【F020】ローソク足の形は、足の切り方に属している

要旨

本稿が問うのは、ローソク足の形が相場に属しているのか足の切り方に属しているのか、である。答えは、足の切り方に属している。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、四つの形(包み足・はらみ足・ピンバー・十字線)の出現頻度は、足種を変えるだけで動く。銘柄と形ごとの最大÷最小の中央は 1.1745、最大は 1.5721 である。ピンバーは五分足で千本あたり 67.6854 回、四時間足で 45.7459 回である(第3節)。

第二に、これが本稿の芯である。包み足の判定は「今の始値が前の終値より内側か」で決まる。 その二つの差の絶対値の中央は、スプレッドの 0.1111 倍(中央)しかない。幅は 0.0417 から 0.1667 である(第4節)。

第三に、差がちょうど 0 になる割合は中央 1.3732% である。つまり包み足かどうかは、スプレッドの十分の一ほどの差で、ほぼ半々に振り分けられている(第4節)。

第四に、合成乱数との比は、形ごとに系統的にずれる。包み足 0.4986 から 0.5107、はらみ足 1.4474 から 1.6656、ピンバー 0.5886 から 0.6420、十字線 1.3077 から 1.3894 である。16 セルのうち 0.8 から 1.25 に収まったのは 0 である(第5節)。

第五に、★ 包み足のずれは、基準線の作り方で説明がつく。 合成乱数では始値が前の終値と厳密に等しいので、条件が自動的に満たされる。この基準線は、始値を使う形には使えない。本稿はそれを測ってから書いている(第4節・第5節)。

第六に、形が出た足から 24 時間先の方向の情報は、日次 t の絶対値が 2 以上のセルが 16 のうち 2(偶然なら およそ 0.7)である。足種を変えると D の中央は −1.4472 から +0.5823 pips まで符号ごと動く(第6節・第7節)。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。ローソク足の形の定義も、ランダムウォークも既知である。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。扱うのは公知の形そのものである。売買を論じない。本稿が測るのは出現頻度と方向の情報であって、手数料・約定・資金管理を含む売買の成績ではない。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・三年の測定である。月次の時系列モメンタム(数十市場・保有1〜12ヶ月)は学術的に文書化されており、本稿はそれを否定しない。形の定義を一通りに固定する。ピンバーはヒゲが実体の 2.0 倍以上・反対のヒゲが 0.5 倍以下、十字線は実体が値幅の 10% 以下である。別の閾値では頻度が変わる(第8節)。★ 合成乱数の基準線は、始値を使う形には使えない。合成乱数では始値が前の終値と厳密に等しい。本稿はそれを測ってから書いている(第4節)。重複を除いていない。24 時間先まで見ている。予測を主張しない。既刊との関係:F016 は折れ線の型(ダブルトップなど)を合成乱数と比べた。本稿は一本や二本の足の形を同じ手で測る。加えたのは、足種を変えて頻度が動くことを示したこと、包み足の判定に使う差をスプレッドと並べたこと、基準線が使えない場面を測って明示したことである。

1. 記法と問い

一本や二本のローソク足の形に、名前が付いている。

形 定義(買いの向き) 言われること
包み足 前の足が陰線で、今の足が陽線、かつ今の実体が前の実体を包む 買い手が売り手を飲み込んだ
はらみ足 今の足の高安が、前の足の高安の中に収まる 勢いが止まった
ピンバー 下ヒゲが長く、上ヒゲが短い 下で買い支えられた
十字線 実体が極端に小さい 迷い・転換

観察 1.1:どれも「その足が完成した時点」で判定できる。 先読みにはならない。そこは正しい。

観察 1.2:だが形は、足の切り方に依存する。 同じ値動きでも、五分で切るか四時間で切るかで、別の形になる。「売り手が力尽きた」という説明は、足の切り方を含んでいない。

観察 1.3:決着させるには、三つ測ればよい。 足種を変えて頻度が動くか。合成乱数でも出るか。そして判定に使っている差が、どれだけ小さいかである。

問い:ローソク足の形は、相場に属しているのか、足の切り方に属しているのか。

2. 測る量と設計を、先に書く

設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)

