【M024】がんで亡くなる人は増え、年齢調整の率は下がった

要旨

本稿が問うのは、がんで亡くなる人の数が増えたのに年齢調整死亡率が下がったとき、その開きが部位ごとにどう違うか、である。人口動態統計の部位別の死亡数(第5.24表)・年齢別の死亡率(第5.25表)・年齢調整死亡率(第5.26表)で、1995 年と 2024 年を比べた。M001 が死亡全体で示した分け方を、がんの部位ごとに当てる。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、がんで亡くなる人は、男性 159,623 人から 221,786 人(1.389 倍)、女性 103,399 人から 162,325 人(1.570 倍)に増えた。同じあいだに年齢調整死亡率(人口 10 万対・平成27年モデル人口)は、男性 537.7 から 372.6(0.693 倍)、女性 244.6 から 193.0(0.789 倍)に下がった。人口は男性 0.959 倍・女性 0.975 倍である。数の倍率は、人口の倍率 × 年齢調整死亡率の倍率 × 年齢構成の押し上げ(男性 2.090 倍・女性 2.040 倍)にちょうど分かれる(第4節)。

第二に、数の増減を三つに分けると、男性の +62,162 人は、人口の大きさ −7,937・年齢構成 +151,265・年齢別の率 −81,166 になる。女性の +58,920 人は −3,366・+93,354・−31,069 である。年齢構成の効果は、数の増えた分の 2.433 倍(男性)・1.584 倍(女性)ある(第4節)。

第三に、これが本稿の芯である。部位 × 性の 36 組は、数も率も下がった 6 組(胃・肝臓・喉頭の男女)、数は増え率は下がった 21 組、数も率も上がった 9 組(膵臓・乳房・悪性リンパ腫など)に分かれ、数が減り率が上がった組は無い。年齢調整死亡率が両方の年で 5 以上の 24 組で、年齢構成の押し上げは、乳房の 1.433 倍から前立腺の 2.918 倍まで違う(中央値 2.128 倍)。 前立腺は年齢調整死亡率が 0.904 倍に下がったのに、数は 2.532 倍になった(第5節)。

第四に、年齢別の率がある 16 組で数の増減を分けると、年齢別の率が数を押し上げる向きに効いたのは膵臓(男女)と乳房だけである。数が減ったのは胃と肝臓の男女だけで、どれも年齢別の率の効果が年齢構成の効果より大きかった(第6節)。

第五に、押し上げの大きさは、その部位の死亡が高い年齢に寄っているほど大きい。 16 組で、1995 年の死亡のうち 75 歳以上の割合との順位相関は +0.744、40〜84 歳で年齢とともに率が上がる傾きとの順位相関は +0.715 である。押し上げが最も小さい乳房は、75 歳以上の割合(0.161)も傾き(倍になる年数 59.7 年)も 16 組で最も小さい(第6節)。

第六に、分けているのは、年齢構成と年齢別の率、そして部位の年齢の形である。同じ人口の高齢化でも、数を押し上げる大きさは部位によって違う。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。年齢調整死亡率も、死亡の数の差を年齢構成と年齢別の率に分ける方法(北川の分け方)も既知のことである。本稿は公表の表から数と率の倍率を並べ、分け方を部位ごとに当てて、その違いの大きさと向きを測るだけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 一人の見通しではない。どの数も全国の集計である。年齢別の率が動いた理由(予防・診断・治療・危険因子の変化など)には立ち入らない。 「年齢構成の押し上げ」は、平成27年モデル人口で年齢調整した率に対する粗死亡率の開きとして測ったもので、基準人口を替えれば値は少し動く(M001 は死亡全体でその動きを測った)。地域・施設を比べない。 死亡数が 10 未満の升目は本文に出さない(本稿が示す升目では 0 個)。データについて:e-Stat の人口動態統計は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の倍率・人口・三つへの分け方は加工して作成した。出典:厚生労働省「人口動態統計」。加えたのは、がんの 36 組を数の倍率と年齢調整死亡率の倍率の向きで分けたこと、年齢構成の押し上げが部位で 1.433 倍から 2.918 倍まで違うことを示したこと、年齢別の率がある 16 組で数の増減を三つに分け、押し上げの大きさが部位の年齢の形と並ぶことを示したこと、年齢別の率から数と年齢調整死亡率を作り直して表と一致することを確かめたことである。

