要旨
区画の中で測る本数の最良は予算によらず、二倍にしても半分にしても損は同じ(論文980)。そこでは集団を無限と置き、有限の集団の補正を入れなかった。本稿は、980 と同じ区画 400・一区画 50 本の林から区画も木も戻さずに抜くとき、補正を入れたばらつきを予算のもとで最も小さくする区画の数と本数を総当たりで出し、無限の集団と置いた式と比べる。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、区画を全部測れない予算では、最良の本数は変わらない。費用が区画 20・一本 1 で、予算 1000・2000・5000・10000・14000 の最良は、どれも一区画 17 本(区画 27・54・135・270・378)で、無限の集団と置いた式と同じだった(第2節)。
第二に、補正はばらつきを一定の量だけ下げる。その五つの予算で、無限の集団と置いたばらつきから補正ありのばらつきを引くと、どれも区画の平均の分散÷区画の数 $\mathbf{2.943591}$ だった(第2節)。
第三に、区画を全部測れる予算になると、本数を増やすのが最良になる。予算 20000 では区画 400・一区画 $\mathbf{30}$ 本(ばらつき $0.420318$)、28000 では 400 区画・50 本(ばらつき 0)が最良だった。無限の集団と置くと 540 区画・756 区画という林に無い数が最良になった(第3節)。
第四に、戻さずに抜く乱数は補正ありの式と合う。4000 回抜いたばらつきは、区画 55・16 本、400・30 本、200・50 本で式の $1.020748$・$\mathbf{1.000904}$・$0.984477$ 倍だった(第4節)。
第五に、分離子は、予算が区画の数を決めるか、林の区画の数が上限になるか。補正ありの式は、無限と置いた式から区画の数にも本数にもよらない量を引いた形で、区画を全部測れないうちは最良の本数が 17 本のままだった。区画の数に上限がかかると、残りの予算は本数に回った(第5節)。
キーワード:二段抽出、有限の集団の補正、最適な抜き取り本数、標本調査、調査の費用、森林調査。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。有限の集団から戻さずに抜くときの二段の抜き取りのばらつきの式、有限の集団の補正を入れても最良の本数の式が同じ形になることは、いずれも標本調査の理論で既知である。置いた値である。林は論文980 と同じ区画 400・一区画 50 本の乱数の林で、費用 区画 20・一本 1、予算 1000〜28000、乱数 4000 回は本稿で置いた。どの林にも対応しない。抜き取りを単純にした。区画は同じ大きさ、区画ごとの本数は同じとし、層との組み合わせ、区画ごとに本数を変えること、区画の間の移動の距離による費用は入れない。予算が余るときは使わないとした。測り方を勧めない。実在の調査で何本測るべきかは扱わない。既刊との関係:論文980 の射程注記は、抜き取りを単純にし、集団は無限と置き、有限の集団の補正、層との組み合わせ、区画の間の移動の距離による費用の違い、区画ごとに本数を変えることは入れないと書いた。本稿はそのうち有限の集団の補正の席に座る(先客なし)。論文980 は、区画の中で測る本数の最良は予算によらず、二倍にしても半分にしても損は同じであることを示した。ここでは、有限の林でその最良がどこまで保たれ、どこで動くかを数える。加えたのは、七つの予算で補正ありと無限の集団の最良を総当たりで出したこと、補正の差が一定であることを確かめたこと、区画を全部測れる予算で最良が本数へ移ることを示したこと、戻さずに抜く乱数で式を確かめたこと、分離子を「予算か、区画の数の上限か」に置いたことである。
1. 記法と問い
林と式:論文980 と同じく、区画 $N=400$・一区画 $M=50$ 本の林(区画の効きの割合 0.1 の対数正規)を作る。区画の平均の分散を $S_1^2$、区画の中の分散の平均を $S_2^2$ とすると、区画 $n$ と一区画 $m$ 本を戻さずに抜いた平均のばらつきは
$$V(n,m)=\Bigl(1-\frac{n}{N}\Bigr)\frac{S_1^2}{n}+\Bigl(1-\frac{m}{M}\Bigr)\frac{S_2^2}{nm}$$
で、無限の集団と置いた式は $(S_1^2-S_2^2/M)/n+S_2^2/(nm)$ である。この林では $S_1^2=1177.436451$、$S_2^2=12609.537335$、$S_1^2-S_2^2/M=925.245704$ で、費用 区画 20・一本 1 の最良の本数の式 $m^*=\sqrt{20 S_2^2/(S_1^2-S_2^2/M)}$ は $16.5096$ だった。予算 $B$ のもとで $n=\lfloor B/(20+m)\rfloor$(補正ありでは 400 を超えない)とし、$m=1$〜$50$ を総当たりした。
問い:有限の林から戻さずに抜くと、最良の区画の数と本数はどう変わるか。
2. 区画を全部測れない予算
計算 2.1:最良の組とばらつき。
| 予算 | 補正あり(区画・本数) | ばらつき | 無限と置いた(区画・本数) | ばらつき |
|---|---|---|---|---|
| $1000$ | 27・17 | $58.796527$ | 27・17 | $61.740118$ |
| $2000$ | 54・17 | $27.926468$ | 54・17 | $30.870059$ |
| $5000$ | 135・17 | $9.404433$ | 135・17 | $12.348024$ |
| $10000$ | 270・17 | $3.230421$ | 270・17 | $6.174012$ |
| $14000$ | 378・17 | $1.466417$ | 378・17 | $4.410008$ |
五つの予算で、無限と置いたばらつき − 補正ありのばらつきは $2.943591$ で、$S_1^2/N=2.943591$ と $10^{-9}$ 以内で一致した。
観察 2.2 補正はばらつきを一定の量だけ下げ、最良の本数を動かさない。補正ありの式を展開すると、無限と置いた式から $S_1^2/N$ を引いた形になる。引かれる $S_1^2/N$ は $n$ にも $m$ にもよらないので、最良の組は二つの式で同じだった。
3. 区画を全部測れる予算
計算 3.1:予算 20000 と 28000。
