【論文870】「組に分ける」は二つあり、組の中を輪に並べるかで、いちばん多い組の数まで変わる

要旨

「$7$ 人を三つの組に分ける方法は何通りか」は、一つの問いに見える。本稿は、組の中に回る順を認めるかどうかで数が二つに分かれ、いちばん多い組の数まで変わることを、全部数えて確かめる。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、分ける数は二つある。組に分けるだけの数(第二種スターリング数)と、組の中を輪に並べる数(第一種スターリング数)を数え上げ、二つの漸化式と $n\le7$ のすべての組の数で一致させた(第2節)。

第二に、合計は桁が違う。$7$ 個で、分けるだけの合計はベル数 $877$、輪に並べる合計は $7!=5040$ で、比は $\mathbf{5.746864}$ である(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。いちばん多い組の数まで変わる。分けるだけなら $4$ 組が $350$ 通りでいちばん多く、輪に並べるなら $2$ 組が $1764$ 通りでいちばん多い(第3節)。

第四に、平均の組の数も違う。無作為に一つ選ぶと、組の数の平均は分けるだけで $\mathbf{3.720639}$、輪に並べると $2.592857$ で、後者は調和数 $H_7$ と差 $10^{-12}$ 未満で一致した(第3節)。

第五に、輪の数は偶奇を決める。並べ替えを輪に分けたとき、$7$ から輪の数を引いた数が偶数なら偶置換で、その個数は $5040$ のちょうど半分の $2520$ である(第4節)。

第六に、分離子は、組の中身だけを見るか、組の中の回る順まで見るかである。回る順を認めると大きい組ほど並べ方が増え、少ない数の大きい組が有利になる(第5節)。

キーワード:スターリング数、ベル数、巡回置換、調和数、偶置換。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。二種類のスターリング数とその漸化式、合計がベル数と階乗になること、輪の数の平均が調和数になること、輪の数が並べ替えの偶奇を決めることは、いずれも既知である。証明に入らない。母関数や、組の数が大きい $n$ でどう振る舞うかの式には入らない。大きさを一般化しない。$n\ge8$ は数え上げていない。実在の組分けを扱わない。班分けや座席の決め方は主題ではない。既刊との関係:論文841 は、互換への分け方は一通りに決まらないのに、偶奇だけは一通りに決まることを示した。本稿はその隣に置く。ここでは並べ替えを輪に分けた数を数え、その輪の数が偶奇を決めることを、偶置換 $2520$ 個で確かめる。加えたのは、二つの分け方を $n\le7$ で数え上げて漸化式と一致させたこと、合計の比 $5.746864$ を測ったこと、いちばん多い組の数が $4$ と $2$ に分かれると測ったこと、分離子を「組の中身か、回る順か」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:番号の付いた $n$ 個のものを、空でない $k$ 個の組に分ける。組の並びは区別しない。組の中の順を見ない数を $S(n,k)$(第二種スターリング数)、組の中を輪に並べた順まで区別する数を $c(n,k)$(符号を除いた第一種スターリング数)とする。後者は、$n$ 個の並べ替えのうち輪がちょうど $k$ 個のものの数でもある。

$$S(n,k)=kS(n-1,k)+S(n-1,k-1),\qquad
c(n,k)=(n-1)c(n-1,k)+c(n-1,k-1),$$
$$\sum_{k}S(n,k)=B_n,\qquad \sum_{k}c(n,k)=n!$$

$S(n,k)$ は組の割り当て方の列をすべて作って、$c(n,k)$ は並べ替えを全部作って輪を数え、$n\le7$ のすべての $k$ で漸化式と比べた。

問い:「$k$ 組に分ける」の数は、組の中の順を認めるかどうかで、どれだけ変わるのか。

2. 二つの数え方

計算 2.1:$n=7$ で、組の数 $k$ ごとに二つの数を数えた。

$k$ 分けるだけ $S(7,k)$ 輪に並べる $c(7,k)$ 比
$1$ $1$ $720$ $720.000000$
$2$ $63$ $1764$ $28.000000$
$3$ $301$ $1624$ $5.395349$
$4$ $350$ $735$ $2.100000$
$5$ $140$ $175$ $1.250000$
$6$ $21$ $21$ $1.000000$
$7$ $1$ $1$ $1.000000$

観察 2.2 合計は桁が違う。分けるだけの合計はベル数で $1,2,5,15,52,203,877$、輪に並べる合計は階乗で $1,2,6,24,120,720,5040$ になり、$n=7$ の比は $5.746864$ である。数え上げた数は、$n\le7$ のすべての $k$ で二つの漸化式と一致した。

観察 2.3 組が小さいと、二つは同じになる。$k=6$ と $k=7$ では比が $1.000000$ である。組の大きさが $1$ か $2$ なら、輪に並べる順は一通りしかないからである。差が開くのは、大きい組ができる $k$ の小さい側である。

3. いちばん多い組の数

計算 3.1:$n=7$ で、いちばん多い組の数と、無作為に一つ選んだときの組の数の平均を出した。

量 分けるだけ 輪に並べる
いちばん多い組の数 $4$($350$ 通り) $2$($1764$ 通り)
組の数の平均 $3.720639$ $2.592857$

観察 3.2 これが本稿の芯である。いちばん多い組の数まで変わる。分けるだけなら $4$ 組がいちばん多いのに、輪に並べると $2$ 組がいちばん多く、平均の比は $1.434957$ である。大きさ $m$ の組は輪に並べると $(m-1)!$ 通りに増えるので、少ない数の大きい組をもつ分け方が数で勝つ。輪に並べる平均 $2.592857$ は、調和数 $H_7=1+\tfrac12+\dots+\tfrac17$ と差 $10^{-12}$ 未満で一致した。

4. 輪の数と偶奇

計算 4.1:$7$ 個の並べ替えを輪に分け、$7$ から輪の数を引いた数が偶数のもの(偶置換)を数えた。

観察 4.2 輪の数は偶奇を決める。偶置換は $2520$ 個で、$5040$ のちょうど半分である。長さ $m$ の輪は $m-1$ 個の互換で書けるので、互換の数の偶奇は $7$ から輪の数を引いた数の偶奇に等しい。互換への分け方が一通りに決まらなくても、輪の数は一通りに決まる。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は、組の中身だけを見るか、組の中の回る順まで見るかである。中身だけを見れば、組の数はほどほどに多い $4$ が有利になる。回る順まで見れば、大きい組の中の並べ方が数を押し上げ、組の数の少ない $2$ が有利になる。同じ「$7$ 個を組に分ける」が、何を区別するかでいちばん多い形を変える。

観察 5.2 論文841 の隣に置く。841 は、互換への分け方は一通りに決まらないのに、偶奇だけは一通りに決まることを示した。ここでは並べ替えを輪に分けた数を数え、その輪の数から偶奇が決まり、偶置換がちょうど半分になることを確かめた。

観察 5.3 言わないこと。母関数や漸近式の証明も、$n\ge8$ の数え上げも、実在の班分けも扱わない。示したのは、組の中の回る順を認めるかどうかで、数もいちばん多い組の数も変わるということである。

6. 点呼と結び

  1. $S(n,k)$ と $c(n,k)$(第1節):分けるだけと、輪に並べる。
  2. 漸化式と数え上げが一致(観察 2.2):$n\le7$。
  3. 合計 $877$ と $5040$(観察 2.2):ベル数と階乗。
  4. 比 $\mathbf{5.746864}$(観察 2.2):$n=7$。
  5. 二組で $28$ 倍(計算 2.1):$63$ と $1764$。
  6. $k=6,7$ で同じ(観察 2.3):小さい組は一通り。
  7. いちばん多いのは $4$ 組と $2$ 組(計算 3.1):本稿の芯。
  8. 平均 $\mathbf{3.720639}$ と $2.592857$(計算 3.1):後者は調和数。
  9. 偶置換 $2520$(観察 4.2):ちょうど半分。
  10. 中身か、回る順か(観察 5.1):分離子・論文841。

結び:「いくつかの組に分ける」は二つあり、組の中を輪に並べるかどうかで、いちばん多い組の数まで変わる。$7$ 個を組に分けるだけなら $877$ 通り、組の中を輪に並べるなら $5040$ 通りで、比は $5.746864$ である。大きさ $m$ の組は輪に並べると $(m-1)!$ 通りに増え、その増え方が大きい組ほど大きいからである。そのためいちばん多い組の数は、分けるだけなら $4$ 組、輪に並べるなら $2$ 組になり、平均は $3.720639$ と $2.592857$ に分かれる。輪の数は並べ替えの偶奇を決め、偶置換はちょうど半分の $2520$ 個である。既刊との位置:論文841 の「偶奇だけは一通りに決まる」の隣に、輪の数という形でその偶奇を数え、輪を認めるかどうかで分け方の数そのものが変わることを置いた。正直に言えば、数え上げたのは $n\le7$ までで、漸化式も調和数との一致も既知である。

参考文献

  1. Graham, R. L., Knuth, D. E., & Patashnik, O. (1994). Concrete Mathematics: A Foundation for Computer Science (2nd ed.). Addison-Wesley.
  2. Stanley, R. P. (2011). Enumerative Combinatorics, Volume 1 (2nd ed.). Cambridge University Press.
  3. 山岸勇輝 (2026). 『手順は一通りに決まらないのに、偶奇だけは一通りに決まる』[論文841]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/841

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「「組に分ける」は二つあり、組の中を輪に並べるかで、いちばん多い組の数まで変わる」[論文870]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/870

YOI 870第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 「組に分ける」は二つあり、組の中を輪に並べるかで、いちばん多い組の数まで変わる [論文870]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/870

Yamagishi, Y. (2026). Splitting Into Groups Comes in Two Kinds, and Arranging Each Group in a Cycle Changes Even the Most Common Number of Groups [Paper 870]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/870

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指紋(SHA-256)と確かめ方
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