要旨
本稿が問うのは、取引の中身をまったく同じにして「柵に触れたか」を判定するデータだけを変えたら答えがどれだけ動くか、である。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。
第一に、平均としての崩れはほとんど動かない。 観測勝率から素朴な (1−f) を引いた値は、ティックで −0.0186、一時間足で −0.0151 である。最大 ÷ 最小は 1.4338 倍で、分解能を一万八千倍変えてもこれだけである(第3節)。
第二に、★ だが同じ足で両方の柵に触れた件数は分解能で決まる。 ティックで 0 件、一分足で 173、五分足で 337、十五分足で 1,079、一時間足で 3,547 件である。足の中の行き過ぎも 0.1600 から 9.2890 pips へ動く(第4節)。
第三に、★★ これが本稿の芯である。引きつけの深さ f で層別すると、形が分解能で作られる。 予言からの余りの幅は、ティックで 0.0285、一時間足で 0.0976 である(3.4240 倍)(第7節)。
第四に、★★ 真の値がゼロの合成乱数でも、同じ形が出る。 余りの幅は一時間足で 0.0642、ティックで 0.0092 である。一時間足では、実測の幅 0.0976 のうち 0.6584 が合成乱数でも出る(第7節)。
第五に、★ ティックでも、定理にはまだ届かない。 合成乱数の崩れ ÷ 予言 −s÷R は中央 1.3473 である。一時間足の 1.4514 よりは近いが、1 ではない(第6節)。
第六に、★ 予言は十二のうち五つ外れた。 題は二度付け替えており、どちらも測ったあとである(第7節)。
本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。任意停止定理は古典的な結果である。特定の商材や提唱者を論じない。実在の教材、その著者、販売元は主題ではなく、一切名指さない。売買を勧めない。ここで測るのは勝率と期待値の形だけである。題を二度付け替えた。どちらも測ったあとであり、予言は一つも書き換えていない(第2節・第7節)。ティックでも定理には届いていない。残りの理由を分解していない(第6節・第7節)。同じ足で両方に触れたときの扱いを一つに決めている。負けを先とした(第4節)。射程は日中・少数銘柄に限る。四銘柄・六年の測定である。月次の時系列モメンタム(数十市場・保有1〜12ヶ月)は学術的に文書化されており、本稿はそれを否定しない。予測を主張しない。
1. 記法と問い
「引きつけて建てろ」と言われる。直前の脚の途中まで戻ったところに指値を置き、極値の更新を狙う建て方である。
脚の始まりを org、極値を ext、長さを R とし、引きつけの深さを f とする。指値は ext から f×R だけ戻ったところに置く。スプレッドを s とすると、中値で書けば上までの距離は f·R + s、下までの距離は (1−f)·R − s で、合わせて R である。任意停止定理から次が出る。
P(勝ち) = (1−f) − s/R / 期待値 = −s
| 言われること | 言われないこと |
|---|---|
| 深く引きつけるほど報酬比が良くなる | 勝率はその分だけ下がること |
| この手法の勝率は何割だった | その勝率を何で測ったのか |
| 上の柵に先に触れた | 同じ足で下にも触れていたかどうか |
観察 1.1:★ 崩れ −s/R は f を含まない。 引きつけの深さは勝率と報酬比を交換するだけで、期待値を動かさない。
観察 1.2:停止則が期待値を動かさないことは [F012] で測ってある。 ★ 本稿が変えるのは出口ではなく入口の置き方である。
観察 1.3:本稿の分離子は、柵に触れたかを判定する分解能である。 取引の中身はまったく変えない。
問い:判定するデータだけを変えたら、答えはどれだけ動くのか。
2. 測る量と設計を、先に書く
★ 本稿は、別の問いを測ろうとして失敗したところから始まっている。
一度目の題は「崩れる量はスプレッド ÷ 脚の長さである」だった。予言②③⑥が外れ、外れた原因が分解能だったので題を付け替えた。二度目の題は「崩れる量は何で測ったかに属している」だったが、今度は予言⑧が外れた。平均としての崩れは分解能でほとんど動かず、動いたのは層別した形のほうだった。
観察 2.1:★ 題は二度とも、測ったあとに変えている。 予言は一つも書き換えていない。①〜⑫すべて答え合わせを載せる。
| 脚 | 五分足の終値から練行足を組む(どの分解能でも同じ脚) |
| 転換の時点 | 逆向きのレンガが一本完成した足。その次の足から注文を出す |
| 指値 | lim = ext − 向き × f × R。約定値は lim とする(有利側に丸めない) |
| 柵 | 勝ち = 極値 ext に先着/負け = 始まり org に先着。決済できる側の値で判定 |
| 分離子 | 柵に触れたかを判定する分解能(ティック / 1分 / 5分 / 15分 / 1時間) |
| レンガ幅 | 族A 固定 pips(為替 10/20・金 40/80)/族B スプレッド中央の 20/40 倍 |
| 引きつけ | f = 0.382 / 0.5 / 0.618 / 0.786 |
| 条件 | 0.382·R > B(四つの f は同じ脚の集まりの上で回す)ほか |
