要旨
二つの投入を冪の積で組み合わせて作るとき、値段と投入の値段が決まっていれば、利益を最大にする投入量を問える。本稿は、冪の和が $0.5$・$0.8$・$0.9$・$0.95$ の四つの組で利益の最大を式と数値の探索で出し、売上に占める費用と利益、値段への感度を数え、冪の和が $1$ と $1.1$ の場合と比べる。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、冪の和が 1 より小さいと、利益を最大にする投入量が一つ在る。四つの組とも、式の最大と数値の探索の最大は相対 $10^{-6}$ 以内で一致した(第2節)。
第二に、そのとき、各投入の費用は売上のちょうど冪の割合で、利益は 1 − 冪の和である。冪 $0.3$・$0.6$ では費用が売上の $0.300000$ と $0.600000$、利益が $\mathbf{0.100000}$ だった。冪の和 $0.5$・$0.8$・$0.95$ では利益は $0.500000$・$0.200000$・$0.050000$ だった(第2節)。
第三に、冪の和が 1 に近いほど、最適な規模は値段に敏感になる。値段を $1$ パーセント上げると、生産は冪の和 $0.5$・$0.8$・$0.9$・$0.95$ で $1.000000$・$4.000000$・$9.000000$・$\mathbf{19.000000}$ パーセント増えた(第3節)。
第四に、冪の和がちょうど 1 では、いくらでも作るか、作らないかに分かれる。冪 $0.5$・$0.5$ で規模を $t$ 倍にすると、利益は値段 $2.5$ では $t$ あたり $+0.5$($t=1000$ で $500.000000$)、値段 $1.5$ では $t$ あたり $-0.5$ で、どちらも途中に最大が無かった(第4節)。
第五に、分離子は、規模に上限がつくかどうかである。冪の和が $1.1$ では規模を $1$・$10$・$100$・$1000$ 倍にすると利益は $0.500000$・$11.473135$・$196.223298$・$\mathbf{2988.155787}$ と増え続けた。利益の最大が在るのは、規模を広げると儲けの伸びが止まる、冪の和が $1$ より小さい場合だけである(第5節)。
キーワード:利益の最大、冪の積の生産、規模に関する収穫、費用の割合、値段への感度、生産関数。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。冪の積の生産の式、値段が一定の下で利益を最大にする条件、費用の割合が冪に等しくなること、冪の和が $1$ 以上だと利益の最大が無いことは、いずれも経済学で既知である。実際の経済を主張しない。冪の組と値段は比べるために置いた値で、特定の企業や産業には対応しない。値段を一定と置く。作る量を増やしても売値も投入の値段も変わらないと置く。市場の均衡、独占、税は扱わない。時間を入れない。設備を増やす時間、借入、危険は扱わない。既刊との関係:論文934 の射程注記は、価格と費用を扱わず、どれだけ投入すべきか、利益が最大になる量は扱わないと書いた。本稿はその席に座る(先客なし)。加えたのは、四つの冪の組で式の最大と数値の探索を突き合わせたこと、売上に占める費用と利益を冪で出したこと、値段への感度を冪の和ごとに出したこと、冪の和 $1$ と $1.1$ で最大が無いことを規模を変えて示したこと、分離子を「規模に上限がつくかどうか」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:二つの投入 $x$・$y$ から $Q=x^{\alpha}y^{\beta}$ を作り、値段 $p$ で売る。投入の値段を $r$・$w$ とすると利益は次のとおりである。
$$\pi=pQ-rx-wy,\qquad s=\alpha+\beta$$
$s<1$ のとき、利益の最大での生産と投入は
$$Q^*=\left[\left(\frac{p\alpha}{r}\right)^{\alpha}\left(\frac{p\beta}{w}\right)^{\beta}\right]^{1/(1-s)},\qquad x^*=\frac{p\alpha Q^*}{r},\qquad y^*=\frac{p\beta Q^*}{w}$$
である。検算では $p=r=w=1$ とし、$\log x$・$\log y$ の上で歩幅を半分にしながら利益を大きくする探索でも最大を出した。
問い:利益を最大にする投入量はいつ在り、そのとき売上はどう分かれ、最適な規模は値段にどれだけ敏感か。
2. 利益の最大と売上の分かれ方
計算 2.1:$p=r=w=1$ での利益の最大。
| 冪 $\alpha$・$\beta$ | 和 $s$ | 生産 $Q^*$ | 利益(式) | 利益(探索) | 利益÷売上 |
|---|---|---|---|---|---|
| $0.3$・$0.2$ | $0.5$ | $0.255085$ | $0.127542$ | $0.127542$ | $0.500000$ |
| $0.4$・$0.4$ | $0.8$ | $0.025600$ | $0.005120$ | $0.005120$ | $0.200000$ |
| $0.3$・$0.6$ | $0.9$ | $1.259712\times10^{-3}$ | $0.000126$ | $0.000126$ | $\mathbf{0.100000}$ |
| $0.45$・$0.5$ | $0.95$ | $7.389459\times10^{-7}$ | 、 | 、 | $0.050000$ |
四つの組とも探索の利益は式と相対 $10^{-6}$ 以内で一致した(和 $0.95$ は値が小さいので表では比だけを示す)。費用÷売上は $x$ が $0.300000$・$0.400000$・$0.300000$・$0.450000$、$y$ が $0.200000$・$0.400000$・$0.600000$・$0.500000$ で、冪に等しかった。
観察 2.2 最大では、売上は冪の割合で投入に配られ、残りの 1 − 冪の和が利益になる。冪 $0.3$・$0.6$ では売上の $0.300000$ が $x$、$0.600000$ が $y$ に払われ、利益は $0.100000$ だった。冪の和が $1$ に近いほど、最大でも利益の割合は小さく、和 $0.95$ では $0.050000$ だった。
3. 値段への感度
計算 3.1:値段を $p=1$ から $1.01$ に上げたときの生産の変化(パーセント)と、$s/(1-s)$。
| 冪の和 | 生産の変化 | $s/(1-s)$ |
|---|---|---|
| $0.5$ | $1.000000$ | $1.000000$ |
| $0.8$ | $4.000000$ | $4.000000$ |
