【論文977】平らな面の従動節は圧力角が 0 でも、凸の輪郭に要る基礎円は減速の強さで決まる

要旨

ローラーの従動節では、圧力角を収めるピッチ円は速さの最大で決まり(論文961)、切り下げを避けるローラーの大きさは減速の強さで決まった(論文967)。平らな面の従動節は面がいつもカムの輪郭に接するので圧力角は 0 だが、輪郭が凸でないと面が輪郭をまたいでしまう。本稿は、961 の四つの運動曲線(持ち上げ 10 mm・カムの角 60 度)で、平らな面の直動従動節の輪郭を凸に保つ基礎円の半径の下限と、接点が面の上を横にずれる大きさを出し、ローラーの従動節の要るピッチ円と比べる。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、基礎円の下限は減速の強さの順に大きい。下限は放物線 $31.4756$ mm、単弦 $35.0000$ mm、3-4-5 多項式 $43.3369$ mm、サイクロイド $\mathbf{48.2270}$ mm だった(第2節)。

第二に、下限は持ち上げの減速の区間で決まる。下限を決める位置は、放物線で減速に移る $u=0.5000$、単弦で持ち上げの終わり $u=1.0000$、3-4-5 多項式で $u=0.7840$、サイクロイドで $u=0.7455$ だった。単弦と放物線の下限は閉じた式と $10^{-9}$ 以内で一致した(第2節)。

第三に、四つともローラーで圧力角 30 度に要るピッチ円より大きい。ローラーの要るピッチ円(961)に対する比は、放物線 $1.120939$、単弦 $1.631131$、3-4-5 多項式 $1.643741$、サイクロイド $\mathbf{1.699024}$ だった(第3節)。

第四に、面の幅は速さの最大で決まる。接点が面の上を横にずれる大きさの最大は、放物線とサイクロイド $19.0986$ mm、3-4-5 多項式 $17.9049$ mm、単弦 $15.0000$ mm で、持ち上げ÷カムの角×速さの係数の最大と $10^{-9}$ 以内で一致した(第3節)。

第五に、分離子は、従動節の形がカムに傾きを求めるか、曲がりを求めるかである。ローラーはカムに傾き(圧力角)を求め、要るピッチ円は単弦が最小だった。平らな面はカムに曲がり(凸であること)を求め、要る基礎円は放物線が最小で、単弦は二番目だった(第4節)。

キーワード:カム、平らな面の従動節、基礎円、輪郭の曲率、圧力角、運動曲線。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。平らな面の従動節の圧力角が 0 であること、輪郭が凸であるための条件が基礎円の半径と持ち上げとその二階の微分の和で書けること、面の幅が接点のずれの最大で決まることは、いずれもカムの設計で知られている。961 と同じ置き方である。持ち上げ 10 mm、カムの角 60 度、四つの運動曲線、ローラーで圧力角 30 度に要るピッチ円の値は論文961 のもので、どの機械のカムにも対応しない。直動の平らな面の従動節だけを扱う。面は従動節の動く向きに直角で、面をずらした形、揺れる腕の従動節、戻りの区間は入れない。輪郭の強さを扱わない。接触の応力、材料、面の摩擦とすり減り、休みの区間とのつなぎ目の曲率の細かい形は扱わない。既刊との関係:論文972 の射程注記は、直動のローラーの従動節だけを扱い、平らな面の従動節、揺れる腕の従動節、休みの区間、回る向きを変えることは入れないと書いた。本稿はそのうち平らな面の従動節の席に座る(先客なし)。論文961 の射程注記も、平らな面の従動節は入れないと書いた。本稿はその席にも座る。論文961 は、速さの最大が同じカムの曲線でも圧力角を収めるピッチ円が角の最大になる位置で変わることを示した。ここでは、圧力角が 0 になる従動節で、カムの大きさを決めるものが何に替わるかを数える。論文967 は、切り下げを避けるローラーの大きさが減速の強さの順に決まることを示した。ここでは、平らな面の従動節でも凸の条件が減速の強さの順に基礎円を決めることを数える。加えたのは、四つの曲線で基礎円の下限と決める位置を出したこと、単弦と放物線を閉じた式で確かめたこと、ローラーの要るピッチ円と比べたこと、面の幅を出したこと、分離子を「傾きか、曲がりか」に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:論文961 と同じく、持ち上げ $h=10$ mm をカムの角 $\beta=60$ 度($\pi/3$ ラジアン)で行い、無次元の角 $u$ での持ち上げを $s(u)$、速さの係数を $v=ds/du$、加速度の係数を $a=d^2s/du^2$ とする。平らな面の直動従動節では、面の接点の輪郭の曲率半径と、接点が面の上を横にずれる大きさは

$$\rho=R_b+h\,s+\frac{h}{\beta^2}\,a,\qquad e=\frac{h}{\beta}\,v$$

である($R_b$ は基礎円の半径)。輪郭が凸であるには $\rho>0$ が要るので、基礎円の半径の下限は $-h s-(h/\beta^2) a$ の最大である。$u$ を $4000$ に刻んで最大を探した。

問い:圧力角が 0 の平らな面の従動節で、カムの大きさを決めるのは何か。

2. 基礎円の下限

計算 2.1:四つの運動曲線の基礎円の下限と、決める位置。

曲線 基礎円の下限(mm) 決める位置 $u$
放物線 $31.4756$ $0.5000$
単弦 $35.0000$ $1.0000$
3-4-5 多項式 $43.3369$ $0.7840$
サイクロイド $\mathbf{48.2270}$ $0.7455$

