の中央が 2.4643 になり、有意なセルが 4 のうち 4 になる。 偶然なら およそ 0.2 なので、ここだけを見れば「四つそろえると効く」と読める。

観察 3.7:だが符号を見ると、四銘柄とも Dd が負である(−5.4733・−3.4725・−4.4598・−18.4721)。「そろえた向きに建てると負ける」という読み方になる。そろえる作法の主張とは逆向きであり、ここで一度立ち止まる理由になる。

図1 件数は落ちる。方向の情報は落ちも増えもしない

図1:左が件数(k = 1 を 1 とした比)、右が方向の情報。左は四銘柄とも同じように落ち、右は横ばいで散らばる。

4. 族B、パーフェクトオーダーの条件を 1・2・3 と掛ける

計算 4.1 条件の数ごとの件数と方向の情報(評価期間)

銘柄 条件 件数 D(pips) Dd(日次平均) 日次 t 日数 件/日
USDJPY 1 17,841 1.6576 2.2002 1.14 935 24.0
USDJPY 2 10,858 −0.3119 −8.4592 −3.08 868 12.0
USDJPY 3 6,368 0.8151 −14.7604 −4.94 815 7.0
EURUSD 1 17,867 0.5151 1.3911 1.30 936 24.0
EURUSD 2 10,592 −0.3452 −3.5403 −2.41 867 12.0
EURUSD 3 6,084 −1.1296 −7.5709 −4.72 803 7.0
GBPUSD 1 17,850 −0.0960 0.5722 0.40 935 24.0
GBPUSD 2 10,582 −0.4649 −6.7779 −3.44 877 12.0
GBPUSD 3 6,040 −1.2266 −11.9795 −5.53 815 7.0
XAUUSD 1 17,471 2.2325 0.2547 0.06 918 23.0
XAUUSD 2 10,389 −1.0276 −24.7170 −4.33 852 12.0
XAUUSD 3 5,978 −0.1845 −38.7500 −6.33 772 7.0

計算 4.2 条件を掛けた効果

銘柄 条件3 ÷ 条件1(件数) D 条件1 D 条件3 D の増分
USDJPY 0.3569 1.6576 0.8151 −0.8425
EURUSD 0.3405 0.5151 −1.1296 −1.6447
GBPUSD 0.3384 −0.0960 −1.2266 −1.1306
XAUUSD 0.3422 2.2325 −0.1845 −2.4170

観察 4.3:件数の比の中央は 0.3413 である。条件を三つ掛けると、件数は三分の一になる。

観察 4.4:方向の情報の増分の中央は −1.3877 pips で、幅は −2.4170 から −0.8425 である。四銘柄すべてで負、つまり条件を足すほど悪くなっている。

観察 4.5:スプレッドの中央は 0.7500 pips である。増分の大きさはスプレッドと同じ桁だが、符号が逆なので、そもそも足す理由がない。

観察 4.6:ここでも Dd が条件を足すほど単調に悪化し、日次 t が −6.33 まで行く(XAUUSD)。第3節と同じ形である。 次節でその正体を見る。

図2 パーフェクトオーダーでも同じ形になる

図2:左が件数(条件1 を 1 とした比)、右が方向の情報。族A と同じ形が出る。

5. 重複を除く。これが分離子である

設計:前の観測が終わるまで次を立てない。h = 24 なので、24 本ごとに 1 件だけ残す。

計算 5.1 重複の前後(評価期間)

銘柄 条件 件数 D(pips) Dd(日次平均) 日次 t 件/日
USDJPY 族A k=4 重複あり 6,798 2.4546 −5.4733 −2.15 8.0
USDJPY 族A k=4 重複なし 663 2.9468 2.9468 0.75 1.0
USDJPY 族B 条件3 重複あり 6,368 0.8151 −14.7604 −4.94 7.0
USDJPY 族B 条件3 重複なし 592 0.6837 0.6837 0.16 1.0
EURUSD 族A k=4 重複あり 6,485 −0.8412 −3.4725 −2.56 8.0
EURUSD 族A k=4 重複なし 657 −0.9322 −0.9322 −0.43 1.0
EURUSD 族B 条件3 重複あり 6,084 −1.1296 −7.5709 −4.72 7.0
EURUSD 族B 条件3 重複なし 587 −0.8419 −0.8419 −0.37 1.0
GBPUSD 族A k=4 重複あり 6,584 0.3513 −4.4598 −2.37 8.0
GBPUSD 族A k=4 重複なし 665 −5.4644 −5.4644 −1.94 1.0
GBPUSD 族B 条件3 重複あり 6,040 −1.2266 −11.9795 −5.53 7.0
GBPUSD 族B 条件3 重複なし 601 −2.0435 −2.0435 −0.69 1.0
XAUUSD 族A k=4 重複あり 6,424 −1.5865 −18.4721 −3.57 8.0
XAUUSD 族A k=4 重複なし 651 0.1210 0.1210 0.02 1.0
XAUUSD 族B 条件3 重複あり 5,978 −0.1845 −38.7500 −6.33 7.0
XAUUSD 族B 条件3 重複なし 584 −6.8297 −6.8297 −0.82 1.0