項目 決めたこと
足種 五分足・一時間足・四時間足(中値・完成足のみ)
包み足 前の足が陰線で今の足が陽線、今の終値が前の始値以上、今の始値が前の終値以下、実体が前より大きい
はらみ足 今の足の高安が前の足の高安の中に収まる(向きは前の足の色の逆)
ピンバー 下ヒゲが実体の 2.0 倍以上、かつ上ヒゲが実体の 0.5 倍以下
十字線 実体が値幅の 10% 以下(向きは前の足の色の逆)
方向の情報 形が出た足に信号を置き、24 時間先までの値動き(pips)
基準線 足の中まで合成乱数(10 系列)
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
期間 2019–2024。評価 2022–2024

観察 2.1:売りの向きは上下を逆にして同じ定義を使う。 買いだけを数えると、その期間の向きに引きずられる。

観察 2.2:足種を変えても、先の長さは 24 時間で同じにする。 ここをそろえないと、「形が効いた」のか「見ている時間が違う」のかが分けられない。

観察 2.3:★ 合成乱数の基準線には、後で分かる問題がある。 第4節でそれを測り、第5節でどこまで使えるかを書く。

本数は評価期間で USDJPY が五分足 214,291・一時間足 17,865・四時間足 4,812 本、EURUSD が 214,605・17,891・4,822、GBPUSD が 214,370・17,874・4,818、XAUUSD が 209,799・17,495・4,735 本である。

3. 形の頻度は、足種で動く

計算 3.1 千本あたりの出現(評価期間)

銘柄 形 5m 1h 4h 最大÷最小
USDJPY 包み足 126.8789 127.7918 133.0008 1.0483
USDJPY はらみ足 155.0042 167.5343 193.2668 1.2468
USDJPY ピンバー 67.6277 53.6804 43.0175 1.5721
USDJPY 十字線 100.2095 109.0960 109.3101 1.0908
EURUSD 包み足 113.6041 125.6498 118.4156 1.1060
EURUSD はらみ足 148.0534 153.0378 181.2526 1.2242
EURUSD ピンバー 67.7431 49.1867 48.1128 1.4080
EURUSD 十字線 96.2419 105.3043 101.6176 1.0942
GBPUSD 包み足 114.9694 124.7622 129.3068 1.1247
GBPUSD はらみ足 145.8740 145.5746 178.9124 1.2290
GBPUSD ピンバー 67.8966 53.4855 43.3790 1.5652
GBPUSD 十字線 100.7837 102.6631 103.7775 1.0297
XAUUSD 包み足 120.8204 126.8362 118.9018 1.0667
XAUUSD はらみ足 140.4058 162.4464 206.5470 1.4711
XAUUSD ピンバー 61.7543 51.7862 48.5744 1.2713
XAUUSD 十字線 98.0748 105.2301 107.7086 1.0982

計算 3.2 形ごと・足種ごとの中央(千本あたり)

形 5m 1h 4h
包み足 117.8949 126.2430 124.1043
はらみ足 146.9637 157.7421 187.2597
ピンバー 67.6854 52.6359 45.7459
十字線 99.1422 105.2672 105.7430

観察 3.3:足種での最大÷最小の中央は 1.1745、幅は 1.0297 から 1.5721 である。

観察 3.4:ピンバーは足種で最も動く。 五分足で千本あたり 67.6854 回、四時間足で 45.7459 回で、細かい足ほど多く出る。

観察 3.5:はらみ足は逆である。 五分足で 146.9637、四時間足で 187.2597 回で、粗い足ほど多く出る。

観察 3.6:★ 向きが形によって逆である以上、これは「相場が変わった」では説明できない。 同じ期間・同じ価格から作った足である。動いているのは足の切り方だけである。

図2 足種を変えると、頻度が動く

図2:銘柄ごとに、三つの足種での千本あたりの件数。形によって、足種の向きが逆になる。

4. 包み足の判定は、スプレッドの十分の一の差で決まっている。これが分離子である

計算 4.1 今の始値と前の終値の差(評価期間)

銘柄 足種 差の絶対値 中央(pips) スプレッド 中央 差 ÷ スプレッド ちょうど 0 の割合
USDJPY 5m 0.0500 0.6000 0.0833 10.2127%
USDJPY 1h 0.1000 0.6000 0.1667 9.6781%
USDJPY 4h 0.1000 0.6000 0.1667 9.4971%
EURUSD 5m 0.0500 0.3000 0.1667 1.2246%
EURUSD 1h 0.0500 0.3000 0.1667 1.9507%
EURUSD 4h 0.0500 0.3000 0.1667 2.1360%
GBPUSD 5m 0.0500 0.9000 0.0556 1.0473%
GBPUSD 1h 0.1000 0.9000 0.1111 1.5218%
GBPUSD 4h 0.1000 0.9000 0.1111 1.1416%
XAUUSD 5m 0.1500 3.5400 0.0424 0.5529%
XAUUSD 1h 0.1500 3.5700 0.0420 0.8059%
XAUUSD 4h 0.1500 3.6000 0.0417 0.8448%

