要旨
信号の段数を増やしても、列車の間隔はブレーキ距離と列車の長さの和より短くならない(論文893)。そこでは、運転士が信号を見て反応する時間や止まる位置の余裕を入れなかった。本稿は、893 の減速度 0.8 m/s² と列車の長さ 200 m に、止まる位置の余裕と反応の時間を足して列車の間隔とし、一時間に通せる本数を最も多くする速さと、その本数を数える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、本数を最も多くする速さは、反応の時間によらない。余裕 0 m で反応の時間を 0・5・10 秒と変えても、本数が最も多い速さはどれも $17.8887$ m/s($\mathbf{64.399}$ km/h)で、式の $17.8885$ m/s と $10^{-3}$ m/s 以内だった(第2節)。
第二に、最適の速さは余裕とともに上がる。余裕 0・50・100 m で、最適の速さは $64.399$・$72.000$・$78.871$ km/h だった(第2節)。
第三に、反応の時間は最大の本数だけを下げる。余裕 0 m で、反応の時間 0・5・10 秒の最大の本数は $\mathbf{160.9969}$・$131.5757$・$111.2461$ 本/時だった(第3節)。
第四に、130 km/h で走ると、本数は最大より少ない。130 km/h での本数は、余裕 0 m・反応 0 秒で $128.0778$ 本/時(最大の $\mathbf{0.795530}$ 倍)、余裕 100 m・反応 10 秒で最大の $0.914598$ 倍だった(第3節)。
第五に、分離子は、間隔のうち速さに比例する部分か、速さの二乗に比例する部分か。本数は速さ÷間隔で、間隔の零次の部分(長さと余裕)と二次の部分(ブレーキ距離)が釣り合う速さで最大になる。一次の部分(反応の間に走る距離)は、どの速さでも本数を同じ割合では下げず、最大の位置を動かさずに高さだけを下げた(第4節)。
キーワード:列車の間隔、輸送力、ブレーキ距離、反応の時間、鉄道の信号、交通の流れ。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。列車や車の流れで、通せる本数が速さ÷間隔で決まり、ブレーキ距離が速さの二乗で伸びるために本数を最も多くする速さがあること、その速さが長さとブレーキから決まることは、いずれも交通の流れと鉄道の信号で知られている。置いた値である。減速度 0.8 m/s² と列車の長さ 200 m は論文893 の模型の値で、止まる位置の余裕 0・50・100 m と反応の時間 0・5・10 秒は本稿で置いた。どの路線にも対応しない。走り方を単純にした。駅での停車、加速と減速にかかる時間、閉塞の段数、前の列車の位置から間隔を測る方式(893)は入れず、間隔を一つの式で置いた。速さの利点を数えない。速く走ると所要時間が短くなる利点、エネルギー、乗客の数は扱わない。本数だけを数える。既刊との関係:論文893 の射程注記は、余裕を入れず、運転士が信号を見る距離、止まる位置の余裕、駅での停車、加速と減速にかかる時間は入れないと書いた。本稿はそのうち信号を見て反応する時間と止まる位置の余裕の席に座る(先客なし)。論文893 は、信号の段数を増やしても列車の間隔がブレーキ距離と列車の長さの和より短くならないことを示した。ここでは、その間隔に余裕と反応の時間を足し、本数を最も多くする速さを数える。加えたのは、九つの余裕と反応の時間の組で最適の速さと本数を出したこと、最適の速さが反応の時間によらないと確かめたこと、最大の本数を閉じた式で確かめたこと、130 km/h での本数と比べたこと、分離子を「速さに比例する部分か、二乗に比例する部分か」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:論文893 と同じく減速度 $b=0.8$ m/s²・列車の長さ $L=200$ m とし、止まる位置の余裕 $m$ と、信号を見て反応する時間 $t_r$ を置く。速さ $v$ で走る列車の間隔と一時間の本数を
$$g(v)=L+m+v\,t_r+\frac{v^2}{2b},\qquad q(v)=\frac{3600\,v}{g(v)}$$
とする。$q$ を $v$ で微分して 0 と置くと $v^2=2b(L+m)$ で、$t_r$ は消える。速さを 0.1〜100 m/s の 200001 点で刻んで、最大を直接も探した。
問い:列車の本数を最も多くする速さは何で決まり、反応の時間はそれをどう変えるか。
2. 最適の速さ
計算 2.1:余裕と反応の時間の九つの組。
| 余裕 | 反応 | 刻んだ最適(m/s) | 式(m/s) | 最適(km/h) | 最大の本数(本/時) |
|---|---|---|---|---|---|
| $0$ m | $0$ 秒 | $17.8887$ | $17.8885$ | $\mathbf{64.399}$ | $\mathbf{160.9969}$ |
| $0$ m | $5$ 秒 | $17.8887$ | $17.8885$ | $64.399$ | $131.5757$ |
| $0$ m | $10$ 秒 | $17.8887$ | $17.8885$ | $64.399$ | $111.2461$ |
| $50$ m | $0$ 秒 | $20.0001$ | $20.0000$ | $72.000$ | $144.0000$ |
| $50$ m | $5$ 秒 | $20.0001$ | $20.0000$ | $72.000$ | $120.0000$ |
| $50$ m | $10$ 秒 | $20.0001$ | $20.0000$ | $72.000$ | $102.8571$ |
| $100$ m | $0$ 秒 | $21.9087$ | $21.9089$ | $78.871$ | $131.4534$ |
| $100$ m | $5$ 秒 | $21.9087$ | $21.9089$ | $78.871$ | $111.1587$ |
| $100$ m | $10$ 秒 | $21.9087$ | $21.9089$ | $78.871$ | $96.2924$ |
九つの組で、刻んで探した最適の速さは式 $\sqrt{2b(L+m)}$ と $10^{-3}$ m/s 以内だった。最大の本数は、式の速さで出した本数と一致した。余裕 0・反応 0 の最大の本数は $3600/\sqrt{2L/b}$ と $10^{-9}$ 以内だった。
