【論文479】体系に七つある同じ数は、二組と一つに分かれる

要旨

同じ数が出れば同じ理由だろう、と思われている。本稿が示すのは、体系に出る七つの $1/e$ が $\mathbf{3+3+1}$ に分かれることである。二組は互いに別根で、最後の一つは規約から出た偶然である。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、極限の汎関数 $P(x)=x\ln(1/x)$ では、最大点と最大値が厳密に一致する(第2節)。

第二に、だが有限 $n$ では食い違い、$n=10$ で $\mathbf{0.300000}$ 対 $\mathbf{0.398690}$ である(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。七つは、停留条件 $3$ つ・ポアソン極限 $3$ つ・規約 $1$ つに分かれる(第3節)。

第四に、$x^{x}$ の最小点は $1/e$ だが、最小値は $e^{-1/e}=0.692200628$ で別の数である(第3節)。

第五に、論文178 の $\varphi(0)=1/e$ は、指数の分子を $-2$ にすると $0.135335283$ に変わる(第3節)。

第六に、分離子は「停留条件から出るか、極限から出るか、置き方から出るか」である(第4節)。

キーワード:1/e、秘書問題、撹乱順列、ポアソン極限、最適停止。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。秘書問題、撹乱順列、ポアソン極限、$x^{x}$ の最小はすべて既知である。$e$ を神秘化しない。七つが一つに統一されるとは書かない。二組は互いに別根である。既刊を誤りと呼ばない。論文388 は「変数を動かす」基準で判定しており、その基準では別根と読める。本稿は基準が食い違う実例として扱う。数値の精度に限界がある。停留点は平坦なので、数値探索では $1.5\times10^{-8}$ 程度までしか詰められない。歴史を論じない。誰がいつ最初に見つけたかは主題ではない。既刊との関係:論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。本稿はその五基準を実際に七つへ当てる。論文405 は同根の証拠が全単射であることを示した。一致する項の数ではない。論文388 は秘書問題の二つを別根と判定した。本稿はその判定が第一基準に依ることを示す。論文178 は試験関数を置いた。その $\varphi(0)$ が七つ目である。加えたのは、七つを一つの表に並べたこと、有限 $n$ での食い違いを $0.098690$ と出したこと、極限で最大点と最大値が厳密に一致することを示したこと、$3+3+1$ の分類を出したこと、178 の値が規約であることを分子の変更で示したこと、分離子を三つに置いたことである。

1. 記法と問い

設定:$1/e=0.367879441171442$ が体系に出る場所を数える。秘書問題では、$n$ 人のうち最初の $k$ 人を見送り、以降で「それまでの最良を超えた最初の一人」を選ぶ。最良を選ぶ確率は

$$P_{n}(k)=\frac{k}{n}\sum_{j=k+1}^{n}\frac{1}{j-1}$$

であり、$n\to\infty$ で $x=k/n$ とおくと

$$P(x)=x\ln\frac{1}{x}$$

になる。以下、この $P$ を極限の汎関数と呼ぶ。

観察 1.1 同じ数が出れば同じ理由だろう、と思われている。$0.367879$ が四つの編に出る。一つの根があるように見える。

観察 1.2 だが論文300 は、数値の一致だけでは同根と見なさないと決めた。五つの基準で判定する。当てれば分かれるはずである。

問い:七つは、いくつの組に分かれるのか。

2. 極限でだけ、最大点と最大値が一致する

計算 2.1:四つの $n$ で、最適な見送り率と、最良を選ぶ確率を出す。

$n$ 見送り率 $k^{*}/n$ 当たる確率 $P$ 差
$10$ $\mathbf{0.300000}$ $\mathbf{0.398690}$ $\mathbf{0.098690}$
$100$ $0.370000$ $0.371043$ $0.001043$
$1000$ $0.368000$ $0.368196$ $0.000196$
$10000$ $0.367900$ $0.367911$ $0.000011$

観察 2.2 $n=10$ では $\mathbf{0.098690}$ も違う。$0.300000$ 対 $0.398690$、同じ数どころか、$3$ 割も離れている。

観察 2.3 食い違いは $n$ とともに単調に縮む。$0.098690>0.001043>0.000196$、$n=10^{4}$ で $0.000011$ になる。

計算 2.4:極限の汎関数 $P(x)=x\ln(1/x)$ の最大点と最大値を出す。

最大点 $x^{*}=0.367879441$、最大値 $P(x^{*})=0.367879441$。厳密に一致する。

観察 2.5 一致は偶然ではなく、停留条件の帰結である。$P'(x)=\ln(1/x)-1=0$ より $\ln(1/x^{*})=1$、そのとき $P(x^{*})=x^{*}\cdot1=x^{*}$ になる。式の上で、最大値が最大点に等しくなることが強制されている。

観察 2.6 だから論文388 の判定は、どの基準を使ったかに依る。「変数を動かす」基準(論文31)では、有限 $n$ で二つが別々に動くので別根である。「道筋」の基準(論文279)では、同じ停留条件から出るので同根である。388 を誤りとは呼ばない。基準が食い違う実例である。