観察 4.2:★ 差をスプレッドで割った値の中央は 0.1111、幅は 0.0417 から 0.1667 である。

観察 4.3:★ 包み足の判定は、この差の符号で決まる。 つまりスプレッドの十分の一ほどの量で、包み足かどうかが振り分けられている。

観察 4.4:差がちょうど 0 になる割合は、中央 1.3732% である。 USDJPY では 9.4971% から 10.2127% に達する。USDJPY だけ高いのは、価格の刻みが 1 pip に対して粗いためである。

観察 4.5:★ したがって「買い手が売り手を飲み込んだ」という説明は、スプレッドより一桁小さい差の符号に乗っている。その差は、約定できる幅より小さい。

観察 4.6:★ そして合成乱数では、この差がちょうど 0 である。 足を連続した歩みから作るので、始値は前の終値と厳密に等しい。だから包み足の条件が自動的に満たされ、頻度が跳ね上がる。この基準線は、始値を使う形には使えない。

5. 基準線、使える形と、使えない形

計算 5.1 合成乱数との比較(一時間足・10 系列・千本あたり)

銘柄 形 実測 合成乱数 比
USDJPY 包み足 127.7918 250.2323 0.5107
USDJPY はらみ足 167.5343 100.5877 1.6656
USDJPY ピンバー 53.6804 83.6104 0.6420
USDJPY 十字線 109.0960 78.5223 1.3894
EURUSD 包み足 125.6498 250.2040 0.5022
EURUSD はらみ足 153.0378 100.5701 1.5217
EURUSD ピンバー 49.1867 83.5727 0.5886
EURUSD 十字線 105.3043 78.4976 1.3415
GBPUSD 包み足 124.7622 250.2350 0.4986
GBPUSD はらみ足 145.5746 100.5763 1.4474
GBPUSD ピンバー 53.4855 83.6075 0.6397
GBPUSD 十字線 102.6631 78.5051 1.3077
XAUUSD 包み足 126.8362 250.2544 0.5068
XAUUSD はらみ足 162.4464 100.3887 1.6182
XAUUSD ピンバー 51.7862 83.7611 0.6183
XAUUSD 十字線 105.2301 78.6225 1.3384

観察 5.2:実測を乱数で割った比の中央は 0.9749 だが、幅は 0.4986 から 1.6656 である。16 セルのうち 0.8 から 1.25 に収まったのは 0 である。

観察 5.3:★ 中央が 1 に近いのは偶然である。 形ごとに系統的にずれており、その平均を取っただけである。中央値だけを見てはいけない。

観察 5.4:★ 包み足は合成乱数で 250.2040 回から 250.2544 回と、実測のちょうど二倍出る。 第4節のとおり、始値が前の終値と厳密に等しいので条件が自動的に満たされる。 この比は、市場について何も言っていない。基準線の作り方が言っている。

観察 5.5:十字線も始値を使う(実体 = 終値 − 始値)ので、同じ理由で歪む。比が 1.3077 から 1.3894 と一定なのは、歪み方が一定だからである。

観察 5.6:★ 使えるのは、始値を使わない形である。 はらみ足は高安だけ、ピンバーは一本の中の四つの値の比だけを使う。はらみ足は実測が 1.4474 倍から 1.6656 倍多く、ピンバーは 0.5886 倍から 0.6420 倍少ない。 どちらも乱数と一致しないが、その差は「形が意味を持つ」ことを意味しない。実測の足は連続した歩みではなく、値動きの大きさが時間帯で変わるからである。

観察 5.7:★ 本稿は「形は乱数と同じ頻度で出る」とは結論しない。 ★ 結論できるのは、頻度が足の切り方(第3節)と基準線の作り方(第4節)の両方に強く依存する、ということである。

図1 形は、合成乱数にも同じだけ現れる(一時間足)

