要旨
本稿が問うのは、全国がん登録が公表する「死亡/罹患比(MI 比)」(その年にがんで亡くなった人の数 ÷ その年にがんと診断された人の数)が、何を表し、何を表さないか、である。2023 年の MI 比を、同じ部位の 5 年相対生存率(2018 年診断)、期間法の 5 年と 10 年の生存率、登録の精度の指標と並べた。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。
第一に、全国がん登録の表 8-A の MI 比は、人口動態統計の 2023 年の死亡数 ÷ 全国がん登録の 2023 年の罹患数で、脳・中枢神経系と悪性リンパ腫を除く 19 部位 × 性の 54 組とも差 0.00039 以内で作り直せる。MI 比は、二つの別の統計の同じ年の数を割った比である(第3節)。
第二に、2023 年の MI 比(男女計)は、皮膚の 0.068 から膵臓の 0.845 まで開く。全部位では 0.385 である(第4節)。
第三に、これが本稿の芯である。MI 比を「1 − 5 年相対生存率」(2018 年診断)で割ると、19 部位のうち 10 部位が 0.9〜1.1 に入る(膵臓 0.97・肺 1.01・口腔・咽頭 1.00 など)。いちばん外れるのは前立腺の 3.07 と乳房の 1.48 で、下に外れるのは食道の 0.81 である。 MI 比は同じ人たちの割合ではないので、1 − 5 年生存率とそろう部位もあれば、そろわない部位もある(第5節)。
第四に、期間法の生存率で「5 年から 10 年のあいだに死亡がどれだけ伸びるか」を測ると、伸びがいちばん大きい 2 組(前立腺 1.746 倍・乳房 1.669 倍)は、MI 比が 1 − 5 年生存率をいちばん上回る 2 組でもある。 ただし 31 組全体の順位相関は 0.254 と弱く、白血病のように伸びが小さいのに上回る部位もある(第6節)。
第五に、MI 比が高い部位ほど、死亡情報だけで登録された割合(DCO)も高い(部位 × 性の 35 組で順位相関 0.794)。病理学的裏付けのある割合(MV)は肝臓で 38.1 % と、ただ一つ半分に満たない(第7節)。
第六に、分けているのは、同じ年の二つの数か、同じ人たちの割合かである。MI 比は「診断された人のうち亡くなる割合」ではない。
本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。MI 比は全国がん登録が精度指標の一つとして公表している数で、その定義も既知である。本稿は公表の数を並べ、1 − 5 年生存率との比、5 年より後の死亡の伸び、登録の精度の指標との並び方を測るだけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 一人の見通しではない。どの数も集団の集計で、とくに膵臓の数は、診断された一人ひとりの見通しではない。診断から年数を生きた人のその先の生存率は、年数とともに書き換わる(M006)。「5 年生存率」にも別の数がある(M007)。MI 比と 1 − 5 年生存率の差の理由を一つに決めない。5 年より後の死亡、罹患の数の年ごとの動き、登録のしかたが重なっており、本稿は分けていない。地域・施設を比べない。 データについて:e-Stat の全国がん登録と人口動態統計は政府標準利用規約(第2.0版)に従って使い、本稿の比・順位相関は加工して作成した。生存率は出典として「国立がん研究センターがん情報サービス」と明記し、集計表の値は改変せずに載せ、本稿の計算と分けて示す。加えたのは、公表の MI 比を別の二つの統計から作り直して一致を確かめたこと、MI 比と 1 − 5 年生存率の比を 19 部位で並べ、そろう部位と外れる部位を示したこと、外れの大きい 2 組が期間法の 5→10 年の死亡の伸びの大きい 2 組と一致することと、全体では弱いことを両方示したこと、MI 比と登録の精度の指標の並び方を測ったことである。
1. 記法と問い
- MI 比:その年の死亡数 ÷ その年の罹患数(全国がん登録の表 8-A「死亡/罹患比」)。
- 1 − 5 年生存率:1 − 5 年相対生存率 ÷ 100(全国がん登録・2018 年に診断された人たち)。
- 5→10 年の伸び:(1 − 10 年相対生存率)÷(1 − 5 年相対生存率)。期間法(2002〜2006 年の追跡・6 府県・15-99 歳)の値で作る。5 年から 10 年のあいだに、がんによる死亡の分がどれだけ増えるかの目安。
- DCO:死亡情報だけで登録された症例の割合(%)。MV:病理学的裏付けのある症例の割合(%)。どちらも表 8-A の値。