1. 記法と問い

  • 粗死亡率:その部位の死亡数 ÷ 人口 × 10 万。
  • 年齢調整死亡率:年齢別の率を、決まった基準人口(平成27年モデル人口)の年齢構成で重みづけた平均(第5.26表の値)。
  • 年齢構成の押し上げ:粗死亡率の倍率 ÷ 年齢調整死亡率の倍率。人口の年齢構成が動いたことで、粗死亡率が年齢調整死亡率よりどれだけ多く動いたかを表す。
  • 恒等式:数の倍率 = 人口の倍率 × 年齢調整死亡率の倍率 × 年齢構成の押し上げ。
  • 三つへの分け方:死亡数 = 人口 × Σ(年齢構成 × 年齢別の率)の差を、人口の大きさ・年齢構成・年齢別の率に、二つの年の平均を重みにして分ける(三つの和はちょうど差になる)。

問い:がんで亡くなる人が増え、年齢調整死亡率が下がったとき、その開きは部位ごとにどう違うか。違いは何と並ぶか。

観察 1.1:M001 は、死亡全体について「死亡率が上がった」が年齢構成の動きと年齢別の率の動きを一語で呼んでいることを示した。がんでも同じ形が起きているが、部位ごとに年齢の形が違うので、同じ高齢化でも押し上げの大きさが違うはずである。本稿はそれを数える。

2. 下見と設計

正直に書く:本稿の設計は、表を見たあとに決めた。

中身
数と率 第5.24表:部位(死因簡単分類)× 性 × 年次の死亡数と死亡率。第5.26表:同じ部位の年齢調整死亡率(平成27年モデル人口)
年齢別の率 第5.25表:胃・直腸・肝・膵・肺・白血病・大腸(男女)と乳房・子宮(女)の 5 歳階級別の死亡率。前立腺・膀胱などは無い
年齢別の人口 第5.15表の「総数」の死亡数 ÷ 死亡率 × 10 万(M019 と同じ)
比べる年 1995 年と 2024 年。1994 年以前の子宮は胎盤を含む(表の注)ので、定義のそろう 1995 年から
年齢の区分 0-4 歳から 85-89 歳と 90 歳以上の 19 区分。1995 年の 90-94 歳の率は 90 歳以上の数値(表の注)

3. データと、その確かめ

計算 3.1 取得したファイル 5 本を SHA-256 で固定し、次のことを確かめた。

  • 第5.24表の注に、1994 年以前の子宮は胎盤を含むとある(比べる年を 1995 年からにする理由)。第5.26表の注に、基準人口は 2015 年(平成27年)モデル人口とある。
  • 第5.24表:男+女=総数(1995・2024 年・部位すべて)、結腸+直腸=大腸。
  • 人口(死亡数 ÷ 死亡率 × 10 万)は、同じ性のどの部位から出しても、率の丸めで説明できる幅の中で一致する(男女・1995・2024 年とも)。
  • 第5.15表の悪性新生物の死亡数 = 第5.24表(男女・1995・2024 年)。
  • 第5.25表の年齢別の率 × 年齢別の人口 の和は、第5.24表の死亡数と、率の丸めと年齢不詳の数の幅の中で一致する(16 組 × 2 年の 32 個すべて)。
  • 第5.25表と平成27年モデル人口から作り直した 2024 年の年齢調整死亡率は、第5.26表と差 0.060 以内で一致する(16 組・二つの表の丸めの幅 0.1 の中)。
  • 数の倍率 = 人口の倍率 × 年齢調整死亡率の倍率 × 年齢構成の押し上げ は、40 組で計算の誤差(4.0e-16)の範囲で成り立つ。