| 予算 | 補正あり(区画・本数) | ばらつき | 無限と置いた(区画・本数) | ばらつき |
|---|---|---|---|---|
| $20000$ | 400・$\mathbf{30}$ | $0.420318$ | 540・17 | $3.087006$ |
| $28000$ | 400・50 | $0.000000$ | 756・17 | $2.205004$ |
観察 3.2 区画の数に上限がかかると、最良は本数の側へ移る。予算 20000 で 17 本のままなら区画は 540 要るが、林には 400 しか無い。区画を 400 に止めると、残りの予算を本数に回す 30 本が最良になった。28000 では 400 区画の 50 本を全部測れて、ばらつきは 0 になった。無限と置いた式は林に無い区画の数を最良にした。
4. 乱数で確かめる
計算 4.1:区画も木も戻さずに 4000 回抜いたばらつき。
| 区画 | 一区画 | 乱数のばらつき | 補正ありの式 | 比 |
|---|---|---|---|---|
| $55$ | $16$ | $28.793328$ | $28.208078$ | $1.020748$ |
| $400$ | $30$ | $0.420698$ | $0.420318$ | $\mathbf{1.000904}$ |
| $200$ | $50$ | $2.897897$ | $2.943591$ | $0.984477$ |
三つの組で、乱数のばらつきは式の 0.95 倍から 1.05 倍の間だった。区画 200・50 本では式は $S_1^2/400$ と同じ $2.943591$ になる。
5. 分離子
観察 5.1 分離子は、予算が区画の数を決めるか、林の区画の数が上限になるか。予算が区画の数を決めるうちは、補正は一定の量を引くだけで、最良の本数は $16.5096$ の近くの 17 本から動かなかった。林の区画の数が上限になると、区画の数はそれ以上増やせず、残りの予算で本数を増やすのが最良になり、全部の木を測る予算ではばらつきが 0 になった。
観察 5.2 言わないこと。層との組み合わせ、区画ごとに本数を変えること、移動の費用、予算を余らせない配り方、実在の調査で何本測るべきかは扱わない。示したのは、有限の林から戻さずに抜くとき、最良の本数がいつ保たれ、いつ動くかである。
6. 点呼と結び
- 戻さずに抜く二段の抜き取りの式(第1節):論文980 の林。
- 予算 14000 まで最良は 17 本(計算 2.1):補正で動かない。
- 補正の差 $\mathbf{2.943591}$(計算 2.1):区画の平均の分散÷区画の数で一定。
- 予算 20000 で 400 区画・$\mathbf{30}$ 本(計算 3.1):本数の側へ移る。
- 乱数は式の $\mathbf{1.000904}$ 倍など(計算 4.1):式と合う。
- 予算か、区画の数の上限か(観察 5.1):分離子・論文980 の射程注記。
結び:有限の林でも最良の本数は変わらず、区画を全部測れる予算から先は本数を増やすのが最良である。980 の林から区画も木も戻さずに抜くと、予算 1000 から 14000 の最良は一区画 17 本のままで、補正はばらつきを $2.943591$ だけ一定に下げた。予算 20000 では 400 区画・30 本、28000 では全部の木が最良になり、無限と置いた式は 540 区画や 756 区画という林に無い数を選んだ。戻さずに抜く乱数は式の $1.020748$〜$0.984477$ 倍だった。分離子は、予算が区画の数を決めるか、林の区画の数が上限になるか。既刊との位置:論文980 が無限の集団と置いて数えた最良の本数に、論文980 が入れなかった有限の集団の補正を足した。正直に言えば、一つの乱数の林で、補正ありの式を総当たりし乱数で確かめた。最良の本数がいつ保たれいつ動くか、そこまでである。
参考文献
- Cochran, W. G. (1977). Sampling Techniques. Wiley.
- 山岸勇輝 (2026). 『区画の中で測る本数の最良は予算によらず、二倍にしても半分にしても損は同じ』[論文980]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/980
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「有限の林でも最良の本数は変わらず、区画を全部測れる予算から先は本数を増やすのが最良」[論文998]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/998
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/998・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 有限の林でも最良の本数は変わらず、区画を全部測れる予算から先は本数を増やすのが最良 [論文998]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/998
Yamagishi, Y. (2026). In a Finite Forest the Best Number of Trees per Plot Holds, Until the Budget Covers Every Plot and More Trees Become Best [Paper 998]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/998
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author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {In a Finite Forest the Best Number of Trees per Plot Holds, Until the Budget Covers Every Plot and More Trees Become Best},
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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