要旨
道路は速く走らせるほど多く運べると思われている。本稿が示すのは、同じ流量を出す状態が二つあり、速度が $\mathbf{2.6180}$ 倍違うことである。そして最大流量は、自由流の半分の速度で出る。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、最大流量は密度 $75$ 台/km で $\mathbf{3750.000000000}$ 台/時である(第2節)。
第二に、そのときの速度は自由流のちょうど半分、$\mathbf{50.000000000000}$ km/h である(第2節)。
第三に、これが本稿の芯である。流量 $3000$ 台/時を出す密度は $\mathbf{41.4590}$ と $\mathbf{108.5410}$ の二つあり、速度は $72.3607$ 対 $27.6393$ km/h である(第3節)。
第四に、密度 $20$ の $1733.3333$ 台/時と、密度 $130$ の $1733.3333$ 台/時は同じである(第2節)。
第五に、最大流量は閉じた式 $v_{f}k_{j}/4$ と厳密に一致する(第2節)。
第六に、分離子は「流量が速度で決まるか、速度と密度の積で決まるか」である(第4節)。
キーワード:交通流、基本図、交通容量、グリーンシールズ模型、渋滞。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。交通流の基本図、グリーンシールズの線形モデルはすべて既知である。道路を設計しない。車線数、合流部、信号制御、料金は主題ではない。運転を論じない。車間、速度選択、運転行動は主題ではない。線形モデルは模型である。速度が密度に線形という仮定は単純すぎる。実測の基本図はもっと複雑で、頂点付近が不安定になる。渋滞の発生を説明しない。どこでどう詰まるか、衝撃波の伝播は主題ではない。定常状態だけを見る。既刊との関係:論文461 は向きを変えるだけで出口が追い越すことを示した。そこでも、同じ装置が配置で別の量になった。論文300 は同根か別根かが判定できることを示した。「速い道路」と「よく運ぶ道路」は、その基準で別根である。論文447 は最良点が内部にあることを示した。そこでも、片側だけを見ると誤った。本稿はその二例目である。加えたのは、五つの密度で速度と流量を並べたこと、最大流量を $3750.000000000$ 台/時と出して閉じた式と照合したこと、同じ流量を出す二つの密度を $41.4590$ と $108.5410$ と出したこと、速度の比を $2.6180$ 倍と出したこと、分離子を「速度か、速度と密度の積か」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:単位長さあたりの車の数を密度 $k$ [台/km]、単位時間に断面を通る数を流量 $q$ [台/時] とする。定義から
$$q=k\,v$$
である。速度が密度に線形に減ると置く(グリーンシールズ)と
$$v(k)=v_{f}\Bigl(1-\frac{k}{k_{j}}\Bigr)$$
となる。以下、自由流速度 $v_{f}=100$ km/h、渋滞密度 $k_{j}=150$ 台/km とする。
観察 1.1 道路は速く走らせるほど多く運べると思われている。速度制限を上げれば流れがよくなる。直観としては自然である。
観察 1.2 だが運ぶ量は、速度と台数の積である。速く走らせるには車間を空ける。台数のほうが減る。
問い:どこで最も運べるのか。
2. 最大流量は自由流の半分の速度で出る
計算 2.1:五つの密度で、速度と流量を出す。
| 密度 [台/km] | 速度 [km/h] | 流量 [台/時] |
|---|---|---|
| $20$ | $86.6667$ | $\mathbf{1733.3333}$ |
| $50$ | $66.6667$ | $3333.3333$ |
| $75$ | $50.0000$ | $\mathbf{3750.0000}$ |
| $100$ | $33.3333$ | $3333.3333$ |
| $130$ | $13.3333$ | $\mathbf{1733.3333}$ |
観察 2.2 最大流量は密度 $75$ で $\mathbf{3750.000000000}$ 台/時である。閉じた式 $v_{f}k_{j}/4$ と厳密に一致する。頂点が式の上でも数値の上でも同じ場所にある。
観察 2.3 そのときの速度は $\mathbf{50.000000000000}$ km/h で、自由流のちょうど半分である。最もよく運ぶ状態は、最も速い状態ではない。半分の速度で走っているときに、最大になる。
観察 2.4 密度 $20$ と密度 $130$ が、同じ $1733.3333$ 台/時である。速度は $86.6667$ と $13.3333$ で $6.5$ 倍違うのに、運んでいる量は同じである。
観察 2.5 密度 $50$ と密度 $100$ も、同じ $3333.3333$ 台/時である。頂点をはさんで対称に並ぶ、流量だけを見ていると、どちら側にいるか分からない。
3. 同じ流量を出す状態が二つある
計算 3.1:流量 $3000$ 台/時を出す密度を、二次方程式を解いて出す。
| 状態 | 密度 [台/km] | 速度 [km/h] |
