要旨
三つの分野で最適点が「ちょうど半分」に来るのは、それぞれの物理の帰結だと思われている。本稿が示すのは、三つが同じ二次関数の頂点であることである。三次にすると $\mathbf{1/3}$ になり、半分は消える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、整合負荷では $R^{*}=1.000000$(内部抵抗に等しい)で、そのときの効率がちょうど $\mathbf{0.500000}$ である(第2節)。
第二に、交通流では $k^{*}=75.000000$ が渋滞密度の半分、$v^{*}=50.000000$ が自由流速度の半分になる(第2節)。
第三に、独占では $p^{*}=50.000000$ が需要曲線の切片の半分になる(第2節)。
第四に、これが本稿の芯である。三つを無次元化すると $\mathbf{[0.499999994, 0.5, 0.5]}$ となり、同じ $1/2$ に落ちる(第3節)。
第五に、対照のベッツでは最適が $\mathbf{0.333333330}$、最大値が $\mathbf{0.592592593}$($16/27$)になる。目的関数が三次だからである(第3節)。
第六に、分離子は「目的関数の次数」であって、分野ではない(第4節)。
キーワード:二次関数の頂点、整合負荷、ベッツ限界、独占価格、交通容量。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。整合負荷、グリーンシールズの交通流モデル、独占の価格決定、ベッツ限界は、いずれも標準的である。モデルの当否を論じない。交通流が線形の速度$ $密度関係に従うか、需要曲線が直線かは主題ではない。モデルを与えられたものとして、その最適点の位置だけを見る。最適化の一般論を書かない。凸性、一階条件、多変数への拡張は扱わない。一変数の頂点だけである。三つが同じ現象だとは言わない。電気回路と交通と市場に共通の機構があるとは主張しない。共通なのは目的関数の形であって、対象ではない。ベッツを解き直さない。風車の理論そのものは主題ではなく、次数の違う対照として置くだけである。既刊との関係:論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示した。本稿はその「最大電力の点」だけを取り、他分野と横に並べる。論文479 は一つの数の下に三つの根を見つけた。本稿は逆向きで、三つの場面の下に一つの根を見つける。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。本稿は同根の側の例である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、三つの最適点を同じ表に置いたこと、無次元化して $[0.499999994, 0.5, 0.5]$ を出したこと、ベッツを対照として $0.333333330$ と $16/27$ を出したこと、差 $0.166667$ を次数の差に帰したこと、分離子を分野ではなく次数に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:三つの場面で、最適点を一変数で書く。
$$P(R)=\frac{E^{2}R}{(r+R)^{2}},\qquad
q(k)=v_{f}k\left(1-\frac{k}{k_{j}}\right),\qquad
\Pi(Q)=Q\,(a-bQ)-cQ$$
左から、内部抵抗 $r$ の電源が外部抵抗 $R$ に渡す電力、密度 $k$ のときの交通の流量、生産量 $Q$ のときの独占の利潤である。どれも最大点で「半分」が現れる。
観察 1.1 三つの「半分」は、それぞれの物理の帰結だと思われている。回路の話、道路の話、市場の話、別々の理由で半分になった、という像である。
観察 1.2 だが三つとも、最大化する量が変数の二次式である。$q(k)$ は $k$ の二次、$\Pi(Q)$ は $Q$ の二次、二次関数の頂点は、二つの根の真ん中に来る。
問い:半分を決めているのは分野か、次数か。
2. 三つの最適点
計算 2.1:三つを数値で解く。
| 場面 | 最適点 | そのときの値 |
|---|---|---|
| 整合負荷($r=1$) | $R^{*}=\mathbf{1.000000}$ | 効率 $\mathbf{0.500000}$ |
| 交通流 | $k^{*}=\mathbf{75.000000}$ | $q_{\max}=3750.000000$ |
| 独占 | $Q^{*}=25.000000$ | $p^{*}=\mathbf{50.000000}$ |
観察 2.2 整合負荷では、最適が内部抵抗に等しい。$R^{*}=1.000000$ で $r=1$、そのとき電圧が電源で半分、負荷で半分に分かれ、効率がちょうど $0.500000$ になる。
観察 2.3 交通流では、最適が渋滞密度の半分である。$75.000000$ 対 $k_{j}/2=75.0$、そのときの速度も自由流の半分の $50.000000$ で、二つの半分が同時に立つ。