図1:銘柄ごとの、四つの形の千本あたりの件数。濃い棒(実測)と薄い棒(合成乱数)の高さが、形ごとに系統的にずれる。

6. 形が出た足から先の、方向の情報

計算 6.1 形が予言する向きへの値動き(一時間足・24 時間先・評価期間)

銘柄 形 件数 D(pips) Dd(日次平均) 日次 t スプレッド 買/売
XAUUSD 包み足 2,219 1.5760 2.1087 0.47 3.57 1115/1099
XAUUSD はらみ足 2,842 1.9063 0.7280 0.17 3.57 1423/1415
XAUUSD ピンバー 906 −1.2516 3.0319 0.43 3.57 508/398
XAUUSD 十字線 1,841 −4.9772 −6.9927 −1.43 3.54 874/964
GBPUSD 十字線 1,835 0.7914 −0.3688 −0.17 0.90 900/930

観察 6.2:形ごとの D の中央は、包み足 +1.1849、はらみ足 +0.5323、ピンバー −0.7979、十字線 +0.0544 pips である。スプレッドの中央は 0.7500 pips である。

観察 6.3:日次 t の絶対値が 2 以上のセルは 16 のうち 2 である。偶然なら およそ 0.7 なので、やや多い。

観察 6.4:有意に見えた二つは、包み足で 1 つ、ピンバーで 1 つである。 本稿はこれを主張しない。 24 時間先まで見ており、観測は重なっている。

観察 6.5:買いと売りの数はほぼ同じである(XAUUSD のはらみ足で 1423/1415)。ピンバーだけ偏る(508/398)。ヒゲの出方が上下で対称でないためで、これ自体はその期間の向きを含む。

7. 足種を変えると、方向の情報も動く

計算 7.1 同じ形・同じ 24 時間先で、足種だけを変える(評価期間・pips)

銘柄 形 5m D 5m t 1h D 1h t 4h D 4h t
USDJPY 包み足 −0.1704 −1.19 4.8417 3.00 −0.4155 0.20
USDJPY はらみ足 −0.6832 −2.31 −1.9012 −0.58 −3.8545 −0.71
USDJPY ピンバー 1.0238 0.11 9.8877 3.16 −0.7374 −0.47
USDJPY 十字線 −0.9764 −0.22 −0.6826 0.12 1.7015 0.22
EURUSD 包み足 −0.6851 −1.43 0.3731 −0.26 −2.5657 −1.07
EURUSD はらみ足 0.2778 0.77 1.0428 1.72 −4.5383 −2.04
GBPUSD 包み足 0.0665 −0.48 0.7938 0.70 −5.4092 −2.05
GBPUSD ピンバー −0.6882 −0.27 −0.3442 0.14 1.9933 0.58
XAUUSD ピンバー −3.5413 −2.89 −1.2516 0.43 −11.8705 −1.14
XAUUSD はらみ足 1.1832 −0.27 1.9063 0.17 10.8059 1.92

観察 7.2:足種ごとの D の中央は、五分足 −0.2947、一時間足 +0.5823、四時間足 −1.4472 pips である。符号が足種で変わる。

観察 7.3:日次 t の絶対値が 2 以上のセルは、三つの足種すべてで 16 のうち 2 である。偶然なら およそ 0.7 である。どの足種でも同じ程度にしか出ない。

観察 7.4:★ USDJPY のピンバーは、一時間足で D が +9.8877(t 3.16)だが、四時間足では −0.7374(t −0.47)である。 同じ形・同じ期間・同じ先の長さで、足種を変えただけで符号が変わる。

観察 7.5:★ したがって「この形は効く」という主張は、足種を書かなければ意味を持たない。 そして足種を三つ試せば、そのうちどれかが良く見えるのは当たり前である。

8. 時間帯で分ける

設計:協定世界時で重ならない五区分に分ける。信号は一時間足の包み足である。

計算 8.1 五区分それぞれの方向の情報(評価期間)

銘柄 東京 0–7 ロンドン 7–12 重複 12–16 NY後半 16–21 夜間 21–24
USDJPY 4.85(t 2.29) 3.47(t 0.92) 4.57(t 0.71) 7.37(t 1.58) 3.71(t 0.84)
EURUSD −1.80(t −1.26) 3.50(t 1.55) 0.55(t 0.23) 0.34(t 0.28) 0.83(t 0.48)
GBPUSD −1.46(t −0.81) 2.54(t 1.08) 0.10(t 0.61) 0.95(t 0.72) 4.79(t 1.21)
XAUUSD −3.17(t −0.59) 6.77(t 0.93) 3.63(t 0.49) 9.32(t 1.53) −18.35(t −1.23)

