要旨
角度が一致すれば、同じ機構が働いていると思われがちである。本稿が示すのは、$19.471221$ 度が二つの別々の理由から出ることである。片方は速度に依らず、片方は $M=3$ でだけその値を取る。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、船の波の半角は $\arcsin(1/3)=\mathbf{19.471221}$ 度である(第2節)。
第二に、その式に速度が入っていない。$\arcsin(1/3)$ は定数である(第2節)。
第三に、根拠は位相速度が群速度のちょうど $\mathbf{2}$ 倍であることで、三つの波数で確かめた(第2節)。
第四に、マッハ角は速度に依り、$M=1.5$ で $41.810315$ 度、$M=5$ で $11.536959$ 度である(第3節)。
第五に、これが本稿の芯である。$M=3$ のマッハ角が $\mathbf{19.471220634}$ 度で、船の波の半角と差 $\mathbf{0.000\times10^{0}}$ rad で一致する(第3節)。
第六に、分離子は「定数か、変数の一点か」である(第4節)。
キーワード:ケルビンの波形角、マッハ角、船の航跡、衝撃波、流体力学。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。ケルビンの波形角も、マッハ角も標準的である。流体力学を作らない。航跡の波形そのもの、粘性、有限深度、船の形は主題ではない。深い水の重力波の分散だけを使う。衝撃波を扱わない。マッハ角は音の伝播から出る幾何として使い、衝撃波の構造や強さには入らない。浅い水を扱わない。浅い水では分散が変わり、半角も変わる。深い水の場合だけを見る。一致に機構を与えない。$M=3$ で一致することに、共通の理由があるとは主張しない。数が同じであることを示すだけである。既刊との関係:論文485 はミッチェルの半径が当たっていた理由が違うと示した。あちらは同じ式が二つの導出から出て、隣の量で切れた。こちらは同じ数が二つの根から出て、速度を動かすと切れる。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。数値の一致だけでは同根と見なさないという基準の、もう一つの実例である。論文491 は古典のドップラーが二つの式だと示した。どちらも、波の速度が何に依るかで答が割れる場合である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、半角を $19.471221$ 度と出したこと、位相速度と群速度の比を三つの波数で $2.000000000$ と確かめたこと、マッハ角が速度で動くことを四つの値で示したこと、$M=3$ で差 $0.000\times10^{0}$ rad の一致を出したこと、分離子を定数と変数の一点に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:深い水を船が進むと、航跡が扇形に開く。その半角は
$$\theta_{K}=\arcsin\frac{1}{3}$$
である。一方、超音速で進む物体が作る円錐の半角は
$$\theta_{M}=\arcsin\frac{1}{M}$$
で、$M$ はマッハ数である。式の形は同じだが、片方には速度が入り、片方には入らない。以下、二つを並べる。
観察 1.1 角度が一致すれば、同じ機構が働いていると思われがちである。同じ数、同じ理由から出たのだろう、という像である。
観察 1.2 だが片方は定数で、片方は変数である。$\arcsin(1/3)$ と $\arcsin(1/M)$、一致するのは $M=3$ のときだけである。
問い:一致は何を意味するのか。
2. 船の波の角度に、速度が入っていない
計算 2.1:半角を出す。
$$\theta_{K}=\arcsin\frac{1}{3}=\mathbf{0.339836909}\ \text{rad}=\mathbf{19.471221}\ \text{度}$$
観察 2.2 既知の値と合う。$19.471221$ 度、よく引かれる $19.47$ 度と一致する。
観察 2.3 式に速度が入っていない。$\arcsin(1/3)$、手漕ぎのボートでも大型船でも、同じ角度で開く。
計算 2.4:深い水の重力波で、位相速度と群速度の比を三つの波数で出す。
| 波数 $k$ | 位相速度 | 群速度 | 比 |
|---|---|---|---|
| $0.5$ | $4.428691$ | $2.214345$ | $\mathbf{2.000000000}$ |
| $2.0$ | $2.214345$ | $1.107173$ | $\mathbf{2.000000000}$ |
| $10.0$ | $0.990285$ | $0.495143$ | $2.000000002$ |
観察 2.5 比が三つとも $2$ である。$2.000000000$、末尾の $2$ は数値微分の刻みによるもので、波数に依らない。