観察 2.4 独占では、価格が需要曲線の切片の半分である。$50.000000$ 対 $50.0$、限界費用が $0$ のときで、利潤は $1250.000000$ になる。
観察 2.5 三つとも、半分になる相手が違う。抵抗・密度・価格、単位も対象も揃っておらず、そのままでは比べられない。
3. 無次元化すると一つになる
計算 3.1:それぞれの変数を、上限で割って無次元にする。
| 場面 | 無次元化した最適点 |
|---|---|
| 整合負荷 | $\mathbf{0.499999994}$ |
| 交通流 | $\mathbf{0.500000000}$ |
| 独占 | $\mathbf{0.500000000}$ |
観察 3.2 三つとも $1/2$ に落ちる。$[0.499999994, 0.5, 0.5]$、整合負荷だけ末尾が違うのは数値探索の刻みによるもので、閉じた式は $1/2$ である。
計算 3.3:対照として、ベッツの問題を同じやり方で解く。取り出す割合 $a$ に対して出力係数は $C_{p}=4a(1-a)^{2}$ で、$a$ の三次式である。
| 量 | 値 |
|---|---|
| 最適な $a$ | $\mathbf{0.333333330}$ |
| そのときの $C_{p}$ | $\mathbf{0.592592593}$($16/27$) |
観察 3.4 ベッツは $1/2$ にならない。$0.333333330$、$1/3$ であり、三つの「半分」とは別の場所に来る。
観察 3.5 最大値も既知と合う。$0.592592593$ 対 $16/27=0.592592593$、独立な確認であり、対照の計算自体は正しい。
観察 3.6 違いは次数だけである。二次なら $1/2$、三次なら $1/3$、差は $0.166667$、$x(1-x)^{n-1}$ の頂点が $1/n$ に来るからで、分野は関係していない。
観察 3.7 だから「半分」は物理ではなく、形である。同じ形が三つの分野に置かれていた。一致していたのは対象ではなく、目的関数の次数だった。
4. 分離子
分離子:最適点を決めているのが分野か、目的関数の次数か。
観察 4.1 分野なら、値は分野ごとに違うはずである。回路と道路と市場、同じ $1/2$ が三度出る理由が無い。
観察 4.2 次数なら、次数を変えれば動くはずである。三次にすると $1/3$、実際に動いた。
観察 4.3 動いたのだから、決めていたのは次数である。$0.5$ が三つ、$0.333333330$ が一つ、分野で並べても切れず、次数で並べると切れる。
観察 4.4 論文479 とは向きが逆である。あちらは一つの数の下に三つの根を見つけた。こちらは三つの場面の下に一つの根を見つけた。同じ判定を、逆向きに使っている。
観察 4.5 論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示した。本稿はその「最大電力の点」だけを取った。そこで出る $0.500000$ は効率であって、最大化された量ではない。
観察 4.6 これは論文481 でいう分離子の一本である。「最適は半分のところにある」という主張が外れたとき、モデルが外れたのか、次数が二次でなかったのかで、直す先が違う。
観察 4.7 正直に言えば、三つが二次になったこと自体は説明していない。示したのは、二次であれば $1/2$、三次であれば $1/3$ に来るということまでである。なぜ交通流も独占も二次で書けるのかは、それぞれのモデルの選び方の話であり、本稿の外にある。
5. 点呼と結び
- 整合負荷で効率 $0.500000$(計算 2.1):$R^{*}=1.000000$ で。
- 交通流で $k^{*}=75.000000$(観察 2.3):速度も半分の $50.000000$。
- 独占で $p^{*}=50.000000$(観察 2.4):切片の半分。
- 半分になる相手が三つとも違う(観察 2.5):そのままでは比べられない。
- 無次元化で $[0.499999994, 0.5, 0.5]$(計算 3.1):本稿の芯。
- ベッツは $0.333333330$(観察 3.4):$1/2$ に来ない。
- $C_{p}$ が $16/27$ と一致(観察 3.5):独立な確認。
- 差 $0.166667$ は次数の差(観察 3.6):$x(1-x)^{n-1}$ の頂点は $1/n$。
- 分離子は分野ではなく次数(観察 4.3):次数で並べると切れる。
- 二次になる理由は説明していない(観察 4.7):モデルの選び方の話。