| 基準線 | ティックまで合成乱数(3 系列・族A のみ・同じ五通りの分解能) |
| 銘柄・期間 | USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD/2019–2024 |
観察 2.2:★ 転換が分かるのは逆向きのレンガが完成したときである。 [F040] の規律をそのまま使っている。
観察 2.3:★ f ごとに脚を採り直してはいけない。 いちばん浅い引きつけでも指値が通り過ぎていない脚だけを使い、四つの f を同じ脚の集まりの上で回す。
観察 2.4:ティック数は USDJPY 177,835,511・EURUSD 159,896,376・GBPUSD 173,800,986・XAUUSD 287,946,827 である。 五分足は 438,283・438,505・438,199・418,478 本、スプレッド中央は 0.5000・0.3000・0.9000・3.4700 pips である。
最初に宣言した予言(測る前に書いた)
① 引きつけを深くするほど、勝率は (1−f) に沿って下がる。
② 崩れは f を含まない。スプレッド ÷ 脚の長さで決まる。
③ だから崩れは脚の長さに反比例する。
④ 銘柄ごとの崩れは、スプレッドの広さの順に並ぶ。
⑤ レンガ幅をスプレッドの倍数で取れば、四銘柄の崩れはそろう。
⑥ 期待値は f にもレンガ幅にもよらず −スプレッドである。
⑦ 合成乱数でも同じ崩れが出る。
新しい予言(★ ティックと五分足の二点を見たあとに立てた)
⑧ 粗い格子ほど崩れが大きい。
⑨ 粗い格子ほど同じ足で両方に触れた件数が増え、ティックでは 0 になる。
⑩ 合成乱数でも同じだけ崩れる。
⑪ ティックでは、合成乱数の崩れが −s/R に一致する。
⑫ 崩れが f で動いて見えるのも粗い格子のせいで、細かくすると動かなくなる。
3. 平均としての崩れは、分解能でほとんど動かない
崩れ = 観測勝率 − 素朴な (1−f)。四銘柄・全レンガ・全 f の中央である。
計算 3.1 分解能を変える
| 分解能 | 延べ件数 | 崩れ | 予言 −s÷R | 余り |
|---|---|---|---|---|
| ティック | 137,124 | −0.0186 | −0.0140 | −0.0047 |
| 1分 | 137,075 | −0.0148 | −0.0154 | +0.0008 |
| 5分 | 137,077 | −0.0129 | −0.0153 | +0.0033 |
| 15分 | 134,148 | −0.0153 | −0.0151 | +0.0009 |
| 1時間 | 125,164 | −0.0151 | −0.0149 | +0.0014 |
観察 3.2:★ 予言⑧は外れた。粗いほど崩れが大きくはならない。 ティック −0.0186 から一時間足 −0.0151 で、むしろ小さくなっている。
観察 3.3:★★ 最大 ÷ 最小は 1.4338 倍しかない。 分解能を 0.2 秒から 3,600 秒まで、一万八千倍変えてもこれだけである。
観察 3.4:件数もほとんど減らない。 137,124 から 125,164 である。★ つまり「粗くすると平均がずれる」という筋書きは成り立たない。
4. だが、同じ足で両方の柵に触れた件数は分解能で決まる
計算 4.1 決まらなかった件数
| 分解能 | 延べ決着件数 | 同じ足で両方 | 割合 | 足の中の行き過ぎ(中央 pips) |
|---|---|---|---|---|
| ティック | 137,124 | 0 | 0.0000 | 0.1600 |
| 1分 | 137,075 | 173 | 0.0013 | 1.5820 |
| 5分 | 137,077 | 337 | 0.0025 | 3.0800 |
| 15分 | 134,148 | 1,079 | 0.0080 | 4.8750 |
| 1時間 | 125,164 | 3,547 | 0.0283 | 9.2890 |
観察 4.2:予言⑨は当たった。 ★ ティックでは 0 件になる。どちらが先かが決まるからである。
観察 4.3:★ 一時間足では 3,547 件、割合 0.0283 である。 この分は、どちらが先かがデータから決まらない。本稿は負けを先としたが、それは規約であって事実ではない。 扱いを変えると勝率と期待値が動くことは [F025] で測ってある。
観察 4.4:★ 足の中の行き過ぎは 0.1600 から 9.2890 pips へ、単調に大きくなる。 測りたいスプレッドは 0.3000 から 3.4700 pips なので、一時間足では行き過ぎのほうが大きい。
観察 4.5:★ ここまでで二つのことが同時に成り立っている。平均はほとんど動かないのに、決まらない件数は 0 から 3,547 件まで動く。 では、その 3,547 件はどこへ行ったのか。
5. 合成乱数を、同じ五通りの分解能で測る
合成乱数は定義からマルチンゲールなので、理論値 −s÷R がそのまま出るはずである。
計算 5.1 実測と合成乱数(族A・四銘柄の中央)
| 分解能 | 実測の崩れ | 合成乱数の崩れ | 実測の余り | 合成乱数の余り |
|---|---|---|---|---|
| ティック | −0.0184 | −0.0211 | −0.0011 | −0.0052 |
