要旨
幅の違う二つの出口では、近いほうへ向かう決まりは人が多いほど遅れる(論文979)。そこでは、境を外から決め、人が自分で出口を選ぶ振る舞いを入れなかった。本稿は、979 の通路で、各人が自分の出る時刻が早いほうの出口を選ぶ釣り合いを探し、最後の人の時間と平均の時間を、979 の最良の境、近いほうへ向かう決まり、平均を最も短くする境と比べる。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、釣り合いはどの並びでも一つだった。人数 60・200・600、幅 1 対 1・2・3、並び 20 通りの 180 の並びのどれでも、境の両側の人がどちらも乗り換えたくない境はちょうど一つだった(第2節)。
第二に、最後の人の時間は、最良の境と同じだった。180 の並びのどれでも、釣り合いの最後の人の時間は、979 の最良の境の時間と相対 $10^{-12}$ 以内で一致した(600 人・1 対 3 の平均で $\mathbf{115.641}$ 秒)(第2節)。
第三に、平均の時間も、平均を最も短くする境と同じだった。180 の並びのどれでも一致し、600 人・1 対 3 で近いほうへ向かうと平均 $78.014$ 秒、自分で選ぶと $\mathbf{58.085}$ 秒(比 $\mathbf{1.343110}$)だった(第3節)。
第四に、境の人は、ほかの人の出る時刻を変えない。200 人の並びで、境の人を片方の列に足しても、ほかの人の出る時刻は 199 通りのどれでも動かなかった(差 $0$)。境の人はその出口に最後に着くので、列の最後に並ぶ(第4節)。
第五に、分離子は、境の人がほかの人を待たせるか、待たせないか。境の人が誰も待たせないので、その人が自分の時刻だけで選んでも全体の時間は悪くならなかった。道を一本足すと全員が遅くなることがある(論文631)のとは、この点が違う(第5節)。
キーワード:避難、出口の選び方、釣り合い、待ち行列、ワードロップの原則、通路。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。各人が自分の時間を最も短くする選び方の釣り合い(ワードロップの第一原則)と、全体を最良にする選び方が、一人の選択がほかの人を遅らせないときに一致することは、交通の割り当ての理論で知られている。置いた値である。通路の長さ 100 m、両端の出口、歩く速さ 1.3 m/s、出口の流れ 1.3 人/(m s)、幅、人数、並び 20 通りは論文979 と同じ模型の値で、どの建物にも対応しない。人は時刻を知っていると置く。各人は自分の出る時刻を正しく知っていると置いた。情報の誤り、ほかの人の後を追う振る舞い、押し合い、途中で出口を変えることは入れない。模型を広げない。出口が通路の両端にあり、列は着いた順に出る場合に限る。出口が途中にある通路や、面の広がる部屋は扱わない。既刊との関係:論文979 の射程注記は、人の動きを入れず、押し合い、煙による見えにくさ、歩き出すまでの時間、人が自分で出口を選ぶ振る舞い、途中で出口を変えることは入れず、境は外から決めたと書いた。本稿はそのうち人が自分で出口を選ぶ振る舞いの席に座る(先客なし)。論文979 は、幅の違う二つの出口では近いほうへ向かう決まりは人が多いほど遅れ、最良の境は幅で分ける点に寄ることを示した。ここでは、境を外から決めずに各人に選ばせると、どの境に落ち着くかを数える。論文631 は、道を一本足して全員が遅くなるのは車の台数のある範囲だけであることを示した。ここでは、各人の選択が全体の最良と一致する場合を数える。加えたのは、180 の並びで釣り合いを全部の境から探したこと、釣り合いが一つで最良の境と一致すると確かめたこと、平均の時間を最も短くする境とも一致すると確かめたこと、境の人がほかの人の出る時刻を変えないと確かめたこと、分離子を「境の人が待たせるか」に置いたことである。
1. 記法と問い
通路と列:論文979 と同じく、長さ $100$ m の通路の両端に出口 A(幅 1 m)と B(幅 1・2・3 m)を置き、人数 60・200・600 の人を一様な乱数で並べる(論文979 と同じ並び 20 通り)。歩く速さ $1.3$ m/s、出口の流れは幅 1 m あたり $1.3$ 人/s で、列は着いた順に一人ずつ出る。A に近い順に並べた人のうち、はじめの $j$ 人が A、残りが B に向かう境を $j$ と書く。
釣り合い:境 $j$ で、A に向かう最後の人($j$ 番目)が B に移ると B の列の時刻が遅くならず、B に向かう最初の人($j+1$ 番目)が A に移ると A の列の時刻が遅くならないとき、どちらも乗り換えたくない。これを満たす $j$ を全部探した。比べる境は、近いほうへ向かう境(50 m)、最後の人の時間を最も短くする境(979 の最良の境)、全員の出る時刻の平均を最も短くする境の三つである。
