【M001】「死亡率が上がった」は、年齢構成の動きと年齢別の率の動きを一語で呼んでいる

要旨

本稿が問うのは、日本の粗死亡率が 1980 年から 2024 年に 2.148 倍になったことが、死の危険が増えたことを意味するのか、人口の年齢構成が変わったことを意味するのか、である。答えは、二つを分けると年齢構成の動きが上昇の全部を超えて押し上げ、年齢別の率の動きはむしろ押し下げていた、である。新しい数学定理も新しい法則も主張しない。

第一に、粗死亡率(人口10万対)は 1980 年の 621.4 から 2024 年の 1334.5 へ 2.148 倍になった。同じ 44 年間に、年齢別の死亡率は 19 の年齢階級すべてで下がっている(2024 年 ÷ 1980 年は 0.241 から 0.671)(第4節)。

第二に、これが本稿の芯である。差 +713.4 を北川の分解で二つに分けると、年齢構成の効果が +1522.3、年齢別の率の効果が −808.8 になる。年齢構成の動きだけで、実際の上昇の 2.134 倍が出る。増えたのは危険ではなく、高い年齢にいる人の割合である(65 歳以上の割合は 0.0912 から 0.2996)(第5節)。

第三に、この分け方の量は一通りではない。重みをどの年に置くか、区間ごとに足すかで、年齢構成の効果は +1042.9 から +2001.6 まで 1.919 倍動く。しかし四通りのどれでも「年齢構成の効果 > 差 > 0 > 年齢別の率の効果」の並びは変わらない。量は約束で決まり、向きはデータで決まる(第6節)。

第四に、1950 年から 2024 年までの隣り合う 23 区間で、年齢構成の効果は 23 区間すべてで正だった。年齢別の率の効果が正になったのは 2020→2021、2021→2022、2023→2024 の 3 区間だけで、2020 年から 2024 年の上昇 +222.3 のうち 0.432 は年齢別の率の側にある。本稿はその原因を述べない(第7節)。

第五に、本稿の計算は公式の年齢調整死亡率を再現する。95 歳以上の率が表にある 2005〜2024 年は、平成27年モデル人口による男女別の値 26 個がすべて小数 1 桁で一致し、昭和60年モデル人口による旧い公式値 32 個は食い違いの最大が 0.0937 である。1955〜2000 年はこの表だけでは 90 歳以上を分けられず、20 個とも公式より 0.063 から 0.499 低く出る(第8節)。

第六に、年齢調整死亡率の水準は基準人口の選び方で 2.945 倍違う(2024 年、平成27年モデル ÷ 昭和60年モデル)が、1980 年から 2024 年への比は 0.503 と 0.490 でほとんど同じである。年齢調整死亡率は、値ではなく動きを読む量である(第8節)。

本稿の射程(scope note):新しい数学定理も新しい法則も主張しない。年齢調整(直接法)と、二つの率の差を二つの効果に分ける北川の分解(Kitagawa 1955)は、どちらも既知の手法である。本稿は日本の公開の集計表にそれを当て、数の形を読むだけである。本稿は公開の集計データの数の形を述べる構造的解釈であり、医学的な助言・診断・治療の推奨ではない。著者は医師ではない。個人の健康に関する判断は医師・医療機関に相談すること。査読を経ていないプレプリントである。 原因を述べない。年齢別の率がなぜ下がったのか、2020→2022 年と 2023→2024 年になぜ上がったのかには立ち入らない。死因にも分けていない。扱うのは日本の全死因だけである。男女計を主に、男女別を確かめに使う。他の国、死因別、地域別には広げない。使ったのは公開の集計表だけである。厚生労働省『人口動態統計』と総務省統計局『人口推計』(e-Stat)で、個人に関する情報は含まない。本稿の分解・年齢調整・逆算した人口は、それらを加工して作った数であり、国が作成した数ではない。既刊との関係:論文183 は、どの群で見ても一方が勝つのに併せると逆転する表を作り、その機構が群の重みの違いであることを示した。ここではその重みの違いを、日本の死亡統計の年次比較で測り、差を二つに厳密に分ける。論文300 は、二つのものが同じ根か別の根かを「何を動かすと片方だけが動くか」で判定できることを示した。ここでは「死亡率が上がった」という一語の下で、年齢構成を動かすと動く部分と、年齢別の率を動かすと動く部分を分ける。加えたのは、予測を先に書いてから測ったこと、分け方を四通りにして量と向きを分けたこと、公式の年齢調整死亡率を計算し直し、再現できる年とできない年の境目を示したこと、逆算した分母を人口推計と突き合わせたことである。

