要旨
よく混ぜた箱を直列にすると、同じ残りまで反応させるのに要る合計の大きさが小さくなり、箱の数の費用の兼ね合いも数えられた(論文931・960)。そこでは一次反応で、箱の大きさはどれも同じとした。本稿は、二つの箱で、反応の次数 0.5・1・2 ごとに、出口の残り 0.1 と 0.01 を決めたとき合計の滞在時間が最も小さくなる大きさの分け方を探し、同じ大きさの組と比べる。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、一次反応では同じ大きさが最も小さい。残り 0.1 で一つの箱 $2.162278$、0.01 で $9.000000$ の同じ大きさが最適で、960 の値と一致した(第2節)。
第二に、二次反応では小さい箱が先になる。次数 2・残り 0.1 で、最適は一つ目 $11.029288$・二つ目 $15.917041$(比 $\mathbf{0.692923}$)、残り 0.01 で $280.917867$・$479.103817$(比 $0.586340$)だった(第2節)。
第三に、0.5 次反応では大きい箱が先になる。次数 0.5・残り 0.1 で一つ目 $1.070776$・二つ目 $0.818074$(比 $\mathbf{1.308899}$)、残り 0.01 で $2.205858$・$1.388775$(比 $1.588347$)だった(第2節)。
第四に、得は数パーセントで、残りを小さくするほど大きい。最適の合計は同じ大きさの合計の、次数 2 で $0.987031$ 倍(残り 0.1)と $\mathbf{0.968676}$ 倍(0.01)、次数 0.5 で $0.995511$ 倍と $0.979957$ 倍だった(第3節)。
第五に、分離子は、反応の速さが濃さの 1 乗より急に変わるか緩やかに変わるかである。次数 2・残り 0.1 では、小さい一つ目で濃さが 1 から $0.259170$ まで下がり、大きい二つ目で 0.1 まで下がった。次数 0.5 では大きい一つ目で $0.358698$ まで下げた。一次では中間の濃さが $0.316228$ で、二つの箱の大きさが同じだった(第4節)。
キーワード:完全混合槽、直列の槽、反応の次数、二次反応、滞在時間、反応器の設計。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。完全混合槽の釣り合いの式、直列の槽の大きさの最適な分け方が反応の次数で変わること、一次反応では同じ大きさが最適になることは、いずれも反応工学で知られている。置いた値である。入口の濃さ 1、速さの定数 1、次数 0.5・1・2、残り 0.1 と 0.01 は置いた値で、どの反応にも装置にも対応しない。二つの箱だけを扱う。三つ以上の箱、温度の違う箱、押し出し流れとの組み合わせ、箱の費用は扱わない。設計を勧めない。どの分け方を使うべきかは述べない。既刊との関係:論文960 の射程注記は、一次反応だけを扱い、二次反応、温度の違う箱、箱ごとに大きさを変える設計は入れないと書いた。本稿はそのうち二次反応と箱ごとに大きさを変える設計の席に座る(先客なし)。論文931 の射程注記も、一次反応だけを扱い、二次反応を入れないと書いた。本稿はその席にも座る。論文960 は、費用が最も安い直列の箱の数が残りの桁数に比例し、箱一つの受け持ちが費用の冪だけで決まることを示した。ここでは、箱の数を二つに決めて、大きさの分け方を次数ごとに数える。加えたのは、三つの次数と二つの残りで最適な分け方を出したこと、一次で同じ大きさが最適と確かめたこと、次数で先に置く箱の大小が逆になると示したこと、同じ大きさに対する得を並べたこと、分離子を「濃さの 1 乗より急か緩やかか」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:入口の濃さ 1、速さの定数 1、反応の速さ $c^n$ とする。完全混合槽の釣り合いは、入口の濃さ $c_{in}$・出口の濃さ $c_{out}$・滞在時間 $\tau$ で
$$\tau=\frac{c_{in}-c_{out}}{c_{out}^{\,n}}$$
である。二つの箱の中間の濃さを $c_m$ とすると、合計は $\tau_1+\tau_2=(1-c_m)/c_m^{ n}+(c_m-r)/r^{ n}$ で、$c_m$ を $r$ と 1 のあいだの対数で等しい 4001 点に刻んで最小を探し、黄金分割で詰めた。同じ大きさの組は、二つの箱を同じ $\tau$ にして出口が $r$ になる値を二分法で探した。
問い:二つの箱の合計を最も小さくする大きさの分け方は、反応の次数でどう変わるか。
2. 最適な分け方
計算 2.1:最適の中間の濃さと二つの箱の滞在時間。
| 次数・残り | 中間の濃さ | 一つ目 | 二つ目 | 一つ目÷二つ目 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| $0.5$・$0.1$ | $0.358698$ | $1.070776$ | $0.818074$ | $\mathbf{1.308899}$ | $1.888850$ |
| $0.5$・$0.01$ | $0.148878$ | $2.205858$ | $1.388775$ | $1.588347$ | $3.594633$ |
| $1$・$0.1$ | $0.316228$ | $2.162278$ | $2.162278$ | $1.000000$ | $4.324555$ |
| $1$・$0.01$ | $0.100000$ | $9.000000$ | $9.000000$ | $1.000000$ | $18.000000$ |
| $2$・$0.1$ | $0.259170$ | $11.029288$ | $15.917041$ | $\mathbf{0.692923}$ | $26.946329$ |
| $2$・$0.01$ | $0.057910$ | $280.917867$ | $479.103817$ | $0.586340$ | $760.021685$ |
最適での合計の傾きの大きさは六つの組で $3.73\times10^{-4}$ 以下だった。一次の同じ大きさの一つの箱は 960 の $2.162278$ と $9.000000$ に $10^{-5}$ 以内で一致した。
観察 2.2 先に置く箱の大小は、次数が 1 の上か下かで逆になる。次数 2 では二つの残りとも一つ目が小さく、次数 0.5 では一つ目が大きく、次数 1 では同じだった。残りを 0.1 から 0.01 にすると、大きさの比は 1 から離れた(次数 2 で $0.692923$ から $0.586340$、0.5 で $1.308899$ から $1.588347$)。