|---|---|---|
| 空いている側 | $\mathbf{41.4590}$ | $\mathbf{72.3607}$ |
| 混んでいる側 | $\mathbf{108.5410}$ | $\mathbf{27.6393}$ |
観察 3.2 どちらも流量は $3000.000000$ 台/時である。逆算して確かめた。同じ量を運びながら、速度が $\mathbf{2.6180}$ 倍違う。
観察 3.3 断面で数えているかぎり、この二つは区別できない。通過台数だけを記録する装置には、同じに見える。密度か速度を測らなければ、どちら側にいるか分からない。
観察 3.4 そして打つ手が正反対になる。空いている側なら流入を増やせば流量が伸び、混んでいる側なら流入を減らさなければ伸びない。同じ観測値に、逆向きの対処が対応する。
観察 3.5 混んでいる側では、流入を増やすと流量が減る。密度 $108.5410$ からさらに詰めれば、$q$ は下がっていく。渋滞時の流入規制は、この向きに効いている。
観察 3.6 頂点の $3750$ は、$3000$ の $1.25$ 倍にすぎない。最良でも $25$ パーセントしか増えない。一方、混んでいる側で放置すれば $1733.3333$ まで落ちうる。
4. 分離子
分離子:流量が速度で決まるか、速度と密度の積で決まるか。
観察 4.1 速度で決まるなら、速いほどよい。単調な関係、速度制限を上げるという処方が出る。
観察 4.2 積で決まるなら、頂点が内部にある。速度と密度は互いに反対に動く。どちらか一方を最大にしても、積は最大にならない。
観察 4.3 これは論文300 の基準で別根である。どちらも「よい道路」と呼ばれる。一方は速度の量、一方は速度と密度の組の量である。
観察 4.4 論文447 と同じ形である。そこでは汚泥を濃くしすぎると実効性能が落ちた。ここでは車を詰めすぎると流量が落ちる。どちらも、増やす方向に頂点がある。
観察 4.5 論文461 とも重なる。そこでは同じ装置が向きで別の量になった。ここでは同じ流量が二つの状態に対応する。どちらも、観測値だけでは状態が決まらない。
観察 4.6 だから流量の記録には、密度か速度を添える。$3000$ 台/時という数だけでは、道路が快適なのか渋滞しているのか分からない。同じ数が、正反対の状態を指す。
観察 4.7 正直に言えば、線形モデルは単純すぎる。実測の基本図は頂点付近で散らばり、不安定になる。$3750$ や $50$ km/h という数はこの模型に依るが、頂点が存在して同じ流量が二つの状態に対応するという結論は依らない。
5. 点呼と結び
- 最大流量は $3750.000000000$ 台/時(観察 2.2):閉じた式と一致。
- そのときの速度は $50.000000000000$ km/h(観察 2.3):自由流の半分。
- 密度 $20$ と $130$ が同じ $1733.3333$(観察 2.4):速度は $6.5$ 倍違う。
- 密度 $50$ と $100$ も同じ $3333.3333$(観察 2.5):頂点をはさんで対称。
- $3000$ を出す密度は $41.4590$ と $108.5410$(計算 3.1):本稿の芯。
- 速度は $2.6180$ 倍違う(観察 3.2):同じ量を運びながら。
- 断面では区別できない(観察 3.3):密度か速度が要る。
- 打つ手が正反対(観察 3.4):流入を増やすか減らすか。
- 分離子は速度か積か(観察 4.3):論文300 の基準で別根。
- 記録には密度か速度を添える(観察 4.6):同じ数が逆の状態を指す。
結び:道路は速く走らせるほど多く運べると思われている。速度制限を上げれば流れがよくなる、というのは直観として自然である。だが運ぶ量は速度と台数の積であり、速く走らせるには車間を空けるので、台数のほうが減る。最大は、真ん中にある。最大流量は密度 $75$ 台/km で $\mathbf{3750.000000000}$ 台/時、閉じた式 $v_{f}k_{j}/4$ と厳密に一致する。そのときの速度は $\mathbf{50.000000000000}$ km/h、自由流のちょうど半分である。最もよく運ぶ状態は、最も速い状態ではない。密度 $20$ と密度 $130$ は同じ $1733.3333$ 台/時で、速度は $86.6667$ と $13.3333$ と $6.5$ 倍違うのに運んでいる量は同じ。密度 $50$ と $100$ も同じ $3333.3333$ 台/時で、頂点をはさんで対称に並ぶ。だから同じ流量を出す状態が、二つある。流量 $3000$ 台/時を出す密度は $\mathbf{41.4590}$ と $\mathbf{108.5410}$ の二つで、速度は $72.3607$ 対 $27.6393$ km/h と $\mathbf{2.6180}$ 倍違う。断面で通過台数だけを数えているかぎり、この二つは区別できない。密度か速度を測らなければ、どちら側にいるか分からない。そして打つ手が正反対になる。空いている側なら流入を増やせば流量が伸び、混んでいる側なら流入を減らさなければ伸びない。同じ観測値に、逆向きの対処が対応する。混んでいる側では流入を増やすと流量が減り、渋滞時の流入規制はこの向きに効いている。