【論文889】フィルムの感度とざらつきは同じ粒の大きさの裏表で、径を二倍にすると感度は四倍、ざらつきは二倍

要旨

感度の高いフィルムは、よく光を拾う別の材料でできている、と思いやすい。本稿は、粒が光子を数えて現像される模型で、感度とざらつきが同じ粒の大きさから出ることを数える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、粒が大きいほど、少ない光で現像される。粒の半分が現像される光の量は、径 $1$ で $\mathbf{3.672061}$、径 $2$ で $0.918015$、径 $4$ で $0.229504$ である(第2節)。

第二に、径を $2$ 倍にすると、要る光はちょうど $4$ 分の $1$ で、感度は $2$ 段上がる。粒の面積が $4$ 倍になり、同じ光で受ける光子の数が $4$ 倍になるからで、比は差の割合 $10^{-9}$ 未満で $4$ だった(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。同じ径の $2$ 倍が、ざらつきも $2$ 倍にする。窓ごとの濃さのばらつきは径 $1$ で $0.008980$、径 $2$ で $0.017767$ で、比は $\mathbf{1.978537}$ である(第3節)。

第四に、ざらつきは、窓の中の粒の数で決まる。同じ窓に入る粒は径 $1$ で $800$ 個、径 $2$ で $200$ 個で、ばらつきの式 $0.008839$・$0.017678$・$0.035355$ と乱数の値が合う(第3節)。

第五に、立ち上がりの急さは、粒の大きさでは変わらない。$10$ % から $90$ % まで現像させる光の量の幅は、要る光子の数 $1$・$4$・$16$ で $1.339538$・$\mathbf{0.583089}$・$0.281522$ 桁で、粒の面積を $4$ 倍にしても同じだった(第4節)。

第六に、分離子は、粒の大きさを問うか、粒が現像されるのに要る光子の数を問うかである。粒の大きさは感度とざらつきを一緒に動かし、要る光子の数は立ち上がりの急さを動かす(第4節)。

キーワード:銀塩写真、感度、粒状性、ポアソン分布、光子の数。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。感光乳剤の粒が大きいほど感度が高く粒状性が粗いこと、粒が数個の光子で現像できる核を作ること、ポアソン分布による数え方は、いずれも写真化学で既知である。実在のフィルムを主張しない。粒の径、要る光子の数 $4$、覆う割合 $0.5$ は模型の値で、どのフィルムにも対応しない。化学を入れない。現像液の働き、増感色素、粒の形の違いは入れない。撮像素子に入らない。デジタルの画素の大きさと雑音は扱わない。既刊との関係:論文878 は、効き始めから効き切るまでの濃度の幅を決めるのは、効く濃度ではなく協同の度合いであることを示した。本稿はその隣に置く。あちらでは効く濃度が曲線の位置を、協同の度合いが幅を決めた。ここでは粒の大きさが曲線の位置(感度)を、要る光子の数が幅を決める。加えたのは、三つの径で半分が現像される光の量を出したこと、乱数で窓ごとのばらつきを数えて径 $2$ 倍で $1.978537$ 倍と測ったこと、要る光子の数ごとに立ち上がりの幅を測ったこと、分離子を「粒の大きさか、要る光子の数か」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:面積 $a$ の粒が、面あたり $H$ の光を受けると、受ける光子の数は平均 $Ha$ のポアソン分布になる。粒は光子を $k$ 個以上受けると現像される。

$$p(H)=P\bigl(\mathrm{Poisson}(Ha)\ge k\bigr),\qquad
\sigma_{\text{窓}}\approx\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\times\frac{n\,a}{S}$$

$k=4$、粒の面積は径の二乗とした。感度は粒の半分が現像される光の量 $H_{50}$ で、ざらつきは面積 $S=1600$ の窓(粒が面の半分を覆い、$n$ 個入る)の覆った割合の、窓ごとの標準偏差で測った。窓は乱数で $400$ 個作った。

問い:感度の高いフィルムは、なぜざらつくのか。

2. 粒の大きさと感度

計算 2.1:粒の径ごとに、半分が現像される光の量を出した。

粒の径 半分が現像される光の量 窓の中の粒の数
$1$ $3.672061$ $800$
$2$ $0.918015$ $200$
$4$ $0.229504$ $50$

観察 2.2 径を $2$ 倍にすると、要る光はちょうど $4$ 分の $1$ である。半分が現像される光の量の比は $4.000000$ で、$2.000000$ 段にあたる。粒の面積が $4$ 倍になり、同じ光でも受ける光子の数が $4$ 倍になるので、$4$ 分の $1$ の光で同じ数の光子が集まる。

3. 粒の大きさとざらつき

計算 3.1:乱数で窓を $400$ 個作り、覆った割合の平均とばらつきを数えた。

粒の径 覆った割合の平均 窓ごとのばらつき 式
$1$ $0.249855$ $0.008980$ $0.008839$
$2$ $0.248675$ $0.017767$ $0.017678$
$4$ $0.250200$ $0.034633$ $0.035355$