3. 同じ大きさとの比べ
計算 3.1:同じ大きさの組の一つの箱と合計、最適の合計との比。
| 次数・残り | 同じ大きさの一つ | 同じ大きさの合計 | 最適÷同じ |
|---|---|---|---|
| $0.5$・$0.1$ | $0.948683$ | $1.897367$ | $0.995511$ |
| $0.5$・$0.01$ | $1.834076$ | $3.668152$ | $0.979957$ |
| $1$・$0.1$ | $2.162278$ | $4.324555$ | $1.000000$ |
| $1$・$0.01$ | $9.000000$ | $18.000000$ | $1.000000$ |
| $2$・$0.1$ | $13.650190$ | $27.300380$ | $0.987031$ |
| $2$・$0.01$ | $392.299140$ | $784.598279$ | $\mathbf{0.968676}$ |
観察 3.2 大きさを変えた得は数パーセントにとどまる。六つの組のすべてで最適は同じ大きさより小さいか等しく、得がいちばん大きかったのは次数 2・残り 0.01 の $0.968676$ 倍だった。残りを小さくするほど、得は大きくなった。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、反応の速さが濃さの 1 乗より急に変わるか緩やかに変わるかである。反応の速さは次数 2 では濃さが半分になると四分の一に、次数 0.5 では $0.707107$ 倍に、次数 1 では半分になる。最適では、次数 2 の一つ目は小さく(中間の濃さ $0.259170$)、次数 0.5 の一つ目は大きかった($0.358698$):次数 1 では中間の濃さが $0.316228$ で、二つの箱は同じ大きさだった。先に置く箱の大小は、次数が 1 を越えるところで入れ替わった。
観察 4.2 言わないこと。三つ以上の箱、温度の違う箱、押し出し流れとの組み合わせ、費用、実在の反応や装置、どの分け方を使うべきかは扱わない。示したのは、置いた次数と残りで、二つの箱の最適な大きさの分け方と、同じ大きさに対する得である。
5. 点呼と結び
- 完全混合槽の釣り合いの式(第1節):中間の濃さで二つの箱が決まる。
- 一次は同じ大きさ(計算 2.1):960 の値と一致。
- 次数 2 で一つ目÷二つ目 $\mathbf{0.692923}$(計算 2.1):小さい箱が先。
- 次数 0.5 で $\mathbf{1.308899}$(計算 2.1):大きい箱が先。
- 得は最大 $\mathbf{0.968676}$ 倍(計算 3.1):数パーセント。
- 1 乗より急か緩やかか(観察 4.1):分離子・論文960 と論文931 の射程注記。
結び:二つの箱の最も小さい組は、二次反応では小さい箱を先に、0.5 次では大きい箱を先に置く。残り 0.1 で、次数 2 の最適は一つ目÷二つ目 $0.692923$、次数 0.5 は $1.308899$、次数 1 は同じ大きさだった。得は同じ大きさの合計の $0.968676$ 倍(次数 2・残り 0.01)までの数パーセントだった。分離子は、反応の速さが濃さの 1 乗より急に変わるか緩やかに変わるかである。既刊との位置:論文960 と論文931 が一次反応と同じ大きさの箱で数えた直列の箱に、二つが入れなかった二次反応と大きさの分け方を入れた。正直に言えば、箱は二つだけで、費用も温度も入れていない。次数で最適な分け方の向きがどう変わるか、そこまでである。
参考文献
- Fogler, H. S. (2006). Elements of Chemical Reaction Engineering. Prentice Hall.
- Levenspiel, O. (1999). Chemical Reaction Engineering. Wiley.
- 山岸勇輝 (2026). 『同じ平均の滞在時間でも、混ぜた箱を直列に分けるほど早く出る分が減り、反応は押し出し流れに近づく』[論文931]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/931
- 山岸勇輝 (2026). 『費用が最も安い直列の箱の数は残りの桁数に比例し、箱一つの受け持ちは費用の冪だけで決まる』[論文960]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/960
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「二つの箱の最も小さい組は、二次反応では小さい箱を先に、0.5 次では大きい箱を先に置く」[論文971]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/971
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引用するとき
山岸勇輝 (2026). 二つの箱の最も小さい組は、二次反応では小さい箱を先に、0.5 次では大きい箱を先に置く [論文971]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/971
Yamagishi, Y. (2026). The Smallest Pair of Tanks Puts the Smaller Tank First for a Second-Order Reaction and the Larger First for Order One Half [Paper 971]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/971
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author = {Yamagishi, Yuuki},
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year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/971},
note = {Preprint, edition 1}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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