1. 記法と問い

粗死亡率は、一年の死亡数をその年の人口で割ったものである。本稿では人口10万あたりで書く。これは、年齢階級ごとの死亡率 m に、その階級が人口に占める割合 c を掛けて、全階級で足したもの(Σ c × m)に等しい。

粗死亡率が上がったとき、動いたかもしれないものは二つある。年齢別の率 m と、年齢構成 c である。

問い:日本の粗死亡率の上昇を作っているのは、どちらか。

観察 1.1:「死亡率が上がった」という言い方は、Σ c × m という和を指している。和は、c が動いても m が動いても動く。一つの語が、二つの別の動きをまとめて呼んでいる。

観察 1.2:だから決着させられる。二つを別々に動かしたときの寄与に分ければよい。二つの年 a と b の差を、次の二つに分ける(北川の分解)。

  • 年齢別の率の効果:年齢構成を a と b の平均に固定したまま、率だけを a から b へ動かした分
  • 年齢構成の効果:率を a と b の平均に固定したまま、構成だけを a から b へ動かした分

この二つの和は、差にちょうど等しい(近似ではない)。

2. 二つの予測を、測る前に書く

予測A(年齢構成が作っている):年齢構成の効果が正で、差の全部かそれ以上を占める。年齢別の率の効果は負である。

予測B(危険が増えた):年齢別の率の効果が正で、差の大半を占める。

この二つは、年齢別の率の効果の符号で正反対を言う。だから決着する。

設計(走らせる前に宣言し、実行時に変えていない)

中身
比べる年 ① 表の中で粗死亡率が最も低い年 → 2024 年(どの年になるかはデータで決める。結果は 1980 年)
比べる年 ② 1950 年 → 2024 年
比べる年 ③ 表の隣り合う年どうし(1950→1955→…→2010→2014→2015→…→2024)の 23 区間
年齢階級 0〜4 歳から 85〜89 歳までの 5 歳階級 18 と、90 歳以上 1 つ(計 19)
人口 表の死亡数 ÷ 死亡率 × 10万 で逆算する(表そのものが使った分母)
分け方 北川の分解(重みは二つの年の平均)

観察 2.1:90 歳以上を一つにまとめたのは、1950〜2000 年の表が 90 歳以上を一つの率でしか出していないからである。全年で同じ階級を使うために、そろえて粗いほうに合わせた。

3. データと、その確かめ

使ったのは厚生労働省『人口動態統計』令和6年(確定数)上巻の第5.15表(性・年齢 5 歳階級・年次別の死亡数と死亡率)である。年の列は 24 個で、1950〜2010 年は 5 年おき、2014〜2024 年は毎年である。取得したファイルは SHA-256 で固定し、検算は走らせるたびに照合する。

計算 3.1 表の中の釣り合い

確かめたこと 結果
年齢別の死亡数+年齢不詳=総数(3 性 × 24 年) 72 通りすべて一致
男+女=男女計(24 年 × 22 欄) 外れ 0 件
使う升目の死亡数の最小 136(10 未満の升目は無い)
逆算した分母で作り直した粗死亡率と公表値の差 最大 0.968(公表は小数 1 桁・分子に年齢不詳を含む)

