【論文512】余りを三等分して引くと、曲面の問題が平面の問題に化ける

要旨

曲面の三角形は、曲面の道具で解くほかないと思われている。本稿が示すのは、余りを三等分して引けば平面の道具で足りることである。残る誤差は過剰の二乗で増え、実用の範囲では消える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、球面過剰は面積に比例する。$100$ km$^{2}$ で $\mathbf{0.508171}$ 秒角、$10^{4}$ 倍の面積で $10^{4}$ 倍(第2節)。

第二に、$100$ 万 km$^{2}$ の球面過剰は $\mathbf{1.411586}$ 度である(第2節)。

第三に、逆算すると面積に戻る。$1000000.000000$ 対 $1000000$(第2節)。

第四に、これが本稿の芯である。三等分して引いたあとの残差は、面積を $100$ 倍にすると $\mathbf{10000.000000}$ 倍になる。過剰の二乗で増える(第3節)。

第五に、$100$ 万 km$^{2}$ でも残差は過剰の $\mathbf{4.106\times10^{-4}}$ で、$100$ km$^{2}$ では $\mathbf{4.106\times10^{-8}}$ である(第3節)。

第六に、分離子は「余りを均すか、曲面のまま解くか」である(第4節)。

キーワード:球面過剰、ルジャンドルの定理、球面三角形、測地学、三角測量。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。球面過剰の公式もルジャンドルの定理も標準的である。測地学を作らない。地球の扁平、測量の誤差、実際の三角測量の手順は主題ではない。球面の三角形だけを見る。二次の係数を導かない。残差の係数は既知の値を使っており、本稿で導いてはいない。角そのものを解かない。三角形の辺や角を実際に解いてはおらず、近似の残差の大きさだけを見る。球以外を扱わない。回転楕円体では過剰の式が変わるが、そこには立ち入らない。既刊との関係:論文409 は歪まない地図が存在しないと示し、$100$ 万 km$^{2}$ で $1.4113$ 度余ると出した。本稿はその余りを、どう処理すれば消えるかを見る。論文224 はどこを触っても平らで、合計は $4\pi$ だと示した。余りが局所では小さく、大域では消えないという同じ形である。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。均す解き方と曲面のまま解く解き方は別根である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、球面過剰を三つの面積で出したこと、逆算で面積に戻ることを確かめたこと、残差が二乗で増えることを $10000.000000$ 倍で示したこと、残差と過剰の比を $4.106\times10^{-4}$ と $4.106\times10^{-8}$ で出したこと、分離子を近似の作法に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:半径 $R$ の球面上で、面積 $A$ の三角形を取る。三つの内角の和は $\pi$ を超え、その超過は

$$\varepsilon=\frac{A}{R^{2}}$$

である。ルジャンドルの定理は、各角から $\varepsilon/3$ を引いて、同じ辺の長さを持つ平面の三角形として解いてよいと言う。以下 $R=6371$ km として、過剰と、その処理のあとに残る誤差を測る。

観察 1.1 曲面の三角形は、曲面の道具で解くほかないと思われている。球面三角法、平面の公式は使えない、という像である。

観察 1.2 だが超過は面積に比例するだけで、三つの角に散らばっていない。一つの数 $\varepsilon$、それを均せば、平面に持ち込めるかもしれない。

問い:均したあと、どれだけ残るのか。

2. 過剰は面積に比例する

計算 2.1:三つの面積で球面過剰を出す。

面積 球面過剰(rad) 秒角
$100$ km$^{2}$ $2.463682790\times10^{-6}$ $\mathbf{0.508171}$
$10^{4}$ km$^{2}$ $2.463682790\times10^{-4}$ $50.817105$
$10^{6}$ km$^{2}$ $\mathbf{2.463682790\times10^{-2}}$ $5081.710534$

観察 2.2 $100$ 万 km$^{2}$ で $1.411586$ 度になる。$1.4$ 度、三角形の内角の和が $181.4$ 度あるということである。

観察 2.3 面積に比例する。$10^{4}$ 倍の面積で $10000.000000$ 倍、閉じた式が線形であることの確認である。

観察 2.4 逆算すると面積に戻る。$1000000.000000$ 対 $1000000$、独立な確認である。

観察 2.5 $100$ km$^{2}$ では $0.508171$ 秒角しかない。一辺 $15$ km ほどの三角形、十九世紀の測量でも測れる大きさだが、無視できるほどではない。