観察 2.6 その $2$ が $1/3$ を生む。$\sin\theta_{K}=0.333333333333333$ 対 $1/3=0.333333333333333$、分散関係が $\omega=\sqrt{gk}$ という形をしていることだけから出る。
観察 2.7 だから速度が消えるのは偶然ではない。分散が $\sqrt{k}$ だから、速度は「どの波数が航跡に残るか」を決めるが、開き方は決めない。
3. マッハ角は速度に依る
計算 3.1:マッハ角を四つの速度で出す。
| マッハ数 $M$ | 半角 |
|---|---|
| $1.5$ | $41.810315$ 度 |
| $2.0$ | $30.000000$ 度 |
| $3.0$ | $\mathbf{19.471221}$ 度 |
| $5.0$ | $11.536959$ 度 |
観察 3.2 速度で大きく動く。$30.0000$ 度から $11.5370$ 度へ、速いほど鋭くなる。
観察 3.3 $M=3$ でちょうど船の波の半角になる。$19.471220634$ 度 対 $19.471220634$ 度、差 $\mathbf{0.000\times10^{0}}$ rad、丸めの範囲ですらなく、$\arcsin(1/3)$ という同じ式だからである。
観察 3.4 それでも片方だけが速度に依る。マッハ角は $0.1838$ rad 動き、船の波の半角は動かない。一致は $M=3$ の一点でだけ起きる。
観察 3.5 支えている物理が違う。音は分散しない波、水面の重力波は分散する波、前者では信号が一つの速さで進み、後者では波数ごとに速さが違う。
観察 3.6 $1/3$ の出どころも違う。マッハでは $1/M$ という速度の比、船の波では群速度と位相速度の比 $2$ から出る $1/3$、どちらも $\arcsin$ の中身だが、中身の由来が別である。
4. 分離子
分離子:角度が定数か、変数の一点か。
観察 4.1 定数なら、速度を動かしても値が変わらない。船の波、同じ角度が、どの速さでも出る。
観察 4.2 変数の一点なら、動かせば離れる。マッハ角、$M$ を $3$ から外すと、たちまち別の値になる。
観察 4.3 二つは論文300 の基準で別根である。どちらも $\arcsin(1/3)=19.471221$ 度、一方は分散する波の性質、一方は分散しない波の幾何で、支えている物理に共通部分が無い。
観察 4.4 速度を動かすことが、判定の操作になっている。動けば変数の一点、動かなければ定数、一点だけを見ていては見分けられない。
観察 4.5 論文485 と同じ形である。ミッチェルの半径は当たっていたが、隣の量で切れた。あちらは同じ式が二つの導出から出て、光の曲がりで切れた。こちらは同じ数が二つの根から出て、速度を動かすと切れる。
観察 4.6 これは論文481 でいう分離子の一本である。「同じ角度が出たのだから同じ現象だ」という主張が問われたとき、測り間違えたのか、一点でだけ一致していたのかで、直す先が違う。
観察 4.7 正直に言えば、一致に機構があるとは示していない。$M=3$ で合うのは、$\arcsin$ の中身がどちらも $1/3$ になるからである。なぜ水の波の側が $1/3$ を選び、音の側で $M=3$ がそれに当たるのかに、共通の理由を見つけてはいない。示したのは、一致が一点だけで起きるということである。
5. 点呼と結び
- 半角 $19.471221$ 度(計算 2.1):既知と一致。
- 式に速度が入らない(観察 2.3):どの船でも同じ。
- 位相速度が群速度の $2$ 倍(計算 2.4):三つの波数で。
- その $2$ が $1/3$ を生む(観察 2.6):分散が $\sqrt{k}$ だから。
- マッハ角は $41.81$ から $11.54$ 度(計算 3.1):速度で動く。
- $M=3$ で差 $0.000\times10^{0}$ rad(観察 3.3):本稿の芯。
- それでも片方だけが動く(観察 3.4):$0.1838$ rad。
- 支えている物理が違う(観察 3.5):分散するかしないか。
- 分離子は定数か一点か(観察 4.3):論文300 の基準で別根。
- 一致に機構は与えていない(観察 4.7):一点だけで起きる。
結び:角度が一致すれば、同じ機構が働いていると思われがちである。同じ数なのだから同じ理由から出たのだろう、という像である。だが片方は定数で、片方は変数である。$\arcsin(1/3)$ と $\arcsin(1/M)$ が一致するのは $M=3$ のときだけである。船の波の角度に、速度が入っていない。半角は $\arcsin(1/3)=\mathbf{0.339836909}$ rad、すなわち $\mathbf{19.471221}$ 度で、よく引かれる $19.47$ 度と一致する。式に速度が入っておらず、手漕ぎのボートでも大型船でも同じ角度で開く。根拠は分散にあり、深い水の重力波では位相速度が群速度のちょうど $\mathbf{2}$ 倍で、$k=0.5$、$2.0$、$10.0$ のいずれでも $2.000000000$ である。その $2$ から $\sin\theta_{K}=0.333333333333333$ が出て、$1/3$ と一致する。分散関係が $\omega=\sqrt{gk}$ という形をしていることだけから出る。