要旨
一枚の紙を何度も半分に折って本の一まとまり(折丁)にすると、紙の上のページの並びは折る順で変わるが、16 ページでは同じ面に来るページの組と最後の折り目をまたぐ和 17 は変わらなかった(論文877)。本稿は、877 と同じ折り方の模型を 32 ページと 64 ページに広げ、紙の形と折る順をすべて試して、同じ面に来るページと、隣どうしの和が何を決めているかを数える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、折る順は形ごとに違い、紙の上の並びもすべて違う。4×2(16 ページ)・8×2 と 4×4(32 ページ)・16×2 と 8×4(64 ページ)で、折る順は $3$・$4$・$6$・$5$・$10$ 通り(計 $28$ 通り)あり、並びはどの二つも違った(第2節)。
第二に、同じ面に来るページは 4 で割った余りで決まる。五つの形とすべての折る順で、表の面に来るのは 4 で割った余りが 2 か 3 のページのちょうど半分、裏の面は余りが 0 か 1 のページだった(第2節)。
第三に、重なる折りは隣の和が言い当てる。隣どうしのページの和から 1 を引いた数を割り切る 2 の冪の指数から 1 を引くと、その二つが何番目の折りで重なったかになった。照らした $2024$ 組で食い違いは $0$ だった(第3節)。
第四に、最後の折りで重なる和はページ数に 1 を足した数だけである。16・32・64 ページで、最後の折りで重なる隣の和は 17・33・65 だけで、ほかの和は現れなかった(第3節)。
第五に、分離子は、ページを紙の上の位置で見るか、番号の余りと 2 の冪で見るかである。紙の上の位置は折る順で 28 通りに変わる。番号の 4 で割った余りは面を、和から 1 を引いた数の 2 の冪は重なる折りを、折る順にも紙の形にもよらずに決めた(第4節)。
キーワード:折丁、面付け、製本、ページの並び、2 の冪、余り。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。一枚の紙を折って折丁にすること、面付けの並びが折り方で変わること、背中合わせのページや折り目をまたぐページの和に決まりがあることは、いずれも印刷と製本で知られている。877 と同じ約束で折る。右(下)の半分を左(上)の半分の上に返して重ね、折った束の上から順にページを振る。ほかの重ね方、切り込みを入れる折り方は入れない。製本の実際を扱わない。裁ち落とし、くわえ代、紙の厚みによるずれ、実在の印刷機の版の置き方は扱わない。64 ページまでで止める。確かめたのは五つの紙の形と 28 通りの折る順で、それより大きい折丁は数えていない。既刊との関係:論文877 の射程注記は、大きさを広げず、4×2 のますを三回折る 16 ページの折丁だけを数え、32 ページ以上や、裁ち落とし・くわえ代は扱わないと書いた。本稿はそのうち 32 ページ以上の席に座る(先客なし)。論文877 は、16 ページの三通りの折り方で、紙の上の並びは変わるが、同じ面に来るページの組と最後の折り目をまたぐ和 17 は変わらないことを示した。ここでは、32 ページと 64 ページでも同じことが成り立つかを数え、面を決める余りと、重なる折りを決める 2 の冪を出す。加えたのは、五つの紙の形で折る順をすべて試したこと、同じ面のページが 4 で割った余りで決まることを確かめたこと、隣の和の 2 の冪が重なる折りを言い当てることを 2024 組で確かめたこと、最後の折りの和がページ数に 1 を足した数だけだと確かめたこと、分離子を「位置か、余りと 2 の冪か」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:表(A 面)と裏(B 面)に $W\times H$ のますがある紙を、論文877 と同じく、縦か横に半分ずつ折る(右か下の半分を返して上に重ねる)。折り終えた束の上から順に、ますの上の面に $1,3,5,\dots$、下の面に $2,4,6,\dots$ を振る。ページ数は $N=2WH$、折る回数は $\log_2(WH)$ である。
紙の上で隣り合う二つのますが、何番目の折りで初めて同じ位置に重なるかを $k$ とし、同じ面での二つのページの和を $s$ とする。和から 1 を引いた数 $s-1$ を割り切る 2 の冪の指数を $\nu_2(s-1)$ と書く。
問い:ページを 32、64 に増やしたとき、同じ面に来るページと、隣どうしの和は、折る順と紙の形によらずに何を決めているか。
2. 同じ面に来るページ
計算 2.1:紙の形ごとの折る順と、表の面のページ。
| 紙の形 | ページ数 | 折る順 | 並びの違う数 | 表の面のページを 4 で割った余り |
|---|---|---|---|---|
| $4\times2$ | $16$ | $3$ | $3$ | $2$・$3$ |
| $8\times2$ | $32$ | $4$ | $4$ | $2$・$3$ |
| $4\times4$ | $32$ | $6$ | $6$ | $2$・$3$ |
| $16\times2$ | $64$ | $5$ | $5$ | $2$・$3$ |
| $8\times4$ | $64$ | $10$ | $10$ | $2$・$3$ |
どの形・どの順でも 1 から $N$ が一度ずつ出て、背中合わせのページは奇数とその次だった。4×2 の表の面は 877 と同じ $\{2,3,6,7,10,11,14,15\}$、32 ページの表の面は $\{2,3,6,7,10,11,14,15,18,19,22,23,26,27,30,31\}$ で、8×2 と 4×4 の 10 通りすべてで同じだった。裏の面の余りは $0$・$1$ だった。
観察 2.2 同じ面に来るページは、4 で割った余りで決まる。五つの形と 28 通りの順のすべてで、表の面は余りが 2 か 3 のページのちょうど半分だった。紙の上でどこに刷られるかは順ごとに違っても、どちらの面に刷られるかは番号だけで分かる。
3. 重なる折りと隣の和
計算 3.1:折る順ごとに、$k$ 番目の折りで重なる隣どうしの和(抜粋)。
| 紙・折る順 | $k=1$ | $k=2$ | $k=3$ | $k=4$ | $k=5$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $4\times2$ 縦→横→縦 | $5$・$13$ | $9$・$25$ | $17$ | なし | なし |
| $8\times2$ 縦→横→縦→縦 | $37$・$45$ | $9$・$25$・$41$・$57$ | $17$ | $33$ | なし |
| $4\times4$ 横→縦→横→縦 | $21$・$29$・$37$・$45$ | $9$・$25$ | $17$・$49$ | $33$ | なし |
| $8\times4$ 横→縦→縦→横→縦 | $37$〜$93$ | $89$・$105$ | $17$・$49$ | $33$・$97$ | $65$ |
$k=1$ の和はどれも $4\times$奇数$+1$(5・13・21・29・37・45)、$k=2$ は $8\times$奇数$+1$(9・25・41・57・89・105)、$k=3$ は $16\times$奇数$+1$(17・49)、$k=4$ は $32\times$奇数$+1$(33・97)、$k=5$ は $65$ だった。五つの形と 28 通りの順で、隣どうしの和と同じ面の組を合わせて $2024$ 組を照らし、$\nu_2(s-1)-1=k$ の食い違いは $0$ だった。最後の折りで重なる和は、16・32・64 ページで 17・33・65 だけだった。
観察 3.2 隣の和は、何番目の折りで重なったかを言い当てる。和から 1 を引いた数が 4 で割り切れて 8 で割り切れなければ最初の折り、8 で割り切れて 16 で割り切れなければ二番目の折りで重なっていた。最後の折りでは、和から 1 を引いた数がページ数で割り切れ、ページ数の二倍より小さいので、和は $N+1$ だけになる。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、ページを紙の上の位置で見るか、番号の余りと 2 の冪で見るかである。紙の上の位置は、五つの形の 28 通りの順ですべて違った。番号を 4 で割った余りは面を、隣の和から 1 を引いた数の 2 の冪は重なる折りを、折る順にも紙の形にもよらずに決めた。
観察 4.2 言わないこと。裁ち落とし、くわえ代、紙の厚み、ほかの重ね方、64 ページより大きい折丁、実在の印刷機の版の置き方は扱わない。示したのは、877 と同じ約束で折る模型で、五つの形と 28 通りの順について、面と重なる折りが番号から決まることである。
5. 点呼と結び
- 折り方の模型と $\nu_2(s-1)$(第1節):877 と同じ約束。
- 折る順 $\mathbf{28}$ 通り・並びはすべて違う(計算 2.1):五つの紙の形。
- 表の面は 4 で割った余り 2・3(計算 2.1):形にも順にもよらない。
- $\mathbf{2024}$ 組で食い違い 0(計算 3.1):隣の和が重なる折りを言い当てる。
- 最後の折りの和 17・33・65(計算 3.1):ページ数に 1 を足した数だけ。
- 位置か、余りと 2 の冪か(観察 4.1):分離子・論文877 の射程注記。
結び:ページを倍にしても、同じ面に来るページは 4 で割った余りで決まり、重なる折りは隣の和が言い当てる。877 と同じ約束で 16・32・64 ページの五つの紙の形を 28 通りの順で折ると、紙の上の並びはすべて違ったが、表の面は 4 で割った余りが 2 か 3 のページだった。隣どうしの和から 1 を引いた数を割り切る 2 の冪の指数から 1 を引くと重なる折りの番号になり、2024 組で食い違いは 0、最後の折りの和は 17・33・65 だけだった。分離子は、ページを紙の上の位置で見るか、番号の余りと 2 の冪で見るかである。既刊との位置:論文877 が 16 ページで見つけた変わらないものを、論文877 が扱わなかった 32 ページと 64 ページで数えた。正直に言えば、紙の厚みも裁ち落としも入れていない。一つの約束の折り方で、番号が面と折りをどこまで決めるか、そこまでである。
参考文献
- Kipphan, H. (Ed.). (2001). Handbook of Print Media: Technologies and Production Methods. Springer.
- 山岸勇輝 (2026). 『折り方でページの並びは変わるが、同じ面に来るページと最後の折り目の和 17 は変わらない』[論文877]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/877
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「ページを倍にしても、同じ面に来るページは 4 で割った余りで決まり、重なる折りは隣の和が言い当てる」[論文964]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/964
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/964・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). ページを倍にしても、同じ面に来るページは 4 で割った余りで決まり、重なる折りは隣の和が言い当てる [論文964]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/964
Yamagishi, Y. (2026). Doubling the Pages, Which Pages Share a Side Is Still Set by Remainder Mod 4, and a Neighbor Sum Names the Fold That Joins Them [Paper 964]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/964
@misc{yamagishi2026yoi964,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {Doubling the Pages, Which Pages Share a Side Is Still Set by Remainder Mod 4, and a Neighbor Sum Names the Fold That Joins Them},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/964},
note = {Preprint, edition 1}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
4bbd86292ab4d5d173a56f2d17501fb17585781fe154dff8ff3c1574dea7946e yamagishi_yoi964_v1_jp.pdfc20d91ec94cfd14437d7367f8861681aaf73ed048bea2786faec287ffe06c9af yamagishi_yoi964_v1_en.pdfPDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。