計算 3.2 逆算した人口を、総務省統計局『人口推計』の日本人人口(2000〜2020 年・千人単位)と突き合わせる。照合した年 10 個 × 19 階級=190 升目である。

年 階級ごとの相対差(中央) 最大
2000 0.00016 0.00297
2005 0.00017 0.00491
2010 0.00017 0.00566
2015 0.00031 0.00381
2020 0.00016 0.00409
2016 0.00108 0.00793
2017 0.00173 0.01185
2018 0.00255 0.01728
2019 0.00402 0.02081

観察 3.3:国勢調査の年(2000・2005・2010・2015・2020)は、相対差の中央が各年 0.00031 以下、最大でも 0.00566 である。二つの独立な数え方が、ほぼ同じ分母を返している。

観察 3.4:2016〜2019 年だけは、相対差の中央が 0.00108・0.00173・0.00255・0.00402 と年を追って広がる。本稿はこの広がりの理由を確かめていない。 分析には逆算した人口(表そのものが使った分母)を使うので、分解の結果には響かない。

4. 実測、粗死亡率は上がり、年齢別の率は下がった

粗死亡率(公表値・人口10万対)は、1950 年 1087.6 → 1980 年 621.4 → 2024 年 1334.5 と、下がってから上がった。表の中で最も低いのは 1980 年である。

計算 4.1 1980 年と 2024 年の年齢別の死亡率(人口10万対)と、人口に占める割合

年齢階級 率 1980 率 2024 2024 ÷ 1980 割合 1980 割合 2024
0〜4 192.7 46.5 0.241 0.07271 0.03192
5〜9 27.8 7.6 0.273 0.08576 0.03819
10〜14 18.3 10.1 0.552 0.07644 0.04224
15〜19 49.2 24.1 0.490 0.07065 0.04431
20〜24 62.3 38.1 0.612 0.06693 0.04736
25〜29 69.9 38.9 0.557 0.07715 0.04915
30〜34 81.9 46.6 0.569 0.09208 0.04934
35〜39 125.3 64.8 0.517 0.07864 0.05437
40〜44 194.4 92.8 0.477 0.07131 0.06125
45〜49 324.2 145.2 0.448 0.06928 0.07102
50〜54 476.6 230.4 0.483 0.06164 0.07989
55〜59 680.7 359.5 0.528 0.04799 0.06935
60〜64 1100.4 561.6 0.510 0.03819 0.06202
65〜69 1865.8 910.2 0.488 0.03394 0.05980
70〜74 3297.9 1543.4 0.468 0.02590 0.06772
75〜79 5911.1 2393.6 0.405 0.01746 0.06525
80〜84 10106.8 4318.3 0.427 0.00938 0.05083
85〜89 16440.8 8158.7 0.496 0.00352 0.03268
90 歳以上 27253.3 18290.1 0.671 0.00102 0.02331

観察 4.2:19 階級すべてで、率は下がっている。 2024 ÷ 1980 は最小 0.241(0〜4 歳)、最大 0.671(90 歳以上)で、どの階級も 1 より小さい。

観察 4.3:一方、人口は高い年齢へ移った。65 歳以上の割合は 0.0912 から 0.2996 へ、80 歳以上の割合は 0.0139 から 0.1068 へ増えた。どの年齢でも死ににくくなったのに、死にやすい年齢にいる人の割合が増えた。 粗死亡率が上がりうるのは、この二つが逆を向いているからである。

図3 年齢別の率はどの年齢でも下がり、人口は高い年齢へ移った

図3:左は年齢別の死亡率(対数目盛)で、2024 年の線はすべての年齢で 1980 年の線より下にある。右は人口の年齢構成で、2024 年の棒は高い年齢の側で 1980 年の棒を大きく上回る。

5. 北川の分解、上昇の全部を超えて、年齢構成が押し上げた

計算 5.1 男女計・19 階級・人口10万対

区間 差 年齢構成の効果 年齢別の率の効果 構成の効果 ÷ 差
1980 → 2024 +713.4 +1522.3 −808.8 2.134
1950 → 2024 +247.3 +2227.5 −1980.2 9.008
1950 → 1980 −466.2 +323.4 −789.6 、