だから速度が消えるのは偶然ではない。速度は「どの波数が航跡に残るか」を決めるが、開き方は決めない。マッハ角は速度に依る。$M=1.5$ で $41.810315$ 度、$2.0$ で $30.000000$ 度、$3.0$ で $\mathbf{19.471221}$ 度、$5.0$ で $11.536959$ 度と、速いほど鋭くなる。そして $M=3$ でちょうど船の波の半角になる。$19.471220634$ 度 対 $19.471220634$ 度、差は $\mathbf{0.000\times10^{0}}$ rad で、丸めの範囲ですらない。$\arcsin(1/3)$ という同じ式だからである。それでも片方だけが速度に依る。マッハ角は $0.1838$ rad 動き、船の波の半角は動かない。支えている物理が違い、音は分散しない波、水面の重力波は分散する波で、前者では信号が一つの速さで進み、後者では波数ごとに速さが違う。$1/3$ の出どころも違う。マッハでは $1/M$ という速度の比、船の波では群速度と位相速度の比 $2$ から出る $1/3$ である。分けているものは一つ、角度が定数か、変数の一点か。定数なら速度を動かしても値が変わらず、同じ角度がどの速さでも出る。変数の一点なら動かせば離れ、$M$ を $3$ から外すとたちまち別の値になる。二つは論文300 の基準で別根であり、どちらも $\arcsin(1/3)=19.471221$ 度だが、一方は分散する波の性質、一方は分散しない波の幾何で、支えている物理に共通部分が無い。速度を動かすことが判定の操作になっており、一点だけを見ていては見分けられない。論文485 と同じ形で、あちらは同じ式が二つの導出から出て光の曲がりで切れた。こちらは同じ数が二つの根から出て、速度を動かすと切れる。これは論文481 でいう分離子の一本で、「同じ角度が出たのだから同じ現象だ」という主張が問われたとき、測り間違えたのか一点でだけ一致していたのかで直す先が違う。正直に言えば、一致に機構があるとは示していない。$M=3$ で合うのは $\arcsin$ の中身がどちらも $1/3$ になるからで、なぜ水の波の側が $1/3$ を選び、音の側で $M=3$ がそれに当たるのかに共通の理由を見つけてはいない。示したのは、一致が一点だけで起きるということである。
参考文献
- Lighthill, J. (1978). Waves in Fluids. Cambridge University Press.
- Mach, E., & Salcher, P. (1887). Photographische Fixirung der durch Projectile in der Luft eingeleiteten Vorgänge. Sitzungsberichte der Akademie der Wissenschaften Wien.
- Thomson, W. (1887). On Ship Waves. Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers.
- 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
- 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927
- 山岸勇輝 (2026). 『ミッチェルの半径は当たっていたが、当たっていた理由は違う』[論文485]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22759928
- 山岸勇輝 (2026). 『古典のドップラーは二つの式であり、相対論はその幾何平均である』[論文491]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22760067
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「同じ 19.471221 度が、二つの別根から出る」[論文515]. Zenodo.
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山岸勇輝 (2026). 同じ 19.471221 度が、二つの別根から出る [論文515]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/515 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22862297
Yamagishi, Y. (2026). The Same 19.471221 Degrees Arises from Two Distinct Roots [Paper 515]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/515; DOI: 10.5281/zenodo.22862297
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