【論文486】三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である

要旨

三つの分野で最適点が「ちょうど半分」に来るのは、それぞれの物理の帰結だと思われている。本稿が示すのは、三つが同じ二次関数の頂点であることである。三次にすると $\mathbf{1/3}$ になり、半分は消える。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、整合負荷では $R^{*}=1.000000$(内部抵抗に等しい)で、そのときの効率がちょうど $\mathbf{0.500000}$ である(第2節)。

第二に、交通流では $k^{*}=75.000000$ が渋滞密度の半分、$v^{*}=50.000000$ が自由流速度の半分になる(第2節)。

第三に、独占では $p^{*}=50.000000$ が需要曲線の切片の半分になる(第2節)。

第四に、これが本稿の芯である。三つを無次元化すると $\mathbf{[0.499999994, 0.5, 0.5]}$ となり、同じ $1/2$ に落ちる(第3節)。

第五に、対照のベッツでは最適が $\mathbf{0.333333330}$、最大値が $\mathbf{0.592592593}$($16/27$)になる。目的関数が三次だからである(第3節)。

第六に、分離子は「目的関数の次数」であって、分野ではない(第4節)。

キーワード:二次関数の頂点、整合負荷、ベッツ限界、独占価格、交通容量。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。整合負荷、グリーンシールズの交通流モデル、独占の価格決定、ベッツ限界は、いずれも標準的である。モデルの当否を論じない。交通流が線形の速度$ $密度関係に従うか、需要曲線が直線かは主題ではない。モデルを与えられたものとして、その最適点の位置だけを見る。最適化の一般論を書かない。凸性、一階条件、多変数への拡張は扱わない。一変数の頂点だけである。三つが同じ現象だとは言わない。電気回路と交通と市場に共通の機構があるとは主張しない。共通なのは目的関数の形であって、対象ではない。ベッツを解き直さない。風車の理論そのものは主題ではなく、次数の違う対照として置くだけである。既刊との関係:論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示した。本稿はその「最大電力の点」だけを取り、他分野と横に並べる。論文479 は一つの数の下に三つの根を見つけた。本稿は逆向きで、三つの場面の下に一つの根を見つける。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。本稿は同根の側の例である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、三つの最適点を同じ表に置いたこと、無次元化して $[0.499999994, 0.5, 0.5]$ を出したこと、ベッツを対照として $0.333333330$ と $16/27$ を出したこと、差 $0.166667$ を次数の差に帰したこと、分離子を分野ではなく次数に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:三つの場面で、最適点を一変数で書く。

$$P(R)=\frac{E^{2}R}{(r+R)^{2}},\qquad
q(k)=v_{f}k\left(1-\frac{k}{k_{j}}\right),\qquad
\Pi(Q)=Q\,(a-bQ)-cQ$$

左から、内部抵抗 $r$ の電源が外部抵抗 $R$ に渡す電力、密度 $k$ のときの交通の流量、生産量 $Q$ のときの独占の利潤である。どれも最大点で「半分」が現れる。

観察 1.1 三つの「半分」は、それぞれの物理の帰結だと思われている。回路の話、道路の話、市場の話、別々の理由で半分になった、という像である。

観察 1.2 だが三つとも、最大化する量が変数の二次式である。$q(k)$ は $k$ の二次、$\Pi(Q)$ は $Q$ の二次、二次関数の頂点は、二つの根の真ん中に来る。

問い:半分を決めているのは分野か、次数か。

2. 三つの最適点

計算 2.1:三つを数値で解く。

場面 最適点 そのときの値
整合負荷($r=1$) $R^{*}=\mathbf{1.000000}$ 効率 $\mathbf{0.500000}$
交通流 $k^{*}=\mathbf{75.000000}$ $q_{\max}=3750.000000$
独占 $Q^{*}=25.000000$ $p^{*}=\mathbf{50.000000}$

観察 2.2 整合負荷では、最適が内部抵抗に等しい。$R^{*}=1.000000$ で $r=1$、そのとき電圧が電源で半分、負荷で半分に分かれ、効率がちょうど $0.500000$ になる。