観察 3.2:1995 年の 90 歳以上を取り違えると、作り直した数が表より少なく出る。1995 年の 90-94 歳の「率」は 90 歳以上の数値だが、「死亡数」は 90-94・95-99・100 歳以上の行に分かれている。90 歳以上の人口は、三つの死亡数の和を 90 歳以上の率で割って出した。最初は 90-94 歳の死亡数だけで割っており、その読み方を対照として走らせると、32 個のうち 12 個が表と合わない(検査がこの取り違えを捕まえることの確かめにもなる)。

4. がん全体

計算 4.1 がん全体(1995 → 2024)

男性 女性
死亡数 159,623 → 221,786(1.389 倍) 103,399 → 162,325(1.570 倍)
年齢調整死亡率(人口 10 万対) 537.7 → 372.6(0.693 倍) 244.6 → 193.0(0.789 倍)
人口(千人) 60,925 → 58,457(0.959 倍) 63,396 → 61,838(0.975 倍)
年齢構成の押し上げ 2.090 倍 2.040 倍

計算 4.2 数の増減を三つに分ける(年齢別の率から作り直した数・人)

部位・性 1995 2024 差 人口の大きさ 年齢構成 年齢別の率
がん全体・男 159,617 221,779 +62,162 −7,937 +151,265 −81,166
がん全体・女 103,404 162,324 +58,920 −3,366 +93,354 −31,069
胃・女 18,060 13,147 −4,914 −393 +13,585 −18,105
直腸・女 4,098 6,129 +2,031 −129 +3,535 −1,374
肝臓・女 8,932 7,321 −1,610 −205 +6,132 −7,537
膵臓・女 7,052 20,867 +13,815 −355 +9,515 +4,655
肺・女 12,348 23,238 +10,890 −451 +13,120 −1,779
乳房・女 7,762 15,864 +8,103 −300 +4,309 +4,094
子宮・女 4,863 7,116 +2,253 −152 +3,167 −762
白血病・女 2,485 3,899 +1,414 −81 +1,671 −176
大腸・女 13,955 25,588 +11,633 −501 +14,840 −2,706
胃・男 32,013 24,720 −7,293 −1,173 +25,618 −31,738
直腸・男 6,893 9,993 +3,100 −352 +5,760 −2,308
肝臓・男 22,772 15,136 −7,637 −783 +12,221 −19,074
膵臓・男 8,968 20,371 +11,403 −613 +10,146 +1,870
肺・男 33,387 52,327 +18,939 −1,786 +35,690 −14,965
白血病・男 3,651 6,086 +2,436 −203 +2,911 −272
大腸・男 17,314 28,819 +11,505 −962 +17,315 −4,848

観察 4.3:がんで亡くなる人が増えたのは、年齢別の率が上がったからではない。男女とも、年齢別の率の効果は負(男性 −81,166 人・女性 −31,069 人)で、人口の大きさの効果も負である。増えた分より大きな年齢構成の効果(男性 +151,265 人・女性 +93,354 人)が、二つの負を上回った。 年齢構成の効果は、数の増えた分の 2.433 倍(男性)・1.584 倍(女性)である。