| $0.9$ | $9.000000$ | $9.000000$ |
| $0.95$ | $\mathbf{19.000000}$ | $19.000000$ |
観察 3.2 冪の和が 1 に近いほど、最適な規模は値段に敏感になる。値段が $1$ パーセント上がると、冪の和 $0.5$ では生産も $1$ パーセントだが、$0.95$ では $19$ パーセント増える。生産の変化は $s/(1-s)$ に一致し、冪の和が $1$ に近づくと際限なく大きくなる。
4. 冪の和が 1 と 1 を超える場合
計算 4.1:$x=y=t$ として規模 $t$ を $1$・$10$・$100$・$1000$ にしたときの利益。
| 冪・値段 | $t=1$ | $t=10$ | $t=100$ | $t=1000$ |
|---|---|---|---|---|
| $0.5$・$0.5$、値段 $2.5$ | $0.500000$ | $5.000000$ | $50.000000$ | $500.000000$ |
| $0.5$・$0.5$、値段 $1.5$ | $-0.500000$ | $-5.000000$ | $-50.000000$ | $-500.000000$ |
| $0.5$・$0.6$、値段 $2.5$ | $0.500000$ | $11.473135$ | $196.223298$ | $\mathbf{2988.155787}$ |
観察 4.2 冪の和が 1 では、利益は規模に比例し、最大が途中に無い。値段 $2.5$ では $t$ あたり $+0.5$ で規模を広げるほど利益が増え、値段 $1.5$ では $t$ あたり $-0.5$ で作らないのが最もよい。冪の和が $1.1$ では、$t$ あたりの利益も規模とともに増え続けた。
5. 分離子
観察 5.1 分離子は、規模に上限がつくかどうかである。冪の和が $1$ より小さいと、規模を広げるほど儲けの伸びが止まり、利益の最大が一つ在る。冪の和が $1$ では伸びが一定で、値段しだいで「いくらでも」か「作らない」になり、$1$ を超えると伸びが加速して最大が無い。論文934 が数えた冪の和の違いが、ここでは利益の最大の有無として現れた。
観察 5.2 言わないこと。実在の企業、値段が作る量で変わる場合、市場の均衡、時間と危険は扱わない。示したのは、値段が一定の冪の積の生産で、利益の最大の有無と売上の分かれ方、値段への感度が冪の和で決まることである。
6. 点呼と結び
- 冪の積の生産と利益(第1節):冪の和 $s$。
- 式と探索の最大が一致(計算 2.1):$s<1$ で最大が在る。
- 利益÷売上 $\mathbf{0.100000}$(和 $0.9$)(計算 2.1):費用は冪の割合。
- 値段 $1$ パーセントで生産 $\mathbf{19.000000}$ パーセント(和 $0.95$)(計算 3.1):$s/(1-s)$。
- 和 $1$ で $t$ あたり $\pm0.5$、和 $1.1$ で $\mathbf{2988.155787}$(計算 4.1):最大が無い。
- 規模に上限がつくか(観察 5.1):分離子・論文934 の射程注記。
結び:利益を最大にする投入量が在るのは冪の和が 1 より小さいときだけで、利益は売上の 1 − 冪の和になる。冪の和 $0.5$・$0.8$・$0.9$・$0.95$ の四つの組で、式と探索の最大は一致し、費用は売上の冪の割合、利益は $0.500000$・$0.200000$・$0.100000$・$0.050000$ だった。値段を $1$ パーセント上げると生産は $1$・$4$・$9$・$19$ パーセント増え、冪の和 $1$ では利益が規模に比例して最大が無く、$1.1$ では増え続けた。分離子は、規模に上限がつくかどうかである。既刊との位置:論文934 が生産の側だけで数えた冪の和を、値段と費用を入れて利益の最大の有無として数えた。正直に言えば、どれだけ作るべきかの実務は言わない。値段が一定の模型で、冪の和が利益の最大の在りかと感度をどう決めるか、そこまでである。
参考文献
- Cobb, C. W., & Douglas, P. H. (1928). A theory of production. The American Economic Review.
- Varian, H. R. (1992). Microeconomic Analysis (3rd ed.). W. W. Norton.
- 山岸勇輝 (2026). 『収穫逓減は一つの投入を増やす問いで、全部を同じ割合で増やすと生産は倍を超えうる』[論文934]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/934
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「利益を最大にする投入量が在るのは冪の和が 1 より小さいときだけで、利益は売上の 1 − 冪の和になる」[論文948]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/948
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/948・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 利益を最大にする投入量が在るのは冪の和が 1 より小さいときだけで、利益は売上の 1 − 冪の和になる [論文948]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/948
Yamagishi, Y. (2026). A Profit-Maximising Input Level Exists Only When the Exponents Sum to Less Than 1, and Profit Is 1 Minus That Sum of Revenue [Paper 948]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/948
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author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {A Profit-Maximising Input Level Exists Only When the Exponents Sum to Less Than 1, and Profit Is 1 Minus That Sum of Revenue},
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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