観察 5.2:予測A が当たり、予測B は外れた。 1980 年から 2024 年の上昇 +713.4 に対し、年齢構成の効果は +1522.3 で、差の 2.134 倍ある。年齢別の率の効果は −808.8 で、上昇を押し下げている。

観察 5.3:1950 年から 1980 年は、粗死亡率が 466.2 下がった。それでも年齢構成の効果は +323.4 で、すでに押し上げる向きにあった。下がったのは、年齢別の率の効果 −789.6 がそれを上回ったからである。

観察 5.4:1950 年から 2024 年の差は +247.3 しかない。しかしその中身は +2227.5 と −1980.2 の打ち消し合いである。差が小さいことは、動きが小さいことを意味しない。

計算 5.5 年齢だけでなく性でも分けた(38 升目)

区間 19 階級:構成/率 38 升目:構成/率
1980 → 2024 +1522.3 / −808.8 +1539.5 / −826.4
1950 → 2024 +2227.5 / −1980.2 +2251.3 / −2004.3

観察 5.6:性でも分けると、年齢構成の効果は +1522.3 から +1539.5 へ少し動くだけである。男女の割合の変化は、この結論を動かさない。

6. 量は取り方で動き、向きは動かない

北川の分解は、重みを二つの年の平均に置く。重みを始めの年に置くことも、終わりの年に置くことも、隣り合う区間ごとに分けて足すこともできる。どれも差にはちょうど一致する。

計算 6.1 1980 → 2024(差 +713.4)を四通りで分ける

分け方 年齢構成の効果 年齢別の率の効果 構成の効果 ÷ 差
北川(平均の重み) +1522.3 −808.8 2.134
1980 年の重み +2001.6 −1288.2 2.806
2024 年の重み +1042.9 −329.5 1.462
隣り合う区間ごとに足す +1218.8 −505.3 1.708

観察 6.2:年齢構成の効果は +1042.9 から +2001.6 まで動き、最大 ÷ 最小は 1.919 である。1950 → 2024 では +1173.3 から +3281.8 まで、2.797 倍動く。「高齢化で何割」という数は、分け方の約束しだいである。

観察 6.3:しかし四通りのどれでも、1980 → 2024 と 1950 → 2024 の両方で、「年齢構成の効果 > 差 > 0 > 年齢別の率の効果」の並びは変わらない。

観察 6.4:量は約束で決まり、向きはデータで決まる。 本稿が言い切るのは向きまでである。

7. 隣り合う年どうし、年齢別の率の効果が正になった三つの区間

計算 7.1 1950 年から 2024 年までの隣り合う 23 区間を、それぞれ北川の分解で分ける。

  • 年齢構成の効果が正の区間:23 / 23
  • 年齢別の率の効果が正の区間:3 個(2020→2021、2021→2022、2023→2024)

図2 隣り合う年どうしの北川の分解

図2:区間ごとの差を、年数で割って 1 年あたりにしてある。金色が年齢構成の効果、紺色が年齢別の率の効果、黒い点が粗死亡率の差である。二つの効果がともに正の区間は、紺色を金色の上に積んである。

観察 7.2:年齢構成の効果(1 年あたり)は、1950→1955 の +1.5 から、2016→2017 の +36.1 まで大きくなった。高齢化の押し上げは、区間を追うごとに強くなっている。

計算 7.3 2019 年から 2024 年の区間

区間 差 年齢構成の効果 年齢別の率の効果
2019 → 2020 −3.2 +23.3 −26.5
2020 → 2021 +60.3 +33.1 +27.2
2021 → 2022 +113.1 +35.3 +77.8
2022 → 2023 +14.6 +31.1 −16.5
2023 → 2024 +34.3 +28.2 +6.1