5. 芯、部位ごとの、数の倍率と率の倍率

計算 5.1 部位 × 性の 40 組(がん全体と大腸を含む)の、死亡数と年齢調整死亡率の倍率(1995 → 2024)。年齢構成の押し上げの小さい順。

部位・性 死亡数 1995 2024 倍 年齢調整 1995 2024 倍 押し上げ
中枢神経系・男 906 1,784 1.969 2.0 3.0 1.500 1.368
中枢神経系・女 668 1,467 2.196 1.3 2.1 1.615 1.394
乳房・女 7,763 15,869 2.044 14.7 21.5 1.463 1.433
卵巣・女 3,892 5,116 1.314 7.9 7.2 0.911 1.479
子宮・女 4,865 7,116 1.463 10.9 9.9 0.908 1.651
白血病・女 2,484 3,895 1.568 5.1 4.8 0.941 1.708
肝臓・男 22,773 15,133 0.665 63.2 25.4 0.402 1.723
白血病・男 3,645 6,077 1.667 10.1 10.1 1.000 1.738
口唇・口腔・咽頭・男 2,980 6,085 2.042 8.7 10.2 1.172 1.815
食道・男 7,253 8,572 1.182 21.6 14.3 0.662 1.861
喉頭・女 87 80 0.920 0.2 0.1 0.500 1.885
悪性リンパ腫・男 3,735 7,839 2.099 11.8 13.2 1.119 1.955
直腸・男 6,892 9,995 1.450 21.9 16.8 0.767 1.970
直腸・女 4,096 6,124 1.495 9.7 7.5 0.773 1.982
がん全体・女 103,399 162,325 1.570 244.6 193.0 0.789 2.040
膵臓・男 8,965 20,371 2.272 29.3 34.0 1.160 2.041
食道・女 1,385 2,066 1.492 3.5 2.6 0.743 2.059
がん全体・男 159,623 221,786 1.389 537.7 372.6 0.693 2.090
その他のリンパ・造血・男 1,565 2,253 1.440 5.3 3.8 0.717 2.093
大腸・男 17,312 28,826 1.665 59.1 48.7 0.824 2.106
膵臓・女 7,054 20,864 2.958 17.4 24.9 1.431 2.119
悪性リンパ腫・女 2,607 6,325 2.426 6.1 7.1 1.164 2.137
胃・男 32,015 24,720 0.772 110.6 41.5 0.375 2.145
肺・女 12,356 23,236 1.881 30.0 26.8 0.893 2.158
大腸・女 13,962 25,590 1.833 34.1 29.4 0.862 2.179
結腸・男 10,420 18,831 1.807 37.2 31.9 0.858 2.196
肝臓・女 8,934 7,332 0.821 21.2 8.1 0.382 2.202
胃・女 18,061 13,147 0.728 43.7 14.8 0.339 2.203
口唇・口腔・咽頭・女 1,119 2,495 2.230 2.7 2.8 1.037 2.204
その他のリンパ・造血・女 1,443 2,042 1.415 3.5 2.3 0.657 2.208
肺・男 33,389 52,333 1.567 117.5 86.9 0.740 2.209
皮膚・男 451 974 2.160 1.7 1.7 1.000 2.251
結腸・女 9,866 19,466 1.973 24.4 21.9 0.898 2.254
胆のう・胆道・男 6,189 9,205 1.487 23.5 15.5 0.660 2.350
喉頭・男 872 676 0.775 3.2 1.1 0.344 2.350
胆のう・胆道・女 7,557 8,027 1.062 19.3 8.6 0.446 2.444
皮膚・女 418 920 2.201 1.1 1.0 0.909 2.482
膀胱・男 2,700 6,583 2.438 12.1 11.4 0.942 2.697
膀胱・女 1,231 3,142 2.552 3.5 3.3 0.943 2.775
前立腺・男 5,399 13,670 2.532 26.1 23.6 0.904 2.918

観察 5.2:がん全体と大腸(結腸と直腸を束ねた行)を除く 36 組は、三つに分かれる。 数も率も下がったのは 6 組(胃・肝臓・喉頭の男女)。数は増え、年齢調整死亡率は下がったのは 21 組(肺・結腸・直腸・前立腺・膀胱など)。数も率も上がったのは 9 組(膵臓・悪性リンパ腫・口唇・口腔・咽頭・中枢神経系の男女と乳房)。数が減り率が上がった組は無い。