頂点の $3750$ は $3000$ の $1.25$ 倍にすぎず、最良でも $25$ パーセントしか増えない。一方、混んでいる側で放置すれば $1733.3333$ まで落ちうる。分けているものは一つ、流量が速度で決まるか、速度と密度の積で決まるか。速度で決まるなら速いほどよく、単調な関係から「速度制限を上げる」という処方が出る。積で決まるなら頂点が内部にあり、速度と密度は互いに反対に動くので、どちらか一方を最大にしても積は最大にならない。論文300 の基準で別根であり、一方は速度の量、一方は速度と密度の組の量である。論文447 と同じ形で、そこでは汚泥を濃くしすぎると実効性能が落ちた。どちらも、増やす方向に頂点がある。論文461 とも重なり、そこでは同じ装置が向きで別の量になった。どちらも、観測値だけでは状態が決まらない。だから流量の記録には密度か速度を添える。$3000$ 台/時という数だけでは、道路が快適なのか渋滞しているのか分からず、同じ数が正反対の状態を指す。正直に言えば、線形モデルは単純すぎる。実測の基本図は頂点付近で散らばり、不安定になる。$3750$ や $50$ km/h という数はこの模型に依るが、頂点が存在して同じ流量が二つの状態に対応するという結論は依らない。
参考文献
- Greenshields, B. D. (1935). A Study of Traffic Capacity. Proceedings of the Highway Research Board.
- Lighthill, M. J., & Whitham, G. B. (1955). On Kinematic Waves II: A Theory of Traffic Flow on Long Crowded Roads. Proceedings of the Royal Society A.
- Daganzo, C. F. (1997). Fundamentals of Transportation and Traffic Operations. Pergamon.
- 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
- 山岸勇輝 (2026). 『働き手を増やしすぎると、働き手のほうが流れ出す』[論文447]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22732494
- 山岸勇輝 (2026). 『向きを逆にするだけで、出口が相手を追い越す』[論文461]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733154
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「同じだけ運べる状態が、二つある」[論文462]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22733178
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/462・DOI 10.5281/zenodo.22733178・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 同じだけ運べる状態が、二つある [論文462]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/462 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22733178
Yamagishi, Y. (2026). Two Different States Carry Exactly the Same Load [Paper 462]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/462; DOI: 10.5281/zenodo.22733178
@misc{yamagishi2026yoi462,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {Two Different States Carry Exactly the Same Load},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/462},
doi = {10.5281/zenodo.22733178},
note = {Preprint, edition 1}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
a4f37c9bb9e33967ce45bec712de2ca4d752b891662492a9a04d869730776d13 yamagishi_yoi462_v1_jp.pdfa04e65f9af70bed0336c11ff10ed4ae84ae832ce4e3dc85853ddaef68b122768 yamagishi_yoi462_v1_en.pdfPDF と .ots を同じ場所に保存し、opentimestamps.org に .ots、続けて PDF を落とすと、記録された日時が表示されます。PDF が 1 バイトでも変わっていれば通りません。