3. 三等分して引くと、二乗しか残らない

計算 3.1:各角から $\varepsilon/3$ を引いて平面で解いたときの、残る誤差を出す。

面積 過剰 $\varepsilon$ 二次の残り 比
$100$ km$^{2}$ $2.463683\times10^{-6}$ $1.011622\times10^{-13}$ $\mathbf{4.106\times10^{-8}}$
$10^{4}$ km$^{2}$ $2.463683\times10^{-4}$ $1.011622\times10^{-9}$ $4.106\times10^{-6}$
$10^{6}$ km$^{2}$ $2.463683\times10^{-2}$ $1.011622\times10^{-5}$ $\mathbf{4.106\times10^{-4}}$

観察 3.2 残差が過剰の二乗で増える。面積を $100$ 倍にすると残差が $10000.000000$ 倍、過剰は $100$ 倍にしかならないので、比は $100$ 倍で悪くなる。

観察 3.3 それでも $100$ 万 km$^{2}$ で比が $4.106\times10^{-4}$ である。過剰の $2400$ 分の $1$ 以下、一度均せば、残りは実用の範囲で消える。

観察 3.4 $100$ km$^{2}$ では比が $4.106\times10^{-8}$ である。$4$ 桁小さい。境目の反対側であり、小さい三角形ほど良い。

観察 3.5 だから近似の質は面積で決まる。形でも位置でもない。どこに置いた三角形でも、面積が同じなら同じだけ残る。

観察 3.6 三等分が効いているのは、一次の項をちょうど消すからである。三つの角に等しく配る。均さずに一つの角だけから引けば、一次の項が残る。

4. 分離子

分離子:余りを均して平面に持ち込むか、曲面のまま解くか。

観察 4.1 均すなら、平面の道具で足りる。正弦定理も余弦定理も、平面の形、代わりに二次の誤差を負う。

観察 4.2 曲面のまま解くなら、誤差は無い。球面三角法、代わりに道具が違う。

観察 4.3 二つは論文300 の基準で別根である。どちらも「三角形を解く」。一方は近似で誤差を持ち、一方は厳密である。誤差の有無が判定になる。

観察 4.4 論文409 が出した余りは、この過剰である。$100$ 万 km$^{2}$ で $1.4113$ 度、本稿の $1.411586$ 度と同じ量で、あちらは「消えない」ことを、こちらは「均せる」ことを見ている。

観察 4.5 論文224 とも同じ形である。どこを触っても平らで、合計は $4\pi$、局所では余りが小さく、大域では消えない。三等分は、その小ささを使う道具である。

観察 4.6 これは論文481 でいう分離子の一本である。「平面で計算したら合わなかった」という報告が来たとき、均し忘れたのか、三角形が大きすぎたのかで、直す先が違う。

観察 4.7 正直に言えば、二次の係数は既知の値を使った。$\varepsilon^{2}/60$、本稿では導いていない。示したのは残差が二乗で増えることと、その大きさが面積で決まることであって、係数そのものの検証ではない。

5. 点呼と結び

  1. $100$ km$^{2}$ で $0.508171$ 秒角(計算 2.1):測れる大きさ。
  2. $100$ 万 km$^{2}$ で $1.411586$ 度(観察 2.2):内角の和が $181.4$ 度。
  3. 面積に比例する(観察 2.3):$10000.000000$ 倍。
  4. 逆算で面積に戻る(観察 2.4):独立な確認。
  5. 残差が二乗で増える(観察 3.2):本稿の芯。
  6. $100$ 万 km$^{2}$ で比 $4.106\times10^{-4}$(計算 3.1):$2400$ 分の $1$ 以下。
  7. $100$ km$^{2}$ で $4.106\times10^{-8}$(観察 3.4):$4$ 桁小さい。
  8. 三等分が一次の項を消す(観察 3.6):均すことが効いている。
  9. 分離子は均すか曲面のままか(観察 4.3):論文300 の基準で別根。
  10. 二次の係数は借りた(観察 4.7):導いてはいない。