観察 5.3:年齢構成の押し上げは部位で違う。 年齢調整死亡率が両方の年で 5 以上の 24 組(率の丸めによる倍率のずれが 1 % 以内)で、最小は乳房の 1.433 倍、最大は前立腺の 2.918 倍、中央値は 2.128 倍である。前立腺は年齢調整死亡率が 0.904 倍に下がったのに、数は 2.532 倍になった。膀胱(男性)も 0.942 倍の率で数は 2.438 倍である。卵巣(1.479 倍)・子宮(1.651 倍)は押し上げが小さい。

観察 5.4:年齢調整死亡率が小さい 12 組(中枢神経系・喉頭・皮膚など)は、小数第 1 位の丸めで倍率が大きく揺れるので、押し上げの順位には入れない。たとえば喉頭・女性の年齢調整死亡率は 0.2 → 0.1 で、倍率 0.500 は丸めの影響を強く受けている。

図1 年齢構成の押し上げ

図1:年齢調整死亡率が両方の年で 5 以上の 24 組とがん全体の、年齢構成の押し上げ(粗死亡率の倍率 ÷ 年齢調整死亡率の倍率)。橙は数も率も下がった組、灰は数は増え率は下がった組、青は数も率も上がった組、黒はがん全体。

6. 押し上げの大きさと、部位の年齢の形

計算 6.1 年齢別の率がある 16 組の、数の増減の三つへの分け方(1995 → 2024・人)は計算 4.2 の表の 3 行目以下である。そのうち、年齢別の率の効果が正なのは膵臓(男性 +1,870 人・女性 +4,655 人)と乳房(+4,094 人)だけである。数が減ったのは胃と肝臓の男女で、どれも年齢別の率の効果(胃・男性 −31,738 人など)が年齢構成の効果(同 +25,618 人)より大きい。

計算 6.2 部位の年齢の形と押し上げ(16 組)。75 歳以上は 1995 年の死亡のうち 75 歳以上の割合。傾きは 1995 年の 40〜84 歳の ln(率)を年齢に直線で当てはめた傾き(1 年あたり)、倍になる年数は ln2 ÷ 傾き。右端は年齢構成の効果 ÷ 1995 年の数。

部位・性 75 歳以上 傾き 倍になる年数 押し上げ 年齢構成の効果 ÷ 1995 年の数
胃・女 0.485 0.0734 9.4 2.203 +0.752
直腸・女 0.436 0.0704 9.8 1.982 +0.863
肝臓・女 0.412 0.1148 6.0 2.202 +0.687
膵臓・女 0.512 0.1048 6.6 2.119 +1.349
肺・女 0.503 0.0893 7.8 2.158 +1.063
乳房・女 0.161 0.0116 59.7 1.433 +0.555
子宮・女 0.358 0.0540 12.8 1.651 +0.651
白血病・女 0.289 0.0493 14.0 1.708 +0.673
大腸・女 0.483 0.0808 8.6 2.179 +1.063
胃・男 0.369 0.0961 7.2 2.145 +0.800
直腸・男 0.291 0.0857 8.1 1.970 +0.836
肝臓・男 0.195 0.0813 8.5 1.723 +0.537
膵臓・男 0.332 0.0947 7.3 2.041 +1.131
肺・男 0.398 0.1161 6.0 2.209 +1.069
白血病・男 0.230 0.0607 11.4 1.738 +0.797
大腸・男 0.344 0.0944 7.3 2.106 +1.000

観察 6.3:押し上げの大きさは、その部位の死亡が高い年齢に寄っているほど大きい。 16 組で、押し上げと 75 歳以上の割合の順位相関は +0.744、押し上げと傾きの順位相関は +0.715 である。押し上げが最も小さい乳房(1.433 倍)は、75 歳以上の割合(0.161)も傾き(0.0116・倍になる年数 59.7 年)も 16 組で最も小さい。年齢構成の押し上げは、年齢別の率を人口の年齢構成で重みづけるときの重みの動きなので、高い年齢に死亡が寄る部位ほど大きく出る。M019 は、年齢とともに死亡率が倍になる速さが死因で違うことを示した。本稿の傾きは、その速さのがんの部位の版である。