問い:各人が自分の出る時刻だけを見て出口を選ぶと、どの境に落ち着き、それは全体の時間から見てどれだけ悪いか。
2. 釣り合いと最後の人の時間
計算 2.1:最後の人の時間(秒・並び 20 通りの平均)。
| 人数 | 幅 | 近いほう | 最良の境 | 自分で選ぶ |
|---|---|---|---|---|
| $60$ | 1 対 1 | $39.075$ | $38.897$ | $38.897$ |
| $60$ | 1 対 3 | $38.668$ | $38.464$ | $38.464$ |
| $200$ | 1 対 1 | $80.734$ | $77.454$ | $77.454$ |
| $200$ | 1 対 2 | $77.299$ | $53.560$ | $53.560$ |
| $200$ | 1 対 3 | $77.299$ | $52.047$ | $52.047$ |
| $600$ | 1 対 1 | $235.773$ | $230.976$ | $230.976$ |
| $600$ | 1 対 2 | $232.703$ | $154.064$ | $154.064$ |
| $600$ | 1 対 3 | $232.703$ | $\mathbf{115.641}$ | $115.641$ |
3 つの人数と 3 つの幅の比の 9 組・並び 20 通りの 180 の並びのどれでも、釣り合いはちょうど一つで、その最後の人の時間は最良の境の時間と相対 $10^{-12}$ 以内で一致した(ずれの最大 $0$)。
3. 平均の時間
計算 3.1:全員の出る時刻の平均(秒・並び 20 通りの平均)。
| 人数 | 幅 | 近いほう | 自分で選ぶ | 近いほう÷自分で選ぶ |
|---|---|---|---|---|
| $60$ | 1 対 1 | $20.005$ | $19.999$ | $1.000315$ |
| $200$ | 1 対 1 | $39.381$ | $39.252$ | $1.003283$ |
| $200$ | 1 対 2 | $30.240$ | $27.318$ | $1.106946$ |
| $200$ | 1 対 3 | $29.409$ | $26.173$ | $1.123655$ |
| $600$ | 1 対 1 | $115.999$ | $115.915$ | $1.000724$ |
| $600$ | 1 対 2 | $87.495$ | $77.341$ | $1.131291$ |
| $600$ | 1 対 3 | $78.014$ | $\mathbf{58.085}$ | $\mathbf{1.343110}$ |
180 の並びのどれでも、釣り合いの平均の時間は、平均を最も短くする境の平均と相対 $10^{-12}$ 以内で一致した。平均を最も短くする境の最後の人の時間も、9 組の並び 20 通りの平均で最良の境と同じだった(600 人・1 対 3 で $115.641$ 秒)。
4. 境の人
計算 4.1:200 人の一つの並びで、A に向かう人を $j$ 人から $j+1$ 人に増やしたとき、はじめの $j$ 人の出る時刻の変わりの最大は、$j=1$〜$199$ のどれでも $0$ 秒だった。
観察 4.2 境の人は、ほかの人の出る時刻を変えない。境の人は、自分の向かう出口に向かう人のうちで出口から最も遠く、最後に着く。列は着いた順に出るので、その人は列の最後に並び、前の人を待たせない。そのため、境を一人ずらしたときに変わるのは境の人自身の時刻だけである。
5. 分離子
観察 5.1 分離子は、境の人がほかの人を待たせるか、待たせないか。境の人が乗り換えて変わるのが自分の時刻だけなら、その人が自分の時刻の早いほうを選べば、平均も最後の人の時間も悪くならない。180 の並びで、釣り合いは最後の人の時間と平均の時間の両方で最良の境と一致した。論文631 は、道を一本足すと全員が遅くなることが車の台数のある範囲で起こることを示した。ここでは、一人の選択がほかの人を待たせない模型なので、そのような悪化は起きなかった。
観察 5.2 言わないこと。人が自分の出る時刻を知らない場合、ほかの人の後を追う振る舞い、押し合い、途中で出口を変えること、出口が途中にある通路や広い部屋、実在の避難の案内は扱わない。示したのは、両端に出口のある一本の通路で、各人の選択の釣り合いが全体の最良と一致することである。
6. 点呼と結び
- 釣り合いを全部の境から探す(第1節):180 の並び。