問い:MI 比は何を表し、何を表さないか。
観察 1.1:MI 比の分子(その年に亡くなった人)の多くは、その年より前に診断された人である。分母(その年に診断された人)は、その年に新しく登録された人である。二つは同じ人たちではない。 それでも、毎年の罹患の数が動かず、亡くなる人がみな診断から 5 年以内に亡くなるなら、MI 比は 1 − 5 年生存率に近づくはずである。本稿は、実際にどれだけ近いかを部位ごとに測る。
2. 下見と設計
正直に書く:本稿の設計は、表を見たあとに決めた。
| 中身 | |
|---|---|
| MI 比・DCO・MV | 全国がん登録 2023 年 表 8-A(精度指標:部位別、性別) |
| 作り直し | 人口動態統計 令和6年 上巻 第5.24表の 2023 年の死亡数 ÷ 全国がん登録 2023 年 表 1-A の罹患数 |
| 5 年生存率 | 全国がん登録の 5 年相対生存率(2018 年診断例・がん情報サービスの集計表) |
| 5→10 年の伸び | 地域がん登録の 10 年相対生存率とサバイバー 5 年相対生存率(2002〜2006 年追跡・期間法・15-99 歳) |
| 見込みと、測ったこと | 下見の前は「1 − 5 年生存率から外れるのは、5 年より後に亡くなる人が多い部位」と見込んでいた。いちばん外れる 2 組はそのとおりだったが、全体の並びは弱く、そのまま書いた(第6節) |
3. データと、その確かめ
計算 3.1 取得したファイル 5 本を SHA-256 で固定し、次のことを確かめた。
- 表 1-A:総数は男+女と一致するか、総数だけに入る人の分だけ多い(0〜4 人。全部位 4・口腔・咽頭 1・大腸 1・結腸 1・肺 1・白血病 1)。
- 表 8-A の中で:男女の MI 比から戻した死亡数の和 ÷ 総数の罹患数 = 総数の MI 比(差 1e-9 未満)。
- がん情報サービスの二つの集計表は、出典として、5 年生存率には 2009-2011 年生存率報告(Center for Cancer Control and Information Services, 2020)を、期間法の値には Ito ほか(2014)を挙げている。
計算 3.2 表 8-A の MI 比を、第5.24表の 2023 年の死亡数 ÷ 表 1-A の罹患数で作り直す(男女計)
| 部位 | 死亡数 | 罹患数 | 作り直した比 | 表 8-A | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全部位 | 382,504 | 993,469 | 0.3850 | 0.3849 | +0.00009 |
| 口腔・咽頭 | 8,587 | 23,771 | 0.3612 | 0.3612 | +0.00004 |
| 食道 | 10,750 | 25,889 | 0.4152 | 0.4151 | +0.00015 |
| 胃 | 38,771 | 104,864 | 0.3697 | 0.3697 | +0.00006 |
| 大腸 | 53,131 | 154,039 | 0.3449 | 0.3448 | +0.00008 |
| 結腸 | 37,394 | 102,436 | 0.3650 | 0.3650 | +0.00007 |
| 直腸 | 15,737 | 51,603 | 0.3050 | 0.3048 | +0.00012 |
| 肝臓 | 22,908 | 32,673 | 0.7011 | 0.7009 | +0.00024 |
| 胆のう・胆管 | 17,239 | 20,926 | 0.8238 | 0.8238 | +0.00005 |
| 膵臓 | 40,175 | 47,540 | 0.8451 | 0.8450 | +0.00006 |
| 喉頭 | 791 | 4,648 | 0.1702 | 0.1700 | +0.00022 |
| 肺 | 75,762 | 123,989 | 0.6110 | 0.6109 | +0.00011 |
| 皮膚 | 1,861 | 27,353 | 0.0680 | 0.0680 | +0.00004 |
| 乳房 | 15,763 | 103,424 | 0.1524 | 0.1524 | +0.00004 |
| 子宮 | 7,137 | 30,738 | 0.2322 | 0.2321 | +0.00007 |
| 卵巣 | 5,154 | 12,926 | 0.3987 | 0.3987 | +0.00008 |