観察 8.2:日次 t の絶対値が 2 以上になったセルは 20 のうち 1 である。偶然なら およそ 0.9 セルなので、偶然と同じ程度である。

観察 8.3:有意に見えたのは USDJPY の東京帯(4.85・t 2.29)である。本稿はこれを主張しない。

観察 8.4:USDJPY は五区分すべてで正である。 その期間にその銘柄が上がったことの言い換えでありうる。本稿はドリフトを分離していない。

9. 限界

  1. ★ 合成乱数の基準線は、始値を使う形には使えない。 合成乱数では始値が前の終値と厳密に等しいので、包み足と十字線の頻度が歪む。本稿はそれを測ってから書いているが、歪みを直した基準線は作っていない。 ここが最大の限界である。
  2. 形の定義を一通りに固定している。 ピンバーの 2.0 倍と 0.5 倍、十字線の 10% である。別の閾値では頻度が変わる。ただし第3節(足種で動く)と第4節(差がスプレッドより小さい)は、閾値に依らない。
  3. ★ はらみ足とピンバーが乱数と一致しない理由を説明できていない。 実測の足は連続した歩みではなく、値動きの大きさが時間帯で変わる。その効果を分離していない。
  4. 重複を除いていない。 24 時間先まで見ている。第6節と第7節の日次 t は膨らんでいる。
  5. ドリフトを分離していない。 第8節で USDJPY が五区分すべて正なのは、その期間の向きを含む。
  6. 合成乱数は独立な正規増分である。 ボラティリティの群れは入っていない。
  7. 四銘柄・三年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。

結び

ローソク足の形には名前と物語が付いている。「買い手が売り手を飲み込んだ」「下で買い支えられた」。

だが包み足の判定は、「今の始値が前の終値より内側か」で決まる。そしてその二つの差の中央は、スプレッドの 0.1111 倍しかない。 差がちょうど 0 になる割合は中央 1.3732%、USDJPY では 10.2127% に達する。

飲み込んだかどうかは、約定できる幅より一桁小さい量の符号で決まっている。

出現頻度は足種を変えるだけで中央 1.1745 倍動き、ピンバーは細かい足ほど多く、はらみ足は粗い足ほど多い。向きが形によって逆である以上、これは相場では説明できない。

そして合成乱数との比は形ごとに 0.4986 から 1.6656 まで系統的にずれ、16 セルのうち 0.8 から 1.25 に収まったのは 0 である。 包み足のずれは基準線の作り方で説明がつくが、はらみ足とピンバーのずれは説明できていない。

★ 本稿は「形は乱数と同じだけ出る」とは結論しない。結論できるのは、頻度が足の切り方と基準線の作り方の両方に強く依存する、ということである。

方向の情報は、日次 t の絶対値が 2 以上のセルが 16 のうち 2(偶然なら 0.7)で、足種を変えると D の中央は −1.4472 から +0.5823 pips まで符号ごと動く。「この形は効く」という主張は、足種を書かなければ意味を持たない。

データと再現

データ 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy
期間 2019–2024(六年)。評価 2022–2024
銘柄 USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD
足 五分足・一時間足・四時間足。中値・完成足のみ。ティックの無い足は作らない
形 包み足・はらみ足・ピンバー(2.0 倍と 0.5 倍)・十字線(10%)
検算 検算/F020.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F020_output.txt から取っている
図 図/F020_zu1・図/F020_zu2(png・svg・英語版)
乱数の種 0〜9 に固定。再実行しても同じ値が出る
土台の検査 _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt

参考文献

  • 山岸勇輝 (2026). チャートの型は、合成乱数にも同じ頻度で現れる [F016]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22891793

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「ローソク足の形は、足の切り方に属している」[F020]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22891997

YOI F020FX と金融ビットコインに記録済み

日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS

予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS

住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F020・DOI 10.5281/zenodo.22891997・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). ローソク足の形は、足の切り方に属している [F020]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F020 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22891997

Yamagishi, Y. (2026). Candlestick Shapes Belong to the Way the Bars Were Cut [F020]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F020; DOI: 10.5281/zenodo.22891997

@misc{yamagishi2026yoiF020,
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