計算 5.2 重複の前後のまとめ(四銘柄の中央)

条件 件数の比 D 重複あり D 重複なし 日次 t の絶対値 重複あり 同 重複なし 符号が反転
族A k=4 0.1012 −0.2449 −0.4056 2.4643 0.5923 2 / 4
族B 条件3 0.0971 −0.6570 −1.4427 5.2377 0.5286 0 / 4

観察 5.3:日次 t の絶対値の中央が、族A で 2.4643 から 0.5923 へ、族B で 5.2377 から 0.5286 へ落ちる。 重複を除いたあと絶対値が 2 以上のセルは、族A が 4 のうち 0・族B が 4 のうち 0 である。偶然なら およそ 0.2 なので、偶然を下回っている。

観察 5.4:件数の比は 0.1012 と 0.0971 である。十件のうち九件は、前の観測がまだ終わっていないうちに数えていた。

観察 5.5:族A では符号が 4 のうち 2 の銘柄で反転する。 XAUUSD は −1.5865 から +0.1210 へ、GBPUSD は +0.3513 から −5.4644 へ動く。重複を除くことは、精度を上げる操作ではなく、別の量に変える操作である。

観察 5.6:第3節と第4節で「そろえると有意に負になる」と読めた形は、重複が作っていた。 同じ出来事を八回数えれば、日次平均はその出来事に引っ張られる。日次クラスタは同じ日の中しか畳まないので、日をまたぐ重なりは残る。

観察 5.7:★ したがって本稿の答えは二重である。条件を足しても方向の情報は増えない(第3・4節)。そして「足すと有意に効く/効かない」と見えたものも、重複を除くと消える(本節)。残るのは、件数が減ったという事実だけである。

6. 選択期間で最良だった k は、評価期間でも最良か

計算 6.1 期間をまたいだ順位(族A)

銘柄 選択で最良の k その k の評価 D 評価で最良の k 一致
USDJPY 4 2.4546 3 ×
EURUSD 4 −0.8412 3 ×
GBPUSD 4 0.3513 4 ○
XAUUSD 4 −1.5865 3 ×

観察 6.2:選択期間では四銘柄すべてで k = 4 が最良だった。ここだけを見れば「そろえるほど良い」と読める。

観察 6.3:評価期間で最良だったのは 4 のうち 3 の銘柄で k = 3 である。一致したのは 4 のうち 1 で、偶然なら 1.0 なので、選択期間の順位は引き継がれていない。

観察 6.4:これは「k = 3 が正しい」という意味ではない。四つの k から最良を選ぶ作業そのものが、期間ごとに違う答えを出すということである。

7. 基準線、合成乱数でも「そろう」か

計算 7.1 一本の道を作り、それを四つの足にまとめ直す(10 系列・評価期間)

銘柄 実測 k=4 ÷ k=1 合成乱数 k=4 ÷ k=1 差
USDJPY 0.3810 0.3918 −0.0107
EURUSD 0.3630 0.3895 −0.0266
GBPUSD 0.3689 0.3910 −0.0221
XAUUSD 0.3677 0.3912 −0.0235

観察 7.2:合成乱数の件数比は 0.3895 から 0.3918 である。実測の 0.3630 から 0.3810 より、むしろ高い。 差の中央は −0.0228 である。

観察 7.3:合成乱数には上昇も下降も支持も抵抗もない。それでも四つの足は同じ割合でそろう。 そろうことは市場の性質ではなく、同じ価格列を四つの粗さで見ていることの帰結である。

観察 7.4:ここで一つ誤りを踏み、直した。初稿では四つの足それぞれに別々の乱数を当てていた。 それは独立な四本の道であって、「同じ列を四つの粗さで見る」という当の状況になっていない。その版の件数比は、四つが独立なら得られる 0.1250 とほとんど一致した。 ★ 基準線が理論値と一致しすぎるときは、基準線の作り方を疑う。 直した版では、一本の道を五分足で作り、それを十五分・一時間・四時間にまとめ直している。

8. 時間帯で分ける

設計:協定世界時で重ならない五区分に分ける。信号は族A の k = 4 である。

計算 8.1 五区分それぞれの方向の情報(評価期間)