結び:曲面の三角形は、曲面の道具で解くほかないと思われている。球面三角法があり、平面の公式は使えないという像である。だが超過は面積に比例するだけで、三つの角に散らばってはいない。一つの数 $\varepsilon$ であり、それを均せば平面に持ち込めるかもしれない。過剰は面積に比例する。$R=6371$ km で、球面過剰は $100$ km$^{2}$ で $\mathbf{0.508171}$ 秒角、$10^{4}$ km$^{2}$ で $50.817105$ 秒角、$10^{6}$ km$^{2}$ で $5081.710534$ 秒角である。$100$ 万 km$^{2}$ では $\mathbf{1.411586}$ 度、つまり三角形の内角の和が $181.4$ 度あるということである。面積に比例し、$10^{4}$ 倍の面積で $10000.000000$ 倍になる。逆算すると $1000000.000000$ と面積に戻る。$100$ km$^{2}$ でも $0.508171$ 秒角あり、一辺 $15$ km ほどの三角形は十九世紀の測量でも測れる大きさだが、無視できるほどではない。三等分して引くと、二乗しか残らない。各角から $\varepsilon/3$ を引いて平面で解くと、残る誤差は $100$ km$^{2}$ で $1.011622\times10^{-13}$、$10^{6}$ km$^{2}$ で $1.011622\times10^{-5}$ である。面積を $100$ 倍にすると残差は $\mathbf{10000.000000}$ 倍になり、過剰は $100$ 倍にしかならないので、比は $100$ 倍で悪くなる。それでも $100$ 万 km$^{2}$ で比は $\mathbf{4.106\times10^{-4}}$、過剰の $2400$ 分の $1$ 以下で、一度均せば残りは実用の範囲で消える。$100$ km$^{2}$ では比が $\mathbf{4.106\times10^{-8}}$ と $4$ 桁小さい。だから近似の質は面積で決まり、形でも位置でもない。どこに置いた三角形でも、面積が同じなら同じだけ残る。三等分が効いているのは一次の項をちょうど消すからで、均さずに一つの角だけから引けば一次の項が残る。分けているものは一つ、余りを均して平面に持ち込むか、曲面のまま解くか。均すなら平面の道具で足り、正弦定理も余弦定理も平面の形が使えるが、代わりに二次の誤差を負う。曲面のまま解くなら誤差は無いが、代わりに道具が違う。二つは論文300 の基準で別根であり、どちらも「三角形を解く」だが、一方は近似で誤差を持ち、一方は厳密である。誤差の有無が判定になる。論文409 が出した余りはこの過剰そのもので、$100$ 万 km$^{2}$ で $1.4113$ 度、本稿の $1.411586$ 度と同じ量である。あちらは「消えない」ことを、こちらは「均せる」ことを見ている。論文224 とも同じ形で、どこを触っても平らで合計は $4\pi$、局所では余りが小さく、大域では消えない。三等分は、その小ささを使う道具である。これは論文481 でいう分離子の一本で、「平面で計算したら合わなかった」という報告が来たとき、均し忘れたのか三角形が大きすぎたのかで直す先が違う。正直に言えば、二次の係数 $\varepsilon^{2}/60$ は既知の値を使っており、本稿では導いていない。示したのは残差が二乗で増えることと、その大きさが面積で決まることであって、係数そのものの検証ではない。

参考文献

  1. Gauss, C. F. (1828). Disquisitiones Generales circa Superficies Curvas. Dieterich, Göttingen.
  2. Legendre, A.-M. (1787). Mémoire sur les opérations trigonométriques dont les résultats dépendent de la figure de la terre. Mémoires de l’Académie Royale des Sciences.
  3. Torge, W., & Müller, J. (2012). Geodesy (4th ed.). De Gruyter.
  4. 山岸勇輝 (2026). 『どこを触っても平らで、それでも合計は $4\pi$ である』[論文224]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22120836
  5. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  6. 山岸勇輝 (2026). 『歪まない地図は存在しない。投影法が下手だからではない』[論文409]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22699616
  7. 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「余りを三等分して引くと、曲面の問題が平面の問題に化ける」[論文512]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22862145

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 余りを三等分して引くと、曲面の問題が平面の問題に化ける [論文512]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/512 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22862145

Yamagishi, Y. (2026). Split the Surplus Three Ways and a Curved Problem Becomes a Flat One [Paper 512]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/512; DOI: 10.5281/zenodo.22862145

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