観察 3.2 これが本稿の芯である。同じ径の $2$ 倍が、ざらつきも $2$ 倍にする。窓ごとのばらつきは径 $1$ から $2$ で $1.978537$ 倍になった。同じ窓に入る粒は $800$ 個から $200$ 個に減り、一つ一つの粒が覆う面積は $4$ 倍になる。数が $4$ 分の $1$ になると、ばらつきは $\sqrt{4}=2$ 倍に効く。感度を $4$ 倍にした同じ変化が、ざらつきを $2$ 倍にする。

4. 立ち上がりの急さ

計算 4.1:要る光子の数 $k$ と粒の面積を変えて、$10$ % から $90$ % まで現像させる光の量の幅(桁)を出した。

要る光子の数 $k$ 粒の面積 $1$ 粒の面積 $4$
$1$ $1.339538$ $1.339538$
$4$ $0.583089$ $0.583089$
$16$ $0.281522$ $0.281522$

観察 4.2 立ち上がりの急さは、要る光子の数で決まり、粒の大きさでは変わらない。要る光子の数を $1$ から $16$ にすると、幅は $1.339538$ 桁から $0.281522$ 桁に狭くなる。粒の面積を $4$ 倍にしても幅は同じで、曲線が光の量の少ない側へずれるだけである。

観察 4.3 分離子は、粒の大きさを問うか、粒が現像されるのに要る光子の数を問うかである。粒の大きさは、感度とざらつきを一緒に動かす。要る光子の数は、曲線の立ち上がりの急さを動かし、ざらつきの式には入らない。感度を上げてざらつかせないには、粒の大きさ以外を動かすしかない。

観察 4.4 論文878 の隣に置く。878 は、効く濃度が曲線の位置を、協同の度合いが幅を決めることを示した。ここでは粒の大きさが位置を、要る光子の数が幅を決める。位置と幅が別々の量で動く、同じ形である。

5. 点呼と結び

  1. 光子 $k$ 個以上で現像(第1節):ポアソン分布。
  2. 径 $1$ で $\mathbf{3.672061}$(計算 2.1):半分が現像される光。
  3. 径 $2$ で $0.918015$(計算 2.1):ちょうど $4$ 分の $1$。
  4. 感度は $2$ 段(観察 2.2):面積が $4$ 倍。
  5. ばらつきは $\mathbf{1.978537}$ 倍(観察 3.2):本稿の芯。
  6. 窓の粒は $800$ 個から $200$ 個(計算 2.1):数が減る。
  7. 式のばらつき $0.008839$・$0.017678$(計算 3.1):乱数と合う。
  8. $k=4$ の幅 $\mathbf{0.583089}$ 桁(計算 4.1):面積に依らない。
  9. $k=16$ で $0.281522$ 桁(計算 4.1):急になる。
  10. 粒の大きさか、要る光子の数か(観察 4.3):分離子・論文878。

結び:フィルムの感度とざらつきは同じ粒の大きさの裏表で、粒の径を二倍にすると感度は四倍、ざらつきは二倍になる。粒が光子を $4$ 個以上受けて現像される模型で、径を $2$ 倍にすると半分が現像される光の量はちょうど $4$ 分の $1$ になり、窓ごとのばらつきは $1.978537$ 倍になる。粒の面積が $4$ 倍になると、光子は $4$ 倍集まるが、同じ窓に入る粒の数は $4$ 分の $1$ になるからである。立ち上がりの幅は要る光子の数 $1$・$4$・$16$ で $1.339538$・$0.583089$・$0.281522$ 桁になり、粒の大きさでは変わらない。粒の大きさは感度とざらつきを一緒に動かし、要る光子の数は急さを動かす。既刊との位置:論文878 の「位置は効く濃度、幅は協同の度合い」の隣に、位置は粒の大きさ、幅は要る光子の数、という同じ形を置いた。正直に言えば、粒と光子の数は模型の値で、現像の化学も粒の形も入れていない。

参考文献

  1. James, T. H. (Ed.). (1977). The Theory of the Photographic Process (4th ed.). Macmillan.
  2. 山岸勇輝 (2026). 『効き始めから効き切るまでの濃度の幅を決めるのは、効く濃度ではなく協同の度合いである』[論文878]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/878

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「フィルムの感度とざらつきは同じ粒の大きさの裏表で、径を二倍にすると感度は四倍、ざらつきは二倍」[論文889]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/889

YOI 889第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). フィルムの感度とざらつきは同じ粒の大きさの裏表で、径を二倍にすると感度は四倍、ざらつきは二倍 [論文889]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/889

Yamagishi, Y. (2026). Film Speed and Graininess Are Two Sides of Grain Size: Doubling the Diameter Makes Film Four Times Faster and Twice as Grainy [Paper 889]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/889

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {Film Speed and Graininess Are Two Sides of Grain Size: Doubling the Diameter Makes Film Four Times Faster and Twice as Grainy},
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