観察 2.2 最適の速さは長さと余裕とブレーキで決まり、反応の時間によらない。同じ余裕の三つの反応の時間で、最適の速さは同じだった。余裕を 0 m から 100 m にすると、最適の速さは $64.399$ km/h から $78.871$ km/h に上がった。
3. 反応の時間と 130 km/h
計算 3.1:130 km/h での本数と、最大に対する比。
| 余裕 | 反応 | 130 km/h の本数(本/時) | 最大に対する比 |
|---|---|---|---|
| $0$ m | $0$ 秒 | $128.0778$ | $\mathbf{0.795530}$ |
| $0$ m | $5$ 秒 | $108.7354$ | $0.826409$ |
| $0$ m | $10$ 秒 | $94.4686$ | $0.849185$ |
| $50$ m | $0$ 秒 | $122.0648$ | $0.847673$ |
| $50$ m | $5$ 秒 | $104.3705$ | $0.869754$ |
| $50$ m | $10$ 秒 | $91.1565$ | $0.886244$ |
| $100$ m | $0$ 秒 | $116.5911$ | $0.886939$ |
| $100$ m | $5$ 秒 | $100.3425$ | $0.902695$ |
| $100$ m | $10$ 秒 | $88.0688$ | $0.914598$ |
観察 3.2 反応の時間は最大の本数を下げ、130 km/h との差を縮める。三つの余裕のどれでも、反応の時間が長いほど最大の本数は下がった。130 km/h での本数の最大に対する比は、余裕と反応の時間が大きいほど 1 に近づき、$0.795530$ から $0.914598$ までだった。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、間隔のうち速さに比例する部分か、速さの二乗に比例する部分か。本数 $q=3600 v/g$ の逆数は $(L+m)/v+t_r+v/(2b)$ で、反応の時間 $t_r$ は速さによらない定数として足される。最適は零次の部分 $(L+m)/v$ と二次から来る部分 $v/(2b)$ が等しくなる速さで決まり、$t_r$ は最大の位置を動かさず高さだけを下げた(余裕 0 m で $160.9969$ から $111.2461$ 本/時)。
観察 4.2 言わないこと。駅での停車、加速と減速にかかる時間、閉塞の段数、実在の路線の本数、速く走る利点、どの速さで走るべきかは扱わない。示したのは、一つの式で置いた間隔で、本数を最も多くする速さが反応の時間によらないことである。
5. 点呼と結び
- 間隔と本数の式(第1節):微分で反応の時間が消える。
- 最適の速さ $\mathbf{64.399}$ km/h(余裕 0)(計算 2.1):反応の時間によらない。
- 余裕 0・50・100 m で 64.399・72.000・78.871 km/h(計算 2.1):余裕で上がる。
- 最大の本数 $\mathbf{160.9969}$ から 111.2461 本/時(計算 2.1):反応の時間が高さを下げる。
- 130 km/h で最大の $\mathbf{0.795530}$〜0.914598 倍(計算 3.1):本数は少ない。
- 速さに比例か、二乗に比例か(観察 4.1):分離子・論文893 の射程注記。
結び:列車の本数を最も多くする速さは、信号を見て反応する時間によらない。893 の減速度と列車の長さで、間隔に余裕と反応の時間を足すと、本数を最も多くする速さは余裕 0・50・100 m で $64.399$・$72.000$・$78.871$ km/h で、反応の時間を 0・5・10 秒と変えても同じだった。反応の時間は最大の本数だけを、余裕 0 m で $160.9969$ から $111.2461$ 本/時に下げた。130 km/h での本数は最大の $0.795530$〜$0.914598$ 倍だった。分離子は、間隔のうち速さに比例する部分か、速さの二乗に比例する部分か。既刊との位置:論文893 がブレーキ距離と列車の長さで数えた間隔に、論文893 が入れなかった反応の時間と止まる位置の余裕を足した。正直に言えば、停車も加減速も入れていない一つの式で、本数だけを数えた。どの速さで本数が最も多くなり、反応の時間がそれをどう変えるか、そこまでである。
参考文献
- 山岸勇輝 (2026). 『信号の段数を増やしても、列車の間隔はブレーキ距離と列車の長さの和より短くならない』[論文893]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/893
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「列車の本数を最も多くする速さは、信号を見て反応する時間によらない」[論文978]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/978
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/978・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 列車の本数を最も多くする速さは、信号を見て反応する時間によらない [論文978]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/978
Yamagishi, Y. (2026). The Speed That Passes the Most Trains Does Not Depend on the Time Taken to React to Signals [Paper 978]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/978
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author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {The Speed That Passes the Most Trains Does Not Depend on the Time Taken to React to Signals},
year = {2026},
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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