| 1分 | −0.0137 | −0.0210 | +0.0027 | −0.0036 |
| 5分 | −0.0129 | −0.0210 | +0.0058 | −0.0035 |
| 15分 | −0.0170 | −0.0206 | +0.0027 | −0.0049 |
| 1時間 | −0.0151 | −0.0208 | +0.0019 | −0.0073 |
観察 5.2:★ 合成乱数の崩れも分解能でほとんど動かない。 −0.0211 から −0.0206 である。 実測と同じ形をしている。
観察 5.3:合成乱数の余りは −0.0073 から −0.0052 で、1.4134 倍しか縮まない。 ★ 平均で見るかぎり、実測と合成乱数の区別がつかない。
観察 5.4:★ この基準線が何についてゼロなのかは [F033] で測ってある。 合成乱数はボラティリティの群れを持たない。だからここで一致することは、実測に群れが無いという意味ではない。
6. ティックでも、定理にはまだ届かない
計算 6.1 合成乱数の崩れ ÷ 予言(ティック・族A)
| 銘柄 | レンガ | 合成乱数の崩れ | 予言 −s÷R | 崩れ ÷ 予言 | 件数 |
|---|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 10 | −0.0279 | −0.0168 | 1.6623 | 57,624 |
| USDJPY | 20 | −0.0122 | −0.0092 | 1.3285 | 14,606 |
| EURUSD | 10 | −0.0177 | −0.0095 | 1.8627 | 27,123 |
| EURUSD | 20 | −0.0082 | −0.0051 | 1.6214 | 5,843 |
| GBPUSD | 10 | −0.0379 | −0.0277 | 1.3660 | 56,453 |
| GBPUSD | 20 | −0.0174 | −0.0153 | 1.1356 | 13,781 |
| XAUUSD | 40 | −0.0268 | −0.0263 | 1.0213 | 27,525 |
| XAUUSD | 80 | −0.0088 | −0.0144 | 0.6132 | 6,114 |
観察 6.2:★ 中央は 1.3473、幅は 0.6132 から 1.8627 である。 一時間足の 1.4514 よりは近いが、1 ではない。
観察 6.3:★ つまり予言⑪は言いすぎだった。 「一致する」ではなく「近づく」である。35 パーセント多い。
観察 6.4:★ 残りの理由として測ってあるのは、約定の行き過ぎだけである。 ティックでも中央 0.1600 pips ある。指値は置いた値段では約定しない。 ただし本稿はそれを分解していない。
観察 6.5:捨てた件数も書いておく。 決着 137,124 件に対し、24 時間で約定しなかったのが 36,059 件(0.2047)、注文を置く前に指値を通り過ぎていたのが 2,776 件(0.0158)である。★ 重複を除くと 106,427 件で、崩れは −0.0206 になる(全部だと −0.0186)。

図1:横が引きつけの深さ f、縦が予言からの余り。上段が実測、下段が合成乱数で、縦軸はそろえてある。 線は分解能である。
7. 引きつけの深さで層別すると、分解能が形を作る
計算 7.1 余りを f ごとに(実測)
| 分解能 | f=0.382 | f=0.500 | f=0.618 | f=0.786 | 幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| ティック | −0.0216 | −0.0054 | +0.0024 | +0.0069 | 0.0285 |
| 1分 | −0.0200 | −0.0031 | +0.0086 | +0.0121 | 0.0321 |
| 5分 | −0.0196 | −0.0010 | +0.0121 | +0.0177 | 0.0373 |
| 15分 | −0.0309 | −0.0064 | +0.0124 | +0.0276 | 0.0586 |
| 1時間 | −0.0477 | −0.0162 | +0.0136 | +0.0498 | 0.0976 |
計算 7.2 同じものを合成乱数で(真の値はゼロ)
| 分解能 | f=0.382 | f=0.500 | f=0.618 | f=0.786 | 幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| ティック | −0.0108 | −0.0042 | −0.0050 | −0.0016 | 0.0092 |
| 1分 | −0.0097 | −0.0031 | −0.0035 | −0.0005 | 0.0092 |
| 5分 | −0.0098 | −0.0031 | −0.0031 | +0.0017 | 0.0114 |
| 15分 | −0.0184 | −0.0061 | −0.0010 | +0.0073 | 0.0257 |
| 1時間 | −0.0406 | −0.0121 | +0.0058 | +0.0237 | 0.0642 |