結び:三つの「半分」は、それぞれの物理の帰結だと思われている。回路の話、道路の話、市場の話が、別々の理由で半分になったという像である。だが三つとも、最大化する量が変数の二次式であり、二次関数の頂点は二つの根の真ん中に来る。三つの最適点、整合負荷では最適が内部抵抗に等しい $R^{*}=\mathbf{1.000000}$ で、電圧が電源と負荷に半分ずつ分かれ、効率がちょうど $\mathbf{0.500000}$ になる。交通流では最適が渋滞密度の半分の $\mathbf{75.000000}$ で、そのときの速度も自由流の半分の $50.000000$、二つの半分が同時に立つ。独占では価格が需要曲線の切片の半分の $\mathbf{50.000000}$ で、限界費用が $0$ のとき利潤は $1250.000000$ になる。三つとも半分になる相手が違い、抵抗・密度・価格と単位も対象も揃っておらず、そのままでは比べられない。無次元化すると一つになる。それぞれの変数を上限で割ると $\mathbf{[0.499999994, 0.5, 0.5]}$ となり、三つとも $1/2$ に落ちる。整合負荷だけ末尾が違うのは数値探索の刻みによるもので、閉じた式は $1/2$ である。対照としてベッツを同じやり方で解くと、$C_{p}=4a(1-a)^{2}$ は $a$ の三次式で、最適な $a$ は $\mathbf{0.333333330}$、そのときの $C_{p}$ は $\mathbf{0.592592593}$ すなわち $16/27$ である。ベッツは $1/2$ にならず $1/3$ に来る。最大値が既知の $16/27$ と一致することが、対照の計算自体の独立な確認になる。違いは次数だけで、二次なら $1/2$、三次なら $1/3$、差は $0.166667$、$x(1-x)^{n-1}$ の頂点が $1/n$ に来るからで、分野は関係していない。だから「半分」は物理ではなく形であり、一致していたのは対象ではなく目的関数の次数だった。分けているものは一つ、最適点を決めているのが分野か、目的関数の次数か。分野なら値は分野ごとに違うはずで、回路と道路と市場に同じ $1/2$ が三度出る理由が無い。次数なら次数を変えれば動くはずで、三次にすると $1/3$ になり、実際に動いた。動いたのだから決めていたのは次数であり、分野で並べても切れず、次数で並べると切れる。論文479 とは向きが逆で、あちらは一つの数の下に三つの根を見つけ、こちらは三つの場面の下に一つの根を見つけた。同じ判定を、逆向きに使っている。論文357 は最大の電力と最大の効率が同じ点にないと示したが、本稿はその「最大電力の点」だけを取っており、そこで出る $0.500000$ は効率であって、最大化された量ではない。これは論文481 でいう分離子の一本で、「最適は半分のところにある」という主張が外れたとき、モデルが外れたのか次数が二次でなかったのかで直す先が違う。正直に言えば、三つが二次になったこと自体は説明していない。示したのは、二次であれば $1/2$、三次であれば $1/3$ に来るということまでで、なぜ交通流も独占も二次で書けるのかは、それぞれのモデルの選び方の話であり、本稿の外にある。
参考文献
- Greenshields, B. D. (1935). A Study of Traffic Capacity. Proceedings of the Highway Research Board.
- Betz, A. (1920). Das Maximum der theoretisch möglichen Ausnützung des Windes durch Windmotoren. Zeitschrift für das gesamte Turbinenwesen.
- Varian, H. R. (1992). Microeconomic Analysis (3rd ed.). W. W. Norton.
- 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
- 山岸勇輝 (2026). 『最大の電力と最大の効率は、同じ点にない』[論文357]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22697180
- 山岸勇輝 (2026). 『体系に七つある同じ数は、二組と一つに分かれる』[論文479]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733844
- 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である」[論文486]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22759952
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引用するとき
山岸勇輝 (2026). 三つの分野に出る「ちょうど半分」は、物理ではなく二次関数の頂点である [論文486]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/486 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22759952
Yamagishi, Y. (2026). The “Exactly Half” in Three Fields Is the Vertex of a Parabola, Not Physics [Paper 486]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/486; DOI: 10.5281/zenodo.22759952
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