観察 7.4:2020 年から 2024 年をまとめて分けると、差 +222.3 は年齢構成の効果 +126.4 と年齢別の率の効果 +95.9 に分かれ、率の側が 0.432 を占める。それまでの 20 区間では、率の効果はいつも負だった。公式の年齢調整死亡率も、男は 13.3 から 14.2、女は 7.2 から 7.8 へ上がっている。

観察 7.5:本稿は、この区間で年齢別の率が上がった原因を述べない。 分解が言えるのは、上昇のうちどれだけが率の側にあるかまでである。

8. 年齢調整死亡率、公式の値を計算し直す

年齢調整死亡率は、年齢別の率を、決めた一つの人口構成(基準人口)に当てはめて平均したものである。厚生労働省は平成27年モデル人口を基準にしている(第5.2表)。

計算 8.1 平成27年モデル人口で、男女別の公式値(人口千対)を計算し直す

年の範囲 表にある率 小数 1 桁で一致 再計算 − 公式
2005〜2024 90〜94 歳と 95 歳以上を分けられる 26 / 26 、
1950 90 歳以上の率だけ 2 / 2 男 −0.038・女 +0.020
1955〜2000 90 歳以上の率だけ 0 / 20 −0.499 から −0.063

計算 8.2 昭和60年モデル人口(85 歳以上を一つにまとめた基準人口)で、平成28年版の第5.2表の公式値を計算し直すと、32 個のうち 30 個が小数 1 桁で一致し、食い違いの最大は 0.0937 である。

観察 8.3:95 歳以上を分けられる年は、公式の値をすべて再現する。昭和60年モデル(85 歳以上を分けない)は、1955〜2000 年も含めて再現する。したがって、1955〜2000 年の平成27年モデルの食い違いは、90 歳より上の分け方にあると絞れる。そこで公式がどの率を使ったかは、本稿では確かめていない。また、90 歳以上を一つにまとめて平成27年モデルを当てると、一致は 7 / 48 に落ちる。基準人口が細かく分けている所で、率を粗くまとめてはいけない。

計算 8.4 男女計の年齢調整死亡率(本稿の計算・19 階級・人口10万対)

年 粗死亡率 平成27年モデル 昭和60年モデル
1950 1087.6 3645.3 1631.1
1980 621.4 2087.5 728.6
2015 1029.8 1048.2 358.1
2020 1112.5 973.8 334.4
2024 1334.5 1050.3 356.7

観察 8.5:1980 年から 2024 年への比は、平成27年モデルで 0.503、昭和60年モデルで 0.490 である。ところが水準は、2024 年で平成27年モデル ÷ 昭和60年モデル = 2.945、1980 年で 2.865、1950 年で 2.235 と大きく違う。年齢調整死亡率の値そのものは、基準人口という約束の産物である。読むべきは動きである。

観察 8.6:平成27年モデル人口の総数 125,319,000 は、2015 年の逆算した人口の和 125,321,432 に近い。基準人口に近い年では、粗死亡率と年齢調整死亡率がほとんど重なる(2015 年に 1029.8 と 1048.2)。二つの線は 2015 年と 2016 年のあいだで入れ替わる。

図1 粗死亡率は上がり、年齢調整死亡率は下がった

図1:縦軸は対数目盛。紺が粗死亡率(公表値)、金が平成27年モデル人口による年齢調整、灰色の破線が昭和60年モデル人口による年齢調整(どちらも本稿の計算・男女計)。二本の年齢調整の線は、水準は違うがほぼ平行に下がる。どちらも 2020 年が最も低い。