観察 6.4:年齢の形を一つの数で測ると、並びは測り方で少し変わる。肝臓・男性は、傾き(0.0813)が 16 組の小さいほうから 8 番目なのに、75 歳以上の割合(0.195)は 2 番目に小さく、押し上げは 1.723 倍と小さい。

図2 部位の年齢の形と押し上げ

図2:年齢別の率がある 16 組の、1995 年の死亡のうち 75 歳以上の割合(横)と年齢構成の押し上げ(縦)。紺が男性、橙が女性。

7. 限界

  1. 年齢別の率が動いた理由には立ち入らない。
  2. 年齢構成の押し上げは基準人口に依る。 平成27年モデル人口で測った。
  3. 年齢別の率は 9 部位(16 組)だけにある。前立腺・膀胱などの押し上げの大きさは測ったが、年齢の形とは並べていない。
  4. 二つの年だけを比べた。 1995 年と 2024 年のあいだの動き方は見ていない。
  5. 年齢調整死亡率が小さい組は、順位に入れていない(丸めの影響)。
  6. 一人の見通しではない。 地域・施設を比べない。

結び

1995 年から 2024 年に、がんで亡くなる人は男性 1.389 倍・女性 1.570 倍に増え、年齢調整死亡率は 0.693 倍・0.789 倍に下がった。数が増えたのは、年齢別の率の低下と人口の減少を、年齢構成の効果が上回ったからである。部位で見ると、年齢別の率が数を押し上げる向きに効いたのは膵臓と乳房だけで、年齢構成の押し上げは乳房の 1.433 倍から前立腺の 2.918 倍まで違い、その大きさは部位の死亡が高い年齢に寄っているほど大きかった。

分けるものは三つ、年齢構成と年齢別の率、そして部位の年齢の形、である。

がんで亡くなる人の数を読むときは、年齢調整の率がどちらを向いたか、そしてその部位が高い年齢にどれだけ寄っているかを、一緒に思い出す。

データと再現

データ 厚生労働省『人口動態統計』令和6年(確定数)上巻 第5.24表・第5.25表・第5.26表・第5.15表・付録第6表(e-Stat・2026 年 9 月 26 日に利用)
利用条件 e-Stat のコンテンツは政府標準利用規約(第2.0版)に準拠。本稿の倍率・人口・三つへの分け方は、これらを加工して作成したもので、国が作成した数ではない
範囲 日本・1995 年と 2024 年
検算 検算/M024.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/M024_output.txt から取っている
生データ data/ に取得したファイル 5 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・表の注の写し・言葉と計算の置き方)
図 図/M024_zu1・図/M024_zu2(png・svg・英語版)

参考文献

  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.24表・第5.25表・第5.26表・第5.15表・付録第6表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 「死亡率が上がった」は、年齢構成の動きと年齢別の率の動きを一語で呼んでいる [M001]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22963112
  • 山岸勇輝 (2026). 男性の死亡率が年齢とともに倍になる 6.99 年は、4.80 年の肺炎から 14.52 年の肝疾患までの混ぜ合わせである [M019]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22967853

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「がんで亡くなる人は増え、年齢調整の率は下がった」[M024]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22968432

YOI M024医療統計ビットコインに記録済み

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M024・DOI 10.5281/zenodo.22968432・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). がんで亡くなる人は増え、年齢調整の率は下がった [M024]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M024 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22968432

Yamagishi, Y. (2026). Cancer Deaths Rose While the Age-Adjusted Rate Fell [M024]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M024; DOI: 10.5281/zenodo.22968432

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Cancer Deaths Rose While the Age-Adjusted Rate Fell},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M024},
  doi = {10.5281/zenodo.22968432},
  note = {Preprint}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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