- 釣り合いは一つで最後の人は最良の境と一致(計算 2.1):600 人・1 対 3 で $\mathbf{115.641}$ 秒。
- 平均も最も短くする境と一致(計算 3.1):$\mathbf{58.085}$ 秒。
- 近いほう÷自分で選ぶ $\mathbf{1.343110}$(計算 3.1):外から決めた近いほうより速い。
- 境の人はほかの人の時刻を変えない(計算 4.1):199 通りで差 0。
- 待たせるか、待たせないか(観察 5.1):分離子・論文979 の射程注記。
結び:一本の通路で各人が早く出られる出口を選ぶと、最後の人も平均も最良の境と同じになる。979 の通路の 180 の並びで、各人が自分の出る時刻の早い出口を選ぶ釣り合いはちょうど一つで、最後の人の時間は最良の境と、平均の時間は平均を最も短くする境と一致した。600 人・1 対 3 では、近いほうへ向かうと平均 $78.014$ 秒、自分で選ぶと $58.085$ 秒(比 $1.343110$)だった。境の人を列に足しても、ほかの人の出る時刻は動かなかった。分離子は、境の人がほかの人を待たせるか、待たせないか。既刊との位置:論文979 が外から決めた境に、論文979 が入れなかった人が自分で出口を選ぶ振る舞いを足し、論文631 の道の悪化と違って悪化が起きない場合を数えた。正直に言えば、各人が時刻を正しく知る一本の通路の模型で、釣り合いと最良を比べた。自分で選ぶと全体がどうなるか、そこまでである。
参考文献
- Wardrop, J. G. (1952). Some theoretical aspects of road traffic research. Proceedings of the Institution of Civil Engineers.
- 山岸勇輝 (2026). 『道を一本足して全員が遅くなるのは、車が 3000 台と 9000 台のあいだだけである』[論文631]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/631 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23014556
- 山岸勇輝 (2026). 『幅の違う二つの出口では、近いほうへ向かう決まりは人が多いほど遅れる』[論文979]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/979
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「一本の通路で各人が早く出られる出口を選ぶと、最後の人も平均も最良の境と同じになる」[論文992]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/992
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/992・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 一本の通路で各人が早く出られる出口を選ぶと、最後の人も平均も最良の境と同じになる [論文992]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/992
Yamagishi, Y. (2026). In a Corridor, Picking One’s Own Fastest Exit Matches the Best Boundary for Both the Last and the Mean Time [Paper 992]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/992
@misc{yamagishi2026yoi992,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {In a Corridor, Picking One's Own Fastest Exit Matches the Best Boundary for Both the Last and the Mean Time},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/992},
note = {Preprint, edition 1}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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