単弦の下限は閉じた式 $h(\pi^2/2)/\beta^2-h$、放物線の下限は $4h/\beta^2-h/2$ と、どちらも $10^{-9}$ 以内で一致した。

観察 2.2 基礎円の下限は減速の強さの順に大きい。下限の小さい順は放物線・単弦・3-4-5 多項式・サイクロイドで、四つの曲線の減速の係数の最大(961・967 の 4・4.934802・5.773502・6.283185)の小さい順と同じだった。決める位置はどれも減速の区間にあり、単弦では持ち上げの終わり、放物線では減速に移る点だった。

3. ローラーとの比べと面の幅

計算 3.1:ローラーで圧力角 30 度に要るピッチ円(961)との比と、接点の横のずれの最大。

曲線 平らな面の基礎円の下限 ローラーの要るピッチ円 比 接点の横のずれの最大
放物線 $31.4756$ mm $28.0797$ mm $1.120939$ $19.0986$ mm
単弦 $35.0000$ mm $21.4575$ mm $1.631131$ $15.0000$ mm
3-4-5 多項式 $43.3369$ mm $26.3648$ mm $1.643741$ $17.9049$ mm
サイクロイド $48.2270$ mm $28.3851$ mm $\mathbf{1.699024}$ $19.0986$ mm

接点の横のずれの最大は $(h/\beta)$ に速さの係数の最大(2・$\pi/2$・1.875・2)を掛けた値と $10^{-9}$ 以内で一致した。

観察 3.2 圧力角が 0 でも、平らな面の従動節は大きいカムを要る。四つとも、凸の輪郭に要る基礎円はローラーで圧力角 30 度に要るピッチ円より大きく、比は放物線の $1.120939$ からサイクロイドの $1.699024$ までだった。面の幅を決める横のずれは速さの係数で決まり、単弦が $15.0000$ mm で最も小さかった。

4. 分離子

観察 4.1 分離子は、従動節の形がカムに傾きを求めるか、曲がりを求めるかである。ローラーの従動節は輪郭の傾き(圧力角)を限り、要るピッチ円は単弦・3-4-5 多項式・放物線・サイクロイドの順だった(961):平らな面の従動節は輪郭の曲がり(凸であること)を限り、要る基礎円は放物線・単弦・3-4-5 多項式・サイクロイドの順で、放物線と単弦の位置が入れ替わった。

観察 4.2 言わないこと。接触の応力、材料、面の摩擦とすり減り、面をずらした形や揺れる腕の従動節、戻りの区間、どの従動節を使うべきかは扱わない。示したのは、961 と同じ置き方で、平らな面の従動節の基礎円が減速の強さの順に決まり、ローラーの要るピッチ円より大きいことである。

5. 点呼と結び

  1. 凸の条件と接点のずれ(第1節):曲がりと傾き。
  2. 下限 31.4756〜$\mathbf{48.2270}$ mm(計算 2.1):減速の強さの順。
  3. 単弦 35.0000・放物線 31.4756 は閉じた式(計算 2.1):確かめ。
  4. ローラーとの比 1.120939〜$\mathbf{1.699024}$(計算 3.1):四つとも大きい。
  5. 面の幅 15.0000〜19.0986 mm(計算 3.1):速さの係数で決まる。
  6. 傾きか、曲がりか(観察 4.1):分離子・論文972 と論文961 の射程注記。

結び:平らな面の従動節は圧力角が 0 でも、凸の輪郭に要る基礎円は減速の強さで決まる。961 の四つの曲線で、基礎円の下限は放物線 $31.4756$ mm、単弦 $35.0000$ mm、3-4-5 多項式 $43.3369$ mm、サイクロイド $48.2270$ mm で、ローラーで圧力角 30 度に要るピッチ円の $1.120939$〜$1.699024$ 倍だった。面の幅を決める接点のずれは速さの係数で決まり、単弦が $15.0000$ mm で最も小さかった。分離子は、従動節の形がカムに傾きを求めるか、曲がりを求めるかである。既刊との位置:論文961 と論文972 がローラーで数えたカムの大きさを、二つが入れなかった平らな面の従動節で数え、論文967 の減速の順がここでも現れた。正直に言えば、接触の強さも面の摩擦も見ていない。圧力角が 0 の従動節で、カムの大きさを決めるものが何に替わるか、そこまでである。

参考文献

  1. Norton, R. L. (2009). Cam Design and Manufacturing Handbook. Industrial Press.
  2. 山岸勇輝 (2026). 『速さの最大が同じカムの曲線でも、圧力角を収めるピッチ円は、角が最大になる位置で変わる』[論文961]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/961
  3. 山岸勇輝 (2026). 『カムの切り下げを避けるローラーの大きさは、圧力角と違い、減速の強さの順に決まる』[論文967]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/967
  4. 山岸勇輝 (2026). 『カムの従動節をずらして得をするのは、戻りが持ち上げより遅いときだけである』[論文972]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/972

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「平らな面の従動節は圧力角が 0 でも、凸の輪郭に要る基礎円は減速の強さで決まる」[論文977]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/977

YOI 977第1版・2026年9月ビットコインに記録済み

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 平らな面の従動節は圧力角が 0 でも、凸の輪郭に要る基礎円は減速の強さで決まる [論文977]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/977

Yamagishi, Y. (2026). A Flat-Faced Follower Has Zero Pressure Angle, Yet the Base Circle for a Convex Profile Is Set by Deceleration [Paper 977]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/977

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  year = {2026},
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