| 前立腺 | 13,429 | 102,094 | 0.1315 | 0.1315 | +0.00006 |
| 膀胱 | 9,591 | 23,970 | 0.4001 | 0.4000 | +0.00008 |
| 脳・中枢神経系 | 3,178 | 5,777 | 0.5501 | 0.5449 | +0.00519 |
| 悪性リンパ腫 | 14,434 | 37,601 | 0.3839 | 0.3775 | +0.00636 |
| 白血病 | 9,869 | 15,165 | 0.6508 | 0.6507 | +0.00007 |
観察 3.3:脳・中枢神経系と悪性リンパ腫を除く 19 部位 × 性の 54 組で、差は 0.00039 以内である。 表 8-A の MI 比は、人口動態統計の死亡数と全国がん登録の罹患数という二つの別の統計の、同じ年の数の比である。二つの部位では差が大きい(最大は悪性リンパ腫・男性の +0.00857)。部位の範囲がそろっていない可能性があるので、本稿はこの二つの突き合わせを外し、以下では表 8-A の MI 比を使う。
4. 部位ごとの MI 比
観察 4.1:2023 年の MI 比(男女計)は、19 部位で皮膚の 0.068 から膵臓の 0.845 まで開く。全部位は 0.385(男性 0.398・女性 0.368)である。部位ごとの値は計算 5.1 の表にある。
5. 芯、MI 比と、1 − 5 年生存率
計算 5.1 部位ごとの MI 比(2023 年)、5 年相対生存率(2018 年診断)、MI 比 ÷(1 − 5 年生存率)、DCO・MV(男女計)。比の小さい順。
| 部位 | MI 比 | 5 年相対生存率(%) | 1 − 5 年 | MI 比 ÷(1 − 5 年) | DCO(%) | MV(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 食道 | 0.415 | 48.8 | 0.512 | 0.81 | 0.95 | 96.2 |
| 脳・中枢神経系 | 0.545 | 37.8 | 0.622 | 0.88 | 1.78 | 71.9 |
| 喉頭 | 0.170 | 81.6 | 0.184 | 0.93 | 0.73 | 95.8 |
| 膵臓 | 0.845 | 13.2 | 0.868 | 0.97 | 3.78 | 64.7 |
| 卵巣 | 0.399 | 59.9 | 0.401 | 0.99 | 1.92 | 91.4 |
| 口腔・咽頭 | 0.361 | 63.9 | 0.361 | 1.00 | 1.28 | 95.1 |
| 肺 | 0.611 | 39.3 | 0.607 | 1.01 | 3.42 | 77.1 |
| 子宮 | 0.232 | 77.4 | 0.226 | 1.03 | 0.95 | 96.6 |
| 直腸 | 0.305 | 70.6 | 0.294 | 1.04 | 1.15 | 95.4 |
| 肝臓 | 0.701 | 35.2 | 0.648 | 1.08 | 4.64 | 38.1 |
| 胃 | 0.370 | 66.1 | 0.339 | 1.09 | 1.76 | 94.9 |
| 胆のう・胆管 | 0.824 | 24.8 | 0.752 | 1.10 | 4.36 | 69.6 |
| 皮膚 | 0.068 | 94.0 | 0.060 | 1.14 | 0.37 | 98.3 |
| 悪性リンパ腫 | 0.378 | 67.5 | 0.325 | 1.16 | 1.91 | 93.4 |
| 結腸 | 0.365 | 69.5 | 0.305 | 1.20 | 2.13 | 91.1 |
| 膀胱 | 0.400 | 66.6 | 0.334 | 1.20 | 2.55 | 88.8 |
| 白血病 | 0.651 | 50.5 | 0.495 | 1.31 | 2.06 | 96.4 |
| 乳房 | 0.152 | 89.7 | 0.103 | 1.48 | 1.06 | 96.8 |
| 前立腺 | 0.131 | 95.7 | 0.043 | 3.07 | 1.03 | 90.4 |
観察 5.2:19 部位のうち 10 部位で、MI 比 ÷(1 − 5 年生存率)が 0.9〜1.1 に入る。 膵臓 0.97(MI 比 0.845・1 − 5 年 0.868)、肺 1.01、口腔・咽頭 1.00、卵巣 0.99 などである。全部位では 1.09 である。