9. 限界

  1. 年齢は 5 歳階級で、90 歳以上をまとめた。 階級の中での年齢の偏りの変化は、年齢別の率の効果に入る。
  2. 年齢と性のほかの構成は測っていない。 性で分けても年齢構成の効果は +1522.3 から +1539.5 へ少し動くだけだったが、地域・国籍などの構成の変化は、年齢別の率の効果に混ざっている。
  3. 分け方の量は約束で動く(第6節)。本稿が言い切るのは、四通りで変わらない向きまでである。
  4. 原因を述べない。 年齢別の率が下がった理由も、2020 年以降に上がった区間の理由も、この分解の外にある。死因にも分けていない。
  5. 分母は逆算した人口である。 国勢調査の年は人口推計と相対 0.00566 以内で合うが、2016〜2019 年は最大 0.02081 まで広がる。
  6. 1955〜2000 年の公式の年齢調整死亡率(平成27年モデル)は、この表だけでは再現できない(第8節)。
  7. 日本・全死因だけである。 他の国、死因別、地域別については何も述べない。

結び

「死亡率が上がった」は、測ってみると二つの別の動きの和だった。1980 年から 2024 年に、粗死亡率は 2.148 倍になった。同じ 44 年間に、年齢別の死亡率は 19 階級すべてで下がった。北川の分解では、年齢構成の効果 +1522.3 が上昇の全部を超えて押し上げ、年齢別の率の効果 −808.8 が押し下げている。分け方を四通りに替えると量は 1.919 倍動くが、向きは一度も変わらない。

分けるものは一つ、動かしたのが年齢構成か、年齢別の率か、である。

そして 2020 年からの区間では、初めて年齢別の率の側も上昇に加わった(2020→2024 の 0.432)。その理由は、この分解が答える問いの外にある。

データと再現

データ 厚生労働省『人口動態統計』令和6年(確定数)上巻 第5.15表・第5.2表・付録第6表(平成27年・昭和60年モデル人口)、平成28年 上巻 第5.2表。総務省統計局『人口推計』第3表(2000〜2020 年)。すべて e-Stat から取得(2026年9月25日に利用)
利用条件 e-Stat のコンテンツは政府標準利用規約(第2.0版)に準拠(CC BY 4.0 互換)。本稿の数は、これらを加工して作成したものである
範囲 日本(日本における日本人)・全死因・1950〜2024 年(1950〜2010 年は 5 年おき、2014〜2024 年は毎年)
年齢階級 5 歳階級 18 と 90 歳以上(計 19)
検算 検算/M001.py(--zu で図も書き出す)。本文の数字はすべて 検算/M001_output.txt から取っている
生データ data/ に取得したそのままのファイル 6 本と SOURCES.md(URL・取得日・SHA-256)。検算は走らせるたびに SHA-256 を照合する
図 図/M001_zu1・図/M001_zu2・図/M001_zu3(png・svg・英語版)

参考文献

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  • 厚生労働省. 人口動態統計 令和6年(確定数)上巻 第5.15表・第5.2表・付録第6表、平成28年 上巻 第5.2表. e-Stat(2026年9月25日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 総務省統計局. 人口推計 第3表 年齢(5歳階級及び3区分),男女別人口(各年10月1日現在)-総人口,日本人人口(2000年~2020年). e-Stat(2026年9月25日に利用). https://www.e-stat.go.jp/
  • 山岸勇輝 (2026). 同じ表が、二つの正しい答を持つ [論文183]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22104230
  • 山岸勇輝 (2026). 三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる [論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「「死亡率が上がった」は、年齢構成の動きと年齢別の率の動きを一語で呼んでいる」[M001]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22963112

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M001・DOI 10.5281/zenodo.22963112・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). 「死亡率が上がった」は、年齢構成の動きと年齢別の率の動きを一語で呼んでいる [M001]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M001 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22963112

Yamagishi, Y. (2026). “The Death Rate Rose” Names Two Movements at Once, the Age Composition and the Age-Specific Rates [M001]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M001; DOI: 10.5281/zenodo.22963112

@misc{yamagishi2026yoiM001,
  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {"The Death Rate Rose" Names Two Movements at Once, the Age Composition and the Age-Specific Rates},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/M001},
  doi = {10.5281/zenodo.22963112},
  note = {Preprint}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
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