銘柄 東京 0–7 ロンドン 7–12 重複 12–16 NY後半 16–21 夜間 21–24
USDJPY 1.90(t −0.36) 6.69(t 0.37) −5.49(t −2.05) 3.62(t −0.57) 7.00(t 1.54)
EURUSD −0.67(t −0.13) −0.20(t −0.98) −1.51(t −2.17) −1.63(t −1.79) 0.17(t −0.17)
GBPUSD 1.00(t −0.08) −2.20(t −2.30) −0.09(t −1.59) 1.14(t −0.81) 2.90(t 0.51)
XAUUSD −3.47(t −1.02) 7.95(t 0.24) −1.08(t −1.03) −11.37(t −1.33) 6.94(t 0.33)

観察 8.2:日次 t の絶対値が 2 以上になったセルは 20 のうち 3 である。偶然なら およそ 0.9 セルなので、実測はそれより多い。

観察 8.3:だがこの三つは、重複を残したままの信号で測っている。 第5節が示したとおり、重複ありの日次 t は膨らむ。時間帯の層別で多く見えたことを、市場の性質として読んではいけない。

観察 8.4:有意に見えた三つは 重複 12–16 の二つと ロンドン 7–12 の一つで、符号はすべて負である。本稿はこれを主張しない。重複を除くと件数は 584 件から 665 件しかなく、それを五区分に切ると測れる精度がなくなる。

9. 限界

  1. ★ 足の組み合わせを一つに固定している。 五分・十五分・一時間・四時間、平均線は SMA(20) である。別の組み合わせでは数字が変わる。ただし第5節の結論(重複を除くと t が落ちる)は、組み合わせではなく h と件数の構造から出ている。
  2. 「そろえる」を上下の一致と定義している。 傾きの一致や、並びの一致という別の定義がある。族B がその一例で、同じ形になった。
  3. k を足す順を先頭から固定している。 五分・十五分・一時間・四時間の順である。別の順では途中の k の値が変わる。k = 1 と k = 4 は順に依らない。
  4. 重複を除いた件数は 584 件から 665 件である。 この件数では、スプレッドと同じ桁の効果は見えない。「有意でない」は「無い」ではなく「この件数では見えない」である。
  5. 第8節は重複を残したままである。 重複を除くと区分あたりの件数が足りない。
  6. 合成乱数は独立な正規増分である。 ボラティリティの群れは入っていない。
  7. 四銘柄・六年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。

結び

四つの足をそろえると、件数は 0.3683 倍になる。三本の平均線を順に並べると、件数は 0.3413 倍になる。どちらも、条件を掛けたのだから当然である。

減った分だけ濃くなっているなら、方向の情報は増えるはずだった。増えなかった。 族A の中央は +0.2548・+0.4347・+0.8606・−0.2449 pips と単調でなく、族B の増分の中央は −1.3877 pips で四銘柄すべて負だった。

そして「そろえると有意になる」ように見えた形は、重複が作っていた。前の観測が終わるまで次を立てない形にすると、件数は 0.1012 倍になり、日次 t の中央は 2.4643 から 0.5923 へ落ち、有意なセルは 4 のうち 4 から 4 のうち 0 になる。族A では符号まで 4 のうち 2 の銘柄で反転する。

合成乱数で一本の道を作り、それを四つの足にまとめ直すと、そろう割合は 0.3895 から 0.3918 で、実測よりむしろ高い。

そろうことは市場の性質ではない。同じ価格列を、四つの粗さで見ているだけである。

データと再現

データ 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy
期間 2019–2024(六年)。選択 2019–2021 / 評価 2022–2024
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
足 五分・十五分・一時間・四時間。中値・完成足の終値のみ。ティックの無い足は作らない
上位足の参照 その足の終わりが基準足の時刻以下のものだけを使う(進行中の足は使わない)
検算 検算/F010.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F010_output.txt から取っている
図 図/F010_zu1・図/F010_zu2(png・svg・英語版)
乱数の種 0〜9 に固定。再実行しても同じ値が出る
土台の検査 _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt

参考文献

  • 山岸勇輝 (2026). RSI の「買われすぎ 70」は、自分が選んだ足種に属している [F004]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22881156

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「多時間軸をそろえても、そろえた分だけ件数が減る」[F010]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22891380

YOI F010FX と金融ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F010・DOI 10.5281/zenodo.22891380・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 多時間軸をそろえても、そろえた分だけ件数が減る [F010]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F010 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22891380

Yamagishi, Y. (2026). Aligning Timeframes Only Reduces the Count by as Much as You Aligned [F010]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F010; DOI: 10.5281/zenodo.22891380

@misc{yamagishi2026yoiF010,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Aligning Timeframes Only Reduces the Count by as Much as You Aligned},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F010},
  doi = {10.5281/zenodo.22891380},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
ed4ca54f0c5a82180f21aa9c21ed80f6d743ea6139b286b774d3f1e64827c31e yamagishi_F010__20260922_jp.pdf
a00be1263c3930116d9814fcf843161394119c6f630e3dbd4cd44a94f9ff188d yamagishi_F010__20260922_en.pdf

PDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。