観察 5.3:いちばん外れるのは前立腺の 3.07 で、MI 比 0.131 は 1 − 5 年生存率 0.043 の 3 倍を超える。 乳房の 1.48、白血病の 1.31 がそれに続く。下に外れるのは食道の 0.81、脳・中枢神経系の 0.88 である。MI 比は「診断された人のうち亡くなる割合」ではないので、1 − 5 年生存率に近い部位でも、近いのは同じ量だからではない。

図1:横が 1 − 5 年相対生存率(2018 年診断)、縦が MI 比(2023 年)、破線は両者が等しい線。橙は MI 比 ÷(1 − 5 年)が 1.2 を超える部位、青は 0.9 未満の部位。点線の枠の中の 7 部位(胃・結腸・直腸・口腔・咽頭・膀胱・卵巣・悪性リンパ腫)は、値を計算 5.1 の表に載せた。
6. 5 年より後の死亡
計算 6.1 期間法の 5 年と 10 年の相対生存率(2002〜2006 年追跡・15-99 歳)、5→10 年の伸び、MI 比 ÷(1 − 5 年)。伸びの大きい順。
| 部位・性 | 期間の 5 年(%) | 10 年(%) | 5→10 年の伸び | MI 比 ÷(1 − 5 年) |
|---|---|---|---|---|
| 前立腺・男 | 87.4 | 78.0 | 1.746 | 3.072 |
| 乳房・女 | 87.6 | 79.3 | 1.669 | 1.475 |
| 皮膚・男 | 89.7 | 86.6 | 1.301 | 0.945 |
| 皮膚・女 | 92.6 | 90.4 | 1.297 | 1.417 |
| 膀胱・男 | 79.1 | 74.6 | 1.215 | 1.228 |
| 肝臓・男 | 25.3 | 9.6 | 1.210 | 1.074 |
| 肝臓・女 | 23.6 | 9.1 | 1.190 | 1.098 |
| 悪性リンパ腫・女 | 58.1 | 50.6 | 1.179 | 1.135 |
| 口腔・咽頭・男 | 49.7 | 41.4 | 1.165 | 0.969 |
| 口腔・咽頭・女 | 60.0 | 53.6 | 1.160 | 1.072 |
| 卵巣・女 | 51.3 | 43.9 | 1.152 | 0.994 |
| 直腸・男 | 65.5 | 60.8 | 1.136 | 1.023 |
| 悪性リンパ腫・男 | 49.6 | 43.1 | 1.129 | 1.184 |
| 食道・男 | 32.2 | 24.0 | 1.121 | 0.797 |
| 直腸・女 | 66.9 | 63.2 | 1.112 | 1.059 |
| 脳・中枢神経系・男 | 28.7 | 21.5 | 1.101 | 0.889 |
| 肺・女 | 37.0 | 31.2 | 1.092 | 1.047 |
| 膀胱・女 | 65.9 | 62.8 | 1.091 | 1.141 |
| 食道・女 | 37.6 | 32.4 | 1.083 | 0.870 |
| 白血病・女 | 26.5 | 20.5 | 1.082 | 1.252 |
| 結腸・女 | 65.3 | 62.8 | 1.072 | 1.196 |
| 結腸・男 | 70.9 | 68.9 | 1.069 | 1.199 |
| 白血病・男 | 25.5 | 20.5 | 1.067 | 1.357 |
| 脳・中枢神経系・女 | 29.0 | 24.4 | 1.065 | 0.856 |
| 肺・男 | 22.8 | 18.1 | 1.061 | 0.990 |
| 胃・男 | 63.3 | 61.3 | 1.054 | 1.097 |
| 胃・女 | 60.3 | 58.2 | 1.053 | 1.083 |
| 胆のう・胆管・男 | 21.5 | 18.5 | 1.038 | 1.111 |
| 胆のう・胆管・女 | 17.8 | 15.5 | 1.028 | 1.081 |
| 膵臓・男 | 5.9 | 4.6 | 1.014 | 0.967 |
| 膵臓・女 | 5.9 | 4.8 | 1.012 | 0.980 |
観察 6.2:5→10 年の伸びがいちばん大きい 2 組(前立腺・男性 1.746・乳房・女性 1.669)は、MI 比 ÷(1 − 5 年)がいちばん大きい 2 組(3.072・1.475)でもある。 5 年を過ぎてから亡くなる人が多い部位では、その年の死亡に、5 年より前に診断された人の死亡が入ってくる。
観察 6.3:ただし 31 組全体では、伸びと MI 比 ÷(1 − 5 年)の順位相関は 0.254 と弱い。 白血病は伸びが小さい(男性 1.067・女性 1.082)のに、MI 比 ÷(1 − 5 年)は 1.357・1.252 と大きい。期間法の値は 2002〜2006 年の 6 府県の数で、MI 比と 5 年生存率とは年も地域も違う。5 年より後の死亡だけでは外れ方を説明できない。