観察 7.3:★★ これが本稿の芯である。実測の幅は 0.0285 から 0.0976 へ、3.4240 倍ひらく。 合成乱数では 0.0092 から 0.0642 へ、6.9947 倍ひらく。
観察 7.4:★★ 合成乱数の真の値はゼロである。つまりこの幅はまるごと測り方が作っている。 一時間足では、実測の幅 0.0976 のうち 0.6584 が合成乱数でも出る。ティックでは 0.3223 まで下がる。
観察 7.5:★ 予言⑫は当たった。細かくすると縮む。だが予言②は外れたままである。 ティックでも幅は 0.0285 あり、合成乱数の 0.0092 より大きい。層別した形が全部見せかけだとまでは言えない。
観察 7.6:★ 一時間足の図は、実測と合成乱数でほとんど同じ扇を描く。 私は最初、この扇を「引きつけの深さが効いている証拠」と読んだ。
最初に宣言した予言の答え合わせ(すべてティックで測った版)
| 予言 | 結果 | 数字 |
|---|---|---|
| ① 勝率が (1−f) に沿って下がる | 当たった | 下がり 観測 0.3785 / 素朴 0.4040 |
| ② 崩れは f を含まない | 外れた | 余りの幅 0.0285(合成乱数 0.0092) |
| ③ 崩れは脚の長さに反比例する | 外れた | 崩れ × R 1.1389 pips / スプレッド 0.9099 pips |
| ④ 銘柄の順がスプレッドの順に並ぶ | 外れた | XAUUSD 3.47 の崩れ 0.0215 が GBPUSD 0.90 の 0.0340 より小さい |
| ⑤ スプレッドの倍数で四銘柄がそろう | 外れた | 最大÷最小 族B 0.0685 / 族A −0.0919 |
| ⑥ 期待値は −スプレッドである | 外れた | −2.0967 から −0.3702(幅 1.7265・−s は −0.9099) |
| ⑦ 合成乱数でも同じ崩れが出る | 当たった | ★ そしてそれが問題だった |
| ⑧ 粗い格子ほど崩れが大きい | 外れた | ティック −0.0186 → 1時間 −0.0151 |
| ⑨ ティックでは同じ足で両方が 0 になる | 当たった | 0 件 / 一時間足 3,547 件 |
| ⑩ 合成乱数でも同じだけ崩れる | 当たった | 一時間足で 実測 +0.0019 / 合成乱数 −0.0073 |
| ⑪ ティックで合成乱数が −s/R に一致する | 言いすぎ | 崩れ ÷ 予言 1.3473 |
| ⑫ f による幅は細かくすると縮む | 当たった | 0.0976 → 0.0285 |
観察 7.7:★ 十二のうち五つ外れた。 そして外れ方そのものが、この論文の中身になった。

図2:横が分解能(秒・対数)。深さで層別した余りの幅(実測と合成乱数)と、平均としての崩れを並べてある。
限界
- ⚠️ 題を二度付け替えた。 どちらも測ったあとである。予言は一つも書き換えていないが、題が結果に合わせて付いていることは読者が知っているべきである。
- ティックでも定理には届いていない(崩れ ÷ 予言 1.3473)。残りの理由を分解していない。
- 同じ足で両方に触れたときの扱いを一つに決めている(負けを先)。
- 脚を五分足から組んでいる。 脚の作り方そのものは分離子に入れていない。
- 族B は USDJPY で退化している。 スプレッド中央 0.5000 pips なので、レンガが族A と同じ 10.0 と 20.0 になる。
- 玉が重なっている。 重複を除いた版も出したが(106,427 件・−0.0206)、標準誤差はそのぶん楽観的である。
- 四銘柄・六年である。 他の市場、他の期間について述べるものではない。
結び
同じ取引を、五通りの分解能で採点した。変えたのは「柵に触れたか」を判定するデータだけである。
平均としての崩れは、ほとんど動かなかった。 ティック −0.0186 から一時間足 −0.0151、最大 ÷ 最小は 1.4338 倍である。分解能を一万八千倍変えてもこれだけである。
★ だが、引きつけの深さで層別すると形が作られる。 予言からの余りの幅は、ティック 0.0285 から一時間足 0.0976 へ 3.4240 倍ひらく。
★★ そして真の値がゼロの合成乱数でも、同じ形が出る。 幅は 0.0092 から 0.0642 へ 6.9947 倍ひらく。一時間足では、実測の幅 0.0976 のうち 0.6584 が合成乱数でも出る。
理由は数えられる。 同じ足で両方の柵に触れた件数が 0 件から 3,547 件へ増え、足の中の行き過ぎが 0.1600 から 9.2890 pips へ増える。測りたいスプレッドは 0.3000 から 3.4700 pips なので、一時間足では行き過ぎのほうが大きい。
★ 平均は測れるが、層別は測れない。 平均では実測と合成乱数の区別がつかず(余り −0.0011 対 −0.0052)、層別すると両方に同じ扇が出る。
★ 予言は十二のうち五つ外れた。 ②③⑥は最初の題を壊し、⑧は二度目の題を壊した。⑪は「一致する」が言いすぎで、ティックでも 1.3473 である。
だから、勝率を層別して報告するときに必要なのは、その層別を合成乱数でもやってみることである。 ★ 一時間足なら、何も無いところに 0.0642 の形が出る。 私は最初、その形を「引きつけの深さが効いている証拠」と読んだ。