観察 2.3 交通流では、最適が渋滞密度の半分である。$75.000000$ 対 $k_{j}/2=75.0$、そのときの速度も自由流の半分の $50.000000$ で、二つの半分が同時に立つ。

観察 2.4 独占では、価格が需要曲線の切片の半分である。$50.000000$ 対 $50.0$、限界費用が $0$ のときで、利潤は $1250.000000$ になる。

観察 2.5 三つとも、半分になる相手が違う。抵抗・密度・価格、単位も対象も揃っておらず、そのままでは比べられない。

3. 無次元化すると一つになる

計算 3.1:それぞれの変数を、上限で割って無次元にする。

場面 無次元化した最適点
整合負荷 $\mathbf{0.499999994}$
交通流 $\mathbf{0.500000000}$
独占 $\mathbf{0.500000000}$

観察 3.2 三つとも $1/2$ に落ちる。$[0.499999994, 0.5, 0.5]$、整合負荷だけ末尾が違うのは数値探索の刻みによるもので、閉じた式は $1/2$ である。

計算 3.3:対照として、ベッツの問題を同じやり方で解く。取り出す割合 $a$ に対して出力係数は $C_{p}=4a(1-a)^{2}$ で、$a$ の三次式である。

量 値
最適な $a$ $\mathbf{0.333333330}$
そのときの $C_{p}$ $\mathbf{0.592592593}$($16/27$)

観察 3.4 ベッツは $1/2$ にならない。$0.333333330$、$1/3$ であり、三つの「半分」とは別の場所に来る。

観察 3.5 最大値も既知と合う。$0.592592593$ 対 $16/27=0.592592593$、独立な確認であり、対照の計算自体は正しい。

観察 3.6 違いは次数だけである。二次なら $1/2$、三次なら $1/3$、差は $0.166667$、$x(1-x)^{n-1}$ の頂点が $1/n$ に来るからで、分野は関係していない。

観察 3.7 だから「半分」は物理ではなく、形である。同じ形が三つの分野に置かれていた。一致していたのは対象ではなく、目的関数の次数だった。

4. 分離子

分離子:最適点を決めているのが分野か、目的関数の次数か。

観察 4.1 分野なら、値は分野ごとに違うはずである。回路と道路と市場、同じ $1/2$ が三度出る理由が無い。

観察 4.2 次数なら、次数を変えれば動くはずである。三次にすると $1/3$、実際に動いた。

観察 4.3 動いたのだから、決めていたのは次数である。$0.5$ が三つ、$0.333333330$ が一つ、分野で並べても切れず、次数で並べると切れる。

観察 4.4 論文479 とは向きが逆である。あちらは一つの数の下に三つの根を見つけた。こちらは三つの場面の下に一つの根を見つけた。同じ判定を、逆向きに使っている。

観察 4.5 論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示した。本稿はその「最大電力の点」だけを取った。そこで出る $0.500000$ は効率であって、最大化された量ではない。

観察 4.6 これは論文481 でいう分離子の一本である。「最適は半分のところにある」という主張が外れたとき、モデルが外れたのか、次数が二次でなかったのかで、直す先が違う。

観察 4.7 正直に言えば、三つが二次になったこと自体は説明していない。示したのは、二次であれば $1/2$、三次であれば $1/3$ に来るということまでである。なぜ交通流も独占も二次で書けるのかは、それぞれのモデルの選び方の話であり、本稿の外にある。

5. 点呼と結び

  1. 整合負荷で効率 $0.500000$(計算 2.1):$R^{*}=1.000000$ で。
  2. 交通流で $k^{*}=75.000000$(観察 2.3):速度も半分の $50.000000$。
  3. 独占で $p^{*}=50.000000$(観察 2.4):切片の半分。
  4. 半分になる相手が三つとも違う(観察 2.5):そのままでは比べられない。
  5. 無次元化で $[0.499999994, 0.5, 0.5]$(計算 3.1):本稿の芯。
  6. ベッツは $0.333333330$(観察 3.4):$1/2$ に来ない。
  7. $C_{p}$ が $16/27$ と一致(観察 3.5):独立な確認。
  8. 差 $0.166667$ は次数の差(観察 3.6):$x(1-x)^{n-1}$ の頂点は $1/n$。
  9. 分離子は分野ではなく次数(観察 4.3):次数で並べると切れる。
  10. 二次になる理由は説明していない(観察 4.7):モデルの選び方の話。