7. 登録の精度
観察 7.1:MI 比が高い部位ほど、死亡情報だけで登録された割合(DCO)も高い。 部位 × 性の 35 組で、MI 比と DCO の順位相関は 0.794、MI 比と MV の順位相関は −0.710 である。
観察 7.2:病理学的裏付けのある割合(MV)は、肝臓 38.1 %・膵臓 64.7 %・胆のう・胆管 69.6 %・脳・中枢神経系 71.9 % の順に低い。肝臓だけが半分に満たない。 本稿は、診断のしかたと登録のされ方の違いの中身には立ち入らない。
8. 限界
- MI 比と 1 − 5 年生存率の差の理由を一つに決めない。 5 年より後の死亡、罹患の数の年ごとの動き、登録のしかたが重なっている。
- 比べた数は年も地域も違う。 MI 比は 2023 年、5 年生存率は 2018 年診断、期間法の値は 2002〜2006 年の 6 府県である。
- 脳・中枢神経系と悪性リンパ腫は、作り直しの突き合わせから外した(部位の範囲がそろっていない可能性)。
- 一人の見通しではない。 地域・施設を比べない。
結び
2023 年の MI 比は、皮膚の 0.068 から膵臓の 0.845 まで開いた。それは同じ年の二つの数の比で、同じ人たちの割合ではない。1 − 5 年生存率と比べると、19 部位のうち 10 部位はそろい、前立腺(3.07)と乳房(1.48)は大きく外れた。その 2 組は、5 年を過ぎてからの死亡の伸びがいちばん大きい 2 組でもあった。
分けるものは一つ、同じ年の二つの数か、同じ人たちの割合か、である。
MI 比を読むときは、分子と分母が別の年に診断された別の人たちであることと、その部位で 5 年を過ぎてから亡くなる人がどれだけいるかを、一緒に思い出す。
データと再現
| データ | 全国がん登録 2023 年 表 1-A・表 8-A(e-Stat)、厚生労働省『人口動態統計』令和6年(確定数)上巻 第5.24表(e-Stat)、がん情報サービスの生存率の集計表 2 本(2026 年 9 月 26 日に利用) |
| 利用条件 | e-Stat は政府標準利用規約(第2.0版)。生存率は出典として「国立がん研究センターがん情報サービス」と明記して利用し、集計表の値は改変せずに載せた。本稿の比・順位相関は加工して作成した数で、国や集計した機関が作成した数ではない |
| 範囲 | 日本・2023 年(MI 比)、2018 年診断(5 年生存率)、2002〜2006 年追跡(期間法) |
| 検算 | 検算/M025.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/M025_output.txt から取っている |
| 生データ | data/ に取得したファイル 5 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256・利用条件・言葉と計算の置き方) |
| 図 | 図/M025_zu1(png・svg・英語版) |
参考文献
- Center for Cancer Control and Information Services, National Cancer Center (2020). Monitoring of Cancer Incidence in Japan – Survival 2009-2011 Report.
- Ito, Y., Miyashiro, I., Ito, H., Hosono, S., Chihara, D., Nakata-Yamada, K., et al. (2014). Long-term Survival and Conditional Survival of Cancer Patients in Japan Using Population-based Cancer Registry Data. Cancer Science. 10.1111/cas.12525
- 厚生労働省. 全国がん登録 全国がん登録罹患数・率 2023年 表 1-A・表 8-A. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
- 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.24表. e-Stat(2026年9月26日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