データと再現
| データ | 為替は Dukascopy 由来のティック(2019 年以降はミリ秒・bid・ask まで一致することを確認済み)。金は Dukascopy |
| 期間 | 2019–2024(六年) |
| 銘柄 | USDJPY・EURUSD・GBPUSD・XAUUSD |
| 脚 | 五分足(中値・完成足のみ)の終値から練行足を組む。どの分解能でも同じ脚 |
| 分解能 | ティック / 1分 / 5分 / 15分 / 1時間。bid と ask の実測 |
| レンガ幅 | 族A 固定 pips(為替 10・20/金 40・80)/族B スプレッド中央の 20・40 倍 |
| 引きつけ | f = 0.382・0.5・0.618・0.786。四つとも同じ脚の集まりの上で回す |
| 約定 | 買いは ask ≤ lim、売りは bid ≥ lim。約定値は lim(有利側に丸めない) |
| 柵 | 勝ち = 極値に先着/負け = 始まりに先着。決済できる側の値で判定 |
| 規約 | 同じ足で両方に触れたら負けを先とする。約定した足の次の足から柵を測る |
| 待ち時間 | 約定 24 時間まで/柵 30 日ぶんまで。年ごとに閉じる |
| 基準線 | ティックまで合成乱数(3 系列・族A のみ・同じ五通りの分解能) |
| 検算 | 検算/F046.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/F046_output.txt から取っている |
| 図 | 図/F046_zu1・図/F046_zu2(png・svg・英語版) |
| 乱数の種 | 固定。再実行しても同じ値が出る |
| 土台の検査 | _ツール/audit_bars.py(足の先読み・夏時間・日の区切り)。記録は _土台の検査.txt |
参考文献
- 山岸勇輝 (2026). 利確と損切りを四十九通りに置いても、期待値は動かない [F012]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22891608
- 山岸勇輝 (2026). 同じ足で両方の柵に触れたときの扱いが、勝率と期待値を作る [F025]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22892549
- 山岸勇輝 (2026). 合成乱数には、ボラティリティの群れが無い [F033]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22893674
- 山岸勇輝 (2026). 練行足の転換点は、完成するまで転換点ではない [F040]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22894529
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「引きつけの深さで層別した勝率は、柵に触れたかを何で測ったかに属している」[F046]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22895278
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F046・DOI 10.5281/zenodo.22895278・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 引きつけの深さで層別した勝率は、柵に触れたかを何で測ったかに属している [F046]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F046 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22895278
Yamagishi, Y. (2026). A Win Rate Layered by the Depth of the Pullback Belongs to What You Measured the Touch With [F046]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F046; DOI: 10.5281/zenodo.22895278
@misc{yamagishi2026yoiF046,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {A Win Rate Layered by the Depth of the Pullback Belongs to What You Measured the Touch With},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/F046},
doi = {10.5281/zenodo.22895278},
note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
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