結び:三つの「半分」は、それぞれの物理の帰結だと思われている。回路の話、道路の話、市場の話が、別々の理由で半分になったという像である。だが三つとも、最大化する量が変数の二次式であり、二次関数の頂点は二つの根の真ん中に来る。三つの最適点、整合負荷では最適が内部抵抗に等しい $R^{*}=\mathbf{1.000000}$ で、電圧が電源と負荷に半分ずつ分かれ、効率がちょうど $\mathbf{0.500000}$ になる。交通流では最適が渋滞密度の半分の $\mathbf{75.000000}$ で、そのときの速度も自由流の半分の $50.000000$、二つの半分が同時に立つ。独占では価格が需要曲線の切片の半分の $\mathbf{50.000000}$ で、限界費用が $0$ のとき利潤は $1250.000000$ になる。三つとも半分になる相手が違い、抵抗・密度・価格と単位も対象も揃っておらず、そのままでは比べられない。無次元化すると一つになる。それぞれの変数を上限で割ると $\mathbf{[0.499999994, 0.5, 0.5]}$ となり、三つとも $1/2$ に落ちる。整合負荷だけ末尾が違うのは数値探索の刻みによるもので、閉じた式は $1/2$ である。対照としてベッツを同じやり方で解くと、$C_{p}=4a(1-a)^{2}$ は $a$ の三次式で、最適な $a$ は $\mathbf{0.333333330}$、そのときの $C_{p}$ は $\mathbf{0.592592593}$ すなわち $16/27$ である。ベッツは $1/2$ にならず $1/3$ に来る。最大値が既知の $16/27$ と一致することが、対照の計算自体の独立な確認になる。違いは次数だけで、二次なら $1/2$、三次なら $1/3$、差は $0.166667$、$x(1-x)^{n-1}$ の頂点が $1/n$ に来るからで、分野は関係していない。だから「半分」は物理ではなく形であり、一致していたのは対象ではなく目的関数の次数だった。分けているものは一つ、最適点を決めているのが分野か、目的関数の次数か。分野なら値は分野ごとに違うはずで、回路と道路と市場に同じ $1/2$ が三度出る理由が無い。次数なら次数を変えれば動くはずで、三次にすると $1/3$ になり、実際に動いた。動いたのだから決めていたのは次数であり、分野で並べても切れず、次数で並べると切れる。論文479 とは向きが逆で、あちらは一つの数の下に三つの根を見つけ、こちらは三つの場面の下に一つの根を見つけた。同じ判定を、逆向きに使っている。論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示したが、本稿はその「最大電力の点」だけを取っており、そこで出る $0.500000$ は効率であって、最大化された量ではない。これは論文481 でいう分離子の一本で、「最適は半分のところにある」という主張が外れたとき、モデルが外れたのか次数が二次でなかったのかで直す先が違う。正直に言えば、三つが二次になったこと自体は説明していない。示したのは、二次であれば $1/2$、三次であれば $1/3$ に来るということまでで、なぜ交通流も独占も二次で書けるのかは、それぞれのモデルの選び方の話であり、本稿の外にある。

参考文献

  1. Greenshields, B. D. (1935). A Study of Traffic Capacity. Proceedings of the Highway Research Board.
  2. Betz, A. (1920). Das Maximum der theoretisch möglichen Ausnützung des Windes durch Windmotoren. Zeitschrift für das gesamte Turbinenwesen.
  3. Varian, H. R. (1992). Microeconomic Analysis (3rd ed.). W. W. Norton.
  4. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  5. 山岸勇輝 (2026). 『最大の電力と最大の効率は、同じ点にない』[論文357]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22697180
  6. 山岸勇輝 (2026). 『体系に七つある同じ数は、二組と一つに分かれる』[論文479]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733844
  7. 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である」[論文486]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22759952

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である [論文486]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/486 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22759952

Yamagishi, Y. (2026). The “Exactly Half” in Three Fields Is the Vertex of a Parabola, Not Physics [Paper 486]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/486; DOI: 10.5281/zenodo.22759952

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