- 国立がん研究センターがん情報サービス. 全国がん登録によるがん生存率データ(2016年〜2018年診断例)5年相対生存率 cancer_survivalNCR(2016-2018).xlsx(2026年9月26日に利用). https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/excel/cancer_survivalNCR%282016-2018%29.xlsx
- 国立がん研究センターがん情報サービス. 地域がん登録に基づく 10 年相対生存率・サバイバー 5 年相対生存率(2002〜2006 年追跡・ピリオド法)cancer_survival_period(2002-2006).xls(2026年9月26日に利用). https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/excel/cancer_survival_period%282002-2006%29.xls
- 山岸勇輝 (2026). 一度聞いた「5 年生存率」は、生きた年数とともに書き換わる [M006]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22964113
- 山岸勇輝 (2026). 「5 年生存率」という一語は、三つの別の数を指している [M007]. Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.22964570
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「その年の死亡数 ÷ 罹患数(MI 比)は、同じ人たちの割合ではない」[M025]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22968532
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M025・DOI 10.5281/zenodo.22968532・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). その年の死亡数 ÷ 罹患数(MI 比)は、同じ人たちの割合ではない [M025]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M025 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22968532
Yamagishi, Y. (2026). The Year’s Deaths Divided by Its New Cases (the MI Ratio) Is Not a Share of the Same People [M025]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M025; DOI: 10.5281/zenodo.22968532
@misc{yamagishi2026yoiM025,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {The Year's Deaths Divided by Its New Cases (the MI Ratio) Is Not a Share of the Same People},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M025},
doi = {10.5281/zenodo.22968532},
note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
8b3f682f4432f37bcaabd29b3768c26e14e586408d6020a618d4256816e88dc5 yamagishi_M025_year_deaths_divided_new_cases_mi_ratio_20260926_jp.pdf1154f9e131497d34b0d4aaa4c1e8f193c3fa6159448176b618cd2a9770061e4d yamagishi_M025_year_deaths_divided_new_cases_mi_ratio_20260926_en.pdfPDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。