【論文925】ペグソリティアで最後の一本が残れる場所は変わらない和で五か所に絞られ、五か所とも実際に残せる

要旨

英国式ペグソリティアは $33$ 個の穴の中央だけを空けて始め、隣のペグを跳び越して取り除き、一本だけ残すことを目指す。本稿は、跳び越しで変わらない二つの和で最後の一本が残れる場所を絞り、その場所に実際に一本だけ残す手順があるかを探して、当て直して確かめる。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、跳び越しで変わらない和が二つある。四つの元の体の $\omega$ で、ペグの位置 $(x,y)$ ごとに $\omega$ の $x+y$ 乗と $x-y$ 乗を足した二つの和は、$76$ 種の跳び越しで変わらず、ランダムな局面で $1998$ 回試して違いは $0$ だった(第2節)。

第二に、最後の一本が残れる場所は五か所に絞られる。中央を空けた始まりと同じ和を持つ一本だけの局面は、中央と、四本の腕の先端の中央の $\mathbf{5}$ か所だった。一本だけの局面の和は $9$ 種類に分かれる(第2節)。

第三に、和が合う状態は全体の十六分の一だが、それは届く割合ではない。和を並べた写像の階数は $4$ で、$2^{33}$ 通りの状態のうち始まりと同じ和を持つのはちょうど $1/16$ である。和は届かない状態を消すだけで、残りが届くとは言わない(第3節)。

第四に、五か所とも、実際に一本だけ残せる。行き止まりを覚える深さ優先の探索で、中央と一つの腕の先端に残す手順が見つかり(覚えた行き止まり $10813$)、盤の対称で写した手順を当て直すと、五か所すべてで $31$ 手ののち一本だけ残った(第4節)。

第五に、分離子は、不変量で消せるか、手順で確かめられるかである。和が合わない場所には決して残らないが、和が合う場所に残せるかは和からは分からない。この盤の中央から始めた場合には、和が許した五か所がすべて届いた(第5節)。

キーワード:ペグソリティア、不変量、有限体、必要条件、探索、盤の対称。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。四つの元の体の和によるペグソリティアの不変量(コンウェイらの「三の規則」)、英国式の盤で中央から始めて中央に一本残せることは、いずれも既知である。最短の手数や解の数を扱わない。見つけた手順は一つずつで、解が何通りあるか、手をまとめた数え方で何手になるかは扱わない。英国式の $33$ 穴だけを扱う。フランス式の $37$ 穴など他の盤や、中央以外を空けた始まりは扱わない。見つからないことを無いとは言わない。探索で打ち切った回は $0$ で、五か所とも手順が見つかった。和の合わない場所に残らないことは探索ではなく和で言う。既刊との関係:論文601 は、$15$ パズルの局面の半分がどう動かしても届かないことを示した。ここでも動かしても変わらない量が届かない局面を消すが、消したあとに残った場所へ実際に届くかを、手順を当て直して確かめる。論文602 は、ニムの勝ち負けが繰り上がりのない足し算で決まることを示した。ここでは同じ繰り上がりのない足し算を、二つの桁を持つ四つの元の体の上で使う。加えたのは、二つの和が跳び越しで変わらないことを $1998$ 回試したこと、残れる場所を五か所に絞ったこと、和の合う状態が $1/16$ であることを階数から出し、それが届く割合ではないと分けたこと、五か所すべてに一本だけ残る手順を当て直して確かめたこと、分離子を「不変量で消せるか、手順で確かめられるか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:盤の中央を $(0,0)$ とし、穴は $|x|\le1$ または $|y|\le1$ を満たす $-3\le x,y\le3$ の $33$ か所とする。四つの元の体 $\{0,1,\omega,\omega^2\}$($1+\omega+\omega^2=0$、足し算は繰り上がりのない足し算)で、ペグの集合 $S$ に次の二つの和を当てる。

$$A(S)=\sum_{(x,y)\in S}\omega^{x+y},\qquad B(S)=\sum_{(x,y)\in S}\omega^{x-y}$$

一回の跳び越しは一列に並んだ三つの穴で二本を取り一本を置くので、和の変化は $\omega^{s}(1+\omega+\omega^2)=0$ になる。検算では、跳び越しの前後で和を比べ、始まりと同じ和を持つ一本の場所を並べ、行き止まりの局面を覚える深さ優先の探索で手順を探し、見つけた手順を始まりから当て直した。

問い:最後の一本はどこに残れるか。残れる場所に、実際に残せるか。

2. 変わらない和

計算 2.1:跳び越しは $76$ 種で、ランダムな局面で $1998$ 回試して、跳び越しの前後で和が違った回は $0$ だった。中央を空けた始まりの和は $(A,B)=(1,1)$ である。

計算 2.2:一本だけの局面の和は $9$ 種類で、それぞれの穴の数は $3$・$3$・$3$・$3$・$4$・$4$・$4$・$4$・$5$ だった。始まりと同じ和 $(1,1)$ を持つのは、$(0,0)$・$(3,0)$・$(-3,0)$・$(0,3)$・$(0,-3)$ の $\mathbf{5}$ か所である。和が合わない例として $(-3,-1)$ の和は $(\omega^2,\omega)$ だった。

観察 2.3 最後の一本が残れる場所は、変わらない和で五か所に絞られる。和の合わない二十八か所には、どう跳び越しても一本だけ残らない。これは探索ではなく、跳び越しで和が変わらないことから言える。

3. 十六分の一は届く割合ではない

計算 3.1:$33$ 個の穴それぞれの和を四つの二進の桁に並べた写像の階数は $4$ で、$2^{33}$ 通りの状態のうち和 $(1,1)$ を持つのはちょうど $1/16$ だった。

観察 3.2 和の合う状態は十六分の一だが、それは届く状態の割合ではない。和は届かない状態を消す必要条件で、和が合う状態が始まりから届くかは和からは決まらない。届くかどうかは、手順を見つけて確かめるしかない。

4. 手順を見つけて当て直す

計算 4.1:探索は $(0,0)$ と $(3,0)$ の二つだけ行い、どちらも $0.1$ 秒で手順が見つかった(覚えた行き止まり $10813$・打ち切り $0$ 回)。始まりの局面は盤の $8$ 通りの対称で変わらないので、見つけた手順を対称で写した。

最後の一本の場所 手順の出どころ 当て直した結果
$(0,0)$ 探索 $31$ 手で一本だけ残る
$(3,0)$ 探索 $31$ 手で一本だけ残る
$(-3,0)$ $(3,0)$ の手順を対称で写す $31$ 手で一本だけ残る
$(0,3)$ $(3,0)$ の手順を対称で写す $31$ 手で一本だけ残る
$(0,-3)$ $(3,0)$ の手順を対称で写す $31$ 手で一本だけ残る

観察 4.2 和が許した五か所は、五か所とも実際に届いた。どの手順も始まりから一手ずつ当て直し、跳び越しがすべて許されていて、最後に指定の場所の一本だけが残ることを確かめた。この盤の中央から始めた場合には、必要条件で絞った場所と実際に届く場所が一致した。

5. 分離子

観察 5.1 分離子は、不変量で消せるか、手順で確かめられるかである。和が合わない場所に残らないことは、跳び越しで和が変わらないことだけから言える。和が合う場所に残せることは和からは言えず、手順を見つけて当て直して初めて言える。論文601 の $15$ パズルでも、動かしても変わらない量が届かない半分を消していた。

観察 5.2 言わないこと。最短の手数、解の数、他の盤、中央以外から始めた場合は扱わない。示したのは、変わらない和が残れる場所を五か所に絞り、その五か所に実際に届く手順があることである。

6. 点呼と結び

  1. $A(S)$・$B(S)$ と $1+\omega+\omega^2=0$(第1節):変わらない和。
  2. $1998$ 回で違い $0$(計算 2.1):跳び越しで変わらない。
  3. 残れる場所 $\mathbf{5}$ か所(計算 2.2):和が合う。
  4. 階数 $4$・和の合う状態 $1/16$(計算 3.1):届く割合ではない。
  5. 五か所とも $31$ 手で一本(計算 4.1):当て直して確かめた。
  6. 消せるか、確かめられるか(観察 5.1):分離子・論文601・602。

結び:ペグソリティアで最後の一本が残れる場所は変わらない和で五か所に絞られ、五か所とも実際に残せる。四つの元の体の二つの和は跳び越しで変わらず、中央から始めた盤で和の合う一本の場所は中央と四本の腕の先端の中央の五か所だった。和の合う状態は全体の $1/16$ だが、それは届かない状態を消した残りで、届く割合ではない。探索と盤の対称で五か所すべてに手順を見つけ、当て直すと $31$ 手ののち一本だけ残った。分離子は、不変量で消せるか、手順で確かめられるかである。既刊との位置:論文601 の変わらない量で届かない半分を消す型をペグソリティアで数え、論文602 の繰り上がりのない足し算を四つの元の体に広げた。正直に言えば、最短の解も解の数も言わない。消せる場所と届く場所がこの盤で一致した、そこまでである。

参考文献

  1. Beasley, J. D. (1985). The Ins and Outs of Peg Solitaire. Oxford University Press.
  2. Berlekamp, E. R., Conway, J. H., & Guy, R. K. (1982). Winning Ways for Your Mathematical Plays. Academic Press.
  3. 山岸勇輝 (2026). 『15 パズルの局面の半分は、どう動かしても届かない』[論文601]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/601 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22805752
  4. 山岸勇輝 (2026). 『ニムの勝ち負けは、繰り上がりのない足し算で決まる』[論文602]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/602 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22805951

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「ペグソリティアで最後の一本が残れる場所は変わらない和で五か所に絞られ、五か所とも実際に残せる」[論文925]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925

YOI 925第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450

引用するとき

山岸勇輝 (2026). ペグソリティアで最後の一本が残れる場所は変わらない和で五か所に絞られ、五か所とも実際に残せる [論文925]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925

Yamagishi, Y. (2026). In Peg Solitaire an Invariant Sum Narrows Where the Last Peg Can Remain to Five Holes, and It Can Actually Be Left in All Five [Paper 925]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925

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  author = {Yamagishi, Yuuki},
  title = {In Peg Solitaire an Invariant Sum Narrows Where the Last Peg Can Remain to Five Holes, and It Can Actually Be Left in All Five},
  year = {2026},
  howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925},
  note = {Preprint, edition 1}
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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d289123cb5bc90d28b113b924d97cc02dbbd7740945cc23a659def2c8c30ac03 yamagishi_yoi925_v1_en.pdf

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