観察 2.7 数値で最大点を探すと、$1.5\times10^{-8}$ より細かくは出ない。頂点が平坦だから、$x$ を $3\times10^{-9}$ 動かしても $P$ は倍精度の下でしか変わらない。これは式の限界ではなく、数値の限界である。

3. 七つは 3 と 3 と 1 に分かれる

計算 3.1:$1/e$ が出る七つの場所を並べる。

出所 値 根
秘書の見送り率 $k^{*}/n$ $0.367900$($n=10^{4}$) 停留条件
秘書の当たる確率 $P$ $0.367911$($n=10^{4}$) 停留条件
$x^{x}$ の最小点 $\mathbf{0.367879}$ 停留条件
撹乱順列 $D_{n}/n!$ $0.367879441$($n=20$) ポアソン極限
$(1-1/n)^{n}$ $0.367695425$($n=10^{3}$) ポアソン極限
ポアソン $P(0)$ $\mathbf{0.367879441171442}$ ポアソン極限
論文178 の $\varphi(0)$ $\mathbf{0.367879441171442}$ 規約

観察 3.2 第一の組は、すべて $\ln x=-1$ から出る。$x^{x}$ の最小点でも $\ln x^{*}=-1$ になる。秘書問題と $x^{x}$ は、まったく違う話に見えて、同じ停留条件を解いている。

観察 3.3 ただし $x^{x}$ の最小値は $1/e$ ではない。$e^{-1/e}=\mathbf{0.692200628}$、最大点と最大値が一致するのは $P(x)=x\ln(1/x)$ の側だけで、$x^{x}$ では一致しない。同じ停留条件でも、値まで同じにはならない。

観察 3.4 第二の組は、すべて二項からポアソンへの極限である。$(1-1/n)^{n}\to e^{-1}$ が本体で、ポアソン $P(0)$ はその極限そのもの、撹乱順列も、不動点の個数がポアソン $(1)$ に収束することの帰結である。

観察 3.5 二つの組は互いに別根である。片方は微分をゼロと置いた条件、片方は極限の値、どちらも $1/e$ を返すが、$e$ が入ってくる経路が違う。

観察 3.6 七つ目は、どちらでもない。論文178 の試験関数 $\varphi(x)=e^{-1/(1-x^{2})}(1+0.9x)$ で $\varphi(0)=1/e$ になるのは、指数の分子を $-1$ と置いたからである。分子を $-2$ にすると $\mathbf{0.135335283}$ になり、$1/e$ ではなくなる。

観察 3.7 つまりこれは規約であって、定理ではない。台の半径を変えても $\varphi(0)$ は動かないが、分子を変えれば動く。値を決めているのは自然ではなく、書き手の選択である。

観察 3.8 だから点呼は $\mathbf{3+3+1}$ である。同根の組が二つと、純粋な偶然が一つ、「七つが一つに統一される」とは書けない。

4. 分離子

分離子:停留条件から出るか、極限から出るか、置き方から出るか。

観察 4.1 停留条件から出るなら、微分をゼロと置いた式に $e$ が現れる。$\ln x=-1$、$e$ は「対数の底」として入る。

観察 4.2 極限から出るなら、$n\to\infty$ の操作に $e$ が現れる。$(1-1/n)^{n}$、$e$ は「極限の値」として入る。

観察 4.3 置き方から出るなら、係数を変えれば消える。分子を $-2$ にすれば $1/e$ でなくなる。$e$ は入っていない。書き手が入れた。

観察 4.4 これは論文300 の基準で三分類である。どれも「$1/e$ が出た」と呼ばれる。一方は停留の量、一方は極限の量、一方は規約の量である。

観察 4.5 論文405 の言い方でいえば、同根の証拠は全単射である。停留条件の組の内部では、$\ln x=-1$ を通す対応が書ける。組をまたぐと書けない。一致する桁数を数えても証拠にならない。

観察 4.6 そして規約の一つは、消しても他の六つが残る。論文178 の $\varphi$ を別のバンプ関数に取り替えても、体系の他の主張は何も変わらない。定数を消しても結論が変わらないなら、それは機構ではない。

観察 4.7 論文478 と同じ形である。そこでは効くのが $s$ ではなく $Ns$ だった。ここでは $1/e$ が出るのが $e$ のせいではなく、停留条件か極限かのせいである。どちらも、目立つ量の側に理由が無い。

観察 4.8 正直に言えば、七つで尽くしたとは言えない。走査は「$0.367879$」という文字列と「撹乱順列」で当てた。$1/e$ を数字で書かずに $e^{-1}$ とだけ書いた箇所は、この方法では拾えない。八つ目が出ることを排除しない。

5. 点呼と結び

  1. $n=10$ で $0.300000$ 対 $0.398690$(計算 2.1):差 $0.098690$。
  2. $n=10^{4}$ で差 $0.000011$(計算 2.1):単調に縮む。
  3. 極限では最大点=最大値(計算 2.4):$0.367879441$。
  4. 停留条件の帰結である(観察 2.5):$\ln(1/x^{*})=1$。
  5. 基準が食い違う(観察 2.6):388 を誤りとは呼ばない。
  6. 七つは $3+3+1$(計算 3.1):本稿の芯。
  7. $x^{x}$ の最小値は $0.692200628$(観察 3.3):最小点とは別の数。
  8. 178 は分子を $-2$ にすると $0.135335283$(観察 3.6):規約である。
  9. 分離子は三つ(観察 4.3):停留・極限・置き方。
  10. 八つ目を排除しない(観察 4.8):走査の限界。

結び:同じ数が出れば同じ理由だろう、と思われている。$0.367879$ が四つの編に出れば、一つの根があるように見える。だが論文300 は、数値の一致だけでは同根と見なさないと決めた。五つの基準で当てれば、分かれるはずである。まず、極限でだけ一致する。秘書問題の見送り率と当たる確率は、$n=10$ で $\mathbf{0.300000}$ 対 $\mathbf{0.398690}$ と $\mathbf{0.098690}$ も違う。同じ数どころか $3$ 割離れている。食い違いは $n$ とともに単調に縮み、$n=10^{4}$ で $0.000011$ になる。極限の汎関数 $P(x)=x\ln(1/x)$ では最大点 $0.367879441$ と最大値 $0.367879441$ が厳密に一致し、それは偶然ではなく停留条件の帰結である。$\ln(1/x^{*})=1$ だから $P(x^{*})=x^{*}\cdot1=x^{*}$ になる。だから論文388 の判定はどの基準を使ったかに依る。「変数を動かす」基準では有限 $n$ で別々に動くので別根、「道筋」の基準では同じ停留条件から出るので同根である。388 を誤りとは呼ばない。基準が食い違う実例である。なお、数値で最大点を探しても $1.5\times10^{-8}$ より細かくは出ない。頂点が平坦だからで、これは式の限界ではなく数値の限界である。七つは $3$ と $3$ と $1$ に分かれる。第一の組は秘書の見送り率・当たる確率・$x^{x}$ の最小点で、すべて $\ln x=-1$ から出る。まったく違う話に見えて、同じ停留条件を解いている。ただし $x^{x}$ の最小値は $e^{-1/e}=\mathbf{0.692200628}$ で $1/e$ ではない。同じ停留条件でも、値まで同じにはならない。第二の組は撹乱順列・$(1-1/n)^{n}$・ポアソン $P(0)$ で、すべて二項からポアソンへの極限である。二つの組は互いに別根で、片方は微分をゼロと置いた条件、片方は極限の値、どちらも $1/e$ を返すが、$e$ が入ってくる経路が違う。七つ目はどちらでもない。論文178 の試験関数で $\varphi(0)=1/e$ になるのは指数の分子を $-1$ と置いたからで、$-2$ にすれば $\mathbf{0.135335283}$ になる。規約であって定理ではない。だから点呼は $\mathbf{3+3+1}$ である。「七つが一つに統一される」とは書けない。分けているものは三つ、停留条件から出るか、極限から出るか、置き方から出るか。停留条件からなら微分をゼロと置いた式に $e$ が「対数の底」として入る。極限からなら $n\to\infty$ の操作に $e$ が「極限の値」として入る。置き方からなら係数を変えれば消える。$e$ は入っておらず、書き手が入れた。論文300 の基準で三分類であり、一方は停留の量、一方は極限の量、一方は規約の量である。論文405 の言い方でいえば、同根の証拠は全単射である。停留条件の組の内部では $\ln x=-1$ を通す対応が書けるが、組をまたぐと書けない。一致する桁数を数えても証拠にならない。そして規約の一つは、消しても他の六つが残る。論文178 の $\varphi$ を別のバンプ関数に取り替えても体系の他の主張は何も変わらない。定数を消しても結論が変わらないなら、それは機構ではない。正直に言えば、七つで尽くしたとは言えない。走査は「$0.367879$」という文字列と「撹乱順列」で当てており、$1/e$ を数字で書かずに $e^{-1}$ とだけ書いた箇所は拾えない。八つ目が出ることを排除しない。

参考文献

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  4. Ferguson, T. S. (1989). Who Solved the Secretary Problem? Statistical Science.
  5. 山岸勇輝 (2026). 『次元を持たない $\pi$』[論文31]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22090430
  6. 山岸勇輝 (2026). 『デルタは関数ではなく、写像である』[論文178]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22098261
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  9. 山岸勇輝 (2026). 『候補が百万人でも、最良を当てる確率は $0.3679$ のまま落ちない』[論文388]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22699147
  10. 山岸勇輝 (2026). 『数値の一致が同根の証拠になるのは、全単射があるときだけである』[論文405]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22699433
  11. 山岸勇輝 (2026). 『有利であることが効くかどうかは、集団の大きさが決めている』[論文478]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733726

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「体系に七つある同じ数は、二組と一つに分かれる」[論文479]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22733844

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 体系に七つある同じ数は、二組と一つに分かれる [論文479]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/479 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22733844

Yamagishi, Y. (2026). The Same Number Appears Seven Times and Splits into Two Groups and One [Paper 479]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/479; DOI